今年、瀬戸内に浮かぶ岩城島の桜見物と尾道の散策、明石焼きを食べるという旅を経験。
残り僅かな特急寝台列車にての旅などと洒落込んだのであった。
正直、私のへそくりも底を尽きこれ迄日本全国から東南アジアなどの旅行を妻とやってきたが、金の切れ目がの文句ではないが、今年いっぱいで大きな旅行はやめようと心に決めたのであった。
そんな気持ちが固まらない時、久しぶりに私に『グランクラスの旅や特急寝台列車』を使う旅を紹介してくれた社員と一緒の仕事をした時、甘い囁きに似た誘惑。
意志軟弱な者にとっては、変哲のない質問でも悪魔のささやきになってしまうのであった。
車中、唐突に「次は何処に行く計画をたてているのですか」と。
豪華旅行はやめようと思い、意識を固めつつあったのに、私の軟弱な気持ちをつぶすが如く話しかけてきたのである。
「うーん、別段観たい処もないし、旅行もやめようかなと思っているくらいですからね。只、桜が好きでいつかは吉野山の桜を見てみたいと思っているのですよ」と、思わず言ってしまった。
と、いう訳で来年桜の咲く頃、今度は瀬戸内から奈良へと行く事になってしまった次第である。
そもそも、グランクラスや寝台特急の乗り心地、座り心地の快適さを味わったってしまったらもう単なる特急電車であっても旅行の時はグリーン車利用に限ると思い至ってしまったのである。
これはかねがね【分相応】を唱える私としては逸脱行為にあたるのではと思い、流石にグランクラス利用の旅行はしない事に。
そこで新幹線の利用に際しのみ、グリーン車を利用してみる事にした結果、この春試してみたのである。
東京大阪間を利用するにあたり一人5000円上乗せするだけでグランクラスには及ばないが、一般シートと比べたら別格の座り心地であった事からこれからはグリーン車だという事に。
因みに長女の旦那は起業しており、時折大阪に出張しているらしいが、往復は常にグリーン車を利用しているらしく娘が一度大阪に会いに行った時、娘もグリーン車を利用して以来、はまってしまったようだ。
この気持ちは良く判る。
私も70を過ぎる迄、新幹線や寝台車も数多く利用してきたが、グリーン車は縁遠かった。
それが一昨年、今年と2ランク上の電車を利用した事から2ランク上は【身の丈】を超えるが1ランク上のグリーン車利用は、たまの旅行の時ぐらいは【身の丈】の範囲内としても良いだろうと思う事にした。
既に75歳になろうとしている後期高齢者予備軍の我々夫婦もいつ何時、現生から旅立つのか判らないのだからそれ位の贅沢はいいだろうと、心に決めたのであった。
誘導上手な社員により3年連続で豪華な旅行に行く事になりました。
ある意味有難い事です。
彼の言葉により、私の心中密かにいつかは吉野の桜を見なければの思いが現実になったのである。
私と妻は奈良の吉野山を桜吹雪と共に歩く事になったのだから、有難い事である。