今回のトラブル、ソフトウェアのエラーかと思ったら、システムを動かすメインマシンのハードウェアが故障し、バックアップマシンへの切替に不具合が生じて切り替わらなかったという。いわば、フェイルセーフのフェイルである。
数週間前には、NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」を使った預金の不正な引き出し事件が発生した。システムに多少脆弱性のある地銀口座を狙った頭脳的なネット泥棒の仕業だ。
現代社会は、ネットによって、考えられないほど便利になったが、やはりここへ来て、ITのほころびのようなものが起きてきている気がする。
かくいう私も、ネット社会の恩恵にどっぷりつかって暮らしている。田舎で介護をしていてほとんど外出しない状態にあって、銀行振込から、ネットショッピング、東京の家族とのテレビ電話、テレビ会議、音楽配信、ささやかながら株の取引というか管理、新聞・雑誌の閲覧、映画鑑賞、メールでの連絡、SNSでの交流、ブログ、原稿の受注と原稿送受信・・・・ざっと書いてみても、こんなにネットのお世話になっている。そこにもし何かのほころびがあれば、それは恐ろしいことになるだろう。
過剰なほどのネット依存社会と言われるが、しかし、便利なことの快楽というか、慣れとは、麻薬である。一度その魔力を知ると、もとにはなかなか戻れない。殆どの人が、スマフォのない生活は、もはや考えられないだろう。
東証は、当面の間、装置の動作状況や切り替えについては、人的監視を強化することで対応するという。皮肉なことに、フェイルセーフの最後の頼みの綱は、やはり人間なのだ。
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