2020年04月05日
とある科学の超電磁砲T 9話感想 美琴・食蜂タッグの無双から転じて佳境に向かう物語
9話 警策看取(こうざくみとり)
※原作未読の方はコメントオフでの視聴をオススメします。
あらすじ
黒子らが警策の情報を収集中、佐天は借り物競争中の当麻と遭遇し、お守りを貸し渡す。
その後廃工場を探索中に警策らの組織に遭遇、殺されかけたところをショチトルに救われる。
一方、美琴と食蜂は幻生のいる会議場を襲撃し幻生を捕縛するも、影武者だとわかる。
食蜂は影武者の記憶内の幻生の言葉を聞き、美琴とともに自身の隠れ家へと急行する。
感想
グラサン&スーツ姿の美琴がカッコいい。しかし外見を変えても超電磁砲でぶち抜いたら足がついてしまうのでは……。これくらいのことが出来る能力者が特定不能なほど多数いるということだろうか。恐ろしい街である。久しぶりの必殺技・超電磁砲は今回も専用作画スタッフ(澁川大佑さん)がいる凝りよう。撃つまでの作画もぐりぐり動いて見応えがある。
警備に見つかってごまかす美琴だが、顔を隠しているとはいえ運動靴の子供なのであからさまに怪しい。まあ怪しんでいるのをお互い承知の上での駆け引きなのだろうが、こういう若い能力者の傭兵が珍しくない可能性もある。それはさておきこの警備のおじさんが大変いいお声をされている。CVはおそらく中野泰佑さん。こういう評価の仕方が正しいのかはわからないが大塚芳忠さんっぽくて良い。ハイバリトンという声質らしい。
「蟻一匹逃しちゃダメだゾ☆」「「ハッ!!」」
洗脳して意志を奪っている連中をかしずかせることになんの意味があるのか。実質的に一人遊びであり、食蜂の性格が現れている。ちなみに「はい、みんなおすわり☆」はアニオリのセリフで彼女の「女王」気質を強調する演出となっている。運痴少女一人で傭兵組織が機能不全に陥る様はなかなかの恐怖だが、4話と違って味方なところが心強い。性格も能力も真逆なレベル5がタッグを組んでの無双はカタルシスが強い展開である。
「この目の奥に蟠(わだかま)る闇は同一人物に思えますの」
そうかな……そうかも……。アニメの作画があっさりめで可愛いので闇を感じるかと言われると同意しがたい。
佐天さんと上やん邂逅。CV阿部敦さんの12年前から変わらぬ「不↑幸ぉーだぁー!」が実家のような安心感を与えてくれる。わずかな得点のために駆けずり回る当麻と、それを見捨てられずに見ず知らずの男にお守りを託す佐天さん、どちらもレベル0のお人好しという点で共通点を感じる二人である。
書庫(バンク)で噂話を教えてくれる受付のお姉さん。原作では重要なことを喋るわりに登場がやや唐突なので、これはこの場にいない佐天さんの役割を負ってる人だな……ということを感想で書こうと思っていたらアニメでも「佐天さんと気が合いそう」という言及がされて笑ってしまった。ですよね。アニオリシーンは黒子が美琴を意識するところも追加されているが、これは6話と違って美琴と共闘した後なので問題ないように思える。
で、その佐天さんだが単身、廃工場に潜入中……おいやめろ。無敵のレベル5タッグと対比して不安しかない。命が助かったのは偶然の度合いが大きいので性格の粗忽さを否定できないが、ショチトルに助けられたのは彼女の人望(?)のおかげとも言える。なぜ助けてもらえたのかなどショチトル周辺の謎は2話感想で書いたように禁書1期円盤特典の小説、もしくは禁書本編を読まなければわからないので、超電磁砲のみ・アニメのみ視聴の人は深く考えないようにしよう。超電磁砲はこういう禁書ありきの描写・禁書読者へのファンサービスが多い作品なのである。
警策看取のCVは富田美憂さんで「異世界レビュアーズ」のクリム役、「ぼくたちは勉強ができない」の緒方理珠役でおなじみ。ぼく勉は一期も二期も全話見たのに、理珠と違って飄然としたトーンであるせいか全く気づかなかった……。それが「こんなところでつまづくわけにはいかないし……」のところでぐっとシリアスなトーンになるのがいい。その部分や「学園都市を離れたほうがいい」など喋るたびに絶妙な伏線を張っていくキャラである。
ショチトルと警策が仲間割れしたことでまた話が複雑になったように見えるが【幻生&警策】が思想をもった敵対勢力であり【ショチトル・馬場・博士(ショチトルの電話相手)】はただの兵隊なので後者は美琴や佐天さん、食蜂らと敵対する意味がなくなった状況である。
「やれやれ、久しぶりにまともな仕事が回ってきたと思ったのですガ」
カイツのセリフはさほど多くないが、このちょっとしたセリフから性格が読み取れる。彼にとってSで従事していたレベル6シフト計画の警備はまともな仕事ではなく、善悪を問わないプロフェッショナル気質と推察できるが個人的には善性を好むこと、食蜂は人使いが荒くひねくれた雇い主だが目的に正義があること、そしてここで死ぬ可能性を覚悟していることなど、一言から多数のことが読み取れるいいセリフである。ちなみに原作ではミサカ妹との会話で「あなたとの関係は感謝されるものでは…」と言っているのでちょっとだけ改変されている。
「君抜きで『エクステリア』を守り通せるかな?」
食蜂の能力の凄まじさと計画の周到さを描写した上で、それを完全に読み切って出し抜く幻生の底知れぬ知謀が表現されている。食蜂からすると自身が関与していることすら隠していたつもりなので驚愕だろう。レベル5タッグ無双のカタルシスから一気に不穏に転じて物語がクライマックスへと向かう。
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