シナリオ・演出・キャストの三角形がしっかりできていれば、良いヒットドラマが出来上がる、というセオリーの典型のようだった。
(画像は、NHKのサイト)
八津弘幸の脚本は、見事な起伏のストーリーで、見ている者を捕え続けた。
そして、キャスティングの妙である。まず、主演の杉崎花。正直、この番組でしっかり見るまでは、可愛い系のアイドルのような人かと思っていたが、その芝居のうまさに舌を巻いた。大阪弁の習得にも大変な努力をしたという。そのセリフ回しは、大阪出身の役者も絶賛するほどだという。さらに、父親役のトータス松本。このキャスティングセンスも天才的だと思う。よく彼の演技力と言うかキャラクターの魅力を見抜いていたなあと感心させられた。どこまでも駄目な父親で、ヒール(悪役)的な憎まれ役のようでもあるのだが、憎めない。そうした位置づけを見事に演じていた。
そして、4月に入ってから、二度目の出演となった子役の毎田暖乃ちゃんである。ドラマの最初のパートで、主人公である千代の子供時代を演じて、「なんだ?この子うまいなあ!」と驚かされたが、その彼女が、今度は、父が再婚して生まれた娘で、のちに千代の養子となる春子役で再登場し、その芝居のうまさをあらためて披露した。
ネットにもその演技力への称賛が溢れているが、本当に2つの役を見事に演じ分けていた。
今回の朝ドラは、この二人の女優が、大きなポイントになった。
その他、篠原涼子と名倉潤の夫婦役も、いい味を出していたし、当郎役の塚地武雅も、愛すべきキャラを作り上げていた。千代の継母役を演じた宮澤エマも存在感があった。また、西川きよしの息子である西川忠志も、なかなか渋い芝居を見せていた。とりわけ、千代が新喜劇の舞台に再び立つ日の「千代ちゃんには、ここがよう似合うてるわ」というシーンは、心に沁みた。
もう数日すると、また新しい朝ドラがスタートする。
長丁場のドラマ作りの現場は、日本のエンターテイメント界でも異色の制作環境だが、またどんな感動が生まれるのか、楽しみである。
#おちょやん #朝ドラ #杉崎花 #毎田暖乃
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