2018年05月27日
グランクレスト戦記 19話感想 迫力はあるが若干癖のある作画と演出
19話 公子覚醒
あらすじ
ドーソン侯・ベルナールは連合に再帰順を申し出るがアレクシスに拒絶され、戦闘となる。
アレクシスは芸才を発揮させた指揮により圧倒、ドーソン侯は聖印と領地を差し出し降伏する。
続いてハルーシア軍は北の海域においてノルド候エーリクとの海戦に臨む。
アレクシスは連結させた鉄甲船を運用した戦術により、エーリクとの海戦を制する。
戦旗で狂戦士と化したノルド兵たちに苦戦するも、激闘の末エーリクを討ち取り聖印を獲得する。
感想
「卿も同盟の君主になったのだから武勇を示されよ」
みんな大好きドーソン侯の破滅回。ミルザーはなんとしても助けようとしたのに扱いの差がひどい。まあ地理的に難しいのも事実だろうがルクレール伯を倒すのに利用しただけというのがよく分かる。
このおっちゃん魔法師の緊張感皆無な声が印象的。CVの小林直人さんはこの作品のモブ役でかなりの回数を演じられている方なのでもちろんそういう演技なのだろう。裏切ってルクレール伯を死なせておいて帰順できると思っているドーソン侯の面の皮をこの魔法師の声色で表現しているように思う。小林さんは30歳とお若いのに自然な壮年声でお見事である。
ドーソン侯の動きがやたらコミカル。なんなの、あんなにイラつくキャラだったのになんか憎めなくなってきたぞ。
極めつけはこれである。もう笑うしかない。9話のパーヴェルあたりと比較して、やったことの悪辣さのわりに末路がぬるい気もするが、私は許そう。アレクシスが優しくてよかったね。
アレクシスの戦旗テルシオは指揮官と兵が意識を共有するものらしい。このアニメはだいたいのことは推察できるように描写されていて心情描写に関しては不満はないのだが、戦旗は心情という普遍的なものと違いオリジナリティがあるため想像力で補うのは難しいのでもうちょっと説明が欲しいところ。一言あるだけで「指揮官と意識共有が出来るならそりゃつえーわ」という納得が生まれるのだが。
ただアレクシスの芸才が指揮にも活かされるというのは納得できた。8話の感想で触れたが一晩であのバラの花を描くのは相当な全体把握能力が必要というのが絵描きとしての感想である。その能力は戦場全体を見渡して采配を振る指揮官にも必要になりそうというのはなんとなく想像がつく。
アレクシスがドーソン侯を破ったと聞いて動揺するマリーネ。原作ではここで一瞬笑顔になりアウベストに指摘されるという描写がある。アレクシスが巻き込まれる不安の中に元恋人の活躍に対する歓喜が混ざったという描写だが、カットされたのは地の文のないアニメでやるには誤解を招く表現ということかも知れない。
ノルド候エーリク登場。16話でハマーン全裸作戦に敗北したウルリカの父である。原作では奴隷の遇しかたについて娘を諭すなど理性的で王の気質にあふれる人物として描かれている。アニメでも連環状態の鉄甲船の特性に気づくなど思慮深い面も見られるが、アレクシスへの障壁として狂戦士の部分が特にクローズアップされている。ごつい見た目のわりに目はキラキラしていてギャップを感じる。
このへんの戦術はよく分からないが、鉄甲船を連結させた中型船で囲うことによって擬似的な城とし、エーリクの得意な海戦ではなく実質的な攻城戦とし自分の土俵に持ち込んだことが勝因ということだろうか。
どこかで見たような演出。今回は全面的にシリアスな局面のはずだが、絵画的ドーソン侯や随所の早回しなどどこか演出にコミカルさを感じてしまう。
エーリクの戦旗ベルセルクは兵を狂戦士にするというもの。自身にもかかるっぽい。アレクシスのテルシオと比べてこれは見るからに分かりやすい。説明をするべきラインをどこに設けるのが妥当かという創作のセオリーについて考えさせられるエピソードでもあった。
ところどころ作画があやしい。戦闘で大人数描くの大変なんだろうなあ。ただ動き自体はどこも激しく迫力があったのでバイキングの恐ろしさは十分に伝わった。
ノエリアさんかっこいい。邪紋使いのはずだが邪紋はどこに刻んでいるのだろう。後ろのぽっちゃり魔法師さんもちゃんと名前がありノエリアさんより上にクレジットされているので今後に見せ場がありそう。
「マリーネ、もうすぐ君の元へ行くよ」
狂気と暴力の末に凄惨な死を遂げるエーリクの赤と黒、敵への憐れみで涙するようなアレクシスの白と青、両者のコントラストが強烈である。白き公子が臣下たちの敷いた庇護を越え、血の海に一歩踏み出すという描写が象徴的。
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タグ:グランクレスト戦記
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