2016年08月19日
【あさひなぐ】マンガ 感想&あらすじ 薙刀に情熱を燃やした少女たちの青春の日々を描いた物語
ビッグコミックスピリッツ。2011年8号から連載中。既刊23巻
著者:こざき亜衣
高校1年という新たな門出を期に、今までとはひと味もふた味も違う自分になる予定の女の子・東島旭(とうじま あさひ)。しかし、その想いとは裏腹に、降り掛かってきたイレギュラーにも対処できず、気合も空回りしてしまう有様。
部活動紹介で薙刀部のパフォーマンスを笑ってしまった旭は、先輩の犯人捜しが始まると、バカ正直に名乗り出てしまい、同じように名乗り出た同級生の2人と一緒に呼び出されてしまう。この一連のやりとりが勧誘の為の罠だとも気づかず、部を訪れた旭は先輩たちの甘い言葉に乗せられ、薙刀部への入部を決める。
「強い女」になりたい旭は、それを体現する憧れの真春先輩を目標に、仲間やライバルたちと切磋琢磨し、日々薙刀に励んでいく。
・東島 旭
主人公。開始当初は二ツ坂の1年生。小柄で運動音痴、メガネがトレードマークの女の子。ドジで気は弱いけど根性は人並み以上に持っており、強い女に憧れを持っています。調子に乗って失敗することもしばしば。
・宮路 真春
旭の1つ上の先輩。部内一の実力者で二ツ坂のエースです。他校にも名が知られており、薙刀界ではちょっとした有名人。容姿端麗ではあるけど口が悪く手が出やすい人です。面倒見は意外と良かったりもします。
・一堂 寧々
國陵高校薙刀部の1年生。真春のことをライバル視していますが、旭のことも強く意識するようになります。馴れ合うことを嫌い、人付き合いも苦手のようで、部内でも孤立気味です。
・二ツ坂高校薙刀部
旭と同級生の剣道経験者であり、見た目言動はヤンキー風の八十村将子。
同じく同級生の背が高く、裕福、かなり腹黒い紺野さくら。
お洒落れで可愛いのにあまり目立たない二ツ坂の部長・野上えり。
旭の先輩で太ってるけど機敏な動きをする大倉文乃。
旭たちが進級してからできた新1年生の後輩、愛知薙、等々力香代子、大工原唯。
薙刀部の監督でモテるために薙刀から離れていた福留やす子。たいして役に立たない顧問の小林先生。
【eBookJapan】あさひなぐ 無料で立ち読みできます
二ツ坂高校薙刀部を舞台に、今までの弱い自分を変えようと1歩踏み出した主人公と、個性豊かな仲間たちの、薙刀を通して成長する姿と、勝利を目指して奮闘していく様を描いた熱血青春物語。
『ちはやふる』の競技かるたと同様、最近増えてきたマイナー競技を題材とし、情熱を注ぐ少女たちの姿を描いた作品。この作品では男性より女性競技者人口が多く、マイナー競技の中でもさらにマイナーに分類されそうな薙刀を扱っています。
主人公の成長が丁寧に描かれていました。旭は主人公ではあっても特別な才能はこれといってない女の子です。なので『弱虫ペダル』のように主人公がいきなり才能を開花させて強くなるなんていう展開にはなりません。
競技人口が少ないので、アメリカンドリームのような夢を抱いて(先輩に騙されて)始めたのですが、最初は技術や体力以前に精神的な脆さが目立ってましたね。ただ、意外と根性だけはあり、加えて持ち前のバカ正直さと素直さもあるので、誰よりもひたむきに練習を続け、少しずつですけど確実に堅実に成長しています。
自分のダメなところも自覚して正面から向き合い、嫌味もないので素直に応援したくなる主人公。旭を見てると、人が持つ最も尊い才能というのは、努力し続けられることなのではないかと思えてきます。
他の面々も個性溢れるキャラクターばかり。むしろ、こと個性という面に関しては、主人公より強烈な人がほとんどでしたね。
エースの真春を筆頭に、ヤンキー、機敏なぽっちゃり、腹黒、サングラスかけた尼さんなど、登場人物は多くても、個性がしっかり立っているキャラばかりなので記憶に残りやすく、さらに脇を固めてるサブキャラが一層この作品を盛り上げてくれます。
この登場人物たちが織り成す人間ドラマがこれまた熱い。チームメイトとの絆と信頼関係を築いていく描写はとくに良かったです。1学年違うだけで考え方や意識の持ち方はかなり異なります。めんどくさくて不器用な人達ばかりですけど、互いのことを理解し合いながら、同級生と、先輩と後輩とも、ゆっくり良い関係を築いていきます。
特に同級生の旭と八十村の話はよかったです。応援はしていてもどこか下に見ていた相手の成長を認め、仲間として、ライバルとして絆を深めた展開は感動モノでした。
仲間だけではなく、他校のライバルたちとの関係も熱くて面白かったです。まだ実力が伴っていなかった時期、多少なりとも鍛えられて自信がついてきた時期、それによって相手の見据え方が変わってくるんですよね。その辺りの個々の変化も丁寧に描かれていたのは良かったです。このような人間ドラマがコートの内外で繰り広げられてます。
試合シーンも緊張感と迫力があって見応え十分。スポーツモノでありがちな、1試合に1巻丸ごと使ったり、過剰なほど多くのページを用いることはありません。あのような手法を使った作品も細やかな部分まで描写できるので面白いのですが、下手すると中だるみして読者をうんざりさせてしまう恐れがあります。本作は一瞬で決着がつく競技性からかもしれませんが、緊張感を損なうことなく、テンポよく試合が次々と展開されていきます。
これぞ青春漫画といった作品。汗臭く、泥臭くありながらも、その姿はとても美しく見え、爽やかな気分にもさせてもらえます。インパクトが強烈なキャラクターばかりで飽きることはなく、そんなキャラが織り成す人間ドラマは見る者の心を熱く昂らせ、ときには感動で涙が出そうにもなります。
スポーツ漫画でありがちな試合が間延びしてしまうこともなく、特に必要を感じない要素を無理矢理ぶち込んでくることもなく、巧みな見せ方によって瞬間の緊張感を表現した試合を見ることができます。
今どきここまで純な熱血青春作品にはなかなかお目にかかれないので、よければ読んでみてください。強くおすすめさせていただきます。
著者:こざき亜衣
あらすじ・概要
高校1年という新たな門出を期に、今までとはひと味もふた味も違う自分になる予定の女の子・東島旭(とうじま あさひ)。しかし、その想いとは裏腹に、降り掛かってきたイレギュラーにも対処できず、気合も空回りしてしまう有様。
部活動紹介で薙刀部のパフォーマンスを笑ってしまった旭は、先輩の犯人捜しが始まると、バカ正直に名乗り出てしまい、同じように名乗り出た同級生の2人と一緒に呼び出されてしまう。この一連のやりとりが勧誘の為の罠だとも気づかず、部を訪れた旭は先輩たちの甘い言葉に乗せられ、薙刀部への入部を決める。
「強い女」になりたい旭は、それを体現する憧れの真春先輩を目標に、仲間やライバルたちと切磋琢磨し、日々薙刀に励んでいく。
主要登場人物
・東島 旭
主人公。開始当初は二ツ坂の1年生。小柄で運動音痴、メガネがトレードマークの女の子。ドジで気は弱いけど根性は人並み以上に持っており、強い女に憧れを持っています。調子に乗って失敗することもしばしば。
・宮路 真春
旭の1つ上の先輩。部内一の実力者で二ツ坂のエースです。他校にも名が知られており、薙刀界ではちょっとした有名人。容姿端麗ではあるけど口が悪く手が出やすい人です。面倒見は意外と良かったりもします。
・一堂 寧々
國陵高校薙刀部の1年生。真春のことをライバル視していますが、旭のことも強く意識するようになります。馴れ合うことを嫌い、人付き合いも苦手のようで、部内でも孤立気味です。
・二ツ坂高校薙刀部
旭と同級生の剣道経験者であり、見た目言動はヤンキー風の八十村将子。
同じく同級生の背が高く、裕福、かなり腹黒い紺野さくら。
お洒落れで可愛いのにあまり目立たない二ツ坂の部長・野上えり。
旭の先輩で太ってるけど機敏な動きをする大倉文乃。
旭たちが進級してからできた新1年生の後輩、愛知薙、等々力香代子、大工原唯。
薙刀部の監督でモテるために薙刀から離れていた福留やす子。たいして役に立たない顧問の小林先生。
【eBookJapan】あさひなぐ 無料で立ち読みできます
感想
二ツ坂高校薙刀部を舞台に、今までの弱い自分を変えようと1歩踏み出した主人公と、個性豊かな仲間たちの、薙刀を通して成長する姿と、勝利を目指して奮闘していく様を描いた熱血青春物語。
『ちはやふる』の競技かるたと同様、最近増えてきたマイナー競技を題材とし、情熱を注ぐ少女たちの姿を描いた作品。この作品では男性より女性競技者人口が多く、マイナー競技の中でもさらにマイナーに分類されそうな薙刀を扱っています。
主人公の成長が丁寧に描かれていました。旭は主人公ではあっても特別な才能はこれといってない女の子です。なので『弱虫ペダル』のように主人公がいきなり才能を開花させて強くなるなんていう展開にはなりません。
競技人口が少ないので、アメリカンドリームのような夢を抱いて(先輩に騙されて)始めたのですが、最初は技術や体力以前に精神的な脆さが目立ってましたね。ただ、意外と根性だけはあり、加えて持ち前のバカ正直さと素直さもあるので、誰よりもひたむきに練習を続け、少しずつですけど確実に堅実に成長しています。
自分のダメなところも自覚して正面から向き合い、嫌味もないので素直に応援したくなる主人公。旭を見てると、人が持つ最も尊い才能というのは、努力し続けられることなのではないかと思えてきます。
他の面々も個性溢れるキャラクターばかり。むしろ、こと個性という面に関しては、主人公より強烈な人がほとんどでしたね。
エースの真春を筆頭に、ヤンキー、機敏なぽっちゃり、腹黒、サングラスかけた尼さんなど、登場人物は多くても、個性がしっかり立っているキャラばかりなので記憶に残りやすく、さらに脇を固めてるサブキャラが一層この作品を盛り上げてくれます。
この登場人物たちが織り成す人間ドラマがこれまた熱い。チームメイトとの絆と信頼関係を築いていく描写はとくに良かったです。1学年違うだけで考え方や意識の持ち方はかなり異なります。めんどくさくて不器用な人達ばかりですけど、互いのことを理解し合いながら、同級生と、先輩と後輩とも、ゆっくり良い関係を築いていきます。
特に同級生の旭と八十村の話はよかったです。応援はしていてもどこか下に見ていた相手の成長を認め、仲間として、ライバルとして絆を深めた展開は感動モノでした。
仲間だけではなく、他校のライバルたちとの関係も熱くて面白かったです。まだ実力が伴っていなかった時期、多少なりとも鍛えられて自信がついてきた時期、それによって相手の見据え方が変わってくるんですよね。その辺りの個々の変化も丁寧に描かれていたのは良かったです。このような人間ドラマがコートの内外で繰り広げられてます。
試合シーンも緊張感と迫力があって見応え十分。スポーツモノでありがちな、1試合に1巻丸ごと使ったり、過剰なほど多くのページを用いることはありません。あのような手法を使った作品も細やかな部分まで描写できるので面白いのですが、下手すると中だるみして読者をうんざりさせてしまう恐れがあります。本作は一瞬で決着がつく競技性からかもしれませんが、緊張感を損なうことなく、テンポよく試合が次々と展開されていきます。
これぞ青春漫画といった作品。汗臭く、泥臭くありながらも、その姿はとても美しく見え、爽やかな気分にもさせてもらえます。インパクトが強烈なキャラクターばかりで飽きることはなく、そんなキャラが織り成す人間ドラマは見る者の心を熱く昂らせ、ときには感動で涙が出そうにもなります。
スポーツ漫画でありがちな試合が間延びしてしまうこともなく、特に必要を感じない要素を無理矢理ぶち込んでくることもなく、巧みな見せ方によって瞬間の緊張感を表現した試合を見ることができます。
今どきここまで純な熱血青春作品にはなかなかお目にかかれないので、よければ読んでみてください。強くおすすめさせていただきます。
あさひなぐ 1 (ビッグコミックス) こざき 亜衣 小学館 2011-04-28 売り上げランキング : 6251
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