台風11号が急速に発達しています。30日(火)夜、アメリカによる解析では「スーパータイフーン」となりました。

「スーパータイフーン」とは、アメリカ軍合同台風警報センター(JTWC)が使用している台風の階級のうち、もっとも強いカテゴリーで、最大風速が67メートル以上(1分間平均)の台風を指します。

11号は、今年これまでに北半球で発生したどのハリケーンやサイクロンよりも強い風を吹かせています。これがさらに発達して沖縄に接近し、しばらく居座ろうとしているのですから、たまったものではありません。

11号は、そのほかにも様々な特色を持った台風ですが、その特色とは何か、まとめてみましょう。


@ 激しく発達

台風のエネルギー源は、海からの水蒸気です。水蒸気が水になるときに熱が放たれ、それが空気を温めて上昇気流を起こし発達します。台風を強める海水温の目安は、だいたい26度以上といわれています。


下は、29日(月)の日本周辺の海面水温です。南の海上は、26度どころから30度もあります。さらに風などの条件も重なって、11号は急激に強まっています。


11号が台風になったのは28日(日)、翌日には気象庁の階級でいうところの「強い」勢力になって、その翌日には「猛烈」に、同時期にアメリカの基準で「スーパータイフーン」となりました。



A 逆走・迷走台風

多くの場合、日本付近の台風は、南の方からきて北東の方に動いていきますが、11号は東から西に動いています。つまり、真逆です。さらに逆走の後は迷走し、5日間ほど沖縄の周辺に居座る予想が出ています。


いつもなら台風の進路を決める太平洋高気圧が日本から遠ざかっているうえに、南にできた熱帯低気圧の風が作用して、おかしな動きをさせているのです。この現象は「藤原の効果」と呼ばれますが、2つ以上の熱帯低気圧や台風が近くにいるとお互いの風が影響しあって、奇妙キテレツな動きを見せることがあります。


竜巻コロラド州・20年6月の13・台風.PNG

B その名前

台風11号には別称があります。「ヒンナムノー」です。台風には国際名がつけられ、これはラオスの国立保護区の名前だそうです。


台風の名前は140個あって、約6年おきに繰り返し使われるのですが、例外があります。それは大きな被害を出した台風の名前はそれ以後使われなくなって、新しい名前に変わるというルールです。


実はヒンナムノーは今回初めて登場した名前で、2016年に台風ノクテンがフィリピンで大災害を引き起こし、変わって台風名リストに加わりました。


考えたくはないですが、もしも、日本や周辺国に大きな被害を及ぼすようなことがあれば、早速名前が台風リストから外され、以後使用されなくなります。1回登場しただけで名前が消えたケースには、台風ハトなどがあり皆無ではありませんが、非常に珍しいことです。


沖縄地方では、瞬間的に70メートルを超える風が吹く予想が出ているほか、大変な大雨が続くと予想されます。しかもそのあとは、台風は西日本や朝鮮半島に近づく可能性も出ています。最新の情報をチェックして、くれぐれもお気を付けてお過ごしください。


台風の進路予想(気象庁)