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2017年02月28日

漫画『傘寿まり子』1巻の感想とあらすじ

『傘寿まり子』1巻の感想。


傘寿まり子
著者:おざわ ゆき
掲載:BE・LOVE
1巻発売日:2016年11月11日

息子夫婦、孫夫婦とその息子の四世代家族と暮らしている幸田まり子は、80歳の現役作家。夫が亡くなってから15年、終の棲家だと思っていた家の中心は息子や孫たちに移り、まり子には内緒で建て替え計画を進めるなど、少しずつ自分の居場所は隅へとズレていった。
ある日、友人が亡くなった報せを受けたまり子は葬儀へ赴き、若かりし頃想いを寄せていた八百坂さんに出会う。そこで友人の彼女が四世代で同居ていたにも関わらず、家の中で孤独死していた事実を聞かされ、まり子はその姿を自分と重ねてしまった。
友人の死で思うところがあり、家の中に確かな居場所を感じられなくなったまり子。その夜、荷物を纏めて置手紙だけを残し、「お世話になりました」と別れを告げ、80歳のまり子は家を出ていった。

四世代家族と暮らしている80歳のおばあちゃんが、今は亡き夫と建てた大切な家の中にはもういられないと感じ、家を出てネカフェ暮らしをするなかでネコと出会い、その子と新たな生活を送っていこうとする話。
80歳の高齢ニューヒロインが送る人生第2の青春物語。表紙の愛らしいおばあちゃんに引かれて衝動買いした作品でしたが、思わぬ拾い物をした気分。ちなみに、表紙の黒い謎生物はネコです。

まさかの80歳女性が主人公かつヒロインを務めている作品。タイトルの「傘寿(さんじゅ)」とは60歳の「還暦」や88歳の「米寿」のように、年齢の節目に使われる長寿祝いの言葉で、80歳の方を指す名称です。
高齢化社会となった現在では4人に1人が65歳以上という状況にあり、この作品では可能性として起こりうるかもしれない高齢者の姿を描いています。決して高齢化社会についてあれやこれやと述べる内容とは違います。内容はともかく、状況だけ見るとちょっと笑えませんね。高齢者となって家族と一緒にくらせているのに、本来安心できるはずの家の中に居場所を見出せなくなるという状況、決してありえなくもないから怖い、そして寂しい。

主人公の幸田まり子さんは、年齢80歳の傘寿、職業は現役のベテラン小説家。夫とは15年前に死別しており、今現在は息子夫婦と孫夫婦、曾孫たちと一緒に一つ屋根の下で暮らしています。ただ、皆仲良く暮らす幸せな家族とは言い難く、諍いが起こることも珍しくないのが現状。出て行くまでの大まかないきさつはあらすじに書いた通りです。
お金はあっても80歳の高齢者に部屋を貸してくれる大家は見つからず、心配していた担当編集者の人から教えてもらったネットカフェでの暮らしを始めました。寂しいけど気楽な環境で意外とはかどった執筆作業を終え、公園のベンチで休んでいたときに、ゴミやホコリにしか見えない表紙イラストにも描かれている黒猫の「クロ」と出会います。まり子には出会った瞬間から妙に懐き、その境遇に共感したことから一緒に生きていこうとしますが、当然ネカフェからも出ていくことになりました。

ネカフェのオーナーから親族の署名があれば部屋を貸すと言われ、息子に会いに行くも署名をもらうことは叶わず、そんなときに葬式の場で再会した昔憧れていた八百坂さんに再度巡り逢うことになります。八百坂さんは現在マンションで1人暮らしということから、とりあえずクロと一緒に泊めてもらうことになりました。そこでまり子の事情を知った八百坂さんから、両の手を握って「まり子さん 行くところがないなのなら ぼくと暮らしてくれませんか?」・・・というのが1巻の流れ。

印象深いのはまり子さんが息子に署名をもらいにいった話。心配していたまり子さんの無事を確認できたことで涙を流す息子さん。そして、まり子さんは息子から家が嫌いなのかと問われ、「嫌いじゃない 嫌いじゃないからつらかったの 外に出てそれに気づいたの」と答えました。嫁たちはともかく、息子とまり子さんの確かな家族愛を感じられ、一番泣きそうになった場面でしたね。
私の書き方がヘタなせいで暗くて寂しいだけの話だと思われてしまうかもれしれませんが、決してそんなことはありません。切ないけど感動もあり、なによりまり子さんが元気でカワイイ。80年、多くのことを経験してきたまり子さんは、さすが物書きとでも言えましょうか、彼女の素敵な言葉は心に響きます。あと、クロの可愛さも反則的でしたね。1巻ラストでは、80歳にして再び青春の1ページを刻むかもしれない展開も見せてくれました。
まり子さんには、ペットのクロ、小説家という仕事、そして起こるかもしれない八百坂さんとの恋、3つもの生きがいとなりえる要素が生まれ、ゴールラインを切るのではなく、80歳という年齢で新しい人生のスタートラインに立ったんだと思います。今後まり子さんがこの波をどう乗りこなしていくのか楽しみですね。

社会派モノでもあり、青春モノでもある作品、辛く、切なく、悲しい場面は目立ちますが、少女マンガ的なノリと展開も多く見受けられ、結構読みやすい漫画でした。重い展開に入ったとしても、可愛い絵柄がいくばくかの緩衝材にもなっていますね。
まり子さんが何を選択して誰とどんな人生を歩んでいくのか、そして彼女によって周囲の人たちはどのような影響を受けることになるのか、今後の展開が非常に気になる1巻でした。とても面白かったです。


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2017年02月26日

【紹介した作品の新刊発売情報】あさひなぐ 第22巻 他5作品

2017年2月27日〜3月5日発売予定の新刊。
このブログで紹介した作品や関連作品の新刊情報と、試し読みした作品の感想。


あさひなぐ 22 (ビッグコミックス)

2017年2月28日発売

あさひなぐの過去記事はこちら



王様達のヴァイキング 第12巻 2017年2月28日発売

王様達のヴァイキングの過去記事はこちら


この音とまれ! 14 (ジャンプコミックス)

2017年3月3日発売

この音とまれ!の過去記事はこちら


悪魔のメムメムちゃん 2 (ジャンプコミックス)

2017年3月3日発売

悪魔のメムメムちゃんの過去記事はこちら



おにでか! 第3巻 2017年3月4日発売

おにでか!の過去記事はこちら



試し読みをして気になった作品もひとつ紹介します。


えびがわ町の妖怪カフェ 第01巻
著者:上田信舟
掲載:ヤングアニマル嵐
2017年2月28日発売


東京から1人で親戚のおじさんが暮らす岐阜の田舎町へやってきた9歳の少女・高梨まな。おじさんが経営しているカフェ居酒屋「ようけ」に到着したまなだったが、生憎店は休日閉店。途方に暮れるまなは店の前で座り込んでいると、突然中から無精ひげを生やしたおじさんが現れる。
事情を説明されるもどうやらまなが来るという手紙を読んでいなかった佐吉おじさんは、戸惑いながらもとりあえずお腹を空かせたまなのためにご飯を作ることにした。飲食店を営むだけあって手際よく調理が進み、店に料理の良い匂いが漂ってくると、いつの間にかまなの隣に見知らぬセーラー服を着た少女が座っていた。
料理を堪能した少女は勘定を済ませて帰ろうとするが、まなはそのお札が葉っぱのお金だと見抜き、佐吉によって正体が化け狐だとバレてしまった。
暖かな光が灯るその場所は、少し不思議なカフェでした。

変なものが見えてしまう少女と、カフェを営む男性。夏、田舎、少女で送るノスタルジックストーリー。ヤングアニマル嵐でアンケート上位の人気を誇っている作品です。
著者は『女神異聞録ペルソナ』などRPGを題材にした作品が多い女性漫画家の上田信舟さん。

舞台は岐阜の田舎町、季節は夏。妖怪モノではありますが、おどろおどろしい雰囲気は一切なく、優しいハートフルな内容。かわいい無垢な少女、自然豊かでのどかな田舎、温かな美味しいご飯、これまたかわいい狐の妖怪、癒し要素満載の作品ですね。

メインは東京からやってきた9歳の女の子・高梨まな、カフェ居酒屋「ようけ」を営む佐吉おじさんの2人と、キツネの女の子もかな?
本作一番の癒しであるまなは無垢で優しいキュートな女の子ですが、どうやら家族関係に問題を抱えてる様子。佐吉のもとにやって来たのも母親がまなを扱いかねてとのこと。あくまで個人的な予想でしかありませんが、『夏目友人帳』主人公の状況に少し近いのかもしれませんね。変なモノが見えることで、周囲から奇異の目で見られるようになり、母親が精神的にダウンと予想。周囲から「変な子」「気持ち悪い」「顔見せないで」など心無い言葉をぶつけられてきたようで、佐吉が受け入れてくれたことに思わず涙を流した姿は痛々しく見えましたが、最後の心から笑えた表情は天使のように愛くるしく、ちょっとうるっときてしまいました。

佐吉は無精ヒゲを生やした気だるげなオッサンですが、料理をするときのキリっと引き締まった顔はかっこよく、意外と優しく気遣いもできそうな人。
佐吉にも何かいろいろありそうです。化けた狐を見てもそれ自体に驚くことはなく、むしろ今まで妖怪が来ることを待っていたふしもうかがえます。妖怪が存在することは以前から知っていたようで、まなを母親が佐吉のところに寄越したこともその辺りの事情が起因しているらしい。

グルメものとしても楽しめそうです。1話に出てきたのは、油揚げのネギ詰め焼き+豆腐とネギの味噌汁+白飯=大豆定食。フワッ、ジュワ〜、サクッ感が出ているのでとても美味しそう。作業工程も簡単そうに見えたので試しに作れそうですね。

『うどんの国の金色毛鞠』や『甘々と稲妻』のような、癒しのあるハートフル作品が好きな人なら楽しめるのではないかと思います。安直な言い方になりますが、これは良い漫画ですね。

試し読みはヤングアニマルDensiさんの公式サイトで1話を配信しています。(こちら

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2017年02月25日

漫画『波よ聞いてくれ』1巻の感想とあらすじ

『波よ聞いてくれ』1巻の感想。


波よ聞いてくれ
著者:沙村 広明
掲載:月刊アフタヌーン
1巻発売日:2015年5月22日

親の死に目以外ならどんな悲劇からも5日で立ち直る自信がある鼓田(こだ)ミナレは、北海道札幌在住、スープカレー屋勤務の25歳。福岡出身の彼氏に振られたことで酒を煽り、飲み屋で40分前に出会ったばかりの麻藤兼嗣(49)という男性に失恋の愚痴をぶちまけていた。
翌日、けろりと立ち直ったミナレは勤務先のスープカレー屋「VOYAGER」で働いていると、店で流してるラジオ番組から聞き覚えのある・・・というよりミナレ自信の声が聞こえ、流れていたのは飲み屋での赤裸々失恋トーク。慌ててラジオ局へ乗り込むと、そこにいたのは昨晩自分がカラでいた麻藤。放送を止めようとするミナレだったが、麻藤にいいように言いくるめられ、なぜか穴埋めとしてアドリブトークを披露する羽目になってしまった。この一連の騒動がきっかけとなり、ミナレはラジオパーソナリティとして勧誘されることになる。
鼓田ミナレは後に述懐することに――「これ 私 はめられたんじゃないでしょうか!?」、と・・・。

飲み屋でのぶっちゃけ失恋トークがきっかけでラジオの世界に足を踏み入れた女性が、クセの強い面々と関わりながら、ラジオに恋にせわしなく変化する日常の中で奮闘する姿を描いた物語。
ジャンルはなんだろ・・・ギャグコメディ(?)と恋を結合したラジオ漫画。著者は代表作に『無限の住人』を持つ沙村広明さん。シリアスストーリーとグロくエロくバイオレンスな印象が強い著者さんなだけに、これまでと趣向の違う本作がどういう展開になるのか興味深いですね。

当初はあまり気にしてなかった作品なんですが、マンガ大賞2016にノミネートされて以降ちょくちょく話題にのぼっていたので読んでみました。
本作はラジオと恋を題材にした漫画作品ということから、著者曰く「今度こそ間違いなく、人の死なない漫画」というコンセプトらしいです。確かにコミカルなやりとりで人が死にそうな雰囲気はなさそうなので、グロが苦手な方でも安心かもしれませんね。これまでの作品よりも読者の幅は広がりそうです。

舞台は北海道札幌。冒頭いきなり酒で悪酔いしてる主人公・鼓田(こだ)ミナレが絡み酒してる場面から物語は始まります。飲み屋で数十分前に知り合ったばかりのオッサン・麻藤兼嗣に福岡男にフラれたことを愚痴るミナレ。実は麻藤さんはラジオ局のディレクターで、この時の恋バナを録音されてラジオの波に流されてしまいました。
仕事してるときにラジオからいきなり自分の声で自分の失恋話が聞こえてくるんだから「・・・?」と固まるのも当然。そして、とりあえず流してるラジオ局に殴り込みです。
本当は止めにいったはずのミナレさんですが、一切悪びれもしない麻藤さんの口車に乗せられ、なぜかラジオの生放送でトークする事態に。本人は思考が追いついてないようですが、突然の事態にも関わらず「CUE!」と共に素人でありながら見事な話術を披露。そして最後に一言―――「光雄!お前は地の果てまでも追いつめて殺す!!」。めちゃ笑った。
ミナレの才能を見抜き、一から話し手を育ててみたかった麻藤さんに誘われ、ラジオパーソナリティの道へ。深夜とも早朝とも言えそうな時間帯に番組を持ったことでミナレのラジオ人生が始まりました。

主人公ミナレの喋りと残念美人っぷりが面白いですね。物凄く美人で黙ってればデキる女にも見えるミナレですが、調子に乗ったり早とちりして失敗することもしばしば。話が進むにつれ更なる残念な面が浮き彫りになっていきます。
ただ、見ていて気持ちいのいいキャラでもあります。前に進み続ける女とでも言えましょうか、彼女ならどこででも生きていけそうな気さえします。
残念美人で猪突猛進以外の特徴をあげるとすれば間違いなく「喋り」。台本なしでも間を空けることなくすらすら言葉を紡ぐことができ、しかも噛むことなく喋り切れるトーク力。声は音域が高く聞く人を安心させるような声質ではありませんが、不思議と不快感はないとのこと。1人でボケとツッコミをこなせ、言葉のチョイスも秀逸で、彼女のトークには読者を引き込む力がありますね。文字が多くても読み飛ばそうとは思えません。
憧れますね。自分もミナレのような見事なトーク力があればと常に思ってます。よく喋るけど決して1人相撲にはならず、周囲を巻き込んで盛り上げてくれる存在、私もそんな人になりたい。まあ、ミナレ自身は狙ってやってるわけではないんでしょうけどね。

全体的にハイテンション・ハイテンポで気づいたら1巻読み切ってました。これは最高に面白いですね。シリアスは多少あってもクセの強いキャラクターによって悲壮感を感じることはなく、当然グロもありません。テンポとノリの良いギャグによって作品の雰囲気は明るく、とても読みやすい作品。
ドタバタコメディが笑えるだけではなく、先が気になるストーリー構成も見事で、今後ミナレがラジオの世界で何を成していくのか、彼女自身の恋や友情などの人間関係と日常も気になりますね。
主人公が気持ちの良いキャラで、ストーリーのテンポも良いので、スカっとしたい人には特におすすめできそうです。


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2017年02月24日

【この音とまれ!】マンガ 感想&あらすじ 筝の音に想いを乗せて部活に打ち込む高校生たちの青春ドラマ

ジャンプスクエア。2012年9月号より連載中。既刊13巻
作者:アミュー



あらすじ

時瀬高校筝曲部は3年生が卒業したことで、元々少なかった部員はついに倉田武蔵ひとりを残すのみになってしまった。

部の存続のため新入部員勧誘に励む武蔵だったが、入部希望者は一向に現れず、しかも廃部危機と合わせて大事な部室も不良たちに占領されているという最悪の状況だった。

そんな時、地元では不良として名の知れた新入生の久遠愛が部室に現れ、居座っていた不良たちを追い出すと、「俺、そーきょく部 入っから」と入部希望を出してきた。不良である彼を信用できなかった武蔵は入部希望を突き返すが、愛の箏への真剣な思いを汲み取って筝曲部へ受け入れる。

さらに、琴の名門の娘・鳳月さとわ、愛の友達3人組、武蔵の同級生も加わったことで、筝曲部の状況は一変することになる。
様々なトラブルに直面しながらも日々の練習や交流の中で絆を深めていく仲間たちは、琴の魅力に目覚めたことで熱意を持って取り組むようになり、ライバル校と競い合いながら高校全国1位という目標に向け突き進んでいく。


主要登場人物

・久遠 愛(くどお ちか)
主人公。時瀬高校1年生。愛称「チカ」。親に見捨てられたことが原因で地元でも有名な不良になってしまいましたが、箏職人の祖父・久遠源と一緒に暮らすうちに落ち着きを取り戻していきました。源の死をきっかけに、祖父が大切にしていたものを知りたいという理由から筝曲部へ入部。不良っぽい見た目とは裏腹にとても素直な性格で、子供のように無邪気に笑うこともあります。当初は素人同然の腕前でしたが、筝を学ぶことには積極的なため上達は早く、まれに聴く者の心を惹きつける音を奏でることもあります。現在は叔母・衣咲宅に居候。素人甘いものとおにぎりが好物。

・鳳月 さとわ(ほうづき さとわ)
ヒロイン。時瀬高校1年生。箏の名門である鳳月会家元の娘。容姿端麗の黒髪美人。箏に対する熱意は強く、腕前は天才的。元々母親とは良好な関係でしたが、夫の死後様々な要因で精神的に弱っていたことから母娘関係に亀裂が生じ、大会でのある出来事が原因で破門、以来絶縁状態になってしまいました。入部理由は将来プロデビューするにあたって「弱小校を全国に導いた」という箔をつけるため。傲岸不遜で指導も厳しい尖った性格をしていますが、筝曲部で過ごす内に雰囲気は柔らかくなり、当初の目的に関しても心境の変化が生じるようになります。

・倉田 武蔵(くらた たけぞう)
もう1人の主人公。時瀬高校2年生。筝曲部部長。真面目な性格をした努力家ですが、臆病で本番やプレッシャーに弱い面もあります。ですが、チカやさとわたち新入部員たちとの交流で精神的な弱さを克服しつつあります。誰にでも優しく包容力もあり、部員たちをよく見ていることから心の機微にも聡く、悩んでいる人を見つけると自然に寄り添い温かい言葉を与えてくれます。その反面、自分自身のことについては1人で抱え込みがち。先輩から受け継いだ部と代々伝わる曲を守るという強い意志を持っています。

・足立 実康(あだち さねやす)
チカの友人。時瀬高校1年生。愛称「サネ」。光太と通孝と一緒にチカのいる筝曲部へ入部しました。中学時代、不良にナイフで絡まれた際チカに助けられ、以来友情を感じるようになり、その時の借りもいつか返したいと思っています。当初は部の存続のために数合わせとして入部しましたが、箏の魅力に触れていく内に真面目に取り組むようになります。

・水原 光太(みずはら こうた)
チカの友人。時瀬高校1年生。愛称「コータ」。サネ等と一緒に当初は数合わせとして筝曲部へ入部し、チカに中学時代の借りを返すため演奏にも取り組むようになります。明るく人懐っこい性格。リズム取りが苦手で他の部員たちから遅れ出しますが、猛練習と周囲の助けによって克服。バストサイズを正確に当てる特殊能力の持ち主。

・堺 通孝(さかい みちたか)
チカの友人。時瀬高校1年生。愛称「みっつ」。小太り体型。サネやコータと一緒に当初は数合わせとして筝曲部へ入部し、チカに中学時代の借りを返すため演奏にも取り組むようになります。見た目から受ける印象通り食べることが好き。

・来栖 妃呂(くるす ひろ)
武蔵と同級生の女子高生。過去の出来事から人間関係そのものを信じておらず、暇つぶしと称して仲良さげの人達に近づいて関係を壊していました。箏曲部にも部内の関係を壊すため入部したが、何を画策しても絆を壊すことはできませんでした。本当はチカたちのような関係を羨んでおり、さとわの言葉と、壊そうとした自分すらも部員たちが受け入れてくれたことで改心しました。副部長として武蔵をサポートしていくうちに恋心を抱くようになります。

・滝浪 涼香(たきなみ すずか)
箏曲部顧問を務める男性教師。当初は名ばかりの顧問として全くやる気を見せず、全国大会出場という目標も「勘弁しろよ」と応援すらしようとしていませんでした。実は両親ともに世界的に有名な音楽家で、自身も天才的な作曲の才能を持っています。未熟ながらも本気で打ち込む部員達を見て徐々に感化され、顧問として、音楽の先輩として協力するようになります。



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感想・見所

部員がたったの1人しかいなかった高校の箏曲部に、箏職人の祖父を持つ不良や箏の名門の娘をはじめ、内に様々な葛藤を抱えた面々が集まり、トラブルに直面しながらも日々箏に励み成長するなかで、全国1位という高い目標を掲げ部員一丸となって邁進する姿を描いた物語。
「箏」に打ち込む高校生たちの部活青春ドラマ。2017年3月8日には「久遠」「天泣」「龍星群」など、劇中で演奏された曲を収録した『この音とまれ!』の楽曲CDが発売されるようです。

近年、メジャーからマイナーまで様々な文科系部活、伝統文化を題材に扱っている熱い青春漫画が次々に登場し、高い人気を集めるようになりましたね。漫画を通して様々な角度から、異なる視点から、多くの日本文化を見て知ることができるのは興味を持つ良い機会にもなり、そのなかで送られている青春の輝きがまた素晴らしい。ときには眩し過ぎて目を逸らしたくなる場合もありますけど・・・。
競技かるたの『ちはやふる』、書道の『とめはねっ! 鈴里高校書道部』、さらに盆栽を扱った『雨天の盆栽』という作品まで登場し、同じ伝統音楽では三味線を題材にした『ましろのおと』辺りが有名ですね。本作は箏に青春を燃やす高校生の姿を描いた作品ということで、先にタイトルを挙げた中でも『ちはやふる』が好きな人なら特に楽しめるのではないかと思います。

伝統文化とはいえ、一般の人にとってはあまり馴染みない「箏」というマイナージャンルを題材にした珍しい作品。マイナーとはいえ中身は正統派青春ストーリーの様相を見せ、全国1位を目指すスポ根的な熱い展開、恋に友情に悩む少女マンガらしさも伺え、登場人物1人1人の内面やバックボーンも巧みな表現で丁寧に描いています。

本作は久遠愛と倉田武蔵という2人の主人公を起用。不良として荒んだ生活を送っていたが、箏職人である祖父との暮らしで落ち着きと安らぎを得られた新入生の愛。中学3年のときに起きた事件と祖父の死を経験したことで、「祖父が大切にしていたものが何なのか知りたい」という理由から入部します。
武蔵はチカたちが入部するまではたった1人の部員として、周囲から「なでしこちゃん」なんて揶揄されながらも部を守ろうとしていました。
ストーリーは主にこの2人と、筝の名門・鳳月会の娘として天才的な演奏技術を持つが、家庭環境に問題を抱えているヒロインのさとわを中心に展開されます。メインは3人であることに違いありませんが、比較的多くの視点を介しているのも特徴。他部員のサネや来栖さんだけではなく、ライバル校の面々や親族関係者など、メインからサブまで多くのキャラにスポットを当てているため感情移入しやすく、視点が変わると見え方や印象も同様に変わるので面白い。

登場人物の内面・心理描写が巧み。ほとんどのキャラが内に多かれ少なかれ悩みや葛藤を抱えています。しかも、ほぼ例外なく不器用という特性も付き、思春期の少年少女からいい年した大人たちまで、悩みもがいてる場面は少なくありません。
しかし、これこそが青春モノの醍醐味でもありますからね。本音でぶつかり合うこと、相手のことを理解しようと努力すること、周囲の助けも受けながら、それぞれのキャラが絆を結び、感じ、深めていきます。
特に部として絆を深めて心をひとつに全国を目指す姿は羨ましいとも感じました。私は中学・高校・大学の部活やサークルは個人競技だったので、チカたちのように団体で力を合わせて勝利を目指すことに憧れがあります。クセの強い子たちばかり、しかも大多数が素人からスタート、一見纏まりようがないメンバーが皆同じ方向を向いて突き進む姿は眩しいですね。

もちろん筝での演奏表現も素晴らしく、読めば筝に興味を持つかもしれません。作者のアミューさんがもともとこの方面に明るい方で、母と姉が筝の奏者、ご本人も経験者ということから、劇中のオリジナル曲も実際に作曲したそうです。
漫画からだけでは耳で音を聞くことは当然叶いませんが、奏者と聴衆の表情や背景、コマ割によって巧みに表現され、その曲と共に感情も流れ込んでくるかのような気さえします。漫画では聞けないと書きましたが、本作は実際に耳で聞きながら読むことができます。楽曲CDも発売されるようですし、youtubeに「流星群」や「久遠」の楽曲がアップされていますので、それを聞きながらその場面を読めばまた違った印象を受けるかもしれません。

少年マンガ的な面白さ、少女マンガ的な面白さの2面を併せ持った作品でした。全国1位を目指す熱い展開、甘酸っぱさを感じさせてくれる展開、シリアスとコメディ部分など、バランス良く描かれているので終始飽きることなく読むことができます。ストーリー、絵、キャラクターどれをとっても爽やかで美しく、読後感も素晴らしい良作。
もちろん、筝に対してあまり知識を持っていなくても全く関係なく楽しむことができます。むしろ、演奏場面やくどくないわかり易い解説を見ると興味が湧いてきますね。
男性も女性も関係なく楽しめ、筝や音楽に興味のある方、学園青春モノが好きな方には特におすすめできる作品。よければ読んでみてください。



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posted by ハネ吉 at 19:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽

2017年02月22日

【ボールルームへようこそ】マンガ 感想&あらすじ 社交ダンスに魅入られた少年少女たちの美しくも熱い青春ストーリー

月刊少年マガジン。2011年12月号から連載中。既刊8巻
作者:竹内友



あらすじ

ダンス界最高峰の舞台「全英選手権」決勝、数多の出場者の中でひときわ大きな喝采を浴びる日本人選手がいた。その名は――。

将来の夢はなく、「好きだ!」と言えるものもなく、存在感すらない中学3年生の富士田多々良。変わりたいと思いながらも、何かすることもなく、志望校すら決まらず、毎日を無為に過ごしていた。

ある日の帰り道、運悪くカツアゲに遭遇したところ、謎のヘルメット男・仙石要に助けられ、そのままオープンしたばかりの社交ダンススタジオに連れてこられてしまう。
その場は逃げるようにスタジオを後にした多々良だったが、自宅で観た大会の映像に感銘を受け、ダメな自分を変えるため、競技ダンスの世界に足を踏み入れる。

様々なプロダンサーや同世代のダンサーたちと出会い、社交ダンスを知っていくにつれ、この世界にどんどんのめり込んでいった多々良は、次第にその才能を開花させていく。


主要登場人物

・富士田 多々良(ふじた たたら)
主人公。開始時は市立玉村中学校3年生、後に高校へ進学。将来の夢も趣味もなく、気弱な性格で頼りなく、存在感も薄かった少年。仙石との出会いがきっかけで社交ダンスを始めました。鋭い観察力と高い洞察力を持ち、一度目で見たダンスをすぐに覚えてしまう才能を発揮。高校進学してから千夏がパートナーになり、常に問題に直面しているという歪みを抱えながらも、ぶつかり合うことでカップルとして進化を遂げています。感情で踊るタイプのダンサー。

・花岡 雫(はなおか しずく)
多々良の中学での同級生。アマチュア選手。多々良の憧れの人。多々良と同い年ながら現アマチュアチャンピオンであり、既に実力はプロ級 。兵藤清春とは互いの祖父繋がりで5歳のときからパートナーを組んでいます。プロになることを目標にしており、将来は兵藤と一緒に海外留学を予定。

・仙石 要(せんごく かなめ)
現役のプロダンサー。パートナーは本郷千鶴。日本で唯一の世界レベルの選手。身長は190cmを超える日本人離れした体格。強引で荒っぽいSっ気のある性格。多々良が社交ダンスを始めるきっかけを作った人物です。アマ時代には10ダンスで世界ファイナリストにもなった実力者。

・兵藤 清春(ひょうどう きよはる)
多々良と同年代のアマチュアダンサー。雫のパートナーで現アマチュアチャンピオン。国内アマ試合ではほぼ敵なしの天才で。天才的な技術だけではなく、39度の熱を出していても、足を怪我した状態であろうと、周囲に気取られることなく踊り切るタフな精神力を持っています。

・緋山 千夏(ひやま ちなつ)
多々良の高校でのクラスメイトで競技ダンスのパートナー。気が強くひねくれた性格。多々良が社交ダンスをやってることに対して「だっさ」と吐き捨てていましたが、実は経験者でダンス好き。ただ、中学では女同士のカップルでリード(男)役を務めていたことから、フォロー(女)は苦手。相性の悪い多々良とは度々衝突していますが、自分と本気で向き合ってるくれる多々良とのカップルがラストチャンスとも考えています。



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感想・見所

夢も目標も何ひとつ持っていなかった少年が、自分を変えるために競技ダンスの世界に飛び込み、自身のパートナーと共にライバルたちと競い合う中で、秘めた才能を開花させていき、世界最高峰の舞台へ駆け上がっていく物語。
「社交ダンス・競技ダンス」をテーマにしたダンススポーツ青春漫画。まずはとりあえず、連載再開に感謝感謝。確か2015年11号あたりから長期休載に入り、このまま打ち切りもありえるかと心配してたんですが、2017年2月号でめでたく連載再開されましたね。体調不良と療養のためだったことも明らかになり、回復されたようでなによりです。
2017年夏にアニメ放送も開始されるとのことですが、この件に関しては期待3割、不安7割といった感じ。正直、この作品をアニメで映像化するのは厳しいのではないかと思っています。アニメーターの方々、過酷そうですけど大丈夫なんでしょうか・・・。

ダンスを扱った作品というのはそれほど多く読んでるわけではありませんが、最近は今回紹介させていただく『ボールルームへようこそ』だけでなく、週刊少年ジャンプさんからも『背すじをピン! と〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜』という面白い作品も出てましたね。どちらも面白いですけど『背すじをピン! と〜』の方がキャラデザも演出も少年漫画的な作風なので、若干読者年齢層も下がるのではないかと。
あと他に思い浮かぶのは、ガッツリダンスというわけではないけど『鉄楽レトラ』なんかも個人的に結構好きです。思春期の心理描写とフラメンコを上手く絡ませた良作でしたね。

ちなみに、私自身は社交ダンス、競技ダンスに限らず、今までの人生の中でほぼダンス経験はありません。なので楽しめるかどうかにダンス経験はあまり関係ないと思います。
社交ダンスというと、お上品で優雅、スローなテンポで楽しむ大人の趣味というイメージを持っていましたが、本作ではダンス技術を競い合う大会をメインにしているため、華やかではあっても登場人物たちの熱量が凄まじい作品。

「競技ダンス」という珍しいテーマを扱っていても作品内容自体に難しいことはなく、展開はシンプルで王道的なスポ根。物語開始時点では何の取り柄もなければ魅力も感じられないいじめられっ子の少年が、ひょんなことから今まで全く馴染みのなかった世界に足を踏み入れたことで、隠された才能を開花させていくというわかり易い展開。
ありがちではあるけど「スポーツもの」は王道だからこそ面白いところがあるジャンルだと思ってます。もちろんシンプルだからこその難しさもあるわけですが、この作品は主人公の成長段階、心理描写も丁寧に描き出し、パートナー関係、ライバル関係などの熱く少し複雑な人間関係を上手く絡めることでシンプルなストーリーにも深みが増し、読み進むにつれ読者を作品世界に引き込ませる力を持った凄味があります。

絵の上手さ、ダンス描写の見せ方、これに関しては文句のつけようがなく、見ていて痺れてしまうほど素晴らしかったです。上述でも述べましたけど熱量が他作品とは段違い。激しく、荒々しく、かと思えば優雅に、汗がほとばしり、躍動感も力強さも美しさも見事に表現され、踊れば踊れるほど熱量は増していきます。しなやかな女性の美しさ、力強い男性の逞しさ、両者の特徴がリードとフォローの関係によって一層際立って見えました。
普段の姿と綺麗に着飾った姿、そして競技中の姿、それぞれ全く異なる姿や表情をみせるギャップにやられそうになりますね。多々良は普段だいぶ抜けてる少し頼りない感じの少年ですが、衣装に袖を通した姿は凛々しく、舞台に上がれば感情剥き出す別人のようになりますね。
そして、なんといっても女性陣の美しさ、目を奪われるというのはこういうことを言うんだなと思い知らされた気分。いや、もう心まで奪われたかも。美しかったり、可愛かったり、艶やかだったりと、1人1人が場所やテーマを変えるごとに様々な表情を見せ、ちょっとした影響を受けることで印象をガラリと変えます。この女性陣の変身は卑怯なほど魅力的で、ものの見事にハートを鷲掴みされてしまいました。

ダンス描写だけではなく、登場人物たちの成長・変化・進化もこの作品の醍醐味ですね。新たな出会いによって多々良たちの成長は促され、成長は変化を生み出し、それを積み重ねることで進化を遂げていきます。
多々良がライバルやパートナーから影響を受けるだけではなく、多々良がその人たちに影響を与えることもあり、登場人物たちが互いに刺激を与え合い、異なるキャラ同士のぶつかり合いは時に化学反応をも生み出すことがあります。それらを生み出す人間関係もこの作品の注目ポイントですね。

ダンス漫画として、青春漫画として、最高に面白い漫画です。分かりやすくも引き込まれるストーリー、個性豊かなキャラクター、高い画力が生み出す目を釘付けにさせられるダンスバトル、全体的にとてもクオリティの高い作品だと思います。人気スポールである「野球」や「サッカー」をテーマにした作品にも負けない熱さがあり、それに加えて美しさも兼ね合わせています。
この作品を読んでるとダンスがカッコイイ、楽しそうと思わせてくれるので、もしかしたら踊り出したくなるかもしれません。部屋で踊りだして足をぶつけないように注意しましょう。社交ダンスに興味を持つきっかけにもなりえますね。
個人的に強くおすすめしたい作品、よければ読んでみてください。



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ハネ吉
とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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