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2017年10月13日
塾にできること、家族にしかできないこと
夏もすっかり過ぎ去って、肌寒いと感じる日も増えてきましたね。
台風の被害にあわれた方が、一日でも早く日常を取り戻せるよう祈ってます。
お久しぶりの投稿になってしまいました。
ぶいつーv(・∀・)vです。
受験生にとって、ここからの時期はもう迷っている時間はありません。
常々それを生徒たちに言っているんですが、
それでも頑張りきれずに甘いことしてるやつもまだまだいるんですよ
やらせきれてない僕の責任もあるんですが、
最後は自分がやるしかないですからね…。
僕らは変わってあげられないので。
そんな話を中3のごんちゃんとしたときのことを
今日はお話します。
ごんちゃん:中3の男の子。人間性にステータスを全振りしてしまった損するいいやつ。まったりマイペース。
ある日のこと、ごんちゃんは授業前の小テストで3回目の不合格になってしまいました。
「どしたよ、ごんちゃん。調子悪いやん」
「うーん…」
なんとも歯切れの悪い返事。どうした、と尋ねはしましたが、ごんちゃんが家で勉強していないことは明らかでした。
「…お前さん、家で勉強してへんやろ」
「…うん……」
「なんでなん?授業のときはあんなに頑張ってやってて、家で自分でどんだけやるかが大事やで、って話したよな?」
こんな言い方は講師としてよくなかったかもしれません。
でも、僕はあまりにも悔しかったのです。
確かにごんちゃんは点数的には出来る子とは言いがたい成績ですが、本当にいいやつで塾でもなんとか点数を上げたいと頑張っていました。その思いに応えて成績を伸ばしてあげたい、と2人でやってきたつもりだったからこそ、僕の見ていないところでも頑張っているだろうと思ってしまっていたのです。
「どうしてもな、…勉強頑張る前に休んだり遊んだりしてまうねん。そんで、そのままあと5分、あと10分って伸びていって…結局寝る時間になって、勉強出来ひんっていうか…」
「…そりゃ先に休みたいのもわかるけどさ……」
二の句を継げませんでした。
あんなに話あって、一緒に頑張ると言ったのにこんな状態になってしまうのに、これ以上なんと言えばこの子の心に届いて、行動に移すほどになるのか、情けないですがわからなかったのです。
結局無駄かもしれない。けれど、僕には話をするしか出来ることがありません。
「前にも言ったし、ごんちゃん自身もわかってると思うけどさ、
塾では勉強の仕方やよく出る問題の解き方は身につけることが出来る。
でも、解けるようになるには自分が頑張るしかないんやで。」
「うん…っ…うんっ……」
ごんちゃんはしばらく泣いていました。
ぼくだって頑張っていると思っていたこの子に、こんな話をしなくちゃあいけないなんて
つらくてつらくてたまりません。
「ぼくはな、ごんちゃんをど底辺高校には入れたくないんよ。そこで学べることはあるやろけど、ごんちゃんの出来る限りでええから、ごんちゃんのなかで最高レベルの高校のほうが、学べることの密度は間違いなく濃いから。」
「……」
「ごんちゃんええやつやから、ごんちゃんの望むことは叶えてあげたい。
でも、それにはごんちゃん自身も協力してくれなあかんねん。
ごんちゃんがもう頑張れへんって言うんやったら、それはそれで別の道を考えるで」
もう勉強を頑張れないとごんちゃんが言うなら、
勉強以外でなるべくレベルの高い高校に行ける方法を考えるつもりでした。
彼は目元をぐしぐし拭いながら、しっかりと頷きます。
「おれ…頑張りたい。先生の言うてることわかるし、俺もヤンキー高校はやだ。できるとこまで頑張る…!」
涙にぬれて真っ赤になった瞳で、ごんちゃんはぼくをまっすぐ見つめました。
…正直言って、信じていいかかなり迷いました。
でも、
「…わかった。じゃあ、明日から学校終わってすぐおいで。塾で勉強してからお家帰るようにしよし」
「…はい。絶対来る」
……目を腫らして、ごんちゃんは帰っていきました。
これから、いや、そもそも明日本当に来るのかもわからないけれど、
とにかくぼくを見据え返したごんちゃんの目を信じてみることにしました。
またこの期待を裏切られることになるかもしれません。
でも、それでも生徒を信じるのが講師の仕事かもな、とも思ってるんです。
結果はどうあれ、ね。
その子の勉強については一番よくわかってるぼくが、勉強で頑張るって言葉を信じなくてどうすんだってことですよ。
期待半分、不安半分で待ってみようと思います。
家族にしかできないこと