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2017年05月31日

【アオアシ】マンガ 感想&あらすじ クラブユースを舞台にプロを目指す少年たちの熱き闘いを描いたサッカー漫画

ビッグコミックスピリッツ。2015年6号から連載中。既刊9巻
作者:小林有吾



あらすじ

愛媛にある公立中学でサッカーをしているFWの青井葦人(あおい あしと)。中学最後の大会で大活躍を見せるも、敵の挑発に乗ってしまったことで退場処分となり、チームも四国大会を目前に敗退し、決まりかけていた高校への推薦も頓挫してしまった。

しかし、そんなアシトがJリーグクラブ「東京シティ・エスペリオン」のユース監督・福田達也(ふくだ たつや)の目に止まり、東京で開かれるユースのセレクションへの参加を勧められる。

家庭に金銭的な余裕がないことや、中学で一緒にプレイしたチームメイトのことで思い悩むアシトだったが、兄に背中を押されたことで決意を固め、セレクションに挑戦するため東京へ向かった。

今まで独りよがりなプレーしかして来なかったアシトだったが、この福田との出会いによって、そしてユースセレクションへの挑戦によって、彼のサッカーに対する姿勢は大きく変わり出し、少年の運命はここから急速に回り出していくことになる。

登場人物

・青井 葦人(あおい あしと)
主人公。東京シティ・エスペリオンユース所属のユース生。ポジション:FW→DF(サイドバック)。愛媛県出身。
短気だけどまっすぐな性格で情も深く、家族や仲間想いの少年。中学では地元にある公立中学のサッカー部でプレイし、高校へは推薦枠での進学を目指していましたが、試合中に騒動を起したことで取り消し。その後、Jリーグクラブ「東京シティ・エスペリオン」のユース監督・福田に才能を見出され、勧められたユースセレクションに見事合格し、中学卒業を前に単身上京。プロになってお金を稼いで母ちゃんに楽をさせることがひとつの目標。
ちゃんとした指導を受けていないため技術も知識もまだ拙く、特に連携・チームプレーは苦手。だが、コート全体の動きを把握する類い稀な俯瞰力を持ち、仲間や監督・コーチの助言を受けながら様々なプレーを身につけ、元々高かった才能を開かせています。後にFWからDFのサイドバックにポジション変更。

・福田 達也(ふくだ たつや)
「東京シティ・エスペリオンFC」のユースチーム監督。34歳独身。元・日本代表MF。
東京のサッカー名門校を経て、J1の東京シティエスペリオンへ入団(18歳)し、各年代の代表にも招集。23歳にはスペイン1部のSCバルサで活躍を見せるも、シーズン最終戦で負った大怪我によって思うようにプレイできなくなり、その後はマイナーチームを転々として引退。
墓参りで帰郷した際に出会ったアシトの才能を見出し、自身が監督を務めユースチームの入団セレクションへ勧誘しました。育成という分野では一線級の評価を得ている指導者。世界を見据えた大きな野望を抱いています。

・一条 花(いちじょう はな)
福田の義理の妹。登場時はアシトと同じ中学3年生。
福田のことは「兄ィ(アニィ)」と呼んでいます。まだ中学生ですが、ボランティアでユースチームの手伝いをすることもあります。入団試験でアシトのプレーと想いに触れて興味を持ち、それ以降はサポートや助言を与えて応援し、自分が世界で最初の彼のファンだと公言しています。アシトを応援するのは憧れていた福田とアシトが似てるから。

・大友 栄作(おおとも えいさく)
東京シティ・エスペリオンユース所属のユース生。浅草大丸中学出身。
小心者で緊張すると胃に来るタイプですが、試合とそれ以外では態度が異なり、試合になると落ち着きと集中力を取り戻します。試合内外で周囲をよく観察していて、的確な判断力も下せ、ここぞという場面で活躍を見せる抜け目のない選手。要所で良い動きを見せることが多く、普段から観察していることで他選手の動きからその意図を読み取ることもでき、コーチ陣からの評価は高い。橘と一緒にアシトの練習に付き合ってくれることもよくあります。

・橘 総一郎(たちばな そういちろう)
東京シティ・エスペリオンユース所属のユース生。横山武蔵野蹴球団ジュニアユース出身。ポジション:FW。
出身の所属チームからユース昇格の話を受けるも、競争心が薄れて成長が止まっていることに危機感を覚えて断り、エスペリオンのセレクションを受けて合格。アシトが受けたセレクションは彼を獲るかどうかを決めるものと噂されるほどの実力者。仲間思いではありますが、自分のことになると1人で抱え込むタイプの人間で、ゴールをなかなかとれないことやかつてのチームのことで思い悩んでいました。

・冨樫 慶司(とがし けいじ)
東京シティ・エスペリオンユース所属のユース生。唯一のスカウト生。ポジション:MF(サイドハーフ)/DF(サイドバック)。
元暴走族の少年で、チームと縁を切ることを条件に入団。自己流で道を切り開いてきたタイプの選手。ジュニアユース上がりと違って型にハマらない動きをしますが、粗くても理にはかなっていて、しっかりとした基礎技術と非常に強いフィジカルを持つ。アカデミー育ちをヌルいと揶揄し、彼らのサッカーに対する姿勢をくだらないと吐き捨てています。
粗野な態度であまり馴れ合うことをしませんが、助言を与えたりアシトの練習に付き合ってくれる面倒見の良い一面も見せています。

・青井 紀子 (あおい のりこ)/青井 瞬 (あおい しゅん)
アシトの家族。紀子は女手ひとつで2人の子供を育ててきた母親。当初はセレクションへの挑戦に反対し、ユースチームへ入団することにも「サッカーにあんたを取られるみたいや」と複雑な思いを抱いていましたが、現在ではプロを目指すアシトを応援しています。
瞬は穏やかで優しい家族想いの兄。入団セレクションに誘われて悩んでいたアシトの背中を押し、余裕がない中で資金を工面してアシトに渡しました。


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感想・見所

愛媛で生まれ育った真っ直ぐな性格のサッカー少年が、東京に本拠地を構える強豪Jクラブのユースチームに入団し、監督・コーチ陣による指導の下でたゆまぬ努力を続けて様々なプレーを身に付け、後に日本サッカー界に革命をもたらす類い稀な才能とセンスを開花させていく様を描いた物語。
Jリーグクラブのユースチーム(高校生)にスポットを当てたサッカー漫画。2017年「マンガ大賞」において第4位を受賞した話題作。
作者は愛媛県出身の漫画家・小林有吾(こばやし ゆうご)さん。原案・取材協力にはスポーツライターで漫画原作者の上野直彦(うえの なおひこ)さん。

世界中に多くのファンを持つ『キャプテン翼』をはじめ、現在までに数多くのサッカー漫画が誕生してきました。特に近年ではその種類も方向性も多岐に及び、色々な楽しみ方が出来るようになったのはサッカーファンである私にとっては嬉しい限りです。
監督を主人公に据えた『GIANT KILLING(ジャイアント・キリング)』、独特のサッカー理論と視点で描かれた『フットボールネーション』、サポーターにスポットを当てた『サポルト! 木更津女子サポ応援記』、他にも女子サッカーや伝記モノ、将棋とコラボしたサッカー漫画まであります。このように多様化したことで楽しみ方も人それぞれになりましたが、だからこそ王道の面白さもまた引き立っているのだと思います。
今回紹介させていただく漫画は『アオアシ』。現在連載されてるサッカー漫画のなかでは個人的に『BE BLUES!〜青になれ〜』と並んで特にお気に入りの作品で、王道でありながら他とは異なるスポットの当て方をされています。

Jリーグのクラブユースを舞台にした異色でありながら正統派のサッカー漫画

サッカーを題材にした漫画は広く多様化されてはいても、やはり高校サッカーとプロサッカーを舞台にした作品が比較的多いわけですが、この作品はそのどちらでもないJリーグのクラブユースを舞台にした珍しい作品
内容は、クラブユースの内情に切り込むという珍しさを覗かせながら、入団した主人公をはじめとしたサッカー少年たちの成長を描いていくという王道であり正統派のサッカー漫画になってます。
ありそうですけど実はあまり扱われることのない題材だったりします。ユースとはJリーグクラブが持つ高校生年代の育成組織のこと。高校生が「ユース」、中学生が「ジュニアユース」、小学生が「ジュニア」です。
当然ながらチームには各地のエース級が集い、試合・大会で勝つという目標の向こうにプロを見据えている少年達ばかりなので、高校の強豪校を舞台にした作品もありますが、やはりユースにいる選手たちの意識はそれとは異なります。
ただ、優秀だろうと彼らがまだ未熟な子供であることも変わりなく、様々なことに思い悩む姿も多く描かれています。多くの悩みや葛藤を抱えながら、仲間たちと競い高め合い、ときには励ましあいながら成長していく少年たちの熱い漫画です。

物語が進むにつれ魅力を高めていく真っ直ぐな主人公

主人公に魅力があるかどうかはどんな作品でも重要な要素。この作品の主人公・青井葦人(あおい あしと)は、ちょっと変わった髪形してますけど熱い心と素直さを持つサッカーを愛する少年。
正直最初の頃は嫌いでもなければ好きでもないぐらいの主人公でした。しかし、その姿を見続けてる内にいつの間にか応援してる自分がいて、彼の不屈の精神と純粋さに強く引かれていましたね。
まだ技術も知識も拙いので足を引っ張ることも多く、周囲のことを考えない独りよがりのスタンドプレーに走ってしまうこともありますが、自分の未熟さと間違いに対しての指摘はしっかり受け止める素直さがあり、それを克服しようと人の何倍も練習に打ち込む負けん気の強さもあります。
素直である上に貪欲なので成長スピードは早く、これまでの自分を否定されるような決定を下されても折れない不屈の精神は熱くされること必至ですね。元々俯瞰して全体を把握できるという羨ましい視野の広さを持っていることから、彼の今後の成長が楽しみでなりません。また、家族想いなところも彼の大きな魅力。

派手な技なんて必要ない。組織と技術理論で魅せる近代サッカー

この作品には派手でありえないサッカー演出はありません。当然人を吹き飛ばしてゴールネットを突き破るような必殺シュートも皆無です。
選手の動きやボールコントロール、戦術においても現実的で、大切なポイントはしっかり抑えて見所も十分あり、サッカーにおいて本当に必要なことが書かれているので読めば知識を深めることもできます。
近代サッカーの傾向もしっかり作中のサッカー描写に反映されていて、アシトの突然のポジション変更は衝撃展開でしたが、あれも現代の流れを考えると案外納得の采配。むしろ、あの重要なポジションへの変更は他にない面白さがあるかと。
あと、テレビ中継なんかで試合を観てると、地味に思えるようなプレーや、フリーの選手がいるのにパスを出さなかったり、スペースが空いてるのに使わなかったりと、首を傾げるようなことも多々あるでしょうが、どうしてそんな動きをしているのかも読めば分かると思います。

最後に

そんなこんなで、異色とも正統派とも捉えられるサッカー漫画『アオアシ』でした。主人公・アシトを中心に、プロを目指すサッカー少年たちの熱き戦いと成長が描かれています。
画力が高い漫画家さんなので試合風景は迫力があり、丁寧な描写で動きも分かりやすいです。主人公を筆頭に登場するキャラクターたちは個性派揃いで面白く、サッカーだけではなくそこにある人間ドラマもあるので見所は多く用意されていました。
戦術や技術でサッカー用語が出てきますが、解りやすく解説もされているのでサッカー初心者にも優しい内容ですので、サッカー好きだけではなく、それほど詳しくない人でも楽しめると思います。
面白いのでよければ読んでみてください。自信を持って強くおすすめさせていただきます。



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ハネ吉
とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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