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夢売るふたり

「蛇イチゴ」から西川監督作品を追いかけていたものの、
「夢売るふたり」はなぜかノーマーク。
阿部サダヲさんへの苦手意識なのかもしれませんが・・・

ツタヤのランキングで見つけて、
西川監督作品とは知らずに観て、
オープニングで、
「これって西川作品っぽいね」
と言ったら。「そうだよ!」とツッコミを入れられてしまった!

全体の感想として、
これまでの西川作品の中ではいちばんのエンターテインメントだったように思いました。

これまでのどの作品にも共通して思っていたことは、
必ずどこかしらが「とってもフィクション」だということでした。

「ええ〜。こんなん無い無い!」
と劇中ツッコミを入れたくなる箇所があるのです。

ひゅーんと私とスクリーンの距離が離れていく瞬間。
それは中盤以降に必ず訪れて、
だってこれは映画なんだと、冷たく気づかされる場所。
わたしはただの観客だって、追いやられる。

西川作品は決して
日常から離れたものを映し出しているわけでなく、
巧みな演出と役者陣の腕で、
確実にこういう世界はある、
あるいは思い当たる誰かを思わせてくるのだけど、
中盤以降の「無い無い」演出で、
びっちり映画として締めていく。
これは狙い?なんですかね。
結構寂しいし、気になる点でもありましたが、
途中で、これは色だと思うようになりました。
西川流の「嘘」を混ぜることで、
「映画」をつくっているのだと。

この色が苦手な人は多いと思います。
特に西川作品では、
事件が始まりだったりするので、
警察とか法廷とか法律だとか
有るか無いか
そういう超現実的な部分に疑問点を感じてしまうと、
お話とか演出とは割り切れない部分も出て来るかと。
そんなの現実ではあり得ないとして、
作品に入れない人もいるかもしれないけど、
私は西川作品独特のエンターテインメントだなあと
思うようになったわけです。


今回の作品では特にそれが強かった。
最初から最後までと言っていいほどドラマチックで、
まるっきり現実味がなくて、
「ん?」というのが途中に出てきても、
気になる点はどっかに置いて観るという方に
ある意味専念できました。

そして、今回の醍醐味はやっぱり役者陣です。
ちょい役にいたるまで、効いてる!と思う演技がいっぱい。
苦手な阿部サダヲさんに関しても、
こんなに阿部サダヲさんをわかっている人はいないよ!と思いました。
そうそう!こういう風に使って!と。(偉そう

あと、美術さん。
たくさんの女性が登場しますが、
女性達の部屋がとてもリアル。
見えない部分、例えばクローゼットの中までも想像させる世界観でした。
美術さんの見所が満載。
スタイリストさんもね。
田中麗奈さんの服装とか。。。もうぜつみょうでした!


あっぱれ!

腑に落ちない点もたくさんあったけど、
そこも西川作品として私のクローゼットにしまうことにした!

次回作もきっと観てしまうのだろうなあ。

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プロフィール

しらくまいく子
携帯アプリのシナリオライターと、    『するところ』のライター、ポエガールをしています。
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