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2012年07月04日

無限憎歌(3)(アニメ学校の怪談・二次創作作品)







 水曜日、隔週連載学校の怪談SSの日です。
 今回の話は、時系列上は前作の後の話になります。
 学怪の事を知ってる前提で書いている仕様上、知らない方には分かりにくい事多々だと思いますの、そこの所でご承知ください。
 よく知りたいと思う方は例の如くリンクの方へ。
 
 それではコメントレス


 そんなウィンちゃんにピッタリのモンスターは?風・ドラゴン・☆4のモンスターは13体。
砦を守る翼竜、フェアリー・ドラゴン、スピア・ドラゴン、スピリット・ドラゴン、洞窟に潜む竜、グランド・ドラゴン、サファイアドラゴン、ハーピィズペット仔竜、デブリ・ドラゴン、真紅眼の飛竜、コアキメイル・ドラゴ、ランス・リンドブルム、紋章獣アバコーンウェイ
と、1900アタッカーやDEF2000の壁がズラリ……。憑依装着で押さえ込めそうなのは砦を守る翼竜か、フェアリー・ドラゴン(プチリュウの色違い)、あとはATK1800の真紅眼の飛竜かランス・リンドブルム。だが、レッドアイズを呼ばれる恐れのあるワイバーンは避けたいか。え?ハーピィさんのペットを奪ったりしたらただで済むわけないじゃないですか。


 はぁ・・・こうして見ると結構いるもんですねぇ。フェアリー・ドラゴンなんかいいかも。プチリュウと対的な意味で。
 それにしても、洞窟に潜む竜やグランド・ドラゴンは何で風属性なんだ?地属性であるべきだろ、おまいらは。
 霊使いVSハーピィ・・・。いろんな意味で胸熱かもwww



壁紙提供=M/Y/D/S 壁紙館。転載不可。


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                        ―凶巣― 
 
 「ねぇ、どうやって中、入ろうか・・・?」
 さつきの言葉にハジメも首をひねる。
 「そうだよなぁ・・・。どう考えたって、戸締りしてるだろうし・・・。」
 そう言って、なにげなく正面玄関の戸に手をかけると・・・
 ガチャ
 二人の意に反し、それはあっけなく開いた。
 「ありゃ?」
 「開いてる・・・?」
 おそるおそる中へ入る二人。途端、その目が驚きに見開かれる。
 「う・・・うわ・・・!!」
 「な・・・何!?これ・・・!!」
 校舎の中にはびっしりと、そこには白いレースの様なものが縦横無尽に張り巡らされていた。
 ハジメが恐る恐る触ってみると、それはまるでストリングチーズの様に細い糸状になってほぐれてくる。ハジメはその手触りに覚えがあった。
 「これ・・・ひょっとして蜘蛛の糸・・・か・・・?」
 ハジメのその言葉に、さつきが驚いて反論する。
 「馬鹿なこと言わないでよ!!こんな大きな巣を張る蜘蛛なんている訳・・・んぐ!!?」
 異論をまくしたてるさつきの口をふさぎ、ハジメが聞き耳を立てる。
 「何か・・・聞こえないか?」
 「・・・え・・・?」
 言われてさつきも耳を澄ます。
 クチュ・・・クチュクチュ・・・チュル・・・
 闇に包まれた校舎の奥から、かすかに、しかし妙にはっきりとその音は聞こえて来ていた。
 まるで人か動物が何か液体をすする様な、湿った音。
 「何・・・この音・・・?」
 「知るかよ・・・。」
 二人はしばしの間、暗闇の中に立ち尽くす。そして、その間も奇妙な音は休むことなく続いている。
 クチュ・・・クチュ・・・クチュル・・・
 「行って・・・みようか?」
 そう言ったのはさつき。
 「大丈夫かよ・・・?」
 「分かんない・・・だけど、ここでこうしてても、何も解決しないもの・・・。」
 「・・・そうだな・・・。行くか・・・。」
 「うん・・・。」
 二人はうなずき合うと、音のする方へと足を踏み出した。
 
 暗い、どこまでも暗い闇の中、さつきとハジメは無数に張り巡らされた蜘蛛糸のレースをかいくぐりながら、奇妙な音の根源に向って進んで行く。
 それにつれ、例の音が確かに近づいてくるのが二人の耳にも分かった。
 そして―
 「あの向こう・・・だな・・・。」
 「うん・・・。」
 音の源は、もう次の曲がり角を曲がった先の所にまで迫っていた。 
 「覗いて・・みるか?」
 「・・・。」
 角に身を潜め、そっと向こう側を覗いてみる。
 暗い廊下の中心から、例の奇妙な音は聞こえて来ていた。目をこらすと、闇の中に影が一つ、床から伸び上がる様に立っているのが見える。それは、見様によっては人影の様にも見えた。
 「誰か・・・いるのか?」
 「あの・・・どなたですか・・・?」
 さつきが思いきって声をかけるが、答えはない。ただ、例の音だけが淡々と闇に響くだけである。
 「・・・。」
 意を決し、二人はその人影にそっと近づく。
 「あの・・・」
 さつきがもう一度声をかけようとしたその時、それまで厚い雲に隠されていた月が顔を出し、その光を窓越しに暗い廊下に投げかけた。
 そしてその青白い光は、それまで闇に包まれおぼろげにしか見えなかった廊下の情景を、あっという間に鮮明なものへと変えていた。
 そしてその光の中、奇妙な音を立てる人影も、その姿をまじまじとさつきとハジメの前にさらすこととなっていた。
 それを見た瞬間、二人の目が恐怖と戦慄の色を浮かべて見開かれる。
 「ひ・・・!!??」
 「うぐ・・・!!!」
 ハジメは悲鳴を喉に詰まらせながら貧血を起こしたかの様によろめき、さつ
きは口元を抑え、こみ上げる嘔吐感を必死に抑える。
 二人の目の前にあった物・・・それは蜘蛛糸のレースに絡み獲られ、立ったままの姿勢で絶命している見知らぬ男の死体と、それに群がり湿った音を立てて血肉を貪る、無数の奇怪な蜘蛛の姿だった。
                

                       ―魔獣―
 
 「あ・・・ああ・・・。」
 「なんなんだよ・・・!?これ・・・。」
 目の前で繰り広げられる惨劇に、ハジメはその光景を否定しようとするかの様に頭を振り続け、さつきにいたっては力が抜けた様に床に座り込んでしまう。
 いくら多くのお化けと接触し、その霊眠を成し遂げてきた経験があるとは言え、所詮純心な小学生に過ぎない二人にとって、あまりにも凄惨すぎる光景。恐怖に心を捕われ、完全に我を失ってしまう。
 クチュクチュ・・クチュ・・・
 そんな二人の前で異形の宴は続く。無数の蜘蛛に血肉を吸い取られ、男の体はみるみるうちにミイラの様にしなびていく。
 それを見て、最初に我を取り戻したのは、ハジメの方だった。傍らでへたりこみ、呆然としているさつきの肩をつかむと、強く揺さぶる。
 「さつき!!しっかりしろ!!ここにいたら、おれたちまでやられちまうぞ!!」
 その言葉にさつきも我に帰る。
 「う・・うん!!」 
 慌てて立ち上がり、元来た廊下を戻ろうとしたその時ー
 『可愛イダロウ・・・?』
 「ひっ!!?」
 「きゃあっ!!」
 突然背後から声をかけられ、二人は飛び上がらんばかりに驚いた。
 後ろを振り向くと、そこにいつの間にか一人の女性がたたずんでいた。
 荒い布で作った見慣れない衣装を着て、長い黒髪を振り乱し、そこから覗く両眼は荒々しく、鬼気迫る光をたたえる。その体つきは女性らしく、細身ではあるが妙に背が高く、手足も長い。色黒で、引き締まった筋肉が適度についたその身体には、野生動物が持つ様な生物としての精悍さがある。 
 「だ・・・だれ・・・?」
 『可愛イダロウ・・・?』
 女はさつきの問いには答えず、まるで独り言でも呟くかのようにモゴモゴと同じ言葉を繰り返す。男の様な女の様な、若いとも老いているともとれる奇妙な声。
 『可愛イダロウ・・・私ノ子供達・・・。』
 「子供・・・達・・・?」
 『ソウ・・・私ノ可愛イ可愛イ子供達・・・。』 
 そう言いながら、愛しげな視線をさつき達の背後に送る。
 その先にいるのは、無心に人の血肉をすする異形の蜘蛛の群れ。
 (子供達って・・・まさか・・・!?)
 不吉な想像に、さつきとハジメは思わず後ずさる。
 そんな二人に構わず、女は話を続ける。
 『元気ダロォ・・・イツモ、イツモオ腹ヲ空カセテルノダヨ・・・。』
 『食ベテモ・・・食べテモ・・・足リナイ、足リナイッテ・・・。』
 喋り続ける女の体に、異変が起こる。
 それまで鋭いながらも澄んでいた瞳がどんよりと濁り、緑色の光が灯る。
 体が瘧にかかった様に震えだし、腰を境目に不自然にねじれ始める。
 『ダカラ ネェ・・・肉ガ イルノ・・・血モ イル ノ・・・モット・・・モ ット・・・タク サン・・・タァ クサン・・・。』
 グギ・・ゴキ・・・ベキ・・・
 奇妙な音を立てながら、女の形が変わっていく。
 手足が裂け、その裂け目から複数の節と硬い外骨格を持った足がズルリと生え出る。上半身と180度向きを換えた下腹部が泡立つ様に膨れ上がり、青黒い血管に包まれて脈打つ赤黒い球体へと変貌する。浅黒い肌がめくれ上がり、その下から硬い甲殻が現れると、それを突き破る様にして次々と棘の様な剛毛が生える。女の顔がドロリと溶け、粘土細工の様にグニャグニャと別の生物のものへと再構築されていく。猫の様な耳が、髭が、暗緑色に光る八つの目がボコリと浮かび上がり、最後に顔の下半分が十字に裂け、その中には鋭い錐の様な歯が何重にも生え揃う。
 「あ・・・ああ・・・」
 さつきとハジメは逃げる事も忘れ、ただ目の前の悪夢を見つめる。
 やがて二人の前には、身の丈数メートルに及ぶ巨大な魔獣が姿を現していた。
 全身を覆う赤銅色の甲殻。
 そこから何百本も突き出した、鋭く硬い剛毛。
 黒い血液の流れる血管に網目の様に覆われ、ビクビクと波打つ腹部。
 太い鉄柱の様な節足が八本、四方に伸びてガシャガシャと蠢いている。その先端には、黒曜石の輝きを放つ、象牙の様な鋭い爪が三本づつ。
 獣と甲殻類の中間の様な様相の頭部には、大きな水晶球の様な単眼が八つ、暗緑色の光を放ちながらグルグルと動いている。
 大きく十文字に裂けた口は気だるげに開閉し、時折血生臭い息とともに、幾重もの牙が擦れ合う「キチキチキチ」という不協和音を吐き出していた。
 「く・・・蜘蛛・・・!?」
 その姿を前にしたさつきの口が、歯の根の合わない声でそう呟く。
 まさしく、その姿は巨大な蜘蛛を彷彿とさせるものだった。
 現実には有り得ない、悪夢に住まう魔性の毒蜘蛛。
 それが今、現の世界へと這い出で、さつき達の前へとその姿を晒している。
 その暗く深い、亀裂の様な口がモゴモゴと動き、人間の姿の時と変わらぬ声で言葉を紡ぐ。
 『サ ァ・・・オ前 達 ノ血ヲ オ クレ・・・。』
 その暗緑色の眼球に映る自分の姿を見とめた時、さつきは初めて声にならない悲鳴を上げた。


                                                         続く
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