ファンベースという書籍、および考え方について共有です。
考えるきっかけになったのはCEDEC 2019(ゲーム技術の講義を3日にかけて行うイベント)。
Daigo Studioさん(くまのレストラン作者)のLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値。その人にとってどれだけの価値を与えるか)という言葉が気にかかり「ファンベース」という本に結びつきました。
Daigo Studioさんから一足飛びにファンベースにたどり着いたのではありません。
種明かしをしますと、CEDECの講義内でふんどしパレードの方とハワイにご旅行に出かけたという雑談があり、もしかしたらこの本の影響かなとアタリをつけていました。
2018年 ゲームアプリ開発者が読んでよかった本 8冊
https://note.mu/yhiroki/n/nbc1af0dad01e?magazine_key=m6ad2d8c7265f
事前に上記サイトで紹介されていた8冊のうち1冊は持っており、3冊を追加で同サイトから購入していました。
(特に時間不足でプレイは叶わないのですが、FF14の開発記は興味を引きました)。
ふんどしパレードさんの目指す方向とは全く違うのですが、読書から学ぶ姿勢は賛同できます。
そのうちの1冊がCEDECのセッションで繋がったというわけです。
■ファンベースとは
ファンベースとは80:20の法則の通り、20のコアなファンが80%の利益(成果)を与えてくれるというもの
一般的には売上、アクセス数など。
ゲームにおいてはプレイ時間、フィードバックの量/質などに表れるでしょう。
遊んでくださるプレイヤーさんをファンと作者が認定するのは憚られるかもしれませんが、自分の作品に一定以上の熱量をもって向き合ってくださる方を感謝を込めて思えば良いのかなと理解しています。
たとえばレビューを書くという行為には、多くの時間と考察とアウトプットの労力を要します。
コアファンの行動(20%の中の更に20%にあたるとてもありがたい行為)ですね。
寄せられた複数のレビューを見ると、一定数の人が近い要素を賞賛してくださることが見えてきます。
それがおそらく、自分の作品における差別化、個別化された要素。
他でもない自分の強み。
ファンの方の行動※を通じて(=事実)、評価されている部分を客観視できるわけです。
※ファンの方のリクエスト(xxな展開が見たい)に応えるのは別の話です。特に漫画家さんはファンのリクエストする展開に応えない方がいいと言われますね
ファンベースに基づいた行動としては『ファン同士の体験を接続/共有する』が挙げられます。
アプリの場合はレビュー、デスクトップゲームの場合はスクリーンショット付きのコメント共有※など。
※FF15の写真共有機能なんてまさにこれを意識したデザインだと思います
他者の感想を見て、自分も体験したいと思い、作品と人の輪が広がるパターンですね。
たとえば友人や好きなアーティストがオススメする漫画/映画/音楽は、手を伸ばしやすい……という経験は誰もがお持ちだと思います。
それは「良いと感じるポイントが近い」から「自分の好きなものに出会える確率が高い」ということなのでしょうね。
ほかにもファンベースの考え方の1つに『体験を持続する』というものがあります。
世界の情報量は、2011年時点で世界中の砂の粒よりも多いとされています。
2019年7月に公開されたドラクエの映画批評がTwitterでバズりましたが、もう話題にしている人はいませんよね。
映画ドラクエは長く話題になった方。
基本的には、数万リツイートされた名文であっても、2〜3日もすれば、別の何かに印象ごと上書きされます。
ゲーム制作においては公開直後がバズに近い瞬間だと思うのですが、これも数日経過すれば別の新作の話題にとって代わります。
それは仕方がないこと。
だから自分のポートフォリオを「積み上げる」という考え方が活きるのです。
過去の作品と新作の世界観や設定を繋げ、クリア後も考察の余地を残したなら、新作から過去作への動線が生まれます。
興味を深めてもらえたら、次回作も遊んで頂ける可能性が高まります。
追加シナリオを出したとき、真っ先に遊んで貰えるかもしれませんね。
『作者が現在進行形の開発情報を伝える』ことも有効な手段。
ゲームクリア後に同じ人の新作が気になった場合、まず検索します。
結果、作者のサイト、ブログ、Twitterアカウントにたどり着くでしょう。
そのときに開発状況や作者の自然体の人柄が垣間見えたら、興味は深くなる可能性があります。
一方で、サイトのアクセス数、TwitterのRTやいいね数集めのツイートに執着すると、心が疲れます。
自然体で続かないことは、コストが高くつき、結果、本来力を入れる部分がおろそかになるのですね。
繰り返しますが、世界中の砂の粒よりも多い世界の情報量。
だからこそ、特別な体験を求めますし、体験を親しい人に話したくなります。
この流れをゲーム開発や、作品を育てる考え方に組み込めたなら、作品の発信力は大きくなりそうです。
以上、ファンベースを読んで感じたことをゲーム制作に応用して書きました。
ご参考になれば幸いです。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image