◆AliasAche:エイリアスエイク 紹介/感想
マルチクリエイターのterunonさんがRPGツクールMVで制作したAAシリーズ※の一作目「AliasAche:エイリアスエイク」。
「AlteredArcs:オルタードアークス」「AA2.5:願いの塔と呪われし家内」から入った方も、これからの方も楽しめるように魅力をご紹介できればと思います。
※AAシリーズ……AliasAche、AlterdArcsのようにイニシャル「A」繋がりであることから(公式呼称)。
[作品紹介]
公式特設サイト
https://tri-nitroterunon37.wixsite.com/terunon/aliasache
紹介PV
[作者紹介]
terunonさん
WEBサイト:
https://tri-nitroterunon37.wixsite.com/terunon
Twitterアカウント:
https://twitter.com/trinitroterunon
[遊び方]
本作はパソコン(ダウンロード版/ブラウザ版)またはスマートフォン環境(ブラウザ版)でプレイすることができます。
公式webサイトからダウンロード版、ブラウザ版の公開ページへのリンクに進んでください。
https://tri-nitroterunon37.wixsite.com/terunon/aliasache
■AliasAche:エイリアスエイク(以下、エイリアスエイク)とは
絵描き、ボカロPの肩書きを持つ作者terunonさんがゲーム制作界隈で存在感を示すきっかけになった作品。
2016年1月に公開されて以降、様々なメディアで取り上げられていました。
・ニコニコ自作ゲームフェス2016「ボカロファンタジー賞」受賞
・Windows100%掲載2016年7月号掲載
・DeNA×KADOKAWA社協業案件「AndApp」掲載
登場したばかりのRPGツクールMV界隈に、自作イラスト、自作音楽、自作システムを持ち込んで機能させた作品。
作者さんのスキルとやりたいことがシンクロして、先の評価や面白さに繋がっているのだと思います。
■現代の「センター街」とファンタジー世界「魔境」を行き来する冒険譚
舞台は現代社会の設定が活きる海辺の街。
そこでは人々が往来するセンター街があり、失恋ロードと名付けられた悲恋の名所があり、『潮風の魔女』の都市伝説が噂されています。
対となるように存在するのが、人々の心が集まる場所――魔境。
魔境ではファンタジーなモンスターや精霊といった異世界のルールが用いられています。
基本となる話の軸は、記憶と心を失った主人公ノゾミが自分を探し、取り戻す物語。
物語を盛り上げるのは対立の要素。
センター街と魔境
記憶のない自分とかつての自分
取り戻すものと守ろうとするもの
変わらないものと変わっていくもの
文字面を追っても楽しめるし、見方を変え、考えを掘り下げると新しい魅力に発見できる。
そんな不思議と面白さが詰まった世界観です。
■人を選ばないゲームデザイン
本作はプレイヤーのゲーム習熟度やプレイスタイルにあわせて、選択肢やガイドが用意されています。
●プレイスタイル別、難易度調整
「ノーマル」「ライト」「フェニックス」の三種類から選択できる難易度。
難度だけではなく利点とのバランスも巧みに調整されています。
●プレイヤーを離脱させないチュートリアル
ゲーム共通の基礎知識〜独自要素に至るまで、必要なタイミングに応じて説明が入ります。
●描写の緩和
ストーリー上のとある描写は直前の選択肢によって緩和することができます。
Mother2のムーンサイドが苦手という方は『絶対無理!』がいいかも
物語を損ねないように突き「刺さる」部分を和らげてくれます
でも、オリジナルバージョンの描写は省略するには勿体ないので、個人的にはぜひ。
■論理的なテキスト、遊び心の溢れたテキスト
エイリアスエイクのテキストは「」の中に状況説明や、心理描写が無駄なくおさまっています。
敵の分析を兼ね、対処の助言
NPCも個がたっていて、さりげなく有用情報を伝えてくれます
またキャラクター別に書き分けている文章の癖もみどころ。
年長者のハルカさんは短文区切りでわかりやすいように話す傾向
クロロはがーっと喋る感が文量に
ノゾミさんは読点「、」でたどたどしい口調
遊び心も見え隠れしています。
辺境都市あるあるとは
理系作者あるある
装備品やアイテムの説明欄を読むのも楽しみの一つ。
テキストが読みたいがために捨てられなくて、もちもの欄を圧迫しています。
百聞は一見になので、ぜひ作中でご覧ください。
■耳に残るメロディーラインの良BGM
音楽もいいんです。とても。
軽快でジャジーなボス戦BGMの「うみ」
ポップなメロディがループするセンター街の「Happy,happy sugar drops」
疾走感&爽やかなメロディ、駐車場の魔境の「ハイディンガーの魔法の絵筆」
などなど……。
音楽の好みは、力説しすぎてもアレなので控えめにしますが、個人的にマストなBGMになってます。
気になった方は、ぜひオリジナル音源も聴いてみてください。
AliasAche:エイリアスエイク BGM集
http://www.nicovideo.jp/watch/sm29320561
■プレイガイド
ご覧になってプレイに移ってくださる方のためにプレイ環境の例を書いてみました。
●オススメプレイ環境
・やり込み派の方:パソコン環境+ダウンロード版+コントローラー+難易度:ノーマル
音、グラフィック、ゲーム性を存分に堪能したい方にオススメの環境です。
実況をする方は時間の尺を考慮してライト、フェニックスなど使い分けるといいですよ。
※環境によりコントローラーが認識しない場合は、F5キーで再起動してみてください
(この挙動はツクール、コントローラー側の仕様です)
・カジュアル派/初見プレイの方:パソコン環境+ダウンロード版+難易度:ライト
まずはゲームに触れてみようという方は、難易度をライトにしてみてください。
コントローラーがあれば尚良いですが、キーボードプレイでもクリアできます。
・最短でストーリーを追いかけたい方:難易度:フェニックス
死にません、クリアするまでは。的なプレイモード。
スマートフォン環境のみでプレイする方にもオススメ。
・Twitter連携によるリザルト投稿
ステージのリザルト内容(スコアが掲載されているもの)をTweet連携することが可能です。
制作者目線だと反響は本当にありがたいので、何気なくプッシュ。
■攻略
知っておくとプレイが楽になるポイントをまとめました。
壁にぶつかった時は参考にしてみてください。
●雑魚(コウモリ)シンボルを狙いうち
雑魚(コウモリ)シンボルは次の特徴があります。
・マップアクション)ファストブレードを当てればバトルなしで倒せる
・プレイヤーを追跡して来ない
毎回ステージ開始直後はLV1からはじまるため、雑魚シンボルだけを狙って進むだけでも楽になります。
またハルカさんから貰える「おべんとう」は経験値アップ効果もあるため、併用すると効果的です。
●クロロとの連携
操作キャラクターノゾミに対してAI(自動行動)でサポートしてくれるクロロ。
AIはとても高性能なので、バトルが長引いたり、やられてしまうという方は意識してみてください。
・回復時にはエンチャントライト
序盤はこれだけでも覚えておいてください。
最速で回復行動をとってくれるので、立て直しを図る際に役立ちます。
物語が進むとエンチャント〜系が解放されますので、どんどん新ステージで試してみるといいですよ。
●ボス戦限定スキルの主動作→【特殊】を活用
ボス戦には専用の【特殊】コマンドが用意されており、この法則を覚えておくとボス戦が安定します。
・使うタイミングはボスの大技モーションの前後
・大技技モーションを見せたら妨害したり、体制を立て直す手段として活用
駐車場の魔境のボス「サルヴァトール」戦
初見でヒントをこぼしてくれます
●行き詰ったらハルカさん
ゲーム上の進行や難易度で詰まったときは、ハルカさんに話しかけてみてください。
全滅した場合はステージの攻略法を教えてくれます。
●期間限定イベントの心の欠片探索
とある期間限定イベントの心の欠片探索は、画面左上のコンパスを頼りにしてみましょう。
方向と距離をあらわしてくれます。
●使い魔避けイベント
後半には、使い魔の視界に入らないようにしながら進む、ミニゲームがあります。
苦手な方はなかなかクリアできないかもしれません。
これ実はContinue(リトライ)を繰り返すと、使い魔の数が減り難易度が下がります。
根気ってすばらしい。
●装備品は定期的に見直し
ステージごとに拾える装備品のランクが変わります。
新しいステージをある程度探索したら、装備品を見直してみましょう。
性能が大きく上がる装備を拾っていたりします
●活力は50%以上をキープ
活力が50%未満になると回復量が落ちることから、難度が上がります。
50%以上:HP5%回復、MP10%回復
50%未満:HP3%回復、MP5%回復
活力は魔境フルーツなど果物系アイテムで回復できます。
ステージ後半でバテたらみかんを食べましょう。
●技法書を活用してキャラクター強化
オススメはノゾミのステータスアップです。
タフネス:最大HP+15%アップ
ポーションマスター:アイテム回復効果+50%アップ
武器習熟:物理攻撃力15%アップ
防御習熟:物理防御力15%アップ
スキルはこの二つを取ると安定するようになります。
ブラッドソード:HP吸収攻撃、回復と攻撃を兼ねます。個人的には取得最優先スキル
ヴォーパルブレード:終盤まで使える高火力スキルです
■最後に
エイリアスエイクは創意工夫に溢れていて、プレイする度に発見や楽しみ方に気付かされます。
それは見る角度、プレイしている時の感性によって発見ポイントが違うからなのでしょうね。
どこから見ても隙がなく作りこまれています。
今回書いたのはその気付きの一端でしかなく、これでも結構な文量を削っています。
全部書き出すなら、数記事に分けて考察編、攻略編(前/後編)としないと収まらないくらい。
コミック、小説、どのメディアにアウトプットされても輝くだろうなと思っています。
また今後のご活躍で、そういう展開になったらいいなと作品ファン的に願わずにはいられません。
と以上、2017年度版のエイリアスエイクさん紹介記事でした。
■おまけ
期間限定で読むことが出来るメッセージ。
オープニングの夜10時の家だけで読むことが出来るテキスト
とあるイベントで操作キャラがハルカさんの間だけ
スキルにメイクアップ持ち、アリアドネの糸という設定……芸の細かさがここに
2017年10月15日
2017年10月09日
バグハンター2 紹介/感想
◆バグハンター2 紹介/感想
現職SEの作者ミノ駆動さんが手掛けられたバグハンターシリーズの2作目『バグハンター2』。
1作目はRPGツクールMV、2作目はRPGツクールフェスで制作された作品です。
[作品紹介]
フォーラム紹介文
https://goo.gl/WPMJB6
Twitterモーメント
ツクールフェス コンテスト作品「バグハンター2」に関連するツイートや感想
https://twitter.com/i/moments/840915976216432641
[作者紹介]
ミノ駆動さん
ブログ:
http://minodriven.hatenablog.com/
Twitterアカウント:
https://twitter.com/MinoDriven
[遊び方]
Nitendo 3DS/2DSをお持ちの方は、無料ソフトRPGツクールフェスプレイヤーからダウンロードすることでプレイ可能です。
[ツクールフェスプレイヤーのダウンロード方法]
1.3DSホームから「ニンテンドーイーショップ」を起動
2.ソフトを「RPGツクール」で検索し「RPGツクールフェスプレイヤー」をダウンロード
[作品のダウンロードまで]
3.RPGツクール フェス プレイヤーを起動
4.「ゲームのダウンロード」⇒「作品IDで検索」⇒作品ID「19p9tb7m」を入力
今回ご紹介するのは2作目の『バグハンター2』の方。
プレイヤー、作者どちらの評価も高い良作RPG。
この記事が作品に触れるきっかけになったなら嬉しいです。
■バグハンター2とは
一言でいうとフレーバーテキストで遊び、ストーリーで考えさせられる現代RPGです。
ゲームの舞台は現代のカドカワ高校。入学したての高校一年生四人が織りなす青春グラフィティ。
いかがでしょうか。響き、かっこよくありませんか?
でも本当にカッコいいお話です。
少年週刊誌のような爽やかさと躍動感あり、社会派さながらの考える場面あり、IT業界必笑なユーモアあり、各種取り揃えていらっしゃいます。
2017年現在、トレンド真っ盛りのテクノロジー「AI」「VR」「AR」が登場するので、ソフト、プログラミングに明るい方はフレーバーテキストを存分に楽しめること間違いなしです。
■学校探索、定点ならではの面白さ
ゲーム研究部を拠点に繰り広げられるステージクリア型。
大きく景色は変わらない代わりに、定点でNPCの会話や人間関係の変化を見る楽しみがあります。
始めは迷う校内も、プレイを進めるうちに覚えていきます。
また覚えやすいようになのか、各方角に印象的な台詞が用意されたNPCがいるのも特徴。
つまりNPCがランドマーク。
これは本作ならではの魅力ですね。
ぜひ迷いながら覚えてください。
■現代舞台を活かしたユニークな設定
●VR(仮想現実)ショップ
買い物ができるエリア。
ストーリー進行にあわせてショップLVが解放されます。
●アイテム名と説明文
有給休暇で蘇生します。しかも安い。
各アイテムの説明文も必見です。
●敵の名前
倒すべき敵はバグ。
その名前も「冗長なコメント」「タイプミス」など目に耳に痛い方もいるのでは。
プログラミング畑の方なら、戦闘前の一言と各キャラクターのやりとりも楽しめます。
■名言/迷言/格言が散りばめられたテキスト
テキストの元となるアイディアは想像と経験の組み合わせ、というのが私の考え。
『バグハンター2』は作者さんの経験から生まれた(と思われる)テキストが光っています。
諭すような場面
耳が痛い方、いませんか
作者さんの地っぽい台詞、好きです
遊びすぎですね
「いいこと言った」感が決まった瞬間
本作で一番痺れた言い回し
■RPGとして
RPGとして見ると、プレイ感を重視したバランス調整がされていて、理不尽に行き詰ることはありません。
バトルバランスは戦闘回数からレベルアップタイミングをワークシートで計算されていました。
(それでもなおバージョンアップで調整を加えるきめ細かさ)
ストーリー運びは、各キャラクターの設定とリンクした問題に対して、解決する見せ場が丁寧に描かれています。
抜け落ち感、置いてけぼり感は皆無。
そして冒頭から伸びているストーリーラインは、終盤で綺麗に収束しています。
予想をさせながらも、絶妙に外させる展開。
ぜひエンディングまで遊び進めてみてください。
(私のクリア時間は4時間半。目安のご参考になれば!)
■最後に
クリア後にふりかえると本作はプレイヤーさんにとって、上質な娯楽だったり、気付きを与えてくれたり、励ましになる、そんな可能性を感じる作品です。
現実にありそうな問題を投げかける場合でも一足飛びに結論を出さず、考える間をプレイヤーに与える展開は作者さんのポリシーを強く感じ取りました。
そしてここぞという掴みの台詞では、作者さん自身の言葉があらわれている気がします。
ここまで書いていて思ったのは、最近読んだ糸井重里さんのこの記事。
『MOTHER』の気持ち。「それがないと、 最後までつくれなかった。」
https://www.1101.com/MOTHER/02.html
この記事で糸井重里さんはお子さんに向けたメッセージを作品内に込められていて、「それがないと、最後までつくれなかった」と書いています。
バグハンター2も同じニュアンスを内包していて、このメッセージはもしかしたらお子様やお子様と同じ世代の子供に向けたものではと、思う瞬間がいくつもありました。
プラットフォームとして、RPGツクールフェスを選択した理由の一つかもしれませんね。
エンドロールで流れるクレジットを眺めて、つくづく心温まる作品だと感じました。
作風と作者さんのキャラクターが一貫している作品なので、これを読んで共感する点が多い方はぜひ遊んでみてください。
そしてぜひ感想を作者さんへ届けて頂ければ、私としても嬉しいかぎりです。
2017年10月現在のお話によると、作者さんはRPGツクールMVで『バグハンター2』の移植を計画されているそうです。
こちらもお楽しみに。
作品はこちら
現職SEの作者ミノ駆動さんが手掛けられたバグハンターシリーズの2作目『バグハンター2』。
1作目はRPGツクールMV、2作目はRPGツクールフェスで制作された作品です。
[作品紹介]
フォーラム紹介文
https://goo.gl/WPMJB6
Twitterモーメント
ツクールフェス コンテスト作品「バグハンター2」に関連するツイートや感想
https://twitter.com/i/moments/840915976216432641
[作者紹介]
ミノ駆動さん
ブログ:
http://minodriven.hatenablog.com/
Twitterアカウント:
https://twitter.com/MinoDriven
[遊び方]
Nitendo 3DS/2DSをお持ちの方は、無料ソフトRPGツクールフェスプレイヤーからダウンロードすることでプレイ可能です。
[ツクールフェスプレイヤーのダウンロード方法]
1.3DSホームから「ニンテンドーイーショップ」を起動
2.ソフトを「RPGツクール」で検索し「RPGツクールフェスプレイヤー」をダウンロード
[作品のダウンロードまで]
3.RPGツクール フェス プレイヤーを起動
4.「ゲームのダウンロード」⇒「作品IDで検索」⇒作品ID「19p9tb7m」を入力
今回ご紹介するのは2作目の『バグハンター2』の方。
プレイヤー、作者どちらの評価も高い良作RPG。
この記事が作品に触れるきっかけになったなら嬉しいです。
■バグハンター2とは
一言でいうとフレーバーテキストで遊び、ストーリーで考えさせられる現代RPGです。
ゲームの舞台は現代のカドカワ高校。入学したての高校一年生四人が織りなす青春グラフィティ。
いかがでしょうか。響き、かっこよくありませんか?
でも本当にカッコいいお話です。
少年週刊誌のような爽やかさと躍動感あり、社会派さながらの考える場面あり、IT業界必笑なユーモアあり、各種取り揃えていらっしゃいます。
2017年現在、トレンド真っ盛りのテクノロジー「AI」「VR」「AR」が登場するので、ソフト、プログラミングに明るい方はフレーバーテキストを存分に楽しめること間違いなしです。
■学校探索、定点ならではの面白さ
ゲーム研究部を拠点に繰り広げられるステージクリア型。
大きく景色は変わらない代わりに、定点でNPCの会話や人間関係の変化を見る楽しみがあります。
始めは迷う校内も、プレイを進めるうちに覚えていきます。
また覚えやすいようになのか、各方角に印象的な台詞が用意されたNPCがいるのも特徴。
つまりNPCがランドマーク。
これは本作ならではの魅力ですね。
ぜひ迷いながら覚えてください。
■現代舞台を活かしたユニークな設定
●VR(仮想現実)ショップ
買い物ができるエリア。
ストーリー進行にあわせてショップLVが解放されます。
●アイテム名と説明文
有給休暇で蘇生します。しかも安い。
各アイテムの説明文も必見です。
●敵の名前
倒すべき敵はバグ。
その名前も「冗長なコメント」「タイプミス」など目に耳に痛い方もいるのでは。
プログラミング畑の方なら、戦闘前の一言と各キャラクターのやりとりも楽しめます。
■名言/迷言/格言が散りばめられたテキスト
テキストの元となるアイディアは想像と経験の組み合わせ、というのが私の考え。
『バグハンター2』は作者さんの経験から生まれた(と思われる)テキストが光っています。
諭すような場面
耳が痛い方、いませんか
作者さんの地っぽい台詞、好きです
遊びすぎですね
「いいこと言った」感が決まった瞬間
本作で一番痺れた言い回し
■RPGとして
RPGとして見ると、プレイ感を重視したバランス調整がされていて、理不尽に行き詰ることはありません。
バトルバランスは戦闘回数からレベルアップタイミングをワークシートで計算されていました。
(それでもなおバージョンアップで調整を加えるきめ細かさ)
ストーリー運びは、各キャラクターの設定とリンクした問題に対して、解決する見せ場が丁寧に描かれています。
抜け落ち感、置いてけぼり感は皆無。
そして冒頭から伸びているストーリーラインは、終盤で綺麗に収束しています。
予想をさせながらも、絶妙に外させる展開。
ぜひエンディングまで遊び進めてみてください。
(私のクリア時間は4時間半。目安のご参考になれば!)
■最後に
クリア後にふりかえると本作はプレイヤーさんにとって、上質な娯楽だったり、気付きを与えてくれたり、励ましになる、そんな可能性を感じる作品です。
現実にありそうな問題を投げかける場合でも一足飛びに結論を出さず、考える間をプレイヤーに与える展開は作者さんのポリシーを強く感じ取りました。
そしてここぞという掴みの台詞では、作者さん自身の言葉があらわれている気がします。
ここまで書いていて思ったのは、最近読んだ糸井重里さんのこの記事。
『MOTHER』の気持ち。「それがないと、 最後までつくれなかった。」
https://www.1101.com/MOTHER/02.html
この記事で糸井重里さんはお子さんに向けたメッセージを作品内に込められていて、「それがないと、最後までつくれなかった」と書いています。
バグハンター2も同じニュアンスを内包していて、このメッセージはもしかしたらお子様やお子様と同じ世代の子供に向けたものではと、思う瞬間がいくつもありました。
プラットフォームとして、RPGツクールフェスを選択した理由の一つかもしれませんね。
エンドロールで流れるクレジットを眺めて、つくづく心温まる作品だと感じました。
作風と作者さんのキャラクターが一貫している作品なので、これを読んで共感する点が多い方はぜひ遊んでみてください。
そしてぜひ感想を作者さんへ届けて頂ければ、私としても嬉しいかぎりです。
2017年10月現在のお話によると、作者さんはRPGツクールMVで『バグハンター2』の移植を計画されているそうです。
こちらもお楽しみに。
作品はこちら
2017年07月30日
RiSE 囚われ少女の魔法譚 感想
■RiSE 囚われ少女の魔法譚
プレイバージョン:version 1.5
作者:蒼木ことりさん
http://ktnh5108.pw/rise/
時間を忘れて――というのはよく使われる比喩ですが、そうではなく。
私はこの作品の残り時間が見えるのを、寂しく思いながら楽しませて頂きました。
好きな映画の残り時間がなんとなく判ってしまうときのような、あの感覚です。
(映画をコミックに読み替えても同じ、ですね)
そして作品を終えてカーテンの外を見たら、作品の1シーンと同じ空模様になっていました。
そんな感化された気分を少し抑えながら、書いた感想です。
意見や視点の違いも、楽しんで読み進めて頂けたら嬉しいです。
■ロールプレイングノベルのこだわり
あらすじ(ゲーム同梱の「げーむについて.txt」より抜粋)
まっくろ鳥の森の奥。
世界一の大富豪・ゴルドール邸の屋敷地下に囚われている謎の少女。
魔法が失われた世界で、人を癒す能力を持つ彼女の正体は果たして何者か。
自称冒険士の少年が、その謎を解くため旅に出る。
「もしシンデレラ自身が魔法を使えたら?」という空想から生まれた、
幸せを見つけるロールプレイングノベル。
◇◇
あらすじにある通り、本作は童話「シンデレラ」をモチーフにしたロールプレイングノベル。
ノベルパートでプレイヤーを引き込み、RPGゲームパートでノベルパートの間を結ぶように話が展開されています。
図にするとこんな感じです。
[ノベルパート]-[ゲームパート]-[ノベルパート]…
こだわりを感じたのは『ノベルとゲームの境目があるのだけれど、見えないように作られている』というところです。
例えば主人公のジャックの序盤ノベルパートの印象を挙げると
・物語を導く行動や、引っ張る台詞が多い
・七つ道具を使った引き出し(スキル)を持っている
これがゲームパートでは
・敏捷性が高く先行して行動しやすい
・敵のスキル/技をハントして自分のスキルとして使う
とこのように先の印象を引き継いだ見せ場が設けられています。
切れ間を感じさせないように組み込まれているのですね。
これは意識した丁寧さだと思います。
ヒロイン)リセが加入しても、キャラクターの性格設定上、剣を振るい戦うという概念がないため、最初は戦うことができません。
ゲーム性と設定を一致させるこだわりが、ここにも感じられます。
オルソもマメな性格=正確性を要求する弓、搦め手系の特技を使う……と、他のキャラ同様に設定と性能が一致。
ここまでこだわり、伝えたいものは「ロールプレイングノベル」。
つまりノベルパートのためのゲームなのだと感じました。
付け替えの利かないキャラクターの個性で物語を進める感覚。
これは手持ちのカードで切り拓く人の生き方みたいですね。
■ゲームパートに感じる名作RPGのリスペクト
本作をプレイしていると、時々90年代のRPG「FF5」「FF6」をプレイしていた感覚が思い出されます。
例えば4人目の仲間が加わり(序盤プレイ中の方のネタバレになるので、名前は伏せます)、飛空艇を自由に操作できるようになると、行動範囲と同じようにバトルバランスのとり方もプレイヤーに大きく委ねられるようになります。
この感覚はFF5の石板集め、FF6の世界崩壊後のプレイ感と似ていて、どこからどの順序で進めていこうかみたいな悩みに襲われます。
敵のランクが2つ違いで即死させられる目にあったりとか、程よいレベリングの場所を探す楽しみがあったりとか。
自分だけのレベリングポイントを見つけたとき、自分でも忘れていた遊び方を思い出しました。
具体的にはこのポイント。
森でエンカウントが高いうえに、ちょっと高いレベル帯で行くと、ボタン押したままノーダメージ、20秒程度で一戦を終えられ、実入りも効率が良いのですね。
理想はヒーリングゼリー3体の同時出現をn秒で倒す、とか。
バトルリザルトのメッセージに、バトルタイムが表示される理由はこの辺りかもしれません。
レベリングをしているうちに目で数字(経験値、G)を無意識に掴む感覚がじわっときて、ああ今効率の良いポイントにいる!とか考えるのが嬉しくなりました。
◇◇
他にも『双蓮の指輪(二回攻撃)』を手に入れてからは各段に攻略の幅が広がるのですが、入手タイミングとそれまでの難度はFF6のソウルオブサマサを手に入れたときと同じ感覚。
刺さるところが人によって違いつつも、似たような感覚に捉われた方はいらっしゃると思います。
ボスの弱点づけにもFF5リスペクトを感じたりしました。
FF5は全てのボスに低レベルクリア可能な弱点が設定されていて、それは属性だったり行動ルーチンだったり初見でやられて覚えるタイプの何かだったりします。
(だから全滅リトライ機能があるのか、と今更思ったり)
ボスの製法をイメージできるようになってからは、ちょっと考えを先読みして初見で倒せることもあったりして、そこがハマるとやっぱり楽しいです。
駆け引きの読みあいに勝った感覚にも近いし、クイズを解いた感覚にも近い。
だから「Choice×Crisis」のような発想が持てたのですね、とここでも腑に落ちたり。
このダンジョンもキャラクターの成長を肌で感じられる仕組みが、細かに仕込まれています。
比喩ではなく本当に頭脳戦です。
バトル前のひと準備、バトルの駆け引き、どちらも達成したとき、作者さんが意図したレベルでここをクリアできると思います。
その状態はTrueEndの条件を満たしつつ、かつラスボスが適正レベルより少し上。
ゲーム上の強さ的にも、サブストーリーを終えた気持ち的にも、物語に余裕をもって向き合うことができます。
■最後はノベルパートの良さに落ち着く
タイトルの通りです。
ただ、細かに書くことはこれからプレイする方の楽しみを奪うに等しいので、書ける内容は限られます。
例えるなら章が部屋だとしたら、物語全体は家。
家から部屋を描くのではなく、部屋からカメラをズームアウトして家を捉え、最後にズームインで人の表情を映すような、そんなイメージです。
私はハッピーエンドが好きでTrue Endだけを目指したプレイをして、気持ちのいい終わりを迎えました。
そこに至るまでは程よい起伏と、心地良い緩急で描かれていて、そして冒頭に書いた感覚に陥っています。
やっぱり細かくは書けないので、ぜひプレイして確かめてみてください。
この曖昧さの罪滅ぼしとして、私が好きなシーンを1つSS付きでご紹介。
物語序盤〜中盤のこのシーンはグッときました。
エンディングを迎えてもなお、どれか1つ選ぶとしたら私はこの場面。
ご覧になった方も、自分だけのお気に入りの名場面を探してみてください。
きっと見つかるはずです。
RiSE 囚われ少女の魔法譚
作者:蒼木ことりさん
http://ktnh5108.pw/rise/
作者さんへ
心に残る作品をありがとうございました。
■おまけ1
ヴァルプルギス、素敵なネーミングセンスです。
※「ワルプルギスの夜」という魔女をモチーフにしたお祭りがありまして、由来も面白いので気になる方はwikipediaで検索なさってください
■おまけ2
私がこの作品をクリアしたのは2017/7/29、何かの日でした。
作者さんはフリークなので、きっと楽しまれていることと思います。
ささやかな悪戯心と感謝を込めて。
プレイバージョン:version 1.5
作者:蒼木ことりさん
http://ktnh5108.pw/rise/
時間を忘れて――というのはよく使われる比喩ですが、そうではなく。
私はこの作品の残り時間が見えるのを、寂しく思いながら楽しませて頂きました。
好きな映画の残り時間がなんとなく判ってしまうときのような、あの感覚です。
(映画をコミックに読み替えても同じ、ですね)
そして作品を終えてカーテンの外を見たら、作品の1シーンと同じ空模様になっていました。
そんな感化された気分を少し抑えながら、書いた感想です。
意見や視点の違いも、楽しんで読み進めて頂けたら嬉しいです。
■ロールプレイングノベルのこだわり
あらすじ(ゲーム同梱の「げーむについて.txt」より抜粋)
まっくろ鳥の森の奥。
世界一の大富豪・ゴルドール邸の屋敷地下に囚われている謎の少女。
魔法が失われた世界で、人を癒す能力を持つ彼女の正体は果たして何者か。
自称冒険士の少年が、その謎を解くため旅に出る。
「もしシンデレラ自身が魔法を使えたら?」という空想から生まれた、
幸せを見つけるロールプレイングノベル。
◇◇
あらすじにある通り、本作は童話「シンデレラ」をモチーフにしたロールプレイングノベル。
ノベルパートでプレイヤーを引き込み、RPGゲームパートでノベルパートの間を結ぶように話が展開されています。
図にするとこんな感じです。
[ノベルパート]-[ゲームパート]-[ノベルパート]…
こだわりを感じたのは『ノベルとゲームの境目があるのだけれど、見えないように作られている』というところです。
例えば主人公のジャックの序盤ノベルパートの印象を挙げると
・物語を導く行動や、引っ張る台詞が多い
・七つ道具を使った引き出し(スキル)を持っている
これがゲームパートでは
・敏捷性が高く先行して行動しやすい
・敵のスキル/技をハントして自分のスキルとして使う
とこのように先の印象を引き継いだ見せ場が設けられています。
切れ間を感じさせないように組み込まれているのですね。
これは意識した丁寧さだと思います。
ヒロイン)リセが加入しても、キャラクターの性格設定上、剣を振るい戦うという概念がないため、最初は戦うことができません。
ゲーム性と設定を一致させるこだわりが、ここにも感じられます。
オルソもマメな性格=正確性を要求する弓、搦め手系の特技を使う……と、他のキャラ同様に設定と性能が一致。
ここまでこだわり、伝えたいものは「ロールプレイングノベル」。
つまりノベルパートのためのゲームなのだと感じました。
付け替えの利かないキャラクターの個性で物語を進める感覚。
これは手持ちのカードで切り拓く人の生き方みたいですね。
■ゲームパートに感じる名作RPGのリスペクト
本作をプレイしていると、時々90年代のRPG「FF5」「FF6」をプレイしていた感覚が思い出されます。
例えば4人目の仲間が加わり(序盤プレイ中の方のネタバレになるので、名前は伏せます)、飛空艇を自由に操作できるようになると、行動範囲と同じようにバトルバランスのとり方もプレイヤーに大きく委ねられるようになります。
この感覚はFF5の石板集め、FF6の世界崩壊後のプレイ感と似ていて、どこからどの順序で進めていこうかみたいな悩みに襲われます。
敵のランクが2つ違いで即死させられる目にあったりとか、程よいレベリングの場所を探す楽しみがあったりとか。
自分だけのレベリングポイントを見つけたとき、自分でも忘れていた遊び方を思い出しました。
具体的にはこのポイント。
森でエンカウントが高いうえに、ちょっと高いレベル帯で行くと、ボタン押したままノーダメージ、20秒程度で一戦を終えられ、実入りも効率が良いのですね。
理想はヒーリングゼリー3体の同時出現をn秒で倒す、とか。
バトルリザルトのメッセージに、バトルタイムが表示される理由はこの辺りかもしれません。
レベリングをしているうちに目で数字(経験値、G)を無意識に掴む感覚がじわっときて、ああ今効率の良いポイントにいる!とか考えるのが嬉しくなりました。
◇◇
他にも『双蓮の指輪(二回攻撃)』を手に入れてからは各段に攻略の幅が広がるのですが、入手タイミングとそれまでの難度はFF6のソウルオブサマサを手に入れたときと同じ感覚。
刺さるところが人によって違いつつも、似たような感覚に捉われた方はいらっしゃると思います。
ボスの弱点づけにもFF5リスペクトを感じたりしました。
FF5は全てのボスに低レベルクリア可能な弱点が設定されていて、それは属性だったり行動ルーチンだったり初見でやられて覚えるタイプの何かだったりします。
(だから全滅リトライ機能があるのか、と今更思ったり)
ボスの製法をイメージできるようになってからは、ちょっと考えを先読みして初見で倒せることもあったりして、そこがハマるとやっぱり楽しいです。
駆け引きの読みあいに勝った感覚にも近いし、クイズを解いた感覚にも近い。
だから「Choice×Crisis」のような発想が持てたのですね、とここでも腑に落ちたり。
このダンジョンもキャラクターの成長を肌で感じられる仕組みが、細かに仕込まれています。
比喩ではなく本当に頭脳戦です。
バトル前のひと準備、バトルの駆け引き、どちらも達成したとき、作者さんが意図したレベルでここをクリアできると思います。
その状態はTrueEndの条件を満たしつつ、かつラスボスが適正レベルより少し上。
ゲーム上の強さ的にも、サブストーリーを終えた気持ち的にも、物語に余裕をもって向き合うことができます。
■最後はノベルパートの良さに落ち着く
タイトルの通りです。
ただ、細かに書くことはこれからプレイする方の楽しみを奪うに等しいので、書ける内容は限られます。
例えるなら章が部屋だとしたら、物語全体は家。
家から部屋を描くのではなく、部屋からカメラをズームアウトして家を捉え、最後にズームインで人の表情を映すような、そんなイメージです。
私はハッピーエンドが好きでTrue Endだけを目指したプレイをして、気持ちのいい終わりを迎えました。
そこに至るまでは程よい起伏と、心地良い緩急で描かれていて、そして冒頭に書いた感覚に陥っています。
やっぱり細かくは書けないので、ぜひプレイして確かめてみてください。
この曖昧さの罪滅ぼしとして、私が好きなシーンを1つSS付きでご紹介。
物語序盤〜中盤のこのシーンはグッときました。
エンディングを迎えてもなお、どれか1つ選ぶとしたら私はこの場面。
ご覧になった方も、自分だけのお気に入りの名場面を探してみてください。
きっと見つかるはずです。
RiSE 囚われ少女の魔法譚
作者:蒼木ことりさん
http://ktnh5108.pw/rise/
作者さんへ
心に残る作品をありがとうございました。
■おまけ1
ヴァルプルギス、素敵なネーミングセンスです。
※「ワルプルギスの夜」という魔女をモチーフにしたお祭りがありまして、由来も面白いので気になる方はwikipediaで検索なさってください
■おまけ2
私がこの作品をクリアしたのは2017/7/29、何かの日でした。
作者さんはフリークなので、きっと楽しまれていることと思います。
ささやかな悪戯心と感謝を込めて。