そんな折に、菅内閣の不支持率が急増して、47%になった。ワクチン対策などいくつかの対応に対する率直な国民感情の表れだろう。ワクチン対応の遅さと不手際への不満は、高齢者への接種が始まってから急速に高まっている。前期高齢者である私もそれを実感している一人だ。
そして、五輪を中止すべきという国民は、実に59%にものぼっているという。国民の6割が開催すべきでないと考えているイベントを、この国は是が非でもやろうと動き続けている。
(画像はヤフーニュース)
五輪を開催すれば、選手と関係者とマスコミを合わせると、世界中から数万人が日本にやってくるだろう。様々な国から、防疫意識の高い人、低い人、色々な人がどっと押し寄せる。仮に、3万人が来日するとして、そのうちの2%が感染者だとすれば、実に600人がウィルス保持者として、ウィルスを持ちこんでくる。そしてそれは、変異ウィルスである可能性が高くなる。600人は、あくまで私の勝手な想像である。実際には、もっと高い比率かもしれない。そうしたオリンピック関連の外国人は、いわば国賓に順ずる人たちだから、もし感染した場合には、きっと優先的に治療を受けることになるだろう。その結果、東京の病床の逼迫が加速するかもしれない。
そもそも、例えば変異ウィルスが広がっているインドやパキスタンの選手たちは、入国を認められるのだろうか?アフリカ大陸からの人たちはどうなのだろう?世界最大の感染国であるアメリカとて同じだ。それやこれやのデリケートな判断が必要なことを全て官僚任せにしてオリンピックを開催し、結果、もし外国人の感染者が急増すれば、政府への批判はますます増大する。
私は、大型イベントなども担当する会社に勤務していたから、このタイミングで中止するのはとんでもないことだということは、十分に理解できる。中止になれば、もしかすると、私の古巣の会社も大打撃を受けるかもしれない。
ともあれ、すでにタイムリミットはとっくに過ぎていることはわかっているけれど、ことは世界的な異常事態である。まさに国益を損なう可能性のある判断である。
まあ、おそらくこのまま、無観客で開催されるのだろうとは思うけれど、結果的に変異ウィルスの感染拡大が加速し、日本中の医療が混乱する事態になったらどうするのか?責任をとって総理の首をすげ替えるということで片付くことではない。
恐らく政府は、7月までに高齢者のワクチン接種を完了し、少しでも感染拡大するリスクをさげることで乗り切ろうとしているのだろうが、そんな甘い状況にないことは、この数週間の国内での感染拡大を見ても明らかだ。
人の命は、取り戻せない。人の命は、国の体面よりも当然大切だ。
この病気は、入院して命が助かっても、簡単には完治しない。ワクチンはあっても、根本的な治療薬は今のところないのだ。そのことを肝に銘じるべきだ。
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