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2021年05月20日
今日の東京の感染状況
なぜ、ワクチンは痛いのか 〜化粧品アレルギーに注意、体調不良は回避を〜
5月に入り、国内では高齢者の新型コロナワクチンの接種が始まっています。医療従事者の接種は2月から行われていますが、接種を受けた人からは「痛かった」「熱が出た」などの訴えも数多く聞こえます。現在、日本で使われているファイザー社のmRNAワクチンは効果が高い一方で、軽度な副反応の頻度も高いようです。そこで、こうした副反応がなぜ起こるのか、また、それにどう対処したらいいかを解説しましょう。
◇新しい技術で開発されたワクチン
近代的なワクチンは英国のジェンナーによって1796年に開発されました。彼は天然痘のワクチンとして牛痘に注目し、この病気にかかった牛の膿汁を健康な人に接種したところ、天然痘の予防に成功したのです。これが生ワクチンの始まりでした。
19世紀になると感染症の病原体が次々と発見され、病原体を殺して接種する不活化ワクチンという技術が考案されます。その最初の成功例が、1885年にフランスのパスツールが開発した狂犬病ワクチンでした。
その後、20世紀には数多くの生ワクチンや不活化ワクチンが開発され、多くの感染症が撲滅されていきます。そして、今回の新型コロナウイルスのワクチン開発に当たっては、今までとは全く別のmRNAワクチンという技術が用いられました。すなわち、約100年ぶりに新しい技術で開発されたワクチンなのです。
◇ウイルスの遺伝子を接種する
mRNAワクチンは新型コロナウイルスの遺伝子を接種して、ヒトの体内でウイルス抗原を製造する方法が取られます。具体的には、腕に接種された遺伝子が、接種部位の筋肉細胞でウイルス抗原を作ります。この抗原が筋肉細胞の表面に出てくると、免疫細胞がそれを異物として記憶します。免疫細胞が記憶状態になっていれば、次に新型コロナウイルスが侵入しても、直ちにウイルスを排除することができるのです。
遺伝子を接種すると聞くと「他の細胞にも影響しないか?」と心配する人もいるでしょうが、接種部位以外の遺伝子は体内からすぐに除去されます。また「遺伝子の入った筋肉細胞は大丈夫か?」という点も心配は要りません。筋肉細胞は一時的にウイルス抗原を表面に出しますが、間もなく抗原は消失し、筋肉細胞も接種前の状態に戻ります。
◇予防効果が高い理由
mRNAワクチンはファイザー社だけでなく米国のモデルナ社も製造しており、今後、日本では二つの製剤が流通することになります。この二つのワクチンは効果を及ぼす仕組みが基本的に同じであり、効果や副反応についても大きな違いはありません。また、いずれも3〜4週間隔で2回の接種(筋肉注射)が必要です。
二つのワクチンについては、90%以上という大変に高い発症予防効果が見られます。インフルエンザワクチン(不活化ワクチン)では34〜55%ですから、その倍近い効果があると言ってもいいでしょう。
では、なぜ、ここまで高い効果があるのか。私は、ウイルス抗原が体内で作られることにより、免疫細胞の記憶に十分な刺激が与えられるためと考えます。
◇アナフィラキシー、化粧品アレルギーの女性は注意
一方、副反応で重篤なものとしては、アナフィラキシーという重症のアレルギー反応がまれに起こります。この頻度は、国内でファイザー社のワクチン接種を開始してから、100万回で30〜40例とされています。インフルエンザワクチンの場合は100万回に5例ほどですから、それに比べると頻度は高いですが、ファイザー社の製剤でアナフィラキシーを起こした国内例は、ほとんどが回復しています。
アナフィラキシーの原因物質としては、ワクチンに含まれるポリエチレングリコールという脂質成分が想定されています。ワクチンの主成分であるmRNAは人体内で壊れやすいため、脂肪の膜に包んで接種します。この膜の成分の一つがポリエチレングリコールですが、下剤や化粧品に含まれていることがあります。このワクチンのアナフィラキシーは女性に多く、過去に化粧品アレルギーを起こしたことがある人は、注意をするようにしてください。
◇接種部位の痛みや発熱は高頻度
局所反応や発熱などの軽い副反応は、高頻度に起こります。
医療従事者の接種が開始された2〜3月に、約1万9000人の副反応調査が行われました。この調査によると、接種した部位(腕)の痛みは90%以上に起こり、接種翌日に強く見られました。また、発熱は1回目の接種後は3%と少なかったのですが、2回目の接種後は38%と高率で、こちらも接種翌日に多く見られました。こうした副反応は女性や、若い世代に多い傾向でした。なお、これらの副反応は接種後1週間ほどで軽快しています。
このように接種部位の痛みや発熱が頻繁に起こる理由はどこにあるのでしょうか。こうした症状が接種直後ではなく、接種翌日に強く出ることから、筋肉注射などによる直接の影響ではなく、免疫細胞が抗原を記憶する時点の反応によるものと考えられます。筋肉細胞で作られたウイルス抗原が免疫細胞を強く刺激することにより、高い予防効果が生じる一方で、それに伴って痛みや発熱などの副反応が起こるのでしょう。
◇体調が悪いと副反応起こしやすく
医療従事者への副反応調査では、接種後の鎮痛解熱剤の使用状況も調べています。それによると、接種を受けた人の13%がアセトアミノフェンなどの鎮痛解熱剤を服用していました。
このようにmRNAワクチンは、接種後に接種部位の痛みや発熱を起こしやすいため、症状が見られたら早めに鎮痛解熱剤を服用することをお勧めします。薬剤の服用により、ワクチンの効果が弱くなったり、副反応が悪くなったりすることはありません。
ただし、高齢で寝たきりの状態になっている人は注意してください。こうした人は、発熱により全身状態が悪化することがあるため、接種後に症状があれば医師の診察を受けることをお勧めします。また、接種前に体調が悪いと副反応を起こしやすくなるので、接種を延期することも検討してください。
日本で接種が始まっているmRNAワクチンは、100年ぶりに登場した新しい技術のワクチンです。効果は高く、このワクチンの接種を多くの人が受けることにより、新型コロナウイルスの流行が収束していくものと予想されます。その一方で、一定の割合で副反応も生じることから、その対策も十分に準備した上で、接種を受けるようにしましょう。(了)
(時事メディカルより引用)
体調万全な状態で打った方がよさそうですね🤔
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◇新しい技術で開発されたワクチン
近代的なワクチンは英国のジェンナーによって1796年に開発されました。彼は天然痘のワクチンとして牛痘に注目し、この病気にかかった牛の膿汁を健康な人に接種したところ、天然痘の予防に成功したのです。これが生ワクチンの始まりでした。
19世紀になると感染症の病原体が次々と発見され、病原体を殺して接種する不活化ワクチンという技術が考案されます。その最初の成功例が、1885年にフランスのパスツールが開発した狂犬病ワクチンでした。
その後、20世紀には数多くの生ワクチンや不活化ワクチンが開発され、多くの感染症が撲滅されていきます。そして、今回の新型コロナウイルスのワクチン開発に当たっては、今までとは全く別のmRNAワクチンという技術が用いられました。すなわち、約100年ぶりに新しい技術で開発されたワクチンなのです。
◇ウイルスの遺伝子を接種する
mRNAワクチンは新型コロナウイルスの遺伝子を接種して、ヒトの体内でウイルス抗原を製造する方法が取られます。具体的には、腕に接種された遺伝子が、接種部位の筋肉細胞でウイルス抗原を作ります。この抗原が筋肉細胞の表面に出てくると、免疫細胞がそれを異物として記憶します。免疫細胞が記憶状態になっていれば、次に新型コロナウイルスが侵入しても、直ちにウイルスを排除することができるのです。
遺伝子を接種すると聞くと「他の細胞にも影響しないか?」と心配する人もいるでしょうが、接種部位以外の遺伝子は体内からすぐに除去されます。また「遺伝子の入った筋肉細胞は大丈夫か?」という点も心配は要りません。筋肉細胞は一時的にウイルス抗原を表面に出しますが、間もなく抗原は消失し、筋肉細胞も接種前の状態に戻ります。
◇予防効果が高い理由
mRNAワクチンはファイザー社だけでなく米国のモデルナ社も製造しており、今後、日本では二つの製剤が流通することになります。この二つのワクチンは効果を及ぼす仕組みが基本的に同じであり、効果や副反応についても大きな違いはありません。また、いずれも3〜4週間隔で2回の接種(筋肉注射)が必要です。
二つのワクチンについては、90%以上という大変に高い発症予防効果が見られます。インフルエンザワクチン(不活化ワクチン)では34〜55%ですから、その倍近い効果があると言ってもいいでしょう。
では、なぜ、ここまで高い効果があるのか。私は、ウイルス抗原が体内で作られることにより、免疫細胞の記憶に十分な刺激が与えられるためと考えます。
◇アナフィラキシー、化粧品アレルギーの女性は注意
一方、副反応で重篤なものとしては、アナフィラキシーという重症のアレルギー反応がまれに起こります。この頻度は、国内でファイザー社のワクチン接種を開始してから、100万回で30〜40例とされています。インフルエンザワクチンの場合は100万回に5例ほどですから、それに比べると頻度は高いですが、ファイザー社の製剤でアナフィラキシーを起こした国内例は、ほとんどが回復しています。
アナフィラキシーの原因物質としては、ワクチンに含まれるポリエチレングリコールという脂質成分が想定されています。ワクチンの主成分であるmRNAは人体内で壊れやすいため、脂肪の膜に包んで接種します。この膜の成分の一つがポリエチレングリコールですが、下剤や化粧品に含まれていることがあります。このワクチンのアナフィラキシーは女性に多く、過去に化粧品アレルギーを起こしたことがある人は、注意をするようにしてください。
◇接種部位の痛みや発熱は高頻度
局所反応や発熱などの軽い副反応は、高頻度に起こります。
医療従事者の接種が開始された2〜3月に、約1万9000人の副反応調査が行われました。この調査によると、接種した部位(腕)の痛みは90%以上に起こり、接種翌日に強く見られました。また、発熱は1回目の接種後は3%と少なかったのですが、2回目の接種後は38%と高率で、こちらも接種翌日に多く見られました。こうした副反応は女性や、若い世代に多い傾向でした。なお、これらの副反応は接種後1週間ほどで軽快しています。
このように接種部位の痛みや発熱が頻繁に起こる理由はどこにあるのでしょうか。こうした症状が接種直後ではなく、接種翌日に強く出ることから、筋肉注射などによる直接の影響ではなく、免疫細胞が抗原を記憶する時点の反応によるものと考えられます。筋肉細胞で作られたウイルス抗原が免疫細胞を強く刺激することにより、高い予防効果が生じる一方で、それに伴って痛みや発熱などの副反応が起こるのでしょう。
◇体調が悪いと副反応起こしやすく
医療従事者への副反応調査では、接種後の鎮痛解熱剤の使用状況も調べています。それによると、接種を受けた人の13%がアセトアミノフェンなどの鎮痛解熱剤を服用していました。
このようにmRNAワクチンは、接種後に接種部位の痛みや発熱を起こしやすいため、症状が見られたら早めに鎮痛解熱剤を服用することをお勧めします。薬剤の服用により、ワクチンの効果が弱くなったり、副反応が悪くなったりすることはありません。
ただし、高齢で寝たきりの状態になっている人は注意してください。こうした人は、発熱により全身状態が悪化することがあるため、接種後に症状があれば医師の診察を受けることをお勧めします。また、接種前に体調が悪いと副反応を起こしやすくなるので、接種を延期することも検討してください。
日本で接種が始まっているmRNAワクチンは、100年ぶりに登場した新しい技術のワクチンです。効果は高く、このワクチンの接種を多くの人が受けることにより、新型コロナウイルスの流行が収束していくものと予想されます。その一方で、一定の割合で副反応も生じることから、その対策も十分に準備した上で、接種を受けるようにしましょう。(了)
(時事メディカルより引用)
体調万全な状態で打った方がよさそうですね🤔
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コロナ禍で増殖する「闇ウーバーイーツ配達員」の悲しい実態
コロナ禍でフードデリバリーの利用が当たり前になったいま、街中で外国人配達員の姿を見かけることも増えた。そんななか、ウーバーイーツを運営する『ウーバー・ジャパン』は、昨年末より外国人配達員に対するパスポートと在留カードの現物確認を開始した。
「昨年10月にベトナム国籍の男女4人が出入国管理法違反の疑いで逮捕されました。彼らはビザの在留期限が切れたまま、配達員として働いており、チェックの甘さが指摘されていました」(全国紙社会部記者)
この『ウーバー・ジャパン』の対応により、コロナ禍以来相次いでいた外国人配達員の不法就労問題に終止符が打たれた――はずだった。
「今年の2月から約2ヵ月間、土日に一日9時間働いていました。違法だと知っていましたが、母国に住む家族に仕送りをするためだと割り切っていた」
そう話すのは、茨城県内の工場に技能実習生として派遣されているベトナム人女性・ヒエンさん(仮名)だ。技能実習生の無届の副業は入管法で禁止されている。しかし、ヒエンさんは過去にウーバーイーツ配達員として働いていたという。
「これまではベトナム料理店で隠れてバイトしていました。でも、コロナで店の売り上げが下がり、クビになってしまった。そこで、友人からウーバーイーツの”闇バイト”を紹介してもらったんです」
前述のように、昨年末以降、就労資格を持たない外国人がウーバーイーツで働くことは不可能になっている。ではなぜ、ヒエンさんは配達員として働くことができたのか。彼女がその仕組みを説明する。
「すべて”オンチュ”(ベトナム語で『ボス』の意味)のおかげなんです。オンチュは池袋に住む30代のベトナム人男性で、なぜかウーバーイーツの配達員用アカウントが登録されたスマホを20台も持っていました。私は毎回、池袋の事務所に通い、スマホを1台借りて土日の午前11時から夜8時まで働いていた。
自転車や配達用バッグも貸してくれるので、自分では何も用意する必要がありませんでした。売り上げは一日1万円ほど。うち4割の手数料を引いた額を、毎回オンチュから現金でもらっていました。交通費を引くと、残りは4000円ほどでした」
4割のピンハネは高すぎるようだが、ヒエンさんは「ベトナムの平均月収が約3万円なので、4000円は大金。技能実習生の給料は月10万円ほどで、これだけでは仕送りができない。このバイトのおかげで何とか家族を養えた」と語る。
なお、ヒエンさんが住む茨城県から池袋までは往復4時間。無理な生活で体調を崩した彼女は、今ではオンチュの元を離れているという。
筆者は通訳の協力のもと、就労資格のない在日ベトナム人を装い、投稿者とやり取りを開始。初めに配達員アカウント発行のための手順を尋ねると、「まずは顔写真を送れ」という。そうすれば、筆者の顔写真と別人の個人情報とを組み合わせてアカウントを発行するとのこと。
料金は21万円で、初期費用として3万円、その後は一週間ごとに3万円ずつ支払う分割払い。筆者が「警察にバレることはないのか」と尋ねると、「まったく問題ない。1000%保証する」との返信があった。だが、その根拠について投稿者が語ることはなかった。
外国人の不法就労により、ウーバーイーツ利用者にも影響が及んでいる。台東区在住の20代の日本人女性は、筆者の取材にこう語る。
「在宅ワークなので、ランチにはいつもウーバーイーツを利用します。スマホで注文をすると、アプリ上に担当配達員の顔写真が表示されますが、実際に配達に来た人の顔を見ると、写真と別人なこともしょっちゅうです。そんな人に限って、日本語がほとんど通じません。配達先がわからないと電話をかけてきたのでルートを説明したのですが、全然理解してもらえず、結局商品が届かなかったこともありました」
もちろん不法就労は違法だ。“オンチュ”のように同胞を利用する外国人への取り締まりも強化するべきだろう。だが一方で、不法就労しなくてはならない状況に外国人を追い込んだ行政の対応にも問題があるのではないか。技能実習生への支援活動などを行うNPO法人『POSSE』の代表・今野晴貴氏は、外国人労働者に対する制度上の問題をこう指摘する。
「失業したり勤務シフトを削減された外国人労働者の権利が日本で極めて脆弱であることが問題です。通常、たとえば就労目的で来日した外国人が失業した場合、3ヵ月以内に新たな仕事を見つけなければ在留資格が取り消されてしまう可能性があります。
コロナ禍のいま、政府は会社都合で失業している外国人に在留資格の延長などの特例措置を講じていますが、会社が証明書を発行しないなどでその証明ができない場合は対象とならず、不安定な状況に置かれてしまいます。国や自治体は、彼らが働ける環境を整備するべきです」
本誌は『ウーバー・ジャパン』に、配達員アカウントの売買や貸与が横行している事実を認識しているか確認した。
すると、「調査中につきお答えは差し控えさせていただきます。なおUber では、就労資格をお持ちの外国籍の方が、外国籍であることを理由に就労の機会を奪われることはあってはならないと考えております。同時に、いずれのプラットフォーム利用者様にとっても安心してご利用いただけるためには、法令を含むルールを遵守していただかなければなりません。
プラットフォームをご利用される配達パートナーの皆様に法令遵守を徹底いただけるよう、今般、日本国籍を保持していない配達パートナーの登録に係る手続きを改定しました。同時に、なりすましを含めプラットフォームの不正利用を防ぐ措置も強化しております。措置の具体的な内容については、実効性を損なう恐れがありますため公表しておりません」との回答があった。
不法就労外国人を取り締まるだけではなく、根本的な問題解決に取り組む段階に差し掛かっているのではないか。
取材・文:奥窪優木
FRIDAYデジタル(Yahoo!ニュースより引用)
ウーバーの配達員さんも大変なんですね🤔
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「昨年10月にベトナム国籍の男女4人が出入国管理法違反の疑いで逮捕されました。彼らはビザの在留期限が切れたまま、配達員として働いており、チェックの甘さが指摘されていました」(全国紙社会部記者)
この『ウーバー・ジャパン』の対応により、コロナ禍以来相次いでいた外国人配達員の不法就労問題に終止符が打たれた――はずだった。
「今年の2月から約2ヵ月間、土日に一日9時間働いていました。違法だと知っていましたが、母国に住む家族に仕送りをするためだと割り切っていた」
そう話すのは、茨城県内の工場に技能実習生として派遣されているベトナム人女性・ヒエンさん(仮名)だ。技能実習生の無届の副業は入管法で禁止されている。しかし、ヒエンさんは過去にウーバーイーツ配達員として働いていたという。
「これまではベトナム料理店で隠れてバイトしていました。でも、コロナで店の売り上げが下がり、クビになってしまった。そこで、友人からウーバーイーツの”闇バイト”を紹介してもらったんです」
前述のように、昨年末以降、就労資格を持たない外国人がウーバーイーツで働くことは不可能になっている。ではなぜ、ヒエンさんは配達員として働くことができたのか。彼女がその仕組みを説明する。
「すべて”オンチュ”(ベトナム語で『ボス』の意味)のおかげなんです。オンチュは池袋に住む30代のベトナム人男性で、なぜかウーバーイーツの配達員用アカウントが登録されたスマホを20台も持っていました。私は毎回、池袋の事務所に通い、スマホを1台借りて土日の午前11時から夜8時まで働いていた。
自転車や配達用バッグも貸してくれるので、自分では何も用意する必要がありませんでした。売り上げは一日1万円ほど。うち4割の手数料を引いた額を、毎回オンチュから現金でもらっていました。交通費を引くと、残りは4000円ほどでした」
4割のピンハネは高すぎるようだが、ヒエンさんは「ベトナムの平均月収が約3万円なので、4000円は大金。技能実習生の給料は月10万円ほどで、これだけでは仕送りができない。このバイトのおかげで何とか家族を養えた」と語る。
なお、ヒエンさんが住む茨城県から池袋までは往復4時間。無理な生活で体調を崩した彼女は、今ではオンチュの元を離れているという。
筆者は通訳の協力のもと、就労資格のない在日ベトナム人を装い、投稿者とやり取りを開始。初めに配達員アカウント発行のための手順を尋ねると、「まずは顔写真を送れ」という。そうすれば、筆者の顔写真と別人の個人情報とを組み合わせてアカウントを発行するとのこと。
料金は21万円で、初期費用として3万円、その後は一週間ごとに3万円ずつ支払う分割払い。筆者が「警察にバレることはないのか」と尋ねると、「まったく問題ない。1000%保証する」との返信があった。だが、その根拠について投稿者が語ることはなかった。
外国人の不法就労により、ウーバーイーツ利用者にも影響が及んでいる。台東区在住の20代の日本人女性は、筆者の取材にこう語る。
「在宅ワークなので、ランチにはいつもウーバーイーツを利用します。スマホで注文をすると、アプリ上に担当配達員の顔写真が表示されますが、実際に配達に来た人の顔を見ると、写真と別人なこともしょっちゅうです。そんな人に限って、日本語がほとんど通じません。配達先がわからないと電話をかけてきたのでルートを説明したのですが、全然理解してもらえず、結局商品が届かなかったこともありました」
もちろん不法就労は違法だ。“オンチュ”のように同胞を利用する外国人への取り締まりも強化するべきだろう。だが一方で、不法就労しなくてはならない状況に外国人を追い込んだ行政の対応にも問題があるのではないか。技能実習生への支援活動などを行うNPO法人『POSSE』の代表・今野晴貴氏は、外国人労働者に対する制度上の問題をこう指摘する。
「失業したり勤務シフトを削減された外国人労働者の権利が日本で極めて脆弱であることが問題です。通常、たとえば就労目的で来日した外国人が失業した場合、3ヵ月以内に新たな仕事を見つけなければ在留資格が取り消されてしまう可能性があります。
コロナ禍のいま、政府は会社都合で失業している外国人に在留資格の延長などの特例措置を講じていますが、会社が証明書を発行しないなどでその証明ができない場合は対象とならず、不安定な状況に置かれてしまいます。国や自治体は、彼らが働ける環境を整備するべきです」
本誌は『ウーバー・ジャパン』に、配達員アカウントの売買や貸与が横行している事実を認識しているか確認した。
すると、「調査中につきお答えは差し控えさせていただきます。なおUber では、就労資格をお持ちの外国籍の方が、外国籍であることを理由に就労の機会を奪われることはあってはならないと考えております。同時に、いずれのプラットフォーム利用者様にとっても安心してご利用いただけるためには、法令を含むルールを遵守していただかなければなりません。
プラットフォームをご利用される配達パートナーの皆様に法令遵守を徹底いただけるよう、今般、日本国籍を保持していない配達パートナーの登録に係る手続きを改定しました。同時に、なりすましを含めプラットフォームの不正利用を防ぐ措置も強化しております。措置の具体的な内容については、実効性を損なう恐れがありますため公表しておりません」との回答があった。
不法就労外国人を取り締まるだけではなく、根本的な問題解決に取り組む段階に差し掛かっているのではないか。
取材・文:奥窪優木
FRIDAYデジタル(Yahoo!ニュースより引用)
ウーバーの配達員さんも大変なんですね🤔
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