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2012年09月26日

無限憎歌(9)(アニメ学校の怪談・二次創作作品)







 水曜日、隔週連載学校の怪談SSの日です。
 今回の話は、時系列上は前作の後の話になります。
 学怪の事を知ってる前提で書いている仕様上、知らない方には分かりにくい事多々だと思いますので、そこの所ご承知ください。
 よく知りたいと思う方は例の如くリンクの方へ。


 それではコメントレス

 へー、スクレイルか、知らないモンスターだな。ちょっと調べてみるか、画像検索っと。なるほどガスタ………スク「レイ」ル、じゃないねスク「イレ」ルだね☆ (英語で「リス」の意。単語のつづりを見る限り「スクイレル」が正しい。YAHOOでの検索結果を見ると、HIT数が全然違う)

 ・・・。
 ・・・・・・。
 ・・・・・・・・・。
 あれ・・・?
 (ガサゴソカタカタ)←調べている。
 
 ほ・・・本当だ(汗)
 す・・・素で気づかんかった。
 ちゃんと直しました。
 ご指摘ありがとうございます〜。



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                          ―到達―

 キキチ・・キチ・・・キチチ
 牙が鳴る、無機質な音が暗闇に響く。
 血に飢えた無数の子蜘蛛達が、まるで静かな波の様に押し寄せてくる。 
 「や・・・やだ・・・来ないで・・・来ないでよぉ・・・!!」
 さつきは少しでも距離を取ろうと後ずさるが、狭い廊下のこと、あっという間に壁に背が当たってしまう。
 逃げ場のない獲物をいたぶるかの様に、無数の子蜘蛛はことさらゆっくりと距離を詰めてゆく。
 「あ・・ああ・・・。」
 どうしようもない、絶体絶命の中に置かれ、さつきは自分の精神に限界が来つつある事を感じていた。
 と、恐怖に我を失いかけたその体が、ふいに温かい温もりに包まれる。
 「・・・え・・・?」
 驚きで、失われかけた理性が再び覚醒する。気が付けば、さつきの体はハジメによって優しく抱きしめられていた。
 「ハ・・ハジメ・・・!?」
 顔を真っ赤にして慌てるさつきに、はじめがそっとつぶやく。
 「大丈夫だから・・・あきらめんなよ・・・絶対・・・。」
 そう呼びかけながら、先ほど自分がそうされたのと同じ様に優しく、それでいて強く、さつきを抱きしめる。
 「・・・うん・・・。」
 ハジメの腕の中で、場違いな胸の高鳴りを感じながらさつきも強く頷く。
 しかし、二人を囲む死の群れは、そんな二人を嘲笑うかの様な鳴き声を立てながらもうほんの数センチの距離にまで迫っていた。
 そして、無数の牙がさつき達に向けられたその時―
 「そこまでよ!!」
 凛とした女性の声が、闇を切り裂いた。

 時はそれより少し前、天邪鬼の活躍によって校内への道を得た桃子達は、その中に入って驚きの声を上げていた。
 「な、何なんですか!?これ!!」
 見慣れた筈の校内の中は、幾条にも張り巡らされた蜘蛛の糸によって、まるで迷路の様な様相になっていた。
 「こ、これじゃあ、どこがどこだか分かんないよ!!」
 敬一郎が途方に暮れたようにそう言った、その時、
 「・・・こっちよ。」
 不意にそんな声が響いた。
 「へ?」
 「え?」
 レオと敬一郎が、そろって間の抜けた声を出しながら声のした方を見る。
 そこには、静かに佇みながら、蜘蛛巣の向こうに広がる闇を見つめる桃子の姿があった。
 その瞳には、先程までとは違う、不思議な輝きが宿っている。
 「・・・この奥から、強い妖気を感じるわ・・・。“ヤツ”は、この向こうにいる・・・。」
 そう言って、闇の奥を指差す。
 「桃子さん・・・何でそんな事・・・?」
 「・・・行きましょう。さつき達が、危ないわ・・・。」
 尋ねるレオに答える事無く、桃子は闇の向こうに向かって進み始める。 
 「あ、ちょ、ちょっと!?」
 「待ってよ!!桃子姉ちゃん!!」
 訳が分からぬまま、その後を追うレオと敬一郎。
 そして数分後、彼らは桃子の言葉が正しかった事を知る。

 「桃子さん!?レオ!?」
 「け、敬一郎!?」
 思わぬ人の声に顔を上げたハジメとさつきは、暗い廊下の先に三人の姿を見とめ、
驚きの声を上げた。
 「ハジメ、さつきさん!!大丈夫ですか!?って、うわぁ!!何ですか!?あの怪物は!?」
 「か、怪獣だぁ!!」
 さつき達の向こうに魔獣の姿を見とめ、驚きの声を上げるレオと敬一郎。
 「・・・怪獣ではないわ・・・。あれは、「土蜘蛛」よ・・・。」
 「つ・・・土蜘蛛って、“あの”土蜘蛛ですか!?」
 レオの言葉に、頷く桃子。
 「ええ・・・。土蜘蛛と呼ばれた、哀れな魂達よ・・・。」
 そう言う桃子の瞳は、どこか悲しげな色が浮かんでいた。

 予期せぬ第三者の介入に、魔獣はキチキチと嬉しげに牙を鳴らす。
 『オヤ・・・嬉ヤ・・・。餌ガ 増エタ ヨ・・・。』
 そこまで言葉を紡いだ魔獣の口が、そのままの形で凍りつく。驚きに見開かれた八つの紅眼には、レオの手に握られる一振りの刀が、しかと映し出されていた。
 『ギイィィイイィッ!!貴様ラァアアアァッ、ドウシテソレヲォオオオォ!?』
 怒りとも焦燥ともつかぬ声を上げると、魔獣は桃子達三人に向かって襲いかかった。
 ガガガガガガッ
 鋼の爪で床を削り飛ばしながら、魔獣が桃子たちに迫る。
 「逃げてぇ!!」
 さつきが叫ぶ。
 三人をまとめて薙ぎ払おうと、魔獣がその鉄柱の様な前足を振り上げる。
 しかし、それが振るわれるよりも早く、桃子が魔獣に向って両手をかざした。
 その瞳の輝きが一瞬強まり、それと同時に巻き起こった見えない力の流動が魔獣の体を束縛する。
 『ギ・・!?ガァ・・・小娘ェエ、貴様ァアアアァァァ・・・!!』
 思いがけぬ抵抗に動揺しながらも、その束縛を破ろうと魔獣が渾身の力を込めてもがき、吼える。
 「早く・・今のうちに・・刀を、さつきに・・・!!」
 魔獣の抵抗を満身の力で押さえ込みながら、桃子はレオと敬一郎に呼びかける。
 「え・・・これを・・・?」
 「お姉ちゃんに・・・?」
 訳が分からず、うろたえるレオと敬一郎。
 「長くは持たない・・・急いで!!」
 「!!・・は、はい!!」
 事の成り行きを把握しかねるレオと敬一郎だったが、桃子の声に我を取り戻すと、刀を抱えてさつき達に向って走り出した。
 『ギィイイィイイ・・侮ルナァ、小娘ガァァアア・・!!』
 憎々しげに喋る魔獣の口がクワッと開いたかと思った瞬間―
 キガァァァアアアァァァアッッッ
 「キャアッ!!」
 凄まじい咆哮が響き渡る。
 大気が鳴動し、その圧倒的な妖気の爆動を押さえ切れず、桃子は束縛もろとも弾き飛ばされてしまう。
 「も、桃子さん!?」
 「桃子ちゃん!!」
 桃子の体が枯れ葉の様に宙を舞う様を見たさつきが、悲痛な声を上げ、レオと敬一郎も思わず立ち止まる。
 「くぅっ!!」    
 桃子は廊下の端まで弾き飛ばされ、壁に叩きつけられる。かろうじて意識は保つが、全身に強い衝撃を受けた体はしびれた様に動かない。
 一方、自由を取り戻した魔獣はそんな桃子を一瞥すると、その視線を刀を持つレオ達に向ける。
 それに気付いた桃子は、自由のきかない体を引きずり、声を振り絞って叫ぶ。
 「立ち止まってはだめ!!私にかまわずに、行きなさい!!」
 「は・・はい!!」
 桃子の声に後押しされる様に、レオと敬一郎は再び走り出す。
 しかし、さつき達までもう数メートルという所にまで近づいたその時、魔獣の目が怪しく光った。
 「いけない!!伏せて!!!」
 シャアァァァアアアッッ
 桃子が叫ぶのとほぼ同時に、魔獣の口から銀色に光る蜘蛛糸の束が激流の様に吐き出される。
 「う、うわぁぁ!?」
 「わあぁぁ!!」
 レオと敬一郎はもう一歩という所で糸の直撃を受け、突っ伏す様に床に倒れ込んでしまう。
 「な、何これ!!?」
 「う・・動けない・・・!!」
 魔獣が吐き出した糸はその接着剤の様な粘りと、鋼線の様な硬さで二人の体の動きを完全に封じてしまう。
 「け・・敬一郎・・・!! きゃあっっ!?」
 さつきとハジメも失血のために力の入らない体を引きずり、床に貼り付けられた二人に近寄ろうとするが、魔獣が再び吐き出した糸に絡み獲られ動きを封じられてしまう。
 「あ・・くぅ・・・」
 「ち・・・くしょう・・・」
 なんとか自由になろうともがくが、ただでさえ鉄の様な硬度を持つ糸のこと、衰弱しきった二人の力ではどうしようもない。
 キチキチキチキチキチキチ・・キチキチキチキチ・・・
 魔獣達が、勝ち誇った様に歯牙を鳴らす。
 『キカカカ・・・汚ラワシイ異人ドモメガ・・。貴様ラノ思イ通リニナド、二度トサセルモノカヨ・・・。』
 八つの紅眼をグリグリと動かし、床に転がる五人をゆっくりとねめつける。
 『今度ハ貴様ラガ滅ボサレル番ナノダ・・・!!』
 そう言いながら、さつき達の方に向ってゆっくりと動き始める。
 『呪ヲ吐ケ・・赤血ヲ流セ・・生肉(きにく)ヲ散ラセ・・ソシテ、我ラガ一族ノ憎シミヲ知ルガイイ・・・!!』
 ブツブツと続く呪詛の声。紅眼に狂気の光を灯しながら、じりじりとさつき達に近づいて行く。
 ザワザワ・・ザワザワザワザワザワ・・・
 親に従い、子蜘蛛達も活動を再開する。無数の子蜘蛛が新たな獲物に向って、その輪を狭めて行く。
 暗闇の中、魔獣のゲラゲラという笑い声だけが響いていた。


                                                         続く
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