2019年08月05日
地銀の生き残り戦略!
銀行が従来のビジネスモデルからの転換を迫られている。銀行は経済の血液となる資金を供給する役割を担い、経済発展に欠かせない存在である。しかし大企業などは資金調達を資本市場からの調達にシフトしており、景気が先行き不透明の中、利益剰余金は投資よりもっぱら借入金の返済に回している。その結果、銀行の収益環境に大きな影響を及ぼしている。
銀行の主要な収益の源泉は、主に貸出金利による収益、金融商品や金融サービスの提供による手数料収入、外国為替による収益、株式や債券の売買収益に大別される。顧客は法人、個人、公的機関などありとあらゆるレベルに渡るが、メガバンク、地方銀行、信託銀行などで顧客の棲み分けと競争が行われている。
また金融業務は多岐に渡り、高度な専門性を必要とする投資銀行業務や資金調達に関わる引受業務から、個人相手の窓口業務までカバーしているため、担当する業務によって全く違うスキルセットが必要になってくる。それだけスキルの高い人材を確保しなければならないので人件費負担も大きい。
銀行は「誰に、何を、どのように価値を提供していくか」というビジネスモデルも単純ではない。共通するのは、「顧客の金融ニーズを支えることによって、顧客に価値を提供し、その対価を収益とするビジネス」である。
一番の収益の源泉は、法人に対し資金を貸出すことによる貸出金利息である。これが銀行の根幹のビジネスである。一般に、銀行の業務粗利益のうち、都市銀行で64%、地方銀行で85%であり銀行のビジネスモデルの中核となっている。
大企業の資本市場からの調達へシフト、中小企業の減少(500万社⇒358万社)によりこのビジネスモデルでは事業存続は困難で、今後は更なる地銀の合従連衡・再編が予想され、各銀行が経営基盤の強化に奔走することであろう。また同時に、相続業務や事業承継業務(M&Aも含む)など日本社会が今後、直面する課題に銀行がもっと積極的に活躍すれば新たな収益モデルが確立できるはずである。
山口銀行が人口減少の中、窓口対応が減り、店舗の有効活用として飲食店を併設したことがTVのニュースで紹介されていた。地元食材を中心としたバルで、集客力の向上と収益機会の拡大を目指すらしい。
なかなか従来の銀行にない新たな発想である。みんなの知恵を結集して新たなことにチャレンジし、銀行という旧態依然のビジネスモデルから脱却しようとしているが、こういう意見を採用する経営陣には敬意を表したい。
この取り組みが功を奏するか否かはやってみなければ分からないが、このチャレンジ精神は重要だ。地域密着の地銀が地域のお客様と共生するには、接触機会を増やすことが前提となり、これらの試みに期待したい。
*バルとは、スペイン語の呼称で、スペインやイタリアなどの南ヨーロッパでは、酒場、居酒屋、軽食喫茶店。海外のバルは、朝はカフェとして、昼はランチをするカジュアルレストランとしての役割も担う。夕方以降は一杯飲める場所として、地域のコミュニケーションスペースとしての存在感が強いようである。
「金融機関は晴れの日に傘を貸して、雨の日に取り上げる」という言葉は有名。業績好調で資金繰りにも余裕がある時は「借りてください」と頭を下げるのに、経営が悪化し真剣に資金需要が必要な時には知らんぷり。ひどい場合は銀行自らが保身になり回収に走ろうとする。そんな銀行は企業にとって必要ない。中小企業に必要な銀行はリレーションシップバンキングができる銀行だ。
困った時に資金提供して助けてくれたり、最適なビジネス提案や市場情報の提供で業績向上に貢献してくれたりする銀行が各地域には必要だ。
銀行も従来のビジネスモデルからの脱却を余儀なくされ大変だが、中小企業には融資だけでなく、様々な形で経営に関与し、存在感を発揮して欲しいものだ。
これで日本経済を勉強しよう。(為替動向には敏感に)
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