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2014年03月02日

霊使い達の始まり 火の話・中編(2)

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 作成絵師 ぴえーる様(渋 user/30338 スケブ https://skeb.jp/@pieiru


  こんばんは。土斑猫です。
 200コメ記念企画、霊使い外伝「霊使い達の始まり」掲載です。
 火の話、やっぱり三話じゃ収まらんかった・・・(汗)
 もう、このシリーズこのノリでいくかwww
 それでは興味ある方は、下記の事を了解の上で。


  この小説はフィクションであり、実在のストーリー、設定とは本当に絶対、何の関係も他意もありません。                  ―火の話・中編(2)―


                 ―『寄生虫パラサイド』―

 第一級危険生物認定種。
 昆虫族に属する、寄生生物の一種。
 主に接触感染によって増殖する。
 潜伏期間は数時間から一両日。
 その感染力は非常に強く、患者・患畜の体液・体片の付着によって容易に感染する。
 寄生対象範囲は広く、生物系のモンスターのみならず、岩石系、機械系等の無機物系モンスターにまで及ぶ。
 寄生された宿主はその生体構造の全てを支配され、最終的には身体全体をパラサイドそのものへと改変されてしまう。
 本種によって生体改変を受けた宿主は、パラサイドの持つ増殖本能によって動くゾンビ状態となり、更なる宿主を求めて他の生物を襲う様になる。
 その特性により、一旦感染が起これば一国・一コロニーを滅ぼす事も珍しくはなく、第一級危険生物に認定されている。
 自然発生した生物としては異常とも言える危険性を持つため、一説には何者かが故意的に作り上げた生物兵器ではないかとも言われている。
 これに遭遇した場合、体液等の付着は感染の危険が伴うため、格闘術及び武器類による迎撃は不可。
 破壊には、魔法による遠距離攻撃が不可欠となる。それが不可能な場合は、極力接触を避けた上での回避に専念すべき。
 『トゲトゲ神の殺虫剤』や、『虫除けバリヤー』等の対昆虫族用の魔法・アイテムも有効。
 なお、遭遇者には本人が殲滅の手段を持たない限り、魔法連合協会への連絡が義務付けられている。


 ギュボォアアアアッ
 「このっ!!」
 濁った狂声とともに飛びかかって来た『スピック』を手から放った火炎で叩き落とすと、ファイヤーソーサラーは青息を吐いた。
 「くそっ!!冗談じゃないのぜ!!」
 溢れる汗を拭いながら、ソーサラーは辺りを見回す。
 ほんの数時間の間に、そこは地獄と化していた。
 恐らく、山中の生物全てに感染が広がったのだろう。
 襲い来る一体を倒し、そこからいくらも進まない内に次のモンスターが襲いかかってくる。
 大人しく、普段は人を襲う事などないモンスター達ですらが牙を剥いてくる。
 パラサイドに中枢神経を侵され、闘争本能が暴走しているのだ。
 動物だけではない。
 辺りの木々が、ザワザワと意思を持った様にざわめいている。
 その幹から不気味な節足を生やし、蠢かせているものもある。
 森は狂った生命感に溢れ、息が詰まる様に空気が淀んでいる。
 ビクンッ ビクンッ
 朱い炎の中で燃え尽きていくスピック。
 その身体からは触手や節足が突き出て、ビクビクともがいている。
 それを見下ろしながら、呟く。
 「・・・本格的にまずいのぜ・・・。」
 もう一度、念を押す様にスピックに炎を浴びせかけると、ファイヤーソーサラーはクルリと踵を返し、再び走り出した。
 (無事でいてくれよ・・・!!)
 湧き出す様に襲い来るモンスター達を焼き払いながら、ソーサラーは一心にそう願った。


 どれほど走っただろう。
 ソーサラーは、ようやくその場所へと着いた。
 そこは、昨日久方の安らぎの時を過ごした場所。
 しかし、今その光景は一変していた。
 見るも無残に破壊された小屋。
 狂った唸りを上げながら、周囲を徘徊するモンスター達。
 辺りに散らばるのは、切り伏せられ、矢を打ち込まれた死体。
 累々と重なるそれらの中で、武器を構えて立つ男と女性。
 そしてその背後には、剣の形をした炎に守られる様にしてしゃがみ込む緋色の髪の少女の姿。
 「おじさん!!おばさん!!ヒータ!!」
 襲い来るモンスター達を炎で弾き飛ばし、ソーサラーは彼らに走り寄る。
 「おお、無事だったか・・・。」
 「来てくれたのね・・・。ありがとう・・・。」
 ソーサラーの方を振り向く事なく、彼らは言う。
 その身体は、倒したモンスター達の返り血に塗れていた。
 それを見たソーサラーの顔から、血の気が引く。
 「あ・・・ああ・・・」
 喘ぐ様に、視線を泳がせる。
 そこで目に入ったのは、ヒータを囲む炎の剣。
 「・・・『炎の護封剣(ブレイズ・ガーディアン)』・・・。」
 「昔ね、ちょっとだけ魔法を齧った事があったの・・・。何でも、手を出しておくものね・・・。おかげで、ヒータ(この娘)を守る事が出来た・・・。」
 手にした強弓を弾きながら、女性が言う。
 「それなら、何であんた達も・・・!!」
 叫ぶソーサラーに、女性は薄く笑いかける。
 「駄目よ。私の力じゃあ、この娘一人守るので精一杯・・・。でも、それで十分・・・。」
 「・・・・・・!!」
 ズバァッ
 ギャウゥウンッ
 飛びかかってきた『オオカミ』を、男の大剣が叩き切った。
 おぞましい緑色の体液がパッと散り、男の身体を染める。
 「――っ!!ダメだ!!やめてくれ!!コイツらは・・・」
 「もう、間に合わないわ!!」
 たまらず叫びかけたソーサラーの声を、女性が遮る。
 「分かっているさ・・・。“これ”が、何なのか・・・。」
 荒い息をつきながら、男が言う。
 「でも、私達には他に術はないの・・・。」
 空を舞うモンスター達を次々と射落としながら、女性も言う。
 緑色の雨が降り、彼女の顔を濡らす。
 「君が来てくれて、良かった・・・。」
 「貴女になら、ヒータ(この娘)を託せる・・・。」
 穏やかにかけられる言葉。
 それが、ソーサラーの胸をえぐる。
 「そんな・・・そんな・・・!!」
 ワナワナと震える身体。
 それをかき抱いた時―
 「ぐぅっ!!」
 耳に響く、くぐもった声。
 ハッと目を上げると、一匹の『ファランクス』が泡を吹く口で男の肩に齧り付いていた。
 その目から生えた節足が、男の顔を掻き傷つける。
 「やめろ・・・」
 「あうっ!!」
 再び響く悲鳴。
 宙から舞い降りた『スカイ・ハンター』が、翼から伸ばした触手で女性の腕を切り裂いていた。
 「やめろ・・・」
 体勢を崩した二人に、モンスター達が殺到する。
 飛び散る赤と緑の飛沫。
 響き渡る、狂声と悲鳴。
 「お父さん!!お母さーん!!」
 それまで声も出せずに震えていたヒータが、涙を散らしながら引き裂かれる様な声を上げた。
 プツン
 ソーサラーの中で、何かが切れた。

 「うわぁあああああああああああああああっ!!」

 喉が裂けんばかりに、声を上げる。
 瞬間、彼女を中心に炎が爆ぜる。
 生まれた紅蓮の炎。
 それは、唸りを上げて吹き上がる。
 グゥオオオオオオオ・・・
 地が。
 森が。
 空が。
 全てが、紅に染まる。
 焼け付く大気。
 その中に、地獄が見える。
 裂けた口の中に無数の髑髏を覗かせ、笑う炎獄の使者達。
 それらはやがて一つとなり、巨大な姿を作り出す。
 燃え盛る鬣。
 地を焦がし掴む四肢。
 天を覆う、紅蓮の翼。
 熱い呼気を吐き出す、獅子の頭。
 それは、巨人。
 焼け付く炎に形作られた、有翼四肢、獣頭の巨人。
 その足元で。
 彼女は立っていた。
 ひりつく炎感に嬲られながら。
 炙りねぶる熱感に委ねながら。
 それでも彼女は凛と立ち。
 そして、言った。
 「焼き尽くせ・・・。」
 一片の慈悲も。
 憐憫さえもない声で。
 彼女は言った。

 「焼き尽くせ!!『ヘルフレイムエンペラー』!!」

 ヴゥオォオオオオオオオッ
 主の言葉に答える様に、炎獄の帝王は歓喜の咆哮を上げた。


 ―全ては一瞬で終わった。
 炎獄帝(ヘルフレイムエンペラー)の炎は、核爆発の様に一帯を呑み込んだ。
 後に残されたのはソーサラー達四人の人影と、焦土と化した山の亡骸だけ。
 「ハァ・・・ハァ・・・」
 滝の様な汗を流しながら、ソーサラーは荒い息をつく。
 ヒータは、そんな彼女を怯えた様な目で見ながら、震えている。
 そして、残る二人は・・・。
 「・・・凄い、な・・・。」
 「やっぱり、貴女がいてくれて良かった・・・。」
 全身を乾ききった血の色に染めて、彼らは言う。
 「これで、パラサイドは”ほぼ”全滅しただろう・・・。」
 「・・・後は・・・」
 「・・・!!」
 その言葉に、ソーサラーの身体がビクリと震える。
 「・・・頼む。」
 男が、言った。
 静かな、けれど厳しい声で。
 「な・・・何を言ってるのぜ・・・?」
 引きつった顔で、ソーサラーは言う。
 「・・・あんた達には、まだヒータがいるのぜ・・・。それを、こんな所で・・・!!」
 「だから、貴女に頼むの・・・。このままでは、私達は・・・」
 穏やかな声で、女性が紡ぐ。
 「ね・・・?分かるでしょ・・・?」
 こちらを向く事なく、淡々と語られる言葉。
 ソーサラーの身体が、カタカタと震え始める。
 「・・・い、嫌だ・・・!!嫌だ!!」
 叫ぶ顔は、今にも泣き出しそうだった。
 そんな皆の様子に、尋常でないものを感じたのだろう。
 ヒータが、戸惑う様にキョロキョロし始める。
 そんな彼女を気にかける余裕すらなく、ソーサラーは言う。
 「そ、そうだ!!病院に行こう!!魔法都市(エンディミオン)の魔法病院なら、きっと・・・」
 「・・・間に合わないわ・・・。」
 必死で探り当てた言葉も、あっさりと遮られる。
 「・・・分かってるんでしょう・・・?私達は、もう・・・」
 「――っ!!」
 「・・・頼む・・・。さもないと、俺達は、君達を・・・」
 男が畳み掛ける様に言った、その瞬間―
 メキメキ・・・
 「ぐぁ・・・!?」
 何かが軋む様な音が聞こえ、男が手から大剣を落とした。
 見れば、その腕に不気味な筋が何本も浮いている。
 それは、皮膚を波打たせながらおぞましく蠢いていた。
 「あ・・・!!」
 「来るな!!」
 思わず駆け寄ろうとしたソーサラーを、厳しい声が遮る。
 「・・・もう、時間がないわ・・・。」
 苦しげな息の下で、女性が呟く。
 その頬にも、男と同様に蠢く筋が浮かび上がり始めていた。
 「あ・・・うぅ・・・」
 ソーサラーは、いやいやをする様に首を振る。
 「お願いだから!!」
 振り絞る様な声で、女性が叫んだ。
 「この子に・・・ヒータにそんな姿を見せたくないの!!」
 「―――っ!!」
 その言葉が、すくんでいたソーサラーの身体を動かした。
 力なく下がっていた両腕が、ゆっくりと上がる。
 ボゥッ
 その両手に灯る、朱い炎。
 それを見た二人の顔が、安堵に緩む。
 「すまない・・・。」
 「ごめんなさいね・・・。こんな事に、巻き込んでしまって・・・。」
 そう言う二人に、ソーサラーはまた首を振る。
 「謝るのはこっちなのぜ・・・。”こんな形”でしか、あんた達を救えない・・・。」
 呟くその目から涙がこぼれ、両手の炎に当たってシュッと小さな音を立てた。
 「・・・昨夜の酒は、美味かったよ・・・。」
 「オレもなのぜ・・・。」
 「・・・あのシチューの作り方、ヒータに教えてあるから・・・」
 「・・・分かった。後で、教えてもらうのぜ・・・。」
 「・・・みんな、何言ってるの・・・?」
 三人の様子に、何かを感じたのだろう。
 ヒータが、戸惑った様に問いかける。
 「お姉ちゃん、その火、どうするの?お父さんとお母さん、怪我の手当しなくちゃ・・・」
 彼女の問いに、三人に返す術はない。
 その代わり、男と女性は親としての言葉をヒータにかける。
 「・・・ヒータ、良い道を歩むんだぞ・・・。」
 「・・・幸せだったわ・・・。ありがとう、ヒータ・・・。」
 「・・・何言ってるの・・・?」
 何の事か分からないと言った態のヒータに、ソーサラーは抑揚のない声で言う。
 「ヒータ・・・。目をつぶってろ・・・。」
 「お姉・・・ちゃん・・・?」
 ゴオゥッ
 白い両手に灯った炎が、その勢いを増す。
 「いいから、つぶれ!!」
 「!!」
 放たれた怒号に、思わず目をつぶるヒータ。
 次の瞬間―
 「うわぁああああああっ!!」
 泣き叫ぶ様な声と共に、ソーサラーは両手の炎を放った。
 バオゥッ
 主の手を離れた火炎は真っ直ぐに宙を飛び、その先に立っていた二人を呑み込む。
 「――――っ!!」
 目を開いたヒータが、声にならない悲鳴を上げる。
 思わず駆け寄ろうとした彼女を、後ろからソーサラーが抱き留める。
 ・・・苦悶の声はなかった。
 身を焼く焦熱の中で、彼らはそれでも微笑んでいた。
 穏やかな、とても穏やかな笑顔だった。
 それは、愛娘に向ける最後の優しさ。
 彼女が、これからの生に少しでも悲しい思い出を連れて行かない様に。
 愛する者達の苦しみを、せめても心に刺したまま持っていかない様に。
 そんな、親としての最期の想い。
 炎が燃える。
 その全てを、浄化という慈悲に包んで。
 その身が焼け落ちる瞬間まで、彼らの顔は笑顔を湛えたままだった。


 ―数分後、そこにはもう、何もなかった。
 役目を終えた炎は消え、地面に少しの灰を残すだけだった。
 フラリ
 ソーサラーの腕から、ヒータが離れる。
 フラフラと歩みながら、たった今まで”彼ら”がいた場所に近寄る。
 カクリ
 膝が折れる様に、跪く。
 小さな手が伸び、白い煙を上げる灰をすくい取る。
 熱ですっかり乾ききったそれは、指の間からサララとこぼれて風に舞った。
 彼女はそれを、ギュッと胸に抱き込んだ。
 「ヒータ・・・。」
 しゃがみ込んだまま動かない。
 ソーサラーは、かける言葉もなくそんな彼女に近づく。
 そして、その肩に手を置こうとしたその時―
 ザシュッ
 「痛っ!?」
 鋭い音と共に、朱い飛沫が飛んだ。
 「・・・・・・!!」
 ソーサラーの手に走る、一筋の傷。
 ポタポタと滴り落ちる朱が、乾いた地面に染みていく。
 息を呑んで視線を上げるソーサラー。
 その先にあったのは、涙を溜めた瞳で自分を見つめるヒータの姿。
 その手に握られているのは、鈍い光を放つ小剣(ダガー)。
 怒りと憎しみのこもった目をソーサラーに向け、ヒータは呟く。
 「よくも・・・」
 少女のものとは思えない、低く濁った声。
 「よくも、お父さんとお母さんを・・・!!」
 「・・・っ!!」
 投げかけられた言葉に、ソーサラーは一瞬悲しげに顔を歪める。
 けれど、それはほんの一瞬。
 すぐにその顔に力を戻すと、彼女は言った。
 「・・・そうだ・・・。」
 ヒータの肩が、ビクリと揺れる。
 「オレが・・・オレが殺したんだぜ・・・。お前の、父さんと母さんを・・・。」
 優しい声だった。
 自分でも驚く程に、優しい声だった。
 「やりな・・・。」
 身体が震える。
 その震えを、ありったけの力を込めて抑える。
 「それで、お前の心が癒えるなら・・・。」
 語りかける。
 彼女が怯えてしまわない様に。
 丁度、昨夜のあの時の様に。
 優しく。
 優しく。
 語りかける。
 「その代わり、ここで全部捨ててくのぜ・・・。悲しみも、憎しみも・・・。そして、真っ白な心に戻るのぜ・・・。」
 ヒータの瞳を真っ直ぐに見つめ返しながら、言う。
 「きっと・・・それが、あの人達の願いだから・・・」
 そして、ソーサラーはその両手を開く。
 「さあ・・・」
 微笑む。
 穏やかに。
 最期に、あの人達がそうした様に。
 「おいで・・・」
 最後の、言葉を告げる。
 「う・・・うぅ・・・」
 ヒータは、一瞬躊躇する様に視線を泳がせる。
 だけど、それは本当に少しの間。
 次の瞬間―
 「ウワァアアアアア!!」
 叫びと共に小剣(ダガー)を構え、ヒータはソーサラーの腕の中へと飛び込んだ。
 ドスゥッ
 微かに響く、鈍い音。
 ソーサラーの身体が、揺れる。
 ポタッ ポタッ ポタッ
 細い音を立てて地面に落ちる、朱い雫。
 けれど、ソーサラーの身体は倒れない。
 ヒータの構えた小剣(ダガー)は、確かに彼女の身体に突き立っていた。
 けれど、浅い。
 その刃は、ほんの数センチ埋まっただけでその動きを止めていた。
 「・・・どうした・・・?」
 痛みに顔をしかめながら、ソーサラーはヒータの身体に腕を絡める。
 「・・・もっと、深く刺さないと・・・死なないのぜ・・・?」
 抱きしめた小さな身体は、震えていた。
 「・・・痛いのは、勘弁して欲しいんだけどな・・・。」
 力なく、笑う。
 答えは、ない。
 しばしの間。
 カチャンッ
 やがて、軽い音と共に小剣(ダガー)が落ちた。
 「うっ・・・ううう・・・」
 身体が震える音に、嗚咽が混じる。
 ヒータはソーサラーの胸に顔を埋め、泣いていた。
 小さな腕が細い身体に回され、力が込もる。
 「・・・・・・。」
 ソーサラーも、その腕に力を込める。
 ギュッ
 抱きしめる。
 ギュッ
 抱きしめ返す。
 そして―
 「う・・・うわぁああ・・・」
 ヒータは泣いた。
 大声で泣いた。
 いつまでも。
 いつまでも。
 泣き続けた。
 ソーサラーは、黙って彼女を抱きしめ続ける。
 何も無くなった山。
 幼い少女の嗚咽だけが、青い空に響いては消えていった。



                                              続く
この記事へのコメント
ヒータの両親が逝ってしまったのがショックで、つい筆を取るのが遅くなってしまいました。というのは言いすぎか?ただサボってただけですね、ハハ……ww

蒼炎の剣士も紅蓮の女守護兵も自らを犠牲に次へと繋ぐ効果を持つ(有用性はともかく)。この二人をこういう役どころで使ったのも意図的なものなのかも。

ファイヤー・ソーサラー視点で書かれているのはいみがある?ヒータはこの時の事をあまり覚えていないとか。とにかく、最後まで読んでみればわかるかな。

しかしまあ、出てくる出てくる古参モンスターの群れがwww。実は、第1期のモンスターって、古すぎて馴染みの薄いものが多かったりするんですよね。もちろん、初期の頃から持ってたのもあれば、ずっと後になって知ったのもあったりと。アウスを初めて見たときデーモン・ビーバーを全く知らなかったぐらいだし。しかし、こんな珍しい絶版モンスターたちを森ごと全滅させようとは、なんてもったいないwww

☆今日の最強カード☆
『小剣−ダガー』  装備魔法カード
 サバイバルにも使える、便利な刃物。護身用としても役に立ち、小さな子供でも扱える!(※注 フレイバーテキスト)
Posted by zaru-gu at 2014年03月10日 22:29
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