そんな中、元日弁連会長で都知事選にも連続出馬した弁護士の宇都宮健児氏が、「東京五輪の開催中止を求める」と5日からオンラインで呼び掛けた署名が、8日午後8時時点で27万筆を超えたという。
(画像は、ヤフーニュース/スポニチ)
感染拡大が治まらない状況の中で、世界中から選手や関係者が日本を訪れ、その人たちを、何千人もの国内スタッフがケアする・・・あと2ケ月で、そうした状況を本当に受け入れられるのだろうか?開催を受け入れたら、それは新たな感染拡大をもたらすのではないか?・・・誰が考えても答えは明らかだろう。それが、宇都宮氏の呼びかけに対してわずか数日で27万人が賛同したという結果に表れている。
名もない年金老人である私も、ずっとオリンピック開催に異論を唱えてきた。
オリンピックという超大型のスポーツイベント運営で、人と人の密な接触をさけることはかなり大変なことである。ルールを守ることについては、世界トップクラスのまじめな日本国民でさえ、このところ緊急事態宣言に慣れてきているところがあって、多少気も緩んだのか、この週末は、繁華街へ出かける人がまた増加したという報道も数多く流れていた。
そんな日本に、選手や関係者として様々な価値観を持つ世界各国の人たちが来日すれば、中には日本を楽しむために、空き時間に町に出かける人も出てくるだろう。多少ハメを外す人もいるかもしれない。
そして、それがもたらすものは、日本国内でのさらなる感染拡大と世界中への拡散である。
拡大と拡散の両方の可能性があることにもっともっとナーバスになるべきなのだ。
ワクチン接種を7月までにと政府が焦っているのも、オリンピック前にワクチン接種済みの人間をできる限り増加させる必要があると考えているからだろう。
「今さらやめられるわけがない」、という政府やオリンピック関係者の思いこみは、こうしたビッグイベントに関わる関係者に共通の心理状態だろう。しかし、コロナV感染者数が増え続けている今、そんなことを言っている場合ではないのではないか。今やめたら多額の経済損失が出る、と懸念しているのかもしれないが、開催によってもたらされる可能性のある感染拡大は、医療崩壊を助長し、お金で買えない人の命が失われるリスクを高めることなのだ。経済損失は、人の努力と時間によってリカバリーできる。しかし、失われる命は残念ながらもとには戻せない。
感染者などの数字に対して少し感覚が麻痺してきているのかもしれないが、重症者と死者数は、このところ劇的に増加しつつある。大阪では、もはや重症者をケアする病院のキャパは限界に来ている。医療崩壊が現実化しているのだ。
宇都宮氏も言っているが、オリンピックの選手を責めるのは筋違いも甚だしい。
止められないイベントはない。そして、命の重さより大切なイベントはない。
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