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2017年02月22日

【ボールルームへようこそ】マンガ 感想&あらすじ 社交ダンスに魅入られた少年少女たちの美しくも熱い青春ストーリー

月刊少年マガジン。2011年12月号から連載中。既刊8巻
作者:竹内友



あらすじ

ダンス界最高峰の舞台「全英選手権」決勝、数多の出場者の中でひときわ大きな喝采を浴びる日本人選手がいた。その名は――。

将来の夢はなく、「好きだ!」と言えるものもなく、存在感すらない中学3年生の富士田多々良。変わりたいと思いながらも、何かすることもなく、志望校すら決まらず、毎日を無為に過ごしていた。

ある日の帰り道、運悪くカツアゲに遭遇したところ、謎のヘルメット男・仙石要に助けられ、そのままオープンしたばかりの社交ダンススタジオに連れてこられてしまう。
その場は逃げるようにスタジオを後にした多々良だったが、自宅で観た大会の映像に感銘を受け、ダメな自分を変えるため、競技ダンスの世界に足を踏み入れる。

様々なプロダンサーや同世代のダンサーたちと出会い、社交ダンスを知っていくにつれ、この世界にどんどんのめり込んでいった多々良は、次第にその才能を開花させていく。


主要登場人物

・富士田 多々良(ふじた たたら)
主人公。開始時は市立玉村中学校3年生、後に高校へ進学。将来の夢も趣味もなく、気弱な性格で頼りなく、存在感も薄かった少年。仙石との出会いがきっかけで社交ダンスを始めました。鋭い観察力と高い洞察力を持ち、一度目で見たダンスをすぐに覚えてしまう才能を発揮。高校進学してから千夏がパートナーになり、常に問題に直面しているという歪みを抱えながらも、ぶつかり合うことでカップルとして進化を遂げています。感情で踊るタイプのダンサー。

・花岡 雫(はなおか しずく)
多々良の中学での同級生。アマチュア選手。多々良の憧れの人。多々良と同い年ながら現アマチュアチャンピオンであり、既に実力はプロ級 。兵藤清春とは互いの祖父繋がりで5歳のときからパートナーを組んでいます。プロになることを目標にしており、将来は兵藤と一緒に海外留学を予定。

・仙石 要(せんごく かなめ)
現役のプロダンサー。パートナーは本郷千鶴。日本で唯一の世界レベルの選手。身長は190cmを超える日本人離れした体格。強引で荒っぽいSっ気のある性格。多々良が社交ダンスを始めるきっかけを作った人物です。アマ時代には10ダンスで世界ファイナリストにもなった実力者。

・兵藤 清春(ひょうどう きよはる)
多々良と同年代のアマチュアダンサー。雫のパートナーで現アマチュアチャンピオン。国内アマ試合ではほぼ敵なしの天才で。天才的な技術だけではなく、39度の熱を出していても、足を怪我した状態であろうと、周囲に気取られることなく踊り切るタフな精神力を持っています。

・緋山 千夏(ひやま ちなつ)
多々良の高校でのクラスメイトで競技ダンスのパートナー。気が強くひねくれた性格。多々良が社交ダンスをやってることに対して「だっさ」と吐き捨てていましたが、実は経験者でダンス好き。ただ、中学では女同士のカップルでリード(男)役を務めていたことから、フォロー(女)は苦手。相性の悪い多々良とは度々衝突していますが、自分と本気で向き合ってるくれる多々良とのカップルがラストチャンスとも考えています。



【eBookJapan】 ボールルームへようこそ 登録不要で試し読みできます


感想・見所

夢も目標も何ひとつ持っていなかった少年が、自分を変えるために競技ダンスの世界に飛び込み、自身のパートナーと共にライバルたちと競い合う中で、秘めた才能を開花させていき、世界最高峰の舞台へ駆け上がっていく物語。
「社交ダンス・競技ダンス」をテーマにしたダンススポーツ青春漫画。まずはとりあえず、連載再開に感謝感謝。確か2015年11号あたりから長期休載に入り、このまま打ち切りもありえるかと心配してたんですが、2017年2月号でめでたく連載再開されましたね。体調不良と療養のためだったことも明らかになり、回復されたようでなによりです。
2017年夏にアニメ放送も開始されるとのことですが、この件に関しては期待3割、不安7割といった感じ。正直、この作品をアニメで映像化するのは厳しいのではないかと思っています。アニメーターの方々、過酷そうですけど大丈夫なんでしょうか・・・。

ダンスを扱った作品というのはそれほど多く読んでるわけではありませんが、最近は今回紹介させていただく『ボールルームへようこそ』だけでなく、週刊少年ジャンプさんからも『背すじをピン! と〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜』という面白い作品も出てましたね。どちらも面白いですけど『背すじをピン! と〜』の方がキャラデザも演出も少年漫画的な作風なので、若干読者年齢層も下がるのではないかと。
あと他に思い浮かぶのは、ガッツリダンスというわけではないけど『鉄楽レトラ』なんかも個人的に結構好きです。思春期の心理描写とフラメンコを上手く絡ませた良作でしたね。

ちなみに、私自身は社交ダンス、競技ダンスに限らず、今までの人生の中でほぼダンス経験はありません。なので楽しめるかどうかにダンス経験はあまり関係ないと思います。
社交ダンスというと、お上品で優雅、スローなテンポで楽しむ大人の趣味というイメージを持っていましたが、本作ではダンス技術を競い合う大会をメインにしているため、華やかではあっても登場人物たちの熱量が凄まじい作品。

「競技ダンス」という珍しいテーマを扱っていても作品内容自体に難しいことはなく、展開はシンプルで王道的なスポ根。物語開始時点では何の取り柄もなければ魅力も感じられないいじめられっ子の少年が、ひょんなことから今まで全く馴染みのなかった世界に足を踏み入れたことで、隠された才能を開花させていくというわかり易い展開。
ありがちではあるけど「スポーツもの」は王道だからこそ面白いところがあるジャンルだと思ってます。もちろんシンプルだからこその難しさもあるわけですが、この作品は主人公の成長段階、心理描写も丁寧に描き出し、パートナー関係、ライバル関係などの熱く少し複雑な人間関係を上手く絡めることでシンプルなストーリーにも深みが増し、読み進むにつれ読者を作品世界に引き込ませる力を持った凄味があります。

絵の上手さ、ダンス描写の見せ方、これに関しては文句のつけようがなく、見ていて痺れてしまうほど素晴らしかったです。上述でも述べましたけど熱量が他作品とは段違い。激しく、荒々しく、かと思えば優雅に、汗がほとばしり、躍動感も力強さも美しさも見事に表現され、踊れば踊れるほど熱量は増していきます。しなやかな女性の美しさ、力強い男性の逞しさ、両者の特徴がリードとフォローの関係によって一層際立って見えました。
普段の姿と綺麗に着飾った姿、そして競技中の姿、それぞれ全く異なる姿や表情をみせるギャップにやられそうになりますね。多々良は普段だいぶ抜けてる少し頼りない感じの少年ですが、衣装に袖を通した姿は凛々しく、舞台に上がれば感情剥き出す別人のようになりますね。
そして、なんといっても女性陣の美しさ、目を奪われるというのはこういうことを言うんだなと思い知らされた気分。いや、もう心まで奪われたかも。美しかったり、可愛かったり、艶やかだったりと、1人1人が場所やテーマを変えるごとに様々な表情を見せ、ちょっとした影響を受けることで印象をガラリと変えます。この女性陣の変身は卑怯なほど魅力的で、ものの見事にハートを鷲掴みされてしまいました。

ダンス描写だけではなく、登場人物たちの成長・変化・進化もこの作品の醍醐味ですね。新たな出会いによって多々良たちの成長は促され、成長は変化を生み出し、それを積み重ねることで進化を遂げていきます。
多々良がライバルやパートナーから影響を受けるだけではなく、多々良がその人たちに影響を与えることもあり、登場人物たちが互いに刺激を与え合い、異なるキャラ同士のぶつかり合いは時に化学反応をも生み出すことがあります。それらを生み出す人間関係もこの作品の注目ポイントですね。

ダンス漫画として、青春漫画として、最高に面白い漫画です。分かりやすくも引き込まれるストーリー、個性豊かなキャラクター、高い画力が生み出す目を釘付けにさせられるダンスバトル、全体的にとてもクオリティの高い作品だと思います。人気スポールである「野球」や「サッカー」をテーマにした作品にも負けない熱さがあり、それに加えて美しさも兼ね合わせています。
この作品を読んでるとダンスがカッコイイ、楽しそうと思わせてくれるので、もしかしたら踊り出したくなるかもしれません。部屋で踊りだして足をぶつけないように注意しましょう。社交ダンスに興味を持つきっかけにもなりえますね。
個人的に強くおすすめしたい作品、よければ読んでみてください。



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ハネ吉
とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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