2012年07月04日
ついに別居に至るまで
ある日、妻の失業保険の認定日となった。
「どうだった?今日は」
「うん。失業保険はもらえることになって、説明は受けてきた。結構ハローワークに人多かったよ。中には、うちの子より小さい子供連れてる人もいた」
「え?そうか。そういう事情のある人はいるよね」今日は半日私が子供の面倒をみていた。
「でも、帰ってくるの意外と早かったね」
「うん。人がいっぱいで」
「なんか良さそうな仕事はあった?」
「情報がほとんどなくて、よくわからない」
「え〜、ネットとかで自宅でも見れるようにはなってないの?」
私も興味があったので見てみることにした。受験しても落ちるかもしれないし、合格したにしても合格発表までの時間と、開業の登録までの時間があるので、その間は働くつもりだったし、そういうことは今まで妻にも話している。
ハローワークのHPを見てみる。
・・・・・・・・・・・・・・・・めちゃくちゃ詳しい情報が出ている。
「結構使えるじゃん。あ、4時間とかで勤務できるやつもあるよ。別に資格とかもいらないみたいだし」
「あ、これとか前職と同じじゃない。これならプロでしょ」
「うん。やっぱり官公庁の臨時職員も募集してるね。こういうの、何も専門性っていらないから」
なんとなく見つけたままに言っていく。
すると、妻はとっとと台所にひっこんだ。どうやら、俺が妻の嘘を暴くつもりでこういうことをしていると感じたようだ。
・・・・・・・・・・・・・・・もう、このことには触れないでおこう。
結婚してからわかったことだが、妻はけっこう「それは私にはできない」と初めから決めつけるタイプだった。
ひょっとしたら、俺があれはこれはと言うと、またその発言が飛び出すかもしれないなと思った。
それ以降は、私は黙って勉強を続けた。
―――――――突然、事件が起こる。
なんと、俺がいる部屋のドアが開かない
このドアには、鍵はかかるようにはなっていない。開かないはずはないのだ。
しかし、確かに何日か前からレバー式のノブの調子はおかしかった。
隙間をのぞいてみると、どうやらラッチが動いてない。
どないしよ・・・・・・・・。
「そうやわ。今1階にあいつがおるがな」
ドアをノックする。何度か。
今度は、やや強めに叩いてみる。何度か。
(気づかないのかな?)
今度は、床をどんどん蹴ってみる。何度か。
やっと妻に伝わったようだ。よかった。まだそんなに暑くはないが、ここに閉じ込められると、トイレにも行けない。
今の状況を伝えて、とりあえずドライバーを持ってきてもらうことにした。
「とりあえず、ドライバーでこのノブはずしてみて」
ノブがはずれた。だが、はずしてもどうしようもない状況だった。
普通回転させるとラッチが動くものだが、空回りしている。
「ダメだ。鍵屋を呼ぶしかないのかな・・・・・」
「あっ、そうだ。とりあえず、隣の部屋の窓を開けて」
こうして、なんとか屋根づたいに隣の部屋に逃れることができた。
しかし、開かずのドアになった場所は、しばらく開かない状況だった。
これを自力で開ける方法については、後日書くとしよう。みなさんも、いつこういう状況になるかわかりませんよ。
話がそれた。もとに戻ろう。
その後は1階に戻った。妻は子供に食事を与えていた。子供は最近、わざと食べ物をこぼすようになっている。そのたびに妻はいらいらしてるのだが、今日は一際語気が荒い。
「なんか、最近疲れてるね。こないだも言ったけど、いいよ。しばらく旅行に行くなり実家に帰るなりしてゆっくりしてくれば?」
「でも、今度町内会の会費の集金に行かなくちゃ」
「それまで時間あるじゃない。なんか、今がいっぱいいっぱいになってる状況に俺には見えるから、そう提案してる」
「でも、やっぱりいい。ありがとう」
と本人は言うのだが、妻は結構ちょっとしたことでもいっぱいいっぱいになる人だということを知っていた。育児疲れはあるのかもしれない。
「ほんとにいいの?無理しなくていいよ。まだ俺の試験は直前期じゃないんだから、今なら俺は余裕あるし。何か、俺には君が今すごくいっぱいいっぱいになってるように見える」
「いっぱいいっぱいになってるのは、誰のせいよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」俺のせいって言いたいのか。
「何もいっぱいいっぱいになることないじゃない。今までと何か生活は変化したのか?」
「でも、将来のことが不安で」
「不安なんて、誰でも持ってるんだ。世の中突然リストラされたりする人だっているんだから。だから、1年ぐらいは働かなくても食っていけるって説明したでしょ。ただ、開業資金をなるべく残しておきたいから、働いてもらいたいっていう話をしただけじゃん」
「まあ、そんなにすぐ仕事が見つかるとは思ってないけど。このご時世だし。だから、今すぐに働けなんて、俺1回でも言ったことあるか?」
「それはそうだけど・・・・・・・・。今日ハローワークのHP見てたのだって、私のためにしてくれてるんだってわかったけど」
「だいたいな。見方が悲観的すぎるんだよ。」
「あなたが楽観的すぎるだけでしょ」
「あのな、俺だってもともと慎重だし、どっちかというと悲観的な人間だけど、はっきり言って人間何でもできるんだ。やる気になりゃ。そんなにすべてを悲観してちゃ何もできない」
その後、また今まで繰り返し繰り返し話してきたような夫婦の会話が続いた。正直、何度も言ったことなので俺もうんざりだった。
つい、言わでものことまで言った。
「あのさ、人の話ちゃんと聞いてる?何回も説明してきたよね?」
「ああ、もうその口調が嫌」
「・・・・・・・・・・・・夫婦の間で、口調が嫌と言い出したら、これからどうするのさ」
沈黙の時間が流れる。
もう俺は夫婦喧嘩をきりあげて別のことに移っていた。パソコンでいろいろ情報収集している。
情報収集しながら、考えていた。
ほんと、妻の実家に行ってから、妻は別人みたいになってしまっていた。今までそんなこと言ったことはないのに、「あなたは信用できない。」などと侮辱するようになった。こんなにことあるごとにモメるなんてこともなかった。
ひょっとしたら、母親に離婚しろ離婚しろって言われてるのかな?これは俺の主観でしかないから事実はどうかわからない。
聞いてみた。
「なあ、そんなに俺が信頼できないか?俺といると不安なのか?」
「・・・・・・・・・もし病気にでもなったらって。それも心配で」
「その不安もみんな持ってるんだぞ。そんなこと言い出して生きていけるか。俺が聞いてるのは、俺のことが信頼できないのか?俺の能力じゃ開業しても成功しないと思っているのかと言うことだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」黙っている。
「そんなに俺のことが信頼できないなら、もういいです」そのまま、パソコンに目を移した。
実は、俺の中で数日前から考えていたことだった。今まで夫婦関係を修復しようと努めてきていたつもりだけど、なんとなく元に戻れない程溝ができているように感じた。何より、こういう一身に専属するような夫婦間の決定にまで親の意思が介入し、それを忠実に守るような妻とは、今後うまくやっていけないと感じていた。妻のマザコンに対する我慢は、もう限界にきていた。
俺に悪いところがないとは言えないさ。確かにもともとの原因は、仕事を辞めたことにある。しかし、事前に妻に説明し、納得してもらって辞めたんだ。ある日急に辞めてきたわけじゃない。
しばらくすると、妻がバッグをかついだ。いつも持ち歩くもの。
「どこ行くの?」
「私も考える。実家に帰る」子供を抱きかかえた。
「子供を連れて?」
「うん」
「ふ〜ん」ここで子供の奪い合いはしたくなかった。有形力の行使ならば、私に分があるのは当然だ。それを後日DVなどと因縁をつけられちゃかなわない。夫婦の喧嘩の際だって、なるべく口調にさえ気を付ける。怒鳴ったりしたことはないつもりだ。
何より、子の目の中に争っている両親の姿を見せたくなかった。
そして、私の声は結構野太く、低い。職場で、「〜さん、電話です」って取り次ぐ時の声について、女性の先輩に「りゅうき君の声って、地響きがするみたいな感じだよね」って言われたことがある。
実は、この声のことについて離婚協議にいたる過程で後日談があるのだが、それはまた書こう。
ともかく、妻は家を出て行った。
・・・・・・・・・・・・が、ちょっとしてすぐに戻ってきた。
(ん?考えでも変わったのかな?もう一度じっくりと話し合おうと思ったのかな)
カギをかちゃかちゃやっている。
俺は、内側から開けてあげた。
しかし、どうやら話し合いにきたわけじゃないみたいだ。他に持っていくような荷物をあさっている。
私は黙って自分の仕事を続ける。
しばらくして、また出て行った。
妻の実家までは、1時間40分ぐらいだ。
実は、この事実関係についても、離婚協議の間で一つ後日談がある。
なるべく、事実関係について正確に記述してきたつもりだ。私は今後の離婚調停の場であっても主観は交えない事実関係についてはを堂々と述べるつもりだ。違うと言うのなら、言ってみて欲しい。本当にそうだと言えるものなら。例え、調停が不調になり、裁判の場に持ち込まれたとしても、この記述は裁判所にだって提出できる。それぐらいに正確に書いている。
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