(画像は、Yhooニュース)
たまたま、元同僚だった友人が、仲間とのディスカッション段階で否定されたアイデアについて取り上げ、佐々木氏の才能を切ってしまうことにつながったこの件について異論を唱えていたのを読み、あらためていくつかの記事などを調べてみた。そして、少なくとも森さんの件と同次元に扱う話ではないと思った。まず、このアイデアが、実際に行われる予定のものだったのかというとそうではなくて、LINE上でのディスカッションにおいて、佐々木氏があくまでひとつのアイデアとしてメンバーに投げかけて意見を求めたものだということ。そして、メンバーからは、複数の反対意見があったので佐々木氏はそれを撤回したという。こうしたことをなぜか文春がキャッチして取り上げ、今回の結末に至った。
報道メディアとして、これほどクローズドなネタにまで情報ネットワークを持ち、特ダネを捕まえる文春のものすごい情報収集力、取材力には本当に頭が下がる。それを否定する気持ちはない。しかし、あくまで私個人の感想だが、どうもこの数年、そのやり方には、少々後味の悪さも感じている。
佐々木氏の件については、私の同僚も書いていたように、LINEでの議論の過程で否定された案であり、あくまでクリエイティブアイデアのひとつである。議論の結果、他のメンバーが、それに異論をとなえてボツになっている。まあ、普通のスポーツイベントとは次元の違うより高いレベルの配慮が必要なオリンピックなのだから、たとえディスカッション段階であっても、より慎重な配慮が求められるべきだろう。とはいえ、同業者をかばうわけではないが、どうにも割り切れない思いが残ってしまう。
総務省の谷脇氏問題も、そして今日再びニュースに報じられた黒川元検事長の賭博案件も、ダイアナ妃を死に追いやったパパラッチと同じような、報道と言う名のもとの過剰すぎる取材攻勢だったのではいか?という気がしてしまう。
谷脇氏は、役人には珍しい柔らかい発想の人で、IT関連については、総務省屈指の情報通で勉強家であった。著作も数多い。黒川氏もおそらく相当に優秀な人だったのだろう。もしかすると、日本の行政にとっては、いずれも非常に貴重な人材であったかもしれない人たちを、「文春砲」は、撃墜してしまったのかもしれない。佐々木氏も、広告業界では、すぐれた実績を残し数多くの賞も受賞されている。オリンピックの統括に抜擢されるにふさわしいクリエイティブの才能を持った人だと思う。しかし、またここで、その芽が摘まれてしまった。
いや、いずれもあくまで私の個人的感想である。どうぞその点はご容赦頂きたい。
優れたクリエイターで、数多くのCMを作ったり、ラジオ番組で辛口のコメンテイターとしても活躍したりと多方面に才能を発揮していたしんやさん、いや、東北新社中島社長は、社長に就任して間もないにも関わらず、国会に立ち、真摯に答弁をされていた。彼を知っているものとしての気持ちを別にしても、優秀なクリエイターである彼が、責任ある経営者として一生懸命に答弁されていた。その姿には胸が熱くなった。
報道の自由は大切である。しかし、一方で、優れた才能の芽をいたずらに摘んでしまうような情報ゲシュタポのようになってはならないとも感じている。
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