本書の読者、そして英語を生業としない日本人にお勧めしたいのは、もう一方の道である。すなわち、基礎的な英語だけは身につけておいて、あとは自分の得意分野に専心するという生き方である。
斎藤兆史『日本人に一番合った英語学習法』祥伝社 177頁
この中で注目したいのは、「基礎的な英語だけは身につけておいて」の箇所ですね。
とりあえず、基礎的な英語だけは、身に付けておくということですね。
では、基礎的な英語とは何なのか。
中学英語という意見もあるでしょう。その他、様々な意見があると思いますが、世の中には、たくさんの英語教材があり、基礎的な英語に相当する教材も山のようにあります。あれもこれもと選んでいきますと、本棚が基礎的な英語教材だらけになってしまいます。その割には、マスターし、仕上げた教材は一冊もないということが往々にしてあります。
基礎的な英語の教材となると、基礎的というところから、薄い教材になりがちであり、一冊では、結局、物足りなくなり、何冊も必要になるということがあり得ます。数冊、数十冊になってしまうのですね。
NHKのラジオ英会話もいい教材ですが、1年、2年と続けていきますと教材の量12冊、24冊と多くなり、復習するのも大変になるのですね。
そうなるぐらいなら、はじめから、それなりに分厚くとも網羅的な教材を一冊選んだ方が良いでしょう。復習もしやすいという利点があります。
そうしますと、「総合英語」という分野の本に行き着きます。分厚いのですが、1冊ですみますので、結局、コンパクトといえますね。
所謂、英文法書というジャンルの本ですが、この「総合英語」には、『英文法解説』、『ロイヤル英文法』などがありますが、これらはやはり古いという懸念があります。
また、『ジーニアス総合英語』、『総合英語Forest』もありますが、その中で、最終的に使いやすいと感じたのは、『総合英語One』ですね。紙面が見やすいというのがいいところです。そして、基礎的な英語というところにぴったりの内容なのですね。中学英語、高校英語の範囲を網羅していますが、あまり難しいことまでには深入りせず、まさに基礎的な英語にフォーカスしています。
例文の数も775文あり、量が多いように感じますが、一通りの英文法を網羅するならば、妥当な数と言えましょう。多すぎても消化しきれませんし、少なすぎますと、他の教材が必要になり意味がありません。
775文の例文もMP3でダウンロードできますので、耳からの学習もできます。英語のみの音声、日本語→英語の音声と2種類あります。例文と日本語訳のPDFもありますので、便利といえるでしょう。
『総合英語One』を全部マスターするというのではなく、この775文の例文を基礎的な英語と考え、まずは、この例文をマスターすることで基礎的な英語が身についたとするのがよいでしょう。775文ですから、それなりに大変ですが、英文法の基礎がすべて詰まっていますから、基礎的な英語が身についたといっても問題がないと思われます。
もちろん、もっと深めたいときは、『総合英語One』を読めば、詳しく解説されており、他の例文もありますから、より深く理解できます。
英語学習以外にもしなければならないことがあるわけですから、基礎的な英語に関しては、1冊で完了というのがよい方法でしょうし、それしかないともいえるでしょう。