何10年ぶりかで毎日飲むようになると、あらためてミルクの美味しさに気が付いた。父も、食事のたびにミルクを一口飲んでは必ず「うまい!」と言う。まるで口ぐせのように。
ミルクが非常に体と相性の良い食品だということが、細胞に沁みていくような味わいからも感じられる。
また、おそらくミルクの製造技術が向上して、子供の頃に飲んでいた牛乳よりも美味しくなっているのではないかという気もする。(もちろん牛乳びんに入っていた昔の牛乳は、濃くて香りが強かったようにも思うので、素朴さという点では、昔のほうが美味しいのかもしれないけれど)
父にはだいたい1食に100から120ccくらい、私も同じくらいを朝と昼に飲むので、2日ほどで1リットルの牛乳がなくなる。そうなると、当然空の紙パックも、これまでよりハイペースで出るようになる。ちょっと油断するとキッチンに牛乳の空きパックがすぐにたまるほどだ。かくして、調理と片付けを終え、音楽を聴きながら一息ついている時間には、洗って乾かしておいた紙パックをハサミで切り開く作業をしていることが多い。リサイクルするためと、一部はまな板代わりにも使う。今日も、昼下がりのキッチンテーブルでヨーヨーマを聴きながら紙パックを切っている。
赤ちゃんにとって、ミルクは命をつなぎ成長するための大切なもの。そして、ものを食べにくくなった老人にとっても、また命をつなぐものである。
人は、オムツにはじまりオムツに還り、ミルクに始まり、ミルクに還る。
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