今日、トヨタ自動車が未来の技術開発のためにつくる実験都市「ウーブン・シティ(Woven city)」の建設が、富士山のふもとの静岡県裾野市で始まった。
"Woven" という言葉は、あまり耳慣れない言葉だが、私はたまたまウールマークの仕事をしていたことがあって、その頃にこの言葉をたびたび耳にした。ウールマークでは、織物という語で使われている事が多かったように思う。
この計画を発表した時、豊田社長は、こんなことを仰っている。
「ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、トヨタは、最初、織機メーカーでした。クルマづくりから始めたわけではなく、布を織ることから始めました。そして今、私たちの技術を使って、新しい種類の街を、そして人生を楽しむ新しい方法を織りなそうとしています。」
自動運転や人工知能(AI)などの先端技術を住民が実際に使って暮らし、実用化につなげようという構想で、2025年までに入居が始まる予定だという。自動車メーカーが街をつくるという異例の取り組みになる。
私も最初にニュースを聞いた時にはビックリした。しかし、先ほどの言葉の通り、トヨタグループと言うのは、織物から始まり豊田自動織機という会社が源である。またグループ会社の中には、トヨタホームという住宅の会社もある。衣食住の中で、織物という「衣」と、家という「住」で既に実績があるわけだ。だから、実は街づくりということとあながち遠いわけではないのだ。まあ、既に巨大な企業城下町も作っているわけだし。
世界中の自動車メーカーが、こぞって、あと数年で電気自動車にシフトすると言い始めている。既に、車とインターネットはつながっていて、車のコックピットはどんどんディスプレイだらけになりつつある。急速に自動車が変化、いや変質し始めている。
ガソリンエンジンが好きで、オイルの燃える臭いが好きで、針式のメーターこそ美しいと思っている時代遅れの私は、少々寂しい気持ちになっている。そんな動きを超えて街を作ろうとしている。いかに世界屈指の巨大な純利益を誇る企業とはいえ、大きな投資となるだろう。
昨年末に半世紀の操業を終え閉鎖したトヨタ自動車東日本の東富士工場跡地に建設されるこのプロジェクト、豊田章男社長は「イノベーションの発信の場所にしたい」と話している。さて、どのような未来の町ができるのか、その行方を注視したい。
#ウーブン・シティ #トヨタ自動車
【このカテゴリーの最新記事】