高岡市の老舗梵鐘メーカーであり、鋳物業界のリーダーでもある老子製作所が民事再生の適用を受けると言うのである。
(画像は、老子製作所のトップページより)
日本のお寺の釣り鐘の7割以上は、この会社が作っているのではないか、というくらいトップシェアの企業である。NHKETVの”SWITCH”という対談番組にも、社長が登場したりしていた。最近では、地元の酒造メーカーの作っているウィスキー用の蒸留器を作ったりと言う意欲的なニュースも耳にしていた。
それだけに、まさか!と我が目を疑ったが、経営危機はリーマンショックにさかのぼるという。
以下は、毎日新聞記事からの引用である。
老子製作所は江戸時代中期に創業し、釣り鐘だけでなく仏像や銅像、モニュメントなどを製造する会社であった。特に釣り鐘の製造技術では全国的に有名で、京都の西本願寺や三十三間堂をはじめ、広島平和記念公園の「平和の鐘」、東日本大震災の被災地・岩手県釜石市の「釜石復興の鐘」など約2万個を手がけた。近年では地元の酒造メーカーと共同で、鋳物製ウイスキー蒸留器の開発にも成功した。
というくらいの会社であったのだが、それだけに、このニュースには驚いた。
毎日新聞の記事は、こう続いている。
91年3月期には約12億円の売上高を計上したが、鋳物需要の減少とリーマン・ショック以降の業績悪化に伴い、手元資金が枯渇。自主再建を断念したという・・・
考えてみれば、時代の変化によって、お寺自体が経営難に陥る昨今である。
父の具合が悪くなってからは、わが家もお寺とのお付き合いが激減している。浄土真宗王国と呼ばれた県内のどのご家庭でも、おそらく同じような状態ではあるまいか?
お寺との付き合いが変化し、お寺の経営がきびしくなれば釣り鐘のニーズも下がる。技術を活かして他の商品開発を、と考えてもそう簡単に見つかるものではない。
ウィスキーのポットスティルを作った、と言うニュースを見た時には、なかなかすごいアプローチだと感心したのだが・・・
伝統産業とは、歴史の長さだけでは、とうてい食べていけないのである。
そして、これは、県内の多くの伝統産業共通の悩みでもある。
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