(画像はNHKのサイトより)
まず印象的だったのは、地球の生き物の中で、生物学的に最も弱いはずの人間が、はびこりすぎて自然のバランスを壊すようになってきたから、生態系を維持するために、いわばウィルスが「天敵」として反撃しようとしている、という言葉。ウィルスが、生態系の安定性を保つ「監視役」として機能したというのである。面白い。
彼は、さらに続ける。「人間は、自然がもたらす資源やエネルギーを大量に奪い、野生生物に対する圧迫を続けている。生態系のバランスを崩すほどに増加した人間に対して、生態系は<元に戻そう、復元しよう>とする機能が働いているのだと思います。新型コロナウイルスはその最新型として、まさに人間に対する「自然界からの逆襲」ととらえるべき存在だといえます。」と。
以前、私も、コロナウィルスは、人間のおごりに対する警鐘のようなものか?というようなことを書いたことがある。ウィルスのこれほどの猛威は、何か神様が、人間に対していい加減にしなさいと言っているような気がしていた。私が感じたそんな思いを、五箇さんは自然科学の立場から解析してくれた。確かにそうなのかもしれない。産業革命以来、人間は地球の資源と自然のバランスを崩すような活動を繰り広げてきたのだろうか?
バイデン大統領は、過去のどの戦争よりも、このウィルスによって亡くなった米国民の数のほうがはるかに多い、とスピーチした。その通りだ。世界の死者数は、少し前に1億人を越えて1億1千2百万人を越えた。日本国民全員が亡くなったのと同じ数だ。
五箇さんは、こんな風にもコメントしていた。感染が拡大して、自分さえよければという利己的な考えが蔓延し、マスク警察などの歪んだ正義感が人々の分断をもたらした。国際的にも自国主義が優先し、ワクチン確保に各国が躍起となり、ワクチン接種の格差が生じ国際的なあつれきが悪化して、紛争や戦争にもつながりかねない。こんな時こそ、本来人間が持つ「人間性」というものを見つめ直して欲しい、と。人間には、助け合いの精神があり、その「互恵的利他精神」が、人間という種の進化をもたらし、生物学的に非常に弱いはずの人間が、地球全体に広がり、強い存在になり得たとも。
番組の最後を、彼はこんな言葉で結んでいた。
「助け合いの精神は、我々人類に与えられた宝です。必ずコロナウィルスに打ち勝つ日が来る」と。
ちなみに、彼は、私の高校の後輩である。わが母校も、なかなか面白い人材を輩出しているものだ。
*彼の出演した番組は、NHKのらじるらじるで、1週間聞くこともできます。また彼の言葉は、このサイトで読むことができます。https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/gogocafe/cSXzP09EOc.html
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