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2021年03月08日

官僚の転落

「文春砲」の迫撃によって、総理大臣の長男による接待事案は、多くの「負傷者」を出している。先日東北新社の接待問題で懲戒処分を受けた総務省の谷脇審議官は、今度はNTTによる接待を受けていたことも判明して、内閣官房付に異動となった。今日のニュースでは、事実上の更迭、という文字が躍っていた。
210308谷脇審議官更迭.jpg
(画像はヤフーニュースより)
谷脇氏は、インターネットや携帯電話、ITなどのエキスパートで、総務省でもこの分野では屈指の存在だった。実は著作も数多く出版されており、2012年に出版された情報産業のこれからの姿と課題を描いた「ミッシングリング」は、霞が関の官僚が書いたとは思えないということで、ITなどの業界筋でも評判になっていた。
役人らしからぬ柔らか頭の人で、なかなかユニークな存在という印象で、自身のSNSやブログも早くから展開されていた。私もフォロワーとして時々ツイッターなどを読んでいたが、興味深い投稿も多かった。(当然だろうが、現在はツイッターもブログも非公開となっている)
私の知人には、彼と接点のあった人もいて、優秀で面白い人だという話も何度か聞いたことがあった。いずれは総務省の次官級まで行くのではないかというような声も、当時耳にした。ITネットワークの情報通だっただけに、情報収集や人脈形成にも積極的な人だったようだから、今回の件は、ある意味そうした異色の存在としての「軽快な」フットワークが、裏目に出たというところかもしれない。

私がサラリーマン時代の後半期に、IT関連のセミナーなどで、谷脇氏の講演を聞いたこともあった。
不謹慎だと怒られるかもしれないが、携帯電話の料金値下げや5G時代の今後の展開などのキーパーソンだっただけに、彼が更迭されたことは、実はけっこう多方面に影響があるのではないかという気もしている。

かつて、あのダイアナ妃は、パパラッチの追撃によって命を落とした。日本では、その昔、FOCUS、Fridayといった写真情報誌のスクープ写真が芸能人を攻撃したこともあった。そして、最近は文春砲である。その威力は、霞が関のエリートたちを次々と撃墜し、時には政権をゆるがす存在にもなっている。

谷脇氏の著書「ミッシングリング」の宣伝コピーには、次のような一文がある。
「霞ヶ関からの緊急提言。電機・情報通信産業の5つの環が切れている!つなげば日本は浮上できる」
出世の階段を順調に登っていたエリートの運命は一変した。この先彼の失われた運命のリングが復活して、再び浮上できる日は訪れるだろうか?・・・
#谷脇審議官


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