土曜日はテーマについて書こうと決めてるのに、テーマがないのでムシャクシャしてやった。
少し後悔している。
※カップル話なのでそういうの嫌な方はスルー推奨。(つまりはこういう事↓)
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霊使い達の宿題・外伝
お医者さまでもラヴァルの湯でも・・・
ここはデュエルモンスター界。様々な異人種やモンスターが時に助け合い、時に争う混沌の世界。
その中でも、魔法使い族達が住む「魔法族の里」は規律だった自治をおこない、わりと平和な場所である事で知られていた。
そして、その一画にまだ未熟な魔法使い達に魔法の術を教える魔法専門学校があった。
全寮制のこの学校。今は授業中。いつもなら静かであるべきその寮の中から、今日に限って慌しい音が聞こえていた。
「う〜、ぷっちん、頭痛いよぅ〜〜・・・。」
『はいはい、ごめん、シールド・ウィング、ウィンの頭に氷嚢吊るしてやって!!』
『ギャ(了解)。』
「身体暑い〜。汗気持ち悪い〜。脱ぐ〜!!」
『さっき着替えたばっかじゃん!!ああ、ほら、お腹出しちゃ駄目だって。リゾネーター(クリエイト)、風送ってやって!!』
『承知。』
「今度は寒い〜〜!!」
『ああ、リゾネイター、風強すぎ!!っつか腹出すなっつに!!』
『すまん。』
「喉渇いた〜。」
『それじゃ、キラトマジュースを・・・』
「キラトマ嫌い〜!!ストロベリージュース(※1)作って〜。」
『えぇ〜!?じゃ、ちょっと待ってて・・・ンギュ!?』
慌てて部屋を飛び出そうとしたプチリュウは、何かにぶつかってくぐもった声を上げた。
「ここぞとばかりに我侭全開ですね。ウィン。」
自分の胸に顔を埋めているプチリュウを摘み上げながら、精霊術師ドリアードはベッドに横たわる若葉色の髪の少女、ウィンにそう溜息をついた。
「うぅ〜だってぇ〜!!」
「全く、いの一番に課題をこなして来た事は評価しますけど、その後がいけませんね。魔力の配分を考えずに魔法式を組んで、魔法熱(※2)を出すなんて、まだまだ修行が足りない証拠です。」
そう、ウィンはあの砂漠での激戦の後、寮にたどり着いた途端、緊張の糸が切れたのか高熱を出してぶっ倒れ、そのまま今に至っているのである。
学校医のリリーが言うには、自分のキャパシティを超えた魔法を連続使用した事による魔法熱に、長旅の疲れが重なったのだろうと言う事だった。
リリー本人は注射一本で直ると言ったが、丁重にお断りした(本人は凄く残念そうだった)。
「うぅ〜、あたしはこんなに苦しんでるのに、せんせーは鬼だ!!悪魔だ!!獣(けだもの)だ〜!!」
そう言って足をバタバタさせるウィンに、ドリアードはまた溜息をつく。
「そういう例えは、本人達(※3)が気を悪くするからやめなさい。まったく、そんなに身形を崩して。せっかくお見舞い人が来て下さったのに、どうするつもりです?」
「ふぇ?」
『見舞い人?』
二人(?)が首を傾げる前で、ドリアードが促す素振りを見せる。すると、ドリアードの後ろからヒョイと一人の少年が顔を覗かせた。
亜麻色の髪に深緑の帽子と服。腰のベルトには短剣が挿してある。
「よ・・・よう・・・。」
ウィンの格好を見ないためにか、顔を手で覆っているが、指の隙間がしっかり開いている。
『・・・あ。』
「ふっ・・・風君!?」
グダグダと寝そべっていたウィンが、ガバッと起き上がる。
入って来たのは「暴風小僧」。自他共に認めるウィンのBF(※4)である。
「き・・・きゃーっ!!や、やだ!!こんな格好、風君のエッチー!!」
「わ・・・悪ぃ。なんか、具合悪くしてるって聞いたから・・・。あ、今まずいなら、また今度・・・」
暴風小僧が慌てて帰るそぶりを見せると、今度はウィンが慌てだす。
「あ・・・ま、待って、駄目!!帰っちゃ駄目!!今ちゃんとする!!ちゃんとするから!!ぷっちん、そっちの服取って!!しーくんはそっちの靴下!!」
『『『はいはい・・・orz』』』
暴風小僧が持ってきた文字通りの暴風に、ますますゲンナリするしもべ達なのであった。
―数分後―
「え、えへへ。ごめんね。風君。お待たせしちゃって・・・。」
と、身形をしっかりと整えたウィンが、ベッドに座りながらそう言ってはにかむ。
その前に座った暴風小僧も、同じ様にはにかんでいる。
「い、いや、別に待ってねぇし・・・。あ、これ、お見舞いのキラトマジュース。」
「わぁ、ありがとう!!好きなんだ。これ!!」
「そ・・・そう?」
嫌いなんじゃなかったんかい、と心の中で突っ込みながら、プチリュウがドリアードに耳打ちをする。
『先生でしょ?アイツ呼んだの。』
その言葉に、ドリアードはクスリと笑う。
「古より毒は毒をもって制すと言いまして。恋はお医者様でもラヴァルの湯でも治せぬ病と言いますから。」
『はぁ・・・。』
呆れるプチリュウの前で、ドリアードは「効果はてきめんですね。」と微笑んだ。
『ですけどねぇ、先生・・・。』
「何ですか?」
見るからにゲンナリとした様子のプチリュウに、ドリアードが尋ねる。
『知らないでしょ。あの二人、一緒にしてるとイチャイチャ、イチャイチャ、きりがないんですよ。』
「はは、若いですねぇ。いいじゃないですか。それでウィンが元気になるなら。」
『はぁ・・・。』
そんな二人(?)の会話をよそに、件の二人はすでにすっかり自分達の世界である。
「風君、あのね・・・」
「な、何だよ・・・」
イチャイチャイチャイチャ(×1時間)
「だからさ、今度・・・」
「う、うん・・・」
イチャイチャイチャイチャ(×2時間)
「あはは、もう、風君ったら〜」
「な、何だよ〜」
イチャイチャイチャイチャ(×4時間)
「風君・・・」
「ウィン・・・」
イチャイチャイチャイチャ(×8時間)
『・・・。』
「・・・。」
『・・・先生。』
「・・・何ですか?」
『・・・ダーク・ダイブ・ボンバー呼んで来ていいですか?』
「・・・許可します・・・。」
それから数刻後、静かな里には不釣合いな爆音が、空にも高く響き渡ったのだった。
終われ
※1:この世界のイチゴ。動く。ちなみに攻1600に守1200と某ドラゴン(攻・守900)よりずっと強かったりする。
※2:知恵熱みたいなもの。
※3:ご存知の通り、この世界みんないる。
※4:小生の脳内設定。異論は認める。