2018年05月07日
グランクレスト戦記 16話感想 参謀魔法師たちによる策の応酬が見どころ
16話 前哨
あらすじ
ミルザーは常闇の森へテオを討伐に向かうも被害が大きく、テリウスの進言を受け入れ引き返す。
ミルザーはテオを釣り出すためレガリアへ侵攻するが、セルジュが逃亡したため5日をかけて城を接収する。
国を捨てた逃亡は魔法師エレットの策であり、テオはその間に5万の兵を結集しミルザーを包囲する。
一方、マリーネからミルザー救援を要請されたノルドのウルリカはハマーンへの侵攻を優先する。
しかしノルド支配下の奴隷を扇動したジュゼルとハマーンの魔法師ラウラの奇策により撤退する。
ミルザーは一角獣城で孤立し、初にして致命的な窮地に立たされる。
感想
OPの映像がミルザー戦仕様にマイナーチェンジしている。なるほど、こういう風に内容に合わせて変えるために既存映像メインだったということか。今後の変化も楽しみである。
常闇の居城までたどり着きながらもすごすごと帰っていくミルザーたち。一見よく分からない行動に見えるかもしれないが、テリウスの進言が正しく、ミルザーがそれを認めてきっちり損切りしたことが分かるシーンである。後述するが、ミルザーがテリウスに対する評価を上げていくことが運命に大きく関わってくるので重要な前振りシーンと言える。
「また義勇兵を率いるわけか。ミルザーに会ったら罵倒されるな。」
徹頭徹尾、領民を巻き込む事を良しとしないテオ。システィナだけは例外だったのは、圧政に対しては民こそが立ち上がるべきという意識があったのかもしれない。
「テオ様には、人々の声なき声が聞こえているのだと私は思っています。」
今週のしるかわ。しるかわシーンは久しぶりの供給な気がする。すっかり妻ぶりが板について顔を赤らめないのが若干物足りない。
「その時間、セルジュ様に稼いでいただくわ。私に策がある。」
5万の兵を集めたテオ、奴隷扇動のジュゼル、裸の奇策エドキア&ラウラと活躍したキャラクターが多いエピソードだが、個人的にMVPをあげたいのはこのエレットさんである。一国を捨て、主君の名誉も捨て、さらに自分の身も捨てるという徹底ぶり。奇抜な性格だが君主会議での発言を見るに真っ当な感性も備えており、戦略についても詭道も正道もお手の物という感じだろうか。
テリウスが優秀であったがゆえにミルザーの信用を得た結果、テリウスVS条約魔法師ネットワークの知力対決の構図になり、ミルザーの武力が活かされずに窮地に陥るという皮肉な展開。もちろんテリウスなしではもっと早くに敗けていた可能性も否定できないが、最初からシルーカに頼っていたテオと、土壇場でテリウスを頼ることになったミルザーの対比になっているようにも思う。この作品で序盤からいろいろなキャラを通して描かれてきた”頑迷なまでの信念”がぶれたことがミルザーの敗因の一つと言えるかもしれない。
条約魔法師ネットワークが一角、ラウラの策はエドキアが裸身を晒すことによって兵に奮起を促すというもの。もともとのエドキアの奔放さと、財を犠牲に民を守ってきた状況あってこその策と言える。この作品は状況に則した人の心理に訴える策が多いのが面白い。それはそうとこの二人が映るシーンはアングルがいちいちえっちなのは気のせいだろうか。
恥じらうラウラさんがかわいい。らうかわ。しかしせっかくへそ出し衣装を着なくて済むようになったのに、まさかへそどころか全てをさらけ出すことになろうとは。好色伯と呼ばれた最初の主君の実態が真逆だったり、自決したと思いきや助かったり、次に女性君主の下についたかと思いきや(ネタバレ事項)だったり、ラウラさんの人生もテオ&シルーカに劣らずなかなか波瀾万丈である。
ここでちょっとBGMが面白くなるのがズルい。笑わせに来てる。
「エドキア様のためにー!」「この生命を捧げます!!」
Q「なんで君らも脱ぐの?」
— 矢野俊策(公開用) (@Syano_open) 2018年4月27日
A「魂に従ったから」
まああのテンションなら脱ぎますよね。誰だってそーする。俺もそーする。
「だが奴隷にだけはならぬ!たとえ命を失うことになっても、自由であることを選ぶ!」
「そんな格好で偉そうに……」
おっしゃる通りすぎる。
小説だとそれほどでもなかったのですが、アニメだと「やっちまった感」ありましたね(笑) https://t.co/cvPcBkjEZH
— 水野良@小説グランクレスト戦記10巻発売中! (@ryou_mizuno) 2018年4月27日
本格的な戦闘シーンは次回だろうし、ここまで何度も書いてきた”アニメならではの魅せ方”がここでも意識された印象である。
「ハマーンの女王を見ろ!あれは俺たちスタルクの民の今の姿だ!」
奴隷蜂起のために潜入工作していたジュゼルくん。細かい部分の連携があったかはわからないけどまさかハマーン総出で脱いでるとは思わないだろうに、臨機応変にその状況を口上に組み入れる機転。有能。従属させてよかったねテオ様。
同盟側戦犯の一人ウルリカさん。元々制海権を重視しているであろうノルドとダルタニアの利益がぶつかっているのが問題なのだろうが、ウルリカとミルザーが個人的に仲が悪いのも原因の一つと思われる。先週のお茶会の描写が前振りとして機能している。しかしウルリカさん、声が可愛すぎる気がする。11話のときはもっとドスが効いていたと思うが、アホの子寄りになってきた印象。まあ、ミルザーのようなライバルにはなりそうもないしこれでいいのかも。
「勝てなかった戦はあるが、俺はここまで負けたことは無かった。それが今、初めて負けようとしている。そしてその一度だけの敗北で全てを失うかもしれん。」
楚の覇王・項羽(Wikipedia)をモチーフとしたセリフであり、同時にヴィラールと同じ状況に追い込まれた因果応報を対比で表現しているのだが、後者はアニメでは伝わりづらいかもしれない。(ヴィラールが討たれる戦いのとき、原作ではこのセリフと同じ旨の地の文がある。)同じ死地においてミルザーの取る行動が、彼が見限ったヴィラールといかに差があるのか、という視点も次週の見どころの一つと言える。
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タグ:グランクレスト戦記
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