2018年02月21日
【追記あり】ラッキーバンクに行政処分勧告、内容を見てみます
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2/21 17:00追記:
LCレンディングの社長がブログで本件を取り上げています。
・ラッキーバンクへの行政処分
匿名化についてはザックリ言ってますね。
実際問題、一度匿名化の指導を始めた以上、役人の体面としてその方針を覆すことは難しいと思います。
ただ、解釈で法に抜け穴を作るのは役人の得意技ですので、是非ともここは運用通達などを上手く利用して
匿名化を事実上解除するような仕組みを作ってもらいたいものです。
久しぶりの大きなニュースですが
ソーシャルレンディング業界に大きなニュースです。
喜ばしいニュースではないのが残念ですが、ラッキーバンクに行政処分勧告が入りました。
現在はあくまでも勧告ではありますが、実際に行政処分となるのはほぼ確実でしょう。
内容を見ていきます。
・SESC発表:ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
先に自分のポジションを明らかにしておきます。
私とラッキーバンクの間には、アフィリエイトプログラムを通した金銭関係が存在します。
また私自身、ラッキーバンクには現状で533万円の投資を行っています。
以上のように私とラッキーバンクの間には関係が存在しますので、以下の文章には多分に私の意見が入る
事になります。ご了承をお願いいたします。
なお、暫定的に右サイドバーのアフィリエイトリンクを停止してダイレクトリンクに切り替えます。
各記事内のアフィリエイトリンク修正については、処分内容と事業者の対応を待つ形とさせて下さい。
指摘のポイント
1.事実関係
貸付先のほとんどは、田中社長の親族が経営する不動産事業を営むX社となっており、田中社長を含む取締役全員がX社における不動産事業の会議に参加し各事業の進捗状況等の報告を受けているほか、平成28年4月から同29年2月までの間においては、内部管理責任者である取締役をX社の不動産事業部に兼務させるなど、当社とX社は密接な関係の中業務を行っている。
X社というのはLBI社のことでしょう。
貸付先のほとんどがラッキーバンクの田中社長の親族会社である事を公開していないのは問題です。
(第二種金融商品取引業の内部ルールでも、貸付先との間に人的・資本関係がある場合はそれを明記する
という内容が盛り込まれており、実際にいくつかの事業者ではこのルールに従っています)
ですが、貸付先が関係会社という事自体については、それだけで直ちに問題となることではありません。
最終貸付先が関係会社である例など、ソーシャルレンディングではいくらでも転がっています。
(クラウドバンクの一部、LCレンディング、グリーンインフラレンディングなど)
2.貸付先の審査につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
当社の貸付審査の状況を検証したところ、X社より提出された財務諸表において、売却契約の締結に至っていない物件を売上に計上するなどして、純利益や純資産が水増しされているにもかかわらず、これを看過していたほか、X社が手掛ける複数の不動産事業について事業期間が延長となる事態が発生し、この間、X社は売却資金を得られず、平成29年3月以降に償還期日を迎えるファンドに係る借入金の返済が困難な状況となっていることを認識したにもかかわらず、その後もX社を貸付対象先とするファンドの募集を継続している。
一方で、こちらは大きな問題です。
契約に至らない物件を売上に計上して利益や資産を水増しするのは、一般には粉飾決算。
事業期間の延長により借入金返済が困難である事を知りながら募集を継続するのは、最悪の場合ポンジを
疑われても仕方ありません。
(まあ、ポンジスキームという言葉も広義や狭義があるわけですが)
前段の事実関係と合わせて考えると、要は「親族会社が故にお手盛り融資になっていた」ということであり
お金を扱う企業としての公平性を欠き、金融庁がブチ切れるには十分な理由です。
一つ気になるのは、「2017年3月以降に償還するファンドの返済が困難になっている」という一文です。
実際に、2017年3月以降においてファンドの返済は行われているからです。
その前の文章と合わせると、(希望的観測が多分に混じりますが)事業期間の延長によって、「期間通り」
に償還することが困難になった、という解釈もできます。
その場合は要するに「お代わり案件」ということで、それ自体も処分勧告を受けるほどではありません。
(お代わり案件なんて、ソーシャルレンディングでは良くある事だからです)
逆に悲観的に取ると、「期間を過ぎても」償還が困難であった、という解釈となります。
この場合は立派なポンジとなるわけですが、それにしては処分勧告理由にその部分について直言を避け、
どちらとも取れる表現をしているのが少し気になります。
(もしそうなら、「別ファンドの出資金を流用していた」くらいの表現を使いそうですが)
3.担保物件の評価につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
X社への貸付けを行っているファンド318本のうち252本について、「不動産価格調査報告書」を当社ウェブサイト上の募集要領に掲載しているが、当該報告書は、正式な不動産鑑定評価を行った上で作成されたものではなく、対外的に公表できない不動産価格をウェブサイト上に掲載し、ファンド出資持分の募集を行っている。
ここで問題となっている不動産価格調査報告書というのは、下記の事でしょう。
当ブログをご贔屓いただいている方からも情報をいただき調べてみたところ、この書式による不動産調査は
以下のローンファンドで使われているようです。
・59号〜204号
・248号〜379号
これ以外の書式となると、以下のような鑑定書や不動産価格調査サービスによる調査も行われています。
対象ファンドは58号まで(ただし、Webサイト上に51号以前の情報がない)と、205〜247号です。
さらに新しい380号以降においては、上記の「不動産価格調査報告書」も掲示されていません。
204号と205号の募集の間は1ヶ月ほど空いており、これはSESCの調査が入った時期と近いです。
状況証拠から推測すると、この際に何らかの指摘があり、1ヶ月かけて修正を行った。
ただその後、248号以降においては有耶無耶になってしまった・・・というところでしょうか。
感想
一番始めに思ったのは、「なんで検査から1年もかかって勧告するんだろう」でした。
内容を見た限り、今回SESCの処分勧告に至った理由は以下の2点でしょう。
・関係会社X社(LBI社)との関係がズブズブ
・不動産査定がダダ甘
いずれにしても、金融庁をキレさせるには十分な理由です。
LBI社が自転車操業をしていたか、ラッキーバンクがポンジスキームだったかについては、今のところ情報が
不足しているため、肯定も否定もできません。
(ポンシは論外ですが、自転車操業は多かれ少なかれやっていることで、程度の問題とは思います)
ラッキーバンクは処分勧告を受け、同日にお知らせをアップしています。
・証券取引等監視委員会の勧告について
私も投資している身として、早晩発表されるだろう処分内容と今後の動きに注目したいと思います。
ランキングに参加しています。
リンク先には同じ話題を取り扱うブログが沢山あります。こちらもいかがでしょうか。
posted by SALLOW at 17:00
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ご訪問、コメントありがとうございます。
万人が参加でき、かつ胴元(仲介業者)がいる市場では、せいぜいREITで4〜5%の利率が精一杯だと思います。ただ、それは不動産からの直接受益の場合です。
不動産担保ローンの例を挙げますと、例えば下記をご覧下さい。
https://www.smtlf.jp/realestateloan/lineup/individual_corporate.html
三井住友トラストの例ですが、「実質年率」の欄は15%以下、と書いてあります。
融資事務手数料や期限前の解約違約金を考えた場合、短期貸付では実質年率がこのくらいになるのは、銀行融資でもあり得ることです。
従って、ソーシャルレンディングで事業者利益を抜いても、10%弱の利率というのは不可能ではないと考えています。
どうやって配当してるのでしょうか。
ラッキーバンクはまだ社長が年若いのですが、大和証券の元常務がご意見番としてその分をサポートしているところもあり、赤字体質だけがちょっと気がかりでした。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO20115690Y7A810C1000000?channel=DF180320167086
確かに金利は高いな、とは思っていたのですが・・・。
とりあえず私の場合、来月償還が150万円、再来月償還が120万円ほどあるので、このあたりが最初のチェックポイントになるかな、と思っています。
不動産投資をされていたのですか。私も少しは考えたのですが、現地に出向く手間と最小投資金額の大きさ、そして資金流動性の無さから、SLを選びました。
ちょうど1年前に検査が入り、その後何も無かったので7月からLBへの投資を始めたばかりなのですが...
匿名性と物件の特定できないのは、不安要素でしたが、約半年間は分配の遅延もなく期限前償還も滞ることなく、すっかり安心して最近投資額を増やした途端この事態。
昨年まで不動産投資してましたが、管理が面倒になったのと良い金額で売却できたのでSL投資に切り替えたところでした。
投資って難しいですね〜。
検査終了から1年もかかって処分勧告になるとは、私もびっくりしました。
これでは、検査が入った後に「大丈夫だった」と心休まる事がないですね。検査に入って問題があれば勧告するのは良いのですが、何もなければ何もないと発表してくれれば良いのですが。
ただ、少なくとも明らかな悪意ではなく、今のところの情報によれば「身内ゆえの甘さ」と、「簡易的な不動産評価」を突っ込まれたということらしいです。
もちろん安心はできませんので、今後も見ていきたいと思います。
ご訪問、コメントありがとうございます。
確定申告はきちんと行いました。半分趣味で20以上の事業者から配当を得ているのと、それ以外に株や投信の売却や配当もあったり、ふるさと納税も20カ所近くに行っていたりで、作業量はなかなか愉快な事になっていましたが、2時間くらいで終えました。
その顛末については、こちらの記事をご覧いただければと思います。
https://fanblogs.jp/sallowsl/archive/394/0
https://fanblogs.jp/sallowsl/archive/395/0
ラッキーバンクの件、私も驚きました。
昨日は午前中にLBから2本のファンドが期限前返済にて3月8日に分配がある旨のメールが来たばかりで、まさかこんな勧告があるとは。
今月月初にも期限前返済の分配があったばかりで、信用していたのですが。
LBには私もかなりの金額を投資してますので、今後も注視したいと思います。
年間400万超の利益を出されているようですが、雑所得が20万を超えると確定申告が必要だと理解しております。確定申告はされているのでしょうか。
田中社長は今頃てんてこ舞いでしょう。
もっとも、そうせざるを得ない状況を生んでいるのですから仕方のないところですが。少なくとも社長が最前線に出てくる姿勢は評価できると思います。
臨時検査は何らかの疑義によって行う、というのは多分その通りだと思います。
トラストレンディングが最近、天下りを大量に受け入れているのも無関係ではないかもしれません。
もっとも、あくまでも今のところの情報では、完全な悪意ではなく社長も雲隠れはしていないようですので、今後の処分内容とそれを受けてのラッキーバンクの対応を注視したいと思います。
また、この手の話が出ましたね。火の無いところに煙は立たないというように定期検査以外の臨時検査には何かしらの疑義があるということでしょうか。
トラストレンディングも同時期にありましたが、何かしらの指導事項が出てこないか心配ですね。
第二のみんクレにならないことを祈っています。