10日ほど前の夜、ゲリラ豪雨のような激しい雨が2時間ほど降ったことがあった。その時に、古民家の母屋と蔵をつなぐ廊下の継ぎ目にあたる台所の天井から突然雨漏りがした。
翌日、以前屋根瓦を直してもらった屋根工事の会社にすぐ連絡をして点検と修理をお願いしていたのだが、今日ようやくその工事が行われた。
工事といっても、屋根瓦を取り、瓦の下地に防水シートを新たに貼って瓦を貼り直すというものだ。
母屋と蔵をつなぐ渡り廊下の屋根には、ヒバの木の落ち葉が大量に溜まっていた。下見に来た営業担当いわく、母屋二階の大屋根の雨樋にもヒバの葉が詰まっていたので、大量の水が流れずに樋からオーバーフローして滝のように真下に落ちて、瓦に溜まったヒバの葉をつたって浸透して雨漏りしたのだろうという。雨漏り部分以外には問題ないだろうとのことで、今回は、台所の上にあたる廊下のつなぎ目部分から3mほどだけをまずは修理することになった。
朝やってきたのは、職人一人だけで、あれっと思ったけれど、この方が素晴らしかった。一騎当千である。朝8時に到着して現場を見て、板やシートなどの材料と工具を二階に運び込み準備を整えると、あっという間に瓦をはずし、下地の板を止める古い桟のいたんだところを次々と取り外し、新たに取り付ける下地板をあっという間に適切なサイズや形に切断していく。
作業に興味津々なのだが、朝のことなので、私と父の朝食の支度をして自分も食べ、父にも食べさせて片付けをしてというルーティンワークがあるので、その区切りにちょこちょこのぞきに行った。
様子を見にいくたびに、目覚ましく作業が進んでいた。あっというまに新たな下地板が取り付けられ、固定用の新しい桟が打ち付けられ、防水シートが固定されていく。朝食の片付けを終えた頃には、屋根部分の作業はかなり終了していて、雨樋の取り外しと新しい雨樋の切断・固定作業も進んでいた。また、屋根にたまっていたヒバの落ち葉は、修理部分だけでなく屋根全てが掃除されていた。銅の針金を巧みに操って、次々と瓦の取り付けを行っていく手先の技とスピードにも感心した。
11時半頃に、ランチの支度のために台所に立って調理準備をしていたら、12時少し前に職人さんが降りてきて資材などを下ろしてきた。昼休憩かな、と思ったら、「作業が終わりましたので、現場確認と説明をします」とのこと。すごい!屋根部分の修理と雨樋の交換の両方をあわせて正味3時間ほどで完了である!あっぱれ!
職人さんと一緒に二階へ上がると、ゴミもなくなった屋根と新しい雨樋が美しく、また頼もしくも見えた。雨樋に落ち葉などが詰まった時に取り外してゴミを除くやり方も説明してくれた。若く見えたけれど、作業中に聞いたら24年ほどこの仕事をしているという。ベテランですね、と言ったら、いやまだまだかけ出しです、とはにかみながら笑った。素敵な笑顔だった。これで10年くらいは持ちますねと私が言うと、いや、樋も屋根も少なくとも20年以上は大丈夫だと思いますよ、との頼もしい返事。しかし、この古民家も、おそらく私の代までだろうなあと思いながら屋根を眺めた。
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