通勤は往路と復路で変えている。往路は最寄り駅までバス→電車2本、復路は電車1本→大きな駅→バス。復路は往路と同じ経路で帰るとバス時間待ちが45分もある。最寄り駅で45分の時間は潰しようがない。それで復路は大きな駅からバスなのだが、それも40分のバス待ちがある。それでも大きな駅は呑むところが多いので1本バスを遅らせて1時間30分ほど呑んで帰る。
家の近くの居酒屋に行くのに最寄り駅で45分待つのは辛い、かといってタクシーで1000円かけるのももったいない。そこで自転車通勤。もちろん呑んだ後は自転車にはまたがらない、転んで顔をケガした教訓で。
家の近くの居酒屋は通好みの酒の品ぞろえ。料理も美味しい。ふだん呑んでいる大衆居酒屋の約3倍の支払いになるが。
いつものようにカウンターに座ると「失われた時を求めて」という焼酎が目の前にあった。
‘失われた時’というコトバは自分の中でも引っかかるコトバ。
その40度の焼酎を呑むことにした。
受傷してもうすぐ9年。その間、健常であれば違う時を過ごしただろう。そんなことを思うことをタブーとしていた。それはそうなのだ、起こってしまったことは変わらない。実際ほとんど思ったことはない。元々の自分の性格だと、何か終わったことをああでもないこうでもないと考えるタイプだったのだが。
意外と前向きな自分に驚いた。それは受傷してからそうなったのだろう。
起こってしまったことは仕方ないと思うようになった。失ったものを思っても仕方ない、この先これ以上大切なものを失わないようにすることと何か自分に有用なものを手に入れる方が良い。
リハビリの意味が「復権」ということを知ったことも大きい。コトバに影響されるタイプだ。復権するためには何でもやってみようと。
この9年間は決して時を失ってはいない、逆に得てばかりの歳月だった。
そう思いながら‘失われた時を求めて’を2杯呑んで、近くのバーに顔を出すことにした。家に自転車を置いて徒歩5分。
何の目的があるわけでない、このようなことができるようになった自分は時を失っていないのだと思いながら。ただの酒呑みの河岸替えなのだが。
バーではハイボールを呑んで1時間ほどを過ごして帰った。この日常を過ごせることの幸せを入院中はずっと思っていたので、ある意味復権した行動なのかもしれない。
ジムにシックスパッドのパワーガンが並べてあった。身体に押し当てると振動する器具。
顔に当てているPOPなので気にもしなかったが、右足首のピリピリしているところに当ててみると、これが気持ちいい。振動の質がいいのだろうか、内面に効く感覚がある。
この商品を調べていて忘れていたワードを思い出した。筋膜リリース。
言葉では知っていたが具体的にどうやるのか、どう効果が表れるのかが分かっていなかった。鍼のセンセイに教えてもらったアナトミートレイン、筋膜は全身に繋がっている。
パワーガンの振動で筋膜のリリースが容易になるのだろうか。大腿四頭筋に当てたり前脛骨筋に当てたりする。気持ちがいい、気持ちがいいことは何か身体に変化を与えるものだ。
伸ばす、曲げるなどの動きで筋膜はリリースされるようだ。それに加えてローラーなどの刺激。
考えたらストレッチポールを使ったり、脚を伸ばして足首をグルグル回したりといつも行っているのだ。特に脚を伸ばして足首回しをやり始めてから調子はいい。
それに加えてパワーブレードやフットローラーについては最近よく書いている通り。筋膜リリースのやり方を学習はしていないが、自然とそこに行きついていた。身体が欲しがる通りの結果。
ただパワーガンは手軽だし気持ちいいし欲しくなったが、これ以上器具を増やしてもどうだろうと思い悩む。
週3労働のゆとり勤務。今日はどこに行こう。
復権できたことは楽しみ、復権できていないことは自分が解決していくしかない。
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