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2018年06月03日
「市場成長率」×「市場シェア」で事業を取捨選択
選択と集中のためのマトリックス
多角化が注目されたのは、
当時アメリカは合併買収ブームで、
その主役がコングロマリットだったからです。
しかし、関連性が低い分野に
多角化すれば失敗しやすいし、
会社の寄せ集めに過ぎない持株会社形態では
統一的な経営も難しい。
こうした中で、製品系列を整理して、
選択と集中を行うための分析ツールとして登場したのが、
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)です。
〜2つの経験則〜
A)市場成長率が高ければ
成長についていくためにお金がかかるが、
成長率が下がればお金はかからなくなる
B)市場シェアが高いほど、
生産効果が聞いて生産コストが下がるので
利益が出るようになる。
市場成長率と市場シェアの高低で
ポートフォリオ・マトリックスを作れば、
お金の出入りで取捨選択の方針が得られます。
〜ポートフォリオ・マトリックス〜
@お金のなる木:入大・出小なので資金源に
A花形:入大・出大で華やか。
シェアを維持すればお金の生る木に
B負け犬:入小・出小ですでに勝負はついており、
売却等で投資を回収すべし
C問題児:入小・出大でこのまま負け犬に転落するか、
積極投資でシェアを拡大して花形を目指すか
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多角化するなら本業に近い分野で
成功したロジックを共有しやすい利点がある
どのような多角化の仕様が、効果が高いのでしょうか?
ルメルト氏は『多角化戦略と経済効果』で、
まずは専門比率・垂直比率・関連比率を駆使して、
専業・本業中心・垂直的総合・関連事業・非関連事業と
いった多角化のカテゴリーに分類することを考えました。
そのうえで業績を比較すると、関連の薄い分野や
関連のない分野に進出するよりも、
本業に近いところで多角化したほうが、
業績が良かったことが分かったのです。
では、なぜそうなるのでしょうか?
それには後にプラハラッド氏とベティス氏が
提唱したドミナント・ロジックが
関係しているのではないかと考えられています。
ドミナント・ロジックとは、
一言でいえば、「成功の方程式」です。
それぞれの組織で、これまでの長い経験のなかで、
失敗したロジック(考え方)は捨てられてきました。
これは組織学習の一種で、
アンラーニングと呼ばれます。
このアンラーニングによって、
成功したロジックだけが選び抜かれ、
組織の中に残っていくわけです。
そして組織の課で共有され、
支配的なロジックになっていく。
それがドミナント・ロジックです。
たとえ異業種であっても、
自分たちの成功の方程式が使えるような事業であれば、
新規事業進出の成功確率は当然高くなります。
これも一種のシナジー効果です。
多角化によって生まれる一石二鳥
多角化のメリット
多角化することによって何か良いことがあるのでしょうか???
よく言われているのがシナジー効果です。
シナジー効果は相乗効果とも呼ばれ、1+1=2ではなく
3にでも4にでもなることを示しています。
例えば、鉄道会社が、多角化の一環
としてバス事業にも進出して
駅から沿線の住宅地へバスの路線を開設すれば
沿線住民にとって、その鉄道駅は利用しやすくなります。
それまで他の鉄道を利用していた人も吸収して、
その鉄道路線の利用者は増えるでしょう。
更に長期的には、
便利になった鉄道沿線の人口も増えるので
鉄道もバスも利用者が増えていくはずです。
これがシナジー効果です。
それに対してある事業で空いた能力を
その他の事業に回すような場合には、
相補効果を呼ぶこともあります。
ただし、厳密な意味で、相乗効果と
相補効果を分けることは難しいです。
たとえば、工場の敷地の空きスペースを
駐車場にして貸したりする場合でも、
いっけん相乗効果はなさそうですが、
実際には毎月に1回のペースでやっている
草刈作業がいらなくなったり、
駐車場を利用しているひとが工場の売店も
利用してくれるようになったり、、、
と、すぐにシナジー効果が発生します。
いろいろな事業に進出する戦略
戦略の中でも一番ポピュラー
戦略という言葉が、経営学の分野で
使われるようになったきっかけは、
おそらく多角化の成長戦略でしょう。
今でも戦略という言葉が
一番しっくる使い方だと思います。
ここで多角化とは、簡単に言ってしまえば、
1つの会社がいろいろな事業に進出することです。
例えば、東京の私鉄は鉄道だけでなく、
バスもタクシーもデパートもホテルも経営しています。
大きなメーカーも販売会社、
物流会社、さらには旅行代理店
からタクシー会社までもっている所でもあります。
メーカーで「いろいろな製品を作る事」ではなく
「色々な産業に進出する事」が多角化なのです。
アンゾフ氏は『企業戦略論』で
成長ベクトルを考え製品も市場も新規の場合を
多角化とし、それ以外は拡大化と分けています。
そして多角化をさらに、
@水平的多角化
A垂直的総合
B同心的多角化
Cコングロマリット的多角化 に分けます。
アンゾフ氏のイメージしている多角化は、
昔の日本企業が良くやっていた
内部展開型の多角化ではありません。
合併買収によりほかの会社を吸収したり
子会社化したりて進めていく多角化なのです。
そんな中、関連性の低い広範な産業に進出した企業は
コングロマリットと呼ばれ、
1960年代後半以降アメリカを席巻していきます。