小豆洗いの小手先大工猫日記

あれから１０年と最近よく耳にする。

我が家のあれから10年は年末12月30日に、一泊で娘家族達と食事会をすることであり、これも10年経った。
ここでいうあれから10年は，無論東北を襲った地震による津波被害からの事である。
震災から10年たち、忘れたい人忘れてはいけない人とに分かれている。忘れたいのではなく悲惨な過去を思い
出したくないというのが正しいのであろう。

当事者以外からは、確かに記憶が薄れてきているようである。むろん一部の少数派であろうが。
忘れたいと言う人も、忘れんが為に当時震災にあった遺構を見たくないから解体撤去して欲しい、忘れてほし
くない人は遺構が残るからこそ、記憶を新たにし忘れないのだと。

両者の言い分は非常に良くわかる。
住民大会を開き多くの意見を聴きとったり、住民調査も行い、結果として取り壊しと決定した市民ホールの
外壁タイルの一部をもらい受けていた女性の姿をカメラが追っていた。

彼女は娘と息子を役所の職員として、その日も住民避難に努めたりしていたらしい。
娘さんは住民と非難した
そのホールで津波に巻き込まれ、息子さんは住民の避難誘導中に巻き込まれて亡くなったと。
避難指定の市民ホールにしても過去に１ｍとは言え津波被害を受けていたらいい。
そこに避難場所としてホールを作ったのは間違っていたのではないかと、又役所の再建にしても今回津波被害
にあった場所に、再び建設するのは如何なものかと再考に戻されるも、４階建てから７階建てに計画変更して
決定に至ったと報道されていたが、二人の子を失った方に失意が見られたのは自分一人ではないだろう。

私の住む所も行政から、各戸に防災マップが配布されたが、番組の中で役所の防災担当者として34年勤務し、
地元の防災マップを作成するにあたり、過去100年間の津波、地震などの自然災害を調査し地元住民と検討し
て作り地元民に配布したと。

その地域には100年間に、最高潮位5.5ｍの津波被害が記録されていたが、今回マップに避難場所と指定された
箇所は13.5ｍの高台にあるから皆大丈夫だろうとそこに避難。

しかし、１５メートルを超える津波はあざ笑うかのように其処を襲ったのである。当然の事ながら指定された
避難場所に避難した多くの人は市民ホールに避難した人と同じように殆ど死んだと報道されていた。
こうなると自然を甘く見た人災になる。しかし、みな想定外の津波であったからと自身を慰めた。

34年防災担当として役所勤めていた彼は、定年を前にして役所を辞し、全国の防災担当者の集まりに出席して
【自然には想定外はないぞ】と話していると放送は終わった。
番組中、彼の話で高知県のある市町村では34ｍの高波に対応すべく、施設を作り誘導路も住民全参加で手入れ
をし、防災訓練に目覚めたと。

戦争は、戦後〇〇年という表現で表しているが、災害は再び起こるから、次に起こり得る災害の間、災間と
表現してもらいたいとも言っていた。

絶対大丈夫だと言われてきた原子力発電所、高さ10メートルの防波堤を延々と建設し〇〇の長城と安心してい
た町、全て人間のおごりのゆるみを突き破ってきた。
そして被害にあい、実害が生じるとみな異口同音に同じセリフ「想定外でした」と。

海底の底であった貝殻の堆積層が、4000ｍを超える山中で発見されているではないか。
元は一つの大陸であったものが５大陸になったではないか。
今また何万年の後か判らぬが、アフリカが二つに分かれようと、深い峡谷が発展しているではないか。
そんな事実を見れば、自然を推し量って動こうなんぞと、おこがまし過ぎるのではないか。
又このような災害は必ず近い将来、我々を襲ってくるということである。

原子力発電所は活断層の上でないから大丈夫だなんておかしいにも程がある。
この大陸事態、みな大きな活断層の上に載っていると言っても過言ではないだろう。

自然に対して想定外などないのである。