2007年11月05日
地方の闇 〜 詐偽師X 〜 2
日本では、地方自治体に様々な 金 が付く。
特に過疎地は「過疎債」という、
元本の 3割 だけ償還すれば、残り 7割 は丸々もらえる債券を発行できる。
そのほか、
中山間地域総合整備事業、農山村地域就業機会創出緊急特別対策事業、構造改善事業、都市公園事業 など、
様々な 名目 で出る補助金や交付金がある。
例えば、こうした カネ をフルに活用して、
北海道由仁町は 国内最大級 のハーブガーデンを作った。
総工費 40億円 のうち、町が出したのは 5580万円 である。
Xも 村おこしコーディネーター という肩書きを作り、
村おこしをやって、町を有名にしましょう と、
ハコモノ事業を売り込んだ。
あるとき、私は X が手がけた、ある農村のハコモノ施設を取材で訪れた。
総事業費約 18億円 をかけた、
温泉、露天風呂、マッサージ室、レストラン、喫茶店、大小宴会場、売店、農産物直売所
などがある 一大複合温泉施設 であった。
資金の大半は 国 からで、村が出したのは 2億円 余りにすぎなかった。
村に不釣り合いな 大施設 を見た瞬間赤字だろうなあ、と思った。
案の上、開業 初年度 から赤字を垂れ流しているということだった。
Xは施設運営の幹部に納まって、月給 70万円 余りを取った。
それ以外に施設の内装工事や備品購入に関与した。
すなわち、仲介して金を 抜いていた と想像される。
Xは 人当たり の良さで、村の人々の間に入り込んでいた。
私が取材した人たちは Xの前半生 の話を聞くと
「本当にそんな人なんですか!? 折り目正しくて、アイデアもある、優秀な人だと思っていましたが……」
と当惑した。
しかし
Xにとって 計算外 だったのは 地方の闇 の深さであった。
続く
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投稿者:青山通り青山通り|14:53
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