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2017年12月21日

消える人と妄想

電車に乗るのに、毎日同じ場所で同じ時間に並ぶ。
今並んでいる場所は、いつも母親と子供2人が先に並んでいる。その後ろが階段の壁なので、丁度もたれられてラクだ。この状態は退院してから続いているから2年半か。
最初、子供は母親とお姉ちゃんだけだった。去年の4月に弟が1年生で登場し、並ぶようになった。よく本を読む子供たちだ。ストーカーではないが、観察はする。弟はだんだん難しい本を読むようになってきた。お姉ちゃんは中学受験をするようだ。最近は参考書を読んでいる。

自分の息子と同じ学年だ。お姉ちゃんが何を読んでいるのか気になる。
誕生日のプレゼントを贈るのに、「小6の男の子は何がいいか」と勇気を出して聞こうかと思ったことがある。さすがに止めたが。

この場所に並び始めた時に、あと2人の女性が僕の後にいつも並んでいた。毎日顔を合わしても、お互い挨拶することはない。考えれば変な関係だ。毎日、同じ時間を近くで共有している、お互い顔を認識している、でも話すことはない。この2人の女性も1年は同じ場所に並んでいた。
その女性2人も言葉を交わすことなく、順序もどちらかが早かったり遅かったり。

僕は出張の時は、乗り換えに便利な先頭車両に並ぶ。去年の5月くらいか・・。違う車両に並んで2泊出張し、翌日はいつもの場所に並んだ。
そしたら、2人の女性が来ない。翌日も。それ以降彼女たちは見かけない。
いったい何があったのだろう。順番を巡って喧嘩でもあったのか?
いつも先に並んでいる母親に聞きたくて仕方ない気持ちがしばらく続いた。
大きなお世話だね。でも忽然と1人じゃなく2人が消えた。同時に。不思議だ。

受傷前は違う位置に並んでいた。その位置でも、毎日同じ人が並んでいた。隣の位置では「明らかにカツラ」と判る人もいた。その人を駅の上の信号で見た時は何故か嬉しかった。
入院と養生で140日、駅を利用しなかったら彼らを見かけることはなくなった。
急に人は消えるのだ。
人間観察はけっこう好きだ。勝手にあだ名を付ける、もちろん心の中で。

入院前によく一緒に並んでいた女性がいる。もちろん口はきいたことはない。心の中ではゴルファーの横峯さくらと呼んでいた。見かけなくなった人の1人だ。
退院してしばらく銀座の鍼に通った。帰りの夕方に駅のホームで“横峯さくら”を見た。彼女もこちらを見た。手には島根の有名なデパートの紙袋をたくさん持っていた。
やはり、彼女は山陰出身だった。並んでいて妄想していた。多分彼女は山陰地方出身だと。

キレイな女子高生も並んでいた。彼女は絶対に松下奈緒のようなオトナになると確信していた。
受傷前、彼女は受験生だった。参考書を持っていたから。
ある日、恐らく中学の同級生のおぼしき男とたまたま会ったようだ。それ以来、その男が並ぶようになった。狙っているのだ。車内では横に座って喋る。彼女が受験勉強をできないじゃないか!
余計なお世話だが心配した。受傷前の話だ。彼女は無事j、希望の大学に受かったのだろうか。

忽然と人は消える訳はない。それぞれ事情があるのだ。
僕もその一人だったのだろう。しばらく駅の定位置から居なくなって何か思ってくれた人はいるのだろうか?
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posted by shigenon at 09:46| Comment(0) | TrackBack(0) | リハビリ
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2014年クリスマスイブのプレゼントは最悪でした。 「頸髄損傷」というケガなのか病気なのか・・その症状との戦いの記録と現在の日々をアップします。 (2018年4月追加) 不全の頸髄損傷は「健常な人」に見えます。“ふつうに見える”様に努力をしています。が、反面、「もう良くなったんだ」と思われがち。 骨折とは違い、中枢神経の損傷は完全回復はしないという現実。 「健常に見える」「もっと良くなるよう努力する」「もう治っているんでしょ」の狭間で何とか毎日を過ごしています。
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