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2017年11月09日

アメリカの大腸内視鏡検査はなぜ高い? ヨーロッパや日本と比較すると

PubMedから、今日のつぶやき − 109 −

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The $2.7 Trillion Medical Bill


こんにちは。
今日もニューヨークタイムズの2013年の記事の続きです。


退役軍人病院では、毎年25万件の大腸内視鏡検査が行われいるが、
麻酔科医による麻酔はルーチンに実施されていない。

(感想)
でも、退役軍人病院は医療の質の低下が問題となっています。
ここでの引用は必ずしも適切ではないかも・・と思います。
日本でも公立病院は競争がなく
コスト意識がないため赤字が問題になっていましたよね。
同じようにアメリカの退役軍人病院も対象者が退役軍人で
競争がないことによる質の低下が問題になっています。
リンクは動画で音声が出ますのでご注意ください。
(感想終わり)

ウィーン大学消化器科教授のフェルリッツ医師のコメントです。
「大腸がん検診に広く大腸内視鏡検査が使用されているオーストリアでは、
通常のクリニックで鎮静手技が内視鏡医あるいは看護師によって
とても安全に実施されています」

「ですが、こうした背景にはオーストリア政府による医療費の抑制があるのです。
内視鏡手技はすべての行程を含め30分以内で完了し、
費用はトータルで200-300ドルに納めなければなりません
聞いたところでは、アメリカでは一番安くても950ドルにもなるそうですが

欧州消化器内視鏡学会会長のハッサン医師のコメントです。
(今でも理事のメンバーですね)
ヨーロッパでは生検や鎮静を含めても費用は400-800ドル程度です。
アメリカの内視鏡はあまりにも高すぎて、機会が制限されている。
医療者側の都合がよいもので、健康のためではなく、
利益を追求しているに過ぎない

(感想)
大腸内視鏡検査の重篤な偶発症としては、腸管前処置、鎮静、腸管穿孔
などがありますね。
日本では鎮静のほとんどが、オーストリアと同様に内視鏡医や看護師が
担当しています。
ごくごく稀ではありますが、呼吸抑制や血圧低下などでヒヤッとすることも
経験します。
その意味では麻酔科がついてくれれば、当然安心だとは思います。
検査数はこなせず、コストも当然高くなりはしますが。

また、アメリカでは検診での大腸内視鏡検査を推し進めてきたことにより
大腸がん罹患・死亡を急激に減少させてきた事実もあります。

まあ、光と影ではありますが、こうした新聞記事を読むときは
両面から考えてみる必要もあるかもしれませんね。
(感想終わり)


続く〜〜〜



ご注意)必ずしも記事の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。

原文
http://www.nytimes.com/2013/06/02/health/colonoscopies-explain-why-us-leads-the-world-in-health-expenditures.html?pagewanted=all


★★重大ニュース!!━━━━━━━━━━━━━━━
日本消化器がん検診学会とGAIAの共催で実施した
「大腸CT検査の実態全国調査【臨床研究 GAIA-03】」
が放射線領域の代表的なジャーナル
「European Radiology(2016 Impact Factor: 3.967)」
に掲載されました!!
https://link.springer.com/article/10.1007/s00330-017-4920-y

PubMedにも掲載済みですよ
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28674967

委員の先生方に大変」ご尽力いただきました。
ご協力いただいた施設の医師や技師の皆様にも感謝です!
皆さま、本当にありがとうございました!!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★





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大腸CT検査のポイント集
毎日のつぶやきを経て増えていきますね。

<適応>
・閉塞性大腸がんに対して大腸CT検査は有用だが、手技に工夫が必要。
・完全閉塞症例には「PET/CT colonography」。
・内視鏡の検査待ちの日数を減らす役割もあり。

<検診>
・検診目的の大腸CT検査が保険でカバーされることで
 大腸CT検査による検診受診率は735%増加した。
・検診目的の大腸CT検査が保険でカバーされることで
 大腸内視鏡検査による検診受診率は38%増加した。
・腸管外病変診断による利益・不利益バランスには注意が必要。

<腸管前処置>
・内視鏡後にガストログラフィン30mLを服用したら約4時間後に大腸CT検査をしよう。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。

<腸管拡張>
・右側臥位は最適な腸管拡張を得るためのベストポジションである。
・炭酸ガス自動送気装置は良好な腸管拡張を得るのに有用である。
・ブスコパンは腸管拡張の改善に寄与しない。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。

<読影>
・読影の飛ばしすぎは読影精度を下げるので要注意。
・トレーニングを積めば、都市部の病院でなくとも高い精度の検査が可能。
・検診目的の大腸CT検査は有症状者に対する大腸CT検査よりも、病変をみつけづらく読影には注意が必要。

<診断>
・C-RADSにおけるC1の5-10年の検査間隔は妥当
・大腸CT検査の中間期癌の頻度は非常に低い(0.1%、2/1429)
・便潜血陽性後から内視鏡を受けるまでの期間が10ヶ月以上になると大腸がん全般・進行がんのリスクが高まる。

<受診者の受容性>
・患者さんの苦痛度は炭酸ガス自動送気装置の使用やブスコパンの使用は影響しない。

<偶発症>
・閉塞性大腸がんでは穿孔のリスクが高くなるので注意しましょう。
・術前検査目的の大腸CT検査の穿孔率は0.028%。
・検診目的の大腸CT検査の穿孔率は0.003%。
・精検目的の大腸CT検査の穿孔率は0.014%。
・穿孔率は術前検査目的に比べて検診目的で有意に低い。
・穿孔症例の81%では外科治療が不要。
・自動送気装置の使用は穿孔のリスクを低減する。




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ここ数年、ボランティアで読影トレーニングを行ってきましたが、自身の業務が膨大になってきたこともあり、残念ながら永続的に続けることは困難な印象です。
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そこで申しわけありませんが、読影トレーニングの個人的な実施は今年一杯までとさせていただきたいと思います。。
トレーニングのレポートの受付と解答送付は今年一杯までとさせていただきます。
何卒、ご理解のほどよろしくお願い致します。

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プロフィール
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大腸の専門家 ナガイチ
大腸を専門に外科、内視鏡、画像診断のキャリアがあります。               経歴のご紹介:               1996年 国立医学部医学科卒業。       1996〜2007年 消化器外科、内視鏡医として従事。                    2007〜2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科、マサチューセッツ総合病院に留学。 2009年〜国内のナショナルセンターに外来研究員として併任。               2011年 帰国し内視鏡医として従事。     2015年〜国内のナショナルセンターに常勤勤務。 2019年〜某国公立大学医学部医学科の特任教授として働いています。                  資格: 外科認定医・認定登録医、消化器内視鏡認定医・専門医・指導医、消化器病専門医、H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医、消化器がん検診認定医、胃腸科専門医・指導医、アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員、アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員                    どうぞよろしくお願いいたします。              ご注意)個人的な病状に関するご相談、診療に準じるご相談にはお答えできませんので、何卒、ご容赦ください。
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