2018年06月02日
覇穹封神演義 18話感想 スローテンポだが聞仲をとりまく描写は丁寧で効果的
18話 死闘
18話配信(Abemaビデオ)
あらすじ
大戦の行方を眺める申公豹は聞仲から聞いた彼の過去を思い出す。聞仲は殷王妃となった友人・朱氏の子孫が治める殷を300年以上守ってきたのだった。
説得に失敗した普賢真人は太極符印で聞仲を攻撃するが通用せず、禁鞭の一撃が迫る。
危機一髪のところでスープーに乗った太公望が到着し、聞仲と戦いとなる。
一方人間界では殷が周からの侵攻を受け、紂王も倒れて滅亡の危機に瀕していた。
感想
「やっぱり俺たちも仙人界に行って聞仲様を助けたほうがいいんじゃ……」
アバンは人間界の様子。相変わらず時系列がよくわからない。原作においてはここは仙界大戦より後の話なのだが、李興覇のこのセリフから察するにどうも大戦中〜直後の出来事らしい。仙界大戦は数十日くらいだが、周と殷の戦いは行軍の時間を考えると数ヶ月くらいになるはずなので、同時進行するには時間のスケールが合わないように思う。
細かい部分だが妲己の登場にワンクッション置くカットがないので瞬間的に現れたように見える。まあ物語上唐突に帰還したところなのでそういう演出かもしれない。
聞仲の過去エピソードがついに描写。これは嬉しい。何度も書いてきたが聞仲ラスボスでこれをやらない選択肢はないだろう。やらないかもしれないと思ったことを反省したい。「歴史の道標が聞仲を向いていないとしたら〜」の申公豹の述懐にリンクさせるとはなかなかにくい演出である。結果として「回想の中で回想」というよくない(と言われる)手法になっているが、わかりにくくならなければ別にいいのではと個人的に思う。
このカットに現れる聞仲と申公豹の関係性が興味深い。友誼や信頼ではないが永い命を持つ強者同士のシンパシーのようなものを感じる。
若聞仲の声がちゃんと若い。CVは前野智昭さんだが通常聞仲の声がかなり低くて太いのでこっちのほうが地声に近いのかもしれない。
惚れた女(自称ライバルなので一概にそうとは言えないが)の遺児と子孫が治める国を自分の子供とみなす、という男の心理は客観的に見てけっこう気持ち悪いと思うのだが僕は皮肉や冗談を抜きに聞仲のそういうところが好きである。300年以上に渡って個人が国を治めるという現実にはありえないことと、親子や男女の心情という現実的なものをうまくミックスさせている、ファンタジーものの醍醐味とも言えるエピソード。
殷の守護者としての素顔と、仙界の破壊者としての仮面の両側面を連続で映す演出が効果的。彼の仮面が殷へ執着する頑迷さを象徴しているのは原作でもある演出である。
マッサージに興じる妲己。御尊顔が崩れているように見えるが原作でもここはこんな感じだったような。しかしまだ蓬莱島にいるのか朝歌に帰ったのかどちらなのだろう。まあ王天君が配下にいるなら長距離を瞬間移動できることに不思議はないのだが。
謎のシルエット。いったい王誰君なんだ……声でバレバレである。加工なりしてちょっとは隠す気がほしかったところだがどのみち覇穹では生存がわかりきっているし、原作でもバレバレだったような気がする。
「彼の心の一番柔らかいところを突くのよん」の直後に飛虎の様子を描くところも演出として効果的。
黄巾力士のエネルギー切れで落下するところと、太極符印の核融合を遠目に目撃する太公望。両者とも原作にはなかった描写のはず。原作では黄巾力士から(いつの間にか)スープーに乗り換えて間に合うのだが、そこを描写してないので補完した形だろうか。普賢の危機に間に合うのかという緊張感を煽るものにもなっている。
「力の差とは無慈悲なものだな。憐れみをもって一つだけ教えてやろう」
次回わかるが黒麒麟に隠れただけなのに偉そうなことである。まあ実際黒麒麟に乗らなくてもクソ強いし戦いにハッタリは大事ですよね太師。
ここの「どうした普賢真人……そうか。」というセリフも原作にはなかったものである。普賢にとどめを刺すことにほんの少しの抵抗を感じているような描写になっている。原作ではここの聞仲は完全に覚悟完了していて不動不惑の状態なのだが、覇穹では先週の「あるとも!」の表現といい精神に若干のゆらぎを感じる。
衰弱して地に伏す紂王=殷王朝。原作ではずっと先のシーンだが覇穹では仙界大戦で聞仲が殷への執着を現すシーンと重ねることによって、聞仲の信念の悲哀と誤謬を強調する演出になっている。先述したように時間のスケールが合わないとか、先週に続く貯め回で死闘というタイトルに合わないスローテンポとか、人によっては聞仲の性格の解釈違いとか、いろいろ別の問題は生じているが、聞仲ファンとしてはこれはこれで評価したいエピソードでもあった。
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