2013年09月15日
264. 是枝裕和 ブルーライトヨコハマ・福山雅治・くるり 「サワコの朝」
最新作「そして父になる」がカンヌ映画祭審査員賞を受賞しました。
是枝監督、もとはテレビマンだったそうです。いわゆるAD。ADは現場を明るくしないといけないのだそうですが、「暗いわ、テンション低いわ、声小さいわ、気が利かないわ」だったとか。
「なんでその人がテレビ会社に入ったんでしょう?」とアガワさん。
「失敗したなと思ったんですよね、入ってすぐ」
記憶の中で今もきらめく曲
歌謡曲です。いしだあゆみさんの「ブルー・ライト・ヨコハマ」。
ああ、私(よしろう)も子どものころ、この歌が大好きでした。
「家でこの歌がかかっている風景を覚えていて…『なんてオシャレなんだろう』と思って…。東京だけど練馬という、工場と畑に囲まれていて…」
「練馬大根と呼ばれた…」とアガワさん。
「都会的な雰囲気に魅かれて…」
歌詞の中で印象敵なのが「歩いても歩いても、小舟のように…」という一節ですが、是枝監督の作品「歩いても歩いても」は、1965年の、この歌が流行ったころの監督家族のある1日を題材としようとしたそうです。
「結果的には全然違うタイプの映画になりましたが…タイトルだけ残ったので…」
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映画製作について
是枝監督は原作物はやらず、原案・脚本から作る主義。ですから、これまでに撮った映画が9本と、どうしても寡作になってしまいます。「これ以上のスピードアップはできない」
今回の映画(そして父になる)は、福山さんから「何かご一緒できないですか?」というオファーがあったのだとか。
「直接ご指名があったんですか?」とアガワさん。「何もないのに?」
「何も…会ったこともない…俺?と思いました」
福山さんはいわゆる「福山雅治主演」という作品ではなく、映画の「作品世界の住人」になるような形で映画に出たかったそうなのです。
「(福山さんは)どっから撮ってもカッコいいので…」と是枝監督が言うと、
「やんなっちゃう?」とアガワさん。
「カッコよさを生かしながらヤな役を…」
「はあ…ちょっと復讐的な気持ちですか?」
「いいえ!」(笑)「(それまでの作品で)見たこともない福山さんを撮らないと、と思ったので」
是枝さんは4つの企画を提示。福山さんが選んだのが「そして父になる」でした。
「キャスティングが映画の8割を占めるって?」とアガワさん。
「8割5分くらい…」
粗筋が出来たら役者を決め、そのイメージで脚本を書くそうです。
「キャスティングですねえ、やっぱりね…」と是枝監督。
「どこで見つけるんですか?」
「テレビの深夜番組…バラエティ番組とか見てて…」
そうやって「発見」したのが阿部寛さんやYOUさんです。
「『この人いいぞ』と思ってハマったときほど気持ちのいいものはない」と是枝監督。
「そして父になる」
子どもの取り違え事件は昭和30年代、40年代に頻発しました。足の裏にマジックで名前を書く、という方法のため、沐浴すると名前が消えていた、という事情があったようなのです。
「自分の子どもではない」と分かるのがだいたい5歳くらいになってから。
「母親は育てた子、父親は実の子を希望して、妻を説得」ということがほとんどだったとか。
いろいろ調べ、キャスティングを決め、作られた映画がカンヌで好評を博しました。
今年のカンヌ映画祭ではスティーヴン・スピルバーグが審査委員長でしたが、「この作品を見たときから、何らかの賞を与えたいと思っていました」と言われたそうです。スピルバーグは是枝監督が尊敬する監督の一人です。
「座ってスピルバーグに名前を呼ばれたときに、こんなに嬉しいもんだと実感できました」
「カンヌの魅力とは?」
「映画と映画に関わる人間たちが祝福されている場所と時間なんです。あの2週間、映画を作っていることが誇りに思える、いろんな国の人たちとつながれる…」
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子役の演技
是枝監督、子役には台本を渡さず、言ってほしいセリフを耳元で囁くのだとか。台本を覚えるというプレッシャーをかけないで演じてほしいという思いからです。
だから「子どもの演技に対応できない役者とは仕事をしたくない」とも。
「頼りになるのはYOUさん。反射神経だけの人なので…。すごいです!反射神経は」「その子の持っているものを引き出したいんです」
「文部科学大臣になったほうがいいのでは?」とアガワさん。
「奇跡」のオーディションのとき、こんなことがあったそうです。
子どもたちだけで新幹線を見に行くという設定。持っているのは地図1枚。1人が「行きたくない」と言って、他の子がそれを引きとめるという場面。
「その中で一人、後ろを振り返った子がいたんです。会議室なのに…。自分の歩いてきた道が見えたんですね。ドキッとした。会議室の中で彼には道が見えた…。」
妄想が創作の原点
小学1、2年のときの先生が是枝監督は大好きだったそうです。
国語で本を読み、「帰りの会」のときに、「みんな目をつぶって」と先生。そしてオルガンで伴奏しながら、物語の続きを先生は語るのです。登場人物に生徒の名前を織り込んで…。
「夜寝るとき、自分の中で広がるんです…。『帰りの会』がとても好きだった。ぼくの中で宝物…」
「今心に響く曲」は
「奇跡」くるり
映画「奇跡」の主題歌。くるりが歌っています。
「岸田くんは電車好きで有名…『よし、くるりだ!』」
これからも小さい「家族の物語」を映画にしていきたいと言う是枝監督でした。
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私は「くるり」の大ファンで、ほぼ毎年くるり主催の「京都音楽博覧会(京都音博)」というライブに行っています。
その「京都音博」の昨年のオープニングアクトが木村カエラ、そして「私の一番好きな歌です!」と言ってくるりとセッションしたのが「奇跡」!素晴らしいセッションでした。
今年も今度の日曜日、「京都音博」に行きます。若くないので暑さ対策をしっかりして出かけます。今年のゲストは奥田民生やリップスライム…。楽しみだなあ。
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