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2018年06月03日
仕事を進めながら現場でひらめいた戦略
当初の計画ガチガチではない戦略も大事
リーダーたるもの計画も立てずに
行き当たりばったりで会社を経営するのは、大変です。
毎年だいたい同じ時期に同じようなことを
しなければならないのに
毎年「去年はどうだったっけ」の繰り返しでは進歩がありません。
実際、普通の会社では年間行事表くらいはあるし、
3年や5年の中長期の経営計画を
立てている会社もあります。
ただし、およそ計画道理にはいかないというのも世の常。
普通にやっているはずなのに遅延したり、
途中で頓挫したり、
中には「もっといいことを考えついた!」
とばかりに計画を変更してしまったりと
計画とは変えるためにあるもの・・・です。
最初は意図された戦略があったはずだとします。
でも計画通りに実現されたのは、その一部。
実際に実現された戦略を見てみれば、
当初から計画されていた計画的戦略だけでなく、
途中でやりながら考えついた戦略も取り込まれているはずです。
(ミンツバーグ氏は創発的戦略と呼びました)
格好つけて言えば、
計画厳格に実行することではなく、
創発的戦略を含めた戦略的学習プロセスを
マネジメントすることが
リーダーの仕事なのです。
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赤信号、みんなで渡れば怖くない
慎重になりすぎることもあるが・・・
1961年、アメリカのキューバ侵略作戦が
失敗したときケネディ大統領は
「なぜあんなバカな決定をしてしまったのだろう」
とつぶやいたとか。
アメリカ大統領という究極のリーダーが、
優秀なスタッフをそろえたはずなのに・・・
リーダーシップ論を含め、
実践的手法を導入した集団学力では、
手段を対象にして、
様々な実験が行われてきました。
その中に人間は集団になると勢いが
つくというものがあります。
リスキー・シフトと言われますが、
いわゆる
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」
的な実験結果です。
そのために、本来は「集団思考」と訳すべき
group thinkが「集団浅慮」
と批判を込めて訳されたりするわけです。
ジャニス氏は『集団浅慮の犠牲者』でキューバ侵略ではなく、
北朝鮮侵攻、真珠湾攻撃、ベトナム戦争における
決定を事例として、
集団になると誤った決定をする可能性が
高くなると警鐘を鳴らしました。
もっとも、逆に慎重になる
コーシャス・シフトというものもあり、
一筋縄にはいきません。
個人レベルでもトバルスキー氏とカーネマン氏の
プロスペクト理論のように、
不確実性が意思決定バイアスをもたらすことが
知られているので、
結局、リーダーもふらふらしている?
リーダーはどんな仕事をしているのか?
リーダーはコミュニケーションに時間を割く
実際のリーダーは何をしているのでしょうか?
どうなふうに経緯戦略を練り、
どんなふうにリーダーシップを
発揮しているのでしょうか?
その疑問に、愚直に答えたのが管理者行動論です。
経営戦略論で有名になる前、ミンツバーグ氏は、
5人の管理者を一週間を詳細に観察して、
『マネジャーの仕事』を著しています。
観察した結果、一つの仕事にかけられている時間が短く、
断片化していることがわかりました。
デスクワークでも平均たった16分で次の仕事に移ります。
電話は平均6分、予定外のミーティングは平均12分、
現場観察も平均11分で次の仕事に移ります。
管理者はコミュニケーションに
多くの時間を使っているのですが、
どれも受動的なレスポンスなので、
カールソン氏は糸で操られた
パペットにたとえたほどです。
1人でオフィスに閉じこもり、
じっくり経営戦略を練る、、、
といった管理者はいなかったのです。
コッター氏は『ザ・ゼネラル・マネジャー』で、
事業部長レベルの15人も管理者の活動を調べましたが、
やはり人と会って話をすることに多くを使っていました。
ただし優秀な管理者は、その中で自らの課題を
アジェンダとして描き、会社内部に協力的な
人的ネットワークを構築していたそうです。
「どんな状況にも適応しうる優れたリーダー」は存在しない
リーダーシップは条件次第
2次元で考える場合、
構造づくりを部下への配慮が
どちらも優れているのが望ましい
といったオハイヨ研究的なリーダーシップ論は、
リーダーとしてのあるべき資質を
問うているのと大差ありません。
そんなリーダーシップ研究は、
条件即応モデルの登場で一変します。
フィードラーが『新しい管理者像の研究』
に達するまでは紆余曲折ありました。
「最も苦手とする仕事仲間」についての評価をもとにした
LPC尺度を使って、
LPC・・・least preferred coworkerの略
自身も含め研究者たちがLPC得点と
集団業績との関係を探ったのですが
高LPCリーダーのほうがいい
という結果が安定しませんでした。
しかし、研究が進むにつれLPC得点と集団業績の関係が
リーダーシップ状況に依存していたことに気づきました。
これが条件即応モデルです。
つまり、普遍的に優れているリーダーシップの特性や
スタイルなどというものは、
実際には存在しなかったのです。
あるリーダーは、ある条件下で優れたリーダーでも
別の条件下ではそうではなかった、
考えてみればそのような事例は
歴史上の偉人でも身の回りの人でも
たくさん見つけることができます。
リーダーシップは、微妙な対人関係の
文脈に依存しているのです。