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2021年06月06日

食の本能、食の煩悩

このところ、父の食欲が非常に旺盛だ。認知症で、食べたことをすぐに忘れてしまうことも影響しているのではないかとも思うのだが、それにしても、食事は毎回ペロリと平らげてくれて、まだ他に何かないか?という事も多い。
以前食が細くなった時以来、主食はおかゆにして量も減らしていたが、このところは、少し量を足しているのだが、どうも足りないくらいになってきているようだ。(写真は、介護食のおかゆのところを一部トリミングしています)
210606介護食編集.jpg

よく食べてくれることはありがたいけれど、食事と食事の間にも、何か食べたいと頻繁に
繰り返すようになってきて、ちょっと困ってもいる。むやみに食べさせずに、おやつの時間に少しあげるとか、栄養ゼリーのようなものを食べさせたりして間食にしたりしている。

食欲は生きる事に直結する大切な本能である。昨年9月に、父が体調を崩して食べられなくなった時には、わずか数日でげっそりして、あっという間にかなり危険な状態にまでなった。あの時のことを思うと、今、ちゃんと食欲があって、美味しいと言ってよく食べてくれるのは嬉しい限りではあるが、やはり認知症との兼ね合いもあり食べさせるバランスには気を付けている。

食欲がなくなると、人はあっという間に体力が低下する。老人が口から物を食べられなくなるとすぐに危険な状態になることは、昨年の父の事例で強烈に学んだ。
しかし、食は煩悩でもある。
父が介護施設にいくことを拒み続けて、家にいさせてほしいと言い続ける最大の理由は、酒と食事であった。幸い、今は、ほんの少しだけ夕食に酒を飲ませれば、それですんでいるけれど、彼にとって大きな煩悩でもあることは確かだろう。
私も父の子であるから酒が好きだし美味しいものを楽しみたいという気持ちも強い。おそらく彼と同様に、あるいはそれ以上に、もし好きなものが満足に食べられなくなった時には、食の煩悩にきっと苦しむことだろう。

出かける楽しみも人と会う楽しみもほとんどない今の暮しの中で、ささやかであっても、自分が満足のゆく食事を用意して楽しむことは、介護の煩悩から、しばし私を癒してくれる妙薬でもある。
さて、今宵もまた、父用の介護食と、自分用の食事の支度をするとしようか。














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