2014年06月02日
向い側のプラットホーム
その顔が向い側のプラットホームから、汽車に乗ろうとしているのだ。銀造はどきんとして、苦痛に青ざめた顔をそむけた途端に、
「……十番線の列車は二十一時発東京行き急行であります……」
という拡声機の声をきいた。銀造はプラットホームの電気時計を見上げた。
「二十時十分か。発車までにまだ五十分ある」
銀造はそう呟いたが、肚の中はべつのことを考えていた。――あの男は東京へ行くのだな、すると今夜は京都へ行かないなと、そんなことを考えていたのだ。
「……十番線の列車は二十一時発東京行き急行であります……」
という拡声機の声をきいた。銀造はプラットホームの電気時計を見上げた。
「二十時十分か。発車までにまだ五十分ある」
銀造はそう呟いたが、肚の中はべつのことを考えていた。――あの男は東京へ行くのだな、すると今夜は京都へ行かないなと、そんなことを考えていたのだ。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image