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2013年07月11日

霊使い達の始まり 風の話・中編@-1

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作成絵師:しろりゆ様(渋 user/58736685 スケブ https://skeb.jp/@siroriyu)

 皆さん、こんばんは。土斑猫です。
 200コメ記念企画、霊使い外伝「霊使い達の始まり」掲載です。
 興味ある方は、下記の事を了解の上で。


 この小説はフィクションであり、実在のストーリー、設定とは本当に絶対、何の関係も他意もありません。


 それではコメントレスです。

 エマさん

 うわー(汗) 難儀ですね……。

 はい。ぼかぁもう疲れたよ・・・。

 この調子だと、ブログデータのバックアップとかもローカルのパソコンに定期的に保存した方が良いかもしれませんね。
 メンテナンス作業中に作業員がミスって「あばばばすみませんデータ消えました。でもデータは復旧できませんごめんなさい。でもそういうとき保証はしかねますって契約にも書いてありますし…(ry」
 という事件が少し前(ファー○トサーバ事件)にありましたから。


 そんな事になったら、小生は自分を抑える自信がない・・・。

 なんというか、状況をうかがってるとその運営側の技術力もちょっと疑問符がつきますし、可能性は低いと思いますが、用心はしておいた方がいいかな、と^^;
 バックアップ大事です。はい。それがあれば他サービスに移行とかもできますしね。


 そうですねー。
 もちろん、各SSの原文はバックアップとってるんですが、ブログに転写してから書き直したり、書き加えたりした部分も結構ありますからね〜。
 ボチボチやっとくかな〜(溜息)



                   ―風の話・中編―

 村を出てから、三日目。
 ウィンは、故郷のミストバレー湿地帯から大分離れた山中にいた。
 中身のいっぱい詰まったザックをよいしょよいしょと背負い、半ば獣道の様な山道をテポテポと歩いていた。
 ところが、ふと見るとその行く先で道が左右に分かれている。
 ウィンは立ち止まると、キョロキョロと左右を見比べた。
 「さてはて、どっちへ行こうかな?」
 そう言うと、ウィンは目を閉じて耳を澄ます。
 サヤサヤサヤ・・・
 彼女の耳元を、風が涼やかな音を立てて通り過ぎていく。
 しばしの間。
 やがて、閉じていた目をパッチリと開けるとウィンは左の道を見る。
 「なるほど!!こっちだね!!」
 風に示された道に進路を決めると、自信たっぷりの足取りで例の如くテポテポと歩き出す。
 「風のおかげでこの三日間、危ない場所にもモンスターにも合わなかったし、今回も平気平気!!」
 ふんふんと鼻歌など歌いながら、ろくに足元も見ずに歩いていく。
 ・・・それが、仇となった。
 グニュッ
 不意に足裏から伝わる、気色の悪い感触。
 「ふえ?」
 思わず足元を見ると、踏み出した右足が何やら妙なものを踏んでいる。
 丸太の様な、それでいて巨大なミミズの様な、珍妙な物体である。
 「・・・何だ?これ?」
 言いながら、改めてムギュ〜と踏んでみる。
 すると、その足がブニュンとした弾力とともに跳ね返される。
 「?????」
 ブニュン ブニュン ブニュン
 訳が分からぬまま、何度も繰り返す。
 よせばいいのに。
 5、6回も繰り返しただろうか。
 いい加減飽きて、先に進もうとしたその時―
 ガササッ
 突然、横の茂みが弾けた。
 「へ?」
 むせ返る様な獣臭に横を見れば、灰色をした小山の様な物体。
 否、それが剛毛に覆われた獣の背中だと察するのに、時間はかからなかった。
 「え?え?」
 突然の事態に硬直するウィンの視線の先で、“彼”がゆっくりと振り返る。
 短く丸い耳。鋭く突き出した前歯。鋭く光る両眼は、爛々と金色に燃えている。
 ・・・ネズミである。
 その風貌。形。どれをとっても完全無欠な“ネズミ”の造形である。
 しかし、ただ一点。ただ一点だけ、らしくない点があった。
 大きさである。
 普通ネズミといったら数cmか、大きくても30cm内外と言った所が関の山だろう。
 しかし、“彼”は違った。
 デカイ。
 ただひたすらに、デカイ。
 背丈はウィンの三倍、3mくらいはあるだろうか。
 二足で立ち上がるその姿は、ほとんど熊である。
 「きょ・・・巨大、ネズミ・・・?」
 ウィンはその姿を見上げながら、茫然と呟く。
 そのモンスターの名前を知っていた訳ではなく、見たままの感想を口にしただけなのだが、はからずもその呼称は当たっていた。
 ズバリ、『巨大ネズミ』。
 それが、かのモンスターの名前。
 あまりと言えばあまりにも“まんま”な名前なのだが、そうつけられているものはしょうがない。
 とりあえず、今現在の問題はそんな事ではない。
 今の問題は、どうやら“彼”が怒っているらしいという点である。
 その巨体は漲る怒気にプルプルと震え、全身の毛はビンビンに逆立っている。
 「ね、ねぇキミ・・・?」
 ウィンは、おずおずと尋ねる。
 「何か、怒ってる・・・?」
 シュウゥウウウ・・・
 答える様に、低い唸り声を上げる巨大ネズミ。
 「な・・・何で・・・?」
 と、ネズミの視線が自分の足元に注がれている事に気付く。
 「・・・・・・?」
 その視線の先には、さっきから踏みつけている謎の物体。
 その先を目で追ってみると、ネズミの方に向かって伸びている。
 そしてそれが行き着く先は・・・
 「あ・・・」
 ウィンは悟った。
 自分が踏みつけている物体が、何であるかを。
 そう。
 ネズミの尻尾である。
 何度も踏まれたそれは、ジンジンと赤く腫れ上がっている。
 「ご、ごめん!!わざとじゃ・・・!!」
 慌てて謝るが、ネズミの目から怒りの色は消えない。
 それどころか、その目は雄弁に語っていた。

 オレ様、オ前、丸齧リ。

 「は・・・はは、だ、駄目、か・・・。」
 ジリジリと後ずさりするウィン。
 距離をとりながら、腰の鞘から短剣(ダガー)を抜き取る。
 跳びかかろうと、その身を屈める巨大ネズミ。
 「・・・来る?あんまり戦(や)りたくないんだけど・・・。」
 ダガーを手に身構えながら、ウィンは諭す様にネズミに語りかける。
 シュウウウウウ・・・
 しかし、巨大ネズミは聞く耳を持たず低く唸り声を上げ続ける。
 そして―
 ヂュラアアアアアッ!!
 響き渡る咆哮。
 身を屈めた巨大ネズミが、牙を剥いて跳びかかる。
 「くっ!!」
 迫る牙をスレスレで避けるウィン。
 肩の布が裂かれ、朱い滴がパッと散る。
 鈍い痛みに顔をしかめながら、それでもウィンは手にしたダガーをカウンター気味に巨大ネズミの鼻面に突き立てた。
 「ごめんね!!」
 ヂュラァアアアアッ!!
 鼻は、この手の獣の共通の弱点。
 巨大ネズミは悲鳴を上げて転げ回る。
 「よし!!今のうちに・・・」
 巨大ネズミが立ち直る前に、ウィンがその場を後にしようとしたその時―
 ザワリ
 全身を悪寒が走り、ウィンは反射的にその身を翻した。
 次の瞬間、
 ザヒュウッ
 それまでウィンがいた空間を、鋭い牙が引き裂いた。
 「え!?え!?」
 突然の事態に驚くウィン。
 周囲に漂う獣臭が、一層その濃さを増す。
 そして目の前の“それ”を見た時、ウィンは驚愕に目を見開いた。
 シュウウウウウ・・・
 低く響く唸り声。
 そこにいたのは、鼻を押さえて苦悶する“彼”とは別の、もう一頭の巨大ネズミの姿だった。


 「も・・・もう一匹!?そんな・・・!!」
 ウィンは知らなかったが、これが巨大ネズミの固有能力(パーソナル・エフェクト)。
 俗に「リクルート」と呼ばれる能力の一種。
 自身が物理的な攻撃によって著しく負傷した場合、他の同属もしくは一定の条件を満たした他種のモンスターを召喚し、守りを固める。
 それが、ウィンに急所を傷つけられた事によって発動したのである。
 シュウウウウウ・・・
 新たに現れた巨大ネズミが、ウィンの退路を塞ぐ様に回り込む。
 「あ、あわわ・・・ど、どうしよう・・・」
 狼狽するウィンの後で、何かが動く気配。
 振り返れば、先に現れた一匹が鼻からボタボタと赤黒い血を流し落としながら、体制を立て直している所だった。
 シュウルルルルル・・・
 喉を震わせて威嚇音を出すその眼差しは、先に倍する怒りの色に彩られている。
 「は・・・挟まれた・・・!?」
 進路も退路も阻まれたウィンの額を、初めて冷たい汗が流れる。
 もちろん、ウィンも護身術の類を身に着けてはいる。
 大抵の事なら乗り越える自信があった。
 生傷の一つや二つは覚悟の上。実際、今まで「冒険ごっこ」の際に危険なモンスターに遭遇した時も、そうやって切り抜けてきた。
 しかし、ミストバレー湿地帯に住まうモンスターは単独で行動する事が多く、今の様に複数の敵に囲まれると言う様な経験は初めてだった。
 しかも、今は援護や牽制をしてくれるサンボルトもいない。
 「う・・・あ・・・」
 後ずさりする背が、木の幹に当たる。
 ジリジリと侠撃する機会をうかがう、二頭の巨大ネズミ。
 「く・・・来るな・・・」
 手に構えたダガーが汗でぬめる。
 何とか気勢を保とうとするが、一度湧き出した恐怖は止まらない。
 そして、獲物の心の揺らぎを、獣は見逃さない。
 ヂュウルルルルルル・・・
 巨大ネズミが、機を得たとばかりに身構える。
 「た・・・助けて!!お父様!!お姉ちゃん!!」
 恐怖に耐えかねたウィンは、とうとう頭を抱えてしゃがみ込んでしまう。
 ヂュウッ
 二頭のネズミが、ウィンに跳びかかる。
 もはやこれまでかと思われたその時―
 ボワンッ
 そんな音とともに、ネズミ達とウィンの間に黒い綿菓子の様なものが現れた。
 ヂュ?
 「へ・・・?」
 唐突に出現した奇物に、ネズミもウィンも呆気にとられる。
 ゴロゴロゴロ・・・ バチバチバチ・・・
 黒い綿菓子は宙に浮きながら、そんな音を立てている。
 帯電しているのか、時折その表面を金色の光が走る。
 「・・・・・・?」
 ・・・・・・?×2
 今の状況も忘れ、“それ”に見入る三者(?)。
 フンフン
 一頭の巨大ネズミが“それ”が何かを確かめようと、鼻を近づける。
 途端―
 ギロリ
 黒い綿菓子の表面に、鋭い眼差しが開いた。
 ヂュッ!?
 ネズミが驚いた次の瞬間、
 ガラガラッ ガッシャーン
 耳をつんざく様に轟く轟音。
 辺りを真っ白に覆う光。
 それが雷光だと気付いた時には、巨大ネズミは全身を痙攣させて引っくり返っていた。
 完全に感電しているらしく、その毛皮は黒く焦げ、縮れた髭からはパチパチと雷の残滓が散っている。
 ヂュチュ・・・!?
 「な、何・・・?」
 その場にいる皆が茫然としていると、

 「ビリカ、グッジョブ。」

 そんな声が聞こえた。


                                  風の話・中編−2に続く
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