2018年05月26日
2018年で一番文章を読んだ日に感じたこと
今日は別のスケジュールが伸びた分、一日文章系の仕事日和でした。
たぶん2018年で一番文章を読んだ日です。
突貫ながら一日で仕事を終わらせた自分を褒めたい。超褒めたいです。
自画自賛はさておき、過程で掴んだものを備忘録的に記します。
貴重な経験は後に役立ててこそ活きるものですからね。
●良い印象が残る文章はシンプル
凝った言い回し=書き手が技巧を感じて書く言い回しは、読み手にとって優しくない。
このことは、多くの文章講座や物書きさんが口にされています。
私も同感なのですが、それが実体験として理解できました。
比喩表現を混ぜると文字の並び、聞こえに独特な美や引っかかりが生まれますし、切り取ると見栄えがします。
例えるなら文字を映像化して、それにエフェクト=映像効果を追加するようなもの。
けれど比喩表現が連続したとき、なにが起こるかというと……比喩の指しているものを探したり、変換するために頭が疲労します。
疲労するとどうなるか。
読み進めるスピードが落ちるし、読んでいる箇所を見失います。
そして我に返ったとき「なんでこんなことをしているのだろう(させられているのだろう)」と感じてしまい、私の場合は読むモチベーションが下がります。
これが「読みにくい」とされる文章を追うときの脳の動きかと思いました。
一方、比喩の変換をスムーズにこなせる人=作者さん自身や作風を好む人にとっては、おそらく苦ではないでしょう。
それがジャンル分けの一基準に繋がっているのかもしれません。
言い換えるなら、多くの方に読まれたい文章、テキストは比喩の使いどころを限定した方が良いのだと思いました。
●基礎ができている文章はそれだけで読みやすい
「基礎ができている」だなんて、偉そうなことを書いてすみません。
けれど読み手としての立場だとこれは真理。
なぜならば悪い意味で目につくからです。
具体的に意識される基礎ルールは次の通り。
-同じ語句を使わない。
-同じ文末を続けない。
-作品内で漢字とひらがなの表記ルールを統一する。
https://hajimeteweb.jp/column/web_writing/special2.php
-一文は短く。
-感嘆符(?、!)の後は1字空ける。
-三点リーダ(…)は2つ重ね「……」使う。
わかりやすいのは「…」ですね。
pixivさんで多くの方に読まれている人気作品でも散見されました。
「…」でも「……」でもどっちでもいいじゃん、と思うかもしれません。
私も文章全体の印象を損ねる要素ではない、と考えています。
ただ気になります。
目の肥えた読み手の方にとってはもっと気になるかもしれませんし、それが減点対象になるとしたら勿体ないことです。
文章の基礎については、良書が沢山あるので、気になった方はご自身で調べてみてください。
たとえばこちらはある作家さんが推奨していた基礎学習本
言いながら私も感嘆符の後の一文字空けを知ったばかりで、勉強不足を痛感した次第です。
●読みやすい文章は映像になる
読みやすい文章は形状、色、特徴を事細かに描写しなくても、読み手の頭に映像が浮かびます。
挿絵があるライトノベルだと更に映像を補完(指定)してくれますが、それも読みやすい理由の一つなのでしょう。
おそらく作者さんが書くとき、頭の中には映像が先にあり、それを言い表す文字を探すのだと思います。
[作者が文章を書くイメージ]
1.作者の脳内に映像が浮かぶ
2.1を表現するための文字を選ぶ
3.文章が出来あがる
読者は逆の流れになります。
[読者さんが文書を読むときのイメージ]
a.文章が目に入る
b.文章の意味から画像を起こす
c.画像を動画=映像にして読み進める
まさに「読み解く」わけで、連想ゲームのようなことが行われているのではないかと思います。
密な情景描写で齟齬なくイメージを受け渡すこともあれば、骨子だけおさえてあとは読者の想像力に委ねることもあります。
読みやすい文章はこの取捨選択が絶妙なのです。
シンプルであることは情報の伝達コストを下げるということ。
易しい文章は、同時に優しい文章でもあるのでしょう。
上手いことを言った、なんて思っていません。はい。
◆◇
これはTipsではなく経験として面白い話。
今回は「今日中にXX(結構な文字数)を読了する」という課題がありました。
一日の動きはこんな感じです。
AM X:00(とても早朝)
読む
→疲れて仮眠
→読む
→入浴してリフレッシュ
昼
→読む
→仮眠(気絶に近い)
→読む
→入浴
→読む
→散歩
→読み終える
※余談:合間に集中力が落ちたときは掛け算九九を逆読み、これ最近のマイブームです。
上級者は素数でも良いかと思います。
この流れの途中で脳が「読み方を変えよう」とスイッチが変わった瞬間がありまして、読むスピードが格段に上がり、本記事ネタを考える余裕さえ生まれました。
おそらくそれは思考が『引いた(俯瞰した)』瞬間であり、要点読み、斜め読みへの移行だと思います。
一語一句を拾う読み方と比べると、文章に対して軽い向き合い方になるのでしょう。
ここで副産物的に感じたのは「読む側の態度は作者が決められないもの」ということです。
なんとなく図書館で借りた本と、書店で予約して発売日に手に入れたばかりの本では、読む態度は違います。
電子書籍と紙の本の違いや、自室、マーメイドのコーヒーショップ、電車の中(隣には音漏れイヤホンの御仁とか)、気分、体調でも変化します。
このように考えると、あらゆる状況に対応しうる『読みやすさ』とは、それだけで武器に成り得ます。
さらにこれは本だけの世界ではありません。
各々のフィールドに置き換えると気づきがあるかもしれませんね。
◆◇
余談の余談
一時期、本から離れた生活をしており、過去に培った脳内蔵書でやりくりしていました。
それが去年頂いたラノゲツクールMVのサンプルのお仕事をきっかけに、いち小説好きに立ち返ることができました。
羊と鋼の森、蜜蜂と遠雷、この両作品からは旋律が浮かぶようでしたし、有川浩さん作品の心の描き方には共感するばかり。
活字の世界の住人たちは、読み手の感受性にあわせて表情を変えます。
彼らの言葉から人に向ける優しさの法を気付かされることもあれば、いつか使いたい言葉リストに加筆することもあったり。
良い本に出会うなんてそれだけで幸運ですが、読むタイミングがマッチしたなら人を変えるきっかけに成り得ます。
本は書き手の心を反映させたもの。
そして言葉を扱わせたら小説家は最強の職業。
つまり影響されることもやむなし、なのです。
気分転換に読書という選択肢をぜひ。
◆◇
引き続き、新作のゲーム制作に注力するため、更新は控えめになる予定です。
作品を楽しみにして頂けると、幸いです。
RPGアツマールでフィードバックシステムが導入されました。
気になる点がありましたらお寄せくださいませ。
【新エンジン試用Ver(1.6.1)】地図の時間
https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm6643?link_in=users
現在注力している作品があるため、タイムリーな更新は困難ですが、合間をみて並行で進めます。
さて三度目の入浴を経て制作へ。いざ。
たぶん2018年で一番文章を読んだ日です。
突貫ながら一日で仕事を終わらせた自分を褒めたい。超褒めたいです。
自画自賛はさておき、過程で掴んだものを備忘録的に記します。
貴重な経験は後に役立ててこそ活きるものですからね。
●良い印象が残る文章はシンプル
凝った言い回し=書き手が技巧を感じて書く言い回しは、読み手にとって優しくない。
このことは、多くの文章講座や物書きさんが口にされています。
私も同感なのですが、それが実体験として理解できました。
比喩表現を混ぜると文字の並び、聞こえに独特な美や引っかかりが生まれますし、切り取ると見栄えがします。
例えるなら文字を映像化して、それにエフェクト=映像効果を追加するようなもの。
けれど比喩表現が連続したとき、なにが起こるかというと……比喩の指しているものを探したり、変換するために頭が疲労します。
疲労するとどうなるか。
読み進めるスピードが落ちるし、読んでいる箇所を見失います。
そして我に返ったとき「なんでこんなことをしているのだろう(させられているのだろう)」と感じてしまい、私の場合は読むモチベーションが下がります。
これが「読みにくい」とされる文章を追うときの脳の動きかと思いました。
一方、比喩の変換をスムーズにこなせる人=作者さん自身や作風を好む人にとっては、おそらく苦ではないでしょう。
それがジャンル分けの一基準に繋がっているのかもしれません。
言い換えるなら、多くの方に読まれたい文章、テキストは比喩の使いどころを限定した方が良いのだと思いました。
●基礎ができている文章はそれだけで読みやすい
「基礎ができている」だなんて、偉そうなことを書いてすみません。
けれど読み手としての立場だとこれは真理。
なぜならば悪い意味で目につくからです。
具体的に意識される基礎ルールは次の通り。
-同じ語句を使わない。
-同じ文末を続けない。
-作品内で漢字とひらがなの表記ルールを統一する。
https://hajimeteweb.jp/column/web_writing/special2.php
-一文は短く。
-感嘆符(?、!)の後は1字空ける。
-三点リーダ(…)は2つ重ね「……」使う。
わかりやすいのは「…」ですね。
pixivさんで多くの方に読まれている人気作品でも散見されました。
「…」でも「……」でもどっちでもいいじゃん、と思うかもしれません。
私も文章全体の印象を損ねる要素ではない、と考えています。
ただ気になります。
目の肥えた読み手の方にとってはもっと気になるかもしれませんし、それが減点対象になるとしたら勿体ないことです。
文章の基礎については、良書が沢山あるので、気になった方はご自身で調べてみてください。
たとえばこちらはある作家さんが推奨していた基礎学習本
言いながら私も感嘆符の後の一文字空けを知ったばかりで、勉強不足を痛感した次第です。
●読みやすい文章は映像になる
読みやすい文章は形状、色、特徴を事細かに描写しなくても、読み手の頭に映像が浮かびます。
挿絵があるライトノベルだと更に映像を補完(指定)してくれますが、それも読みやすい理由の一つなのでしょう。
おそらく作者さんが書くとき、頭の中には映像が先にあり、それを言い表す文字を探すのだと思います。
[作者が文章を書くイメージ]
1.作者の脳内に映像が浮かぶ
2.1を表現するための文字を選ぶ
3.文章が出来あがる
読者は逆の流れになります。
[読者さんが文書を読むときのイメージ]
a.文章が目に入る
b.文章の意味から画像を起こす
c.画像を動画=映像にして読み進める
まさに「読み解く」わけで、連想ゲームのようなことが行われているのではないかと思います。
密な情景描写で齟齬なくイメージを受け渡すこともあれば、骨子だけおさえてあとは読者の想像力に委ねることもあります。
読みやすい文章はこの取捨選択が絶妙なのです。
シンプルであることは情報の伝達コストを下げるということ。
易しい文章は、同時に優しい文章でもあるのでしょう。
上手いことを言った、なんて思っていません。はい。
◆◇
これはTipsではなく経験として面白い話。
今回は「今日中にXX(結構な文字数)を読了する」という課題がありました。
一日の動きはこんな感じです。
AM X:00(とても早朝)
読む
→疲れて仮眠
→読む
→入浴してリフレッシュ
昼
→読む
→仮眠(気絶に近い)
→読む
→入浴
→読む
→散歩
→読み終える
※余談:合間に集中力が落ちたときは掛け算九九を逆読み、これ最近のマイブームです。
上級者は素数でも良いかと思います。
この流れの途中で脳が「読み方を変えよう」とスイッチが変わった瞬間がありまして、読むスピードが格段に上がり、本記事ネタを考える余裕さえ生まれました。
おそらくそれは思考が『引いた(俯瞰した)』瞬間であり、要点読み、斜め読みへの移行だと思います。
一語一句を拾う読み方と比べると、文章に対して軽い向き合い方になるのでしょう。
ここで副産物的に感じたのは「読む側の態度は作者が決められないもの」ということです。
なんとなく図書館で借りた本と、書店で予約して発売日に手に入れたばかりの本では、読む態度は違います。
電子書籍と紙の本の違いや、自室、マーメイドのコーヒーショップ、電車の中(隣には音漏れイヤホンの御仁とか)、気分、体調でも変化します。
このように考えると、あらゆる状況に対応しうる『読みやすさ』とは、それだけで武器に成り得ます。
さらにこれは本だけの世界ではありません。
各々のフィールドに置き換えると気づきがあるかもしれませんね。
◆◇
余談の余談
一時期、本から離れた生活をしており、過去に培った脳内蔵書でやりくりしていました。
それが去年頂いたラノゲツクールMVのサンプルのお仕事をきっかけに、いち小説好きに立ち返ることができました。
羊と鋼の森、蜜蜂と遠雷、この両作品からは旋律が浮かぶようでしたし、有川浩さん作品の心の描き方には共感するばかり。
活字の世界の住人たちは、読み手の感受性にあわせて表情を変えます。
彼らの言葉から人に向ける優しさの法を気付かされることもあれば、いつか使いたい言葉リストに加筆することもあったり。
良い本に出会うなんてそれだけで幸運ですが、読むタイミングがマッチしたなら人を変えるきっかけに成り得ます。
本は書き手の心を反映させたもの。
そして言葉を扱わせたら小説家は最強の職業。
つまり影響されることもやむなし、なのです。
気分転換に読書という選択肢をぜひ。
◆◇
引き続き、新作のゲーム制作に注力するため、更新は控えめになる予定です。
作品を楽しみにして頂けると、幸いです。
RPGアツマールでフィードバックシステムが導入されました。
気になる点がありましたらお寄せくださいませ。
【新エンジン試用Ver(1.6.1)】地図の時間
https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm6643?link_in=users
現在注力している作品があるため、タイムリーな更新は困難ですが、合間をみて並行で進めます。
さて三度目の入浴を経て制作へ。いざ。
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