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2014年06月24日
大切な仮定の下
もう一度推理をし直してみる必要があったのだ。
 その証拠には第一の仮定がぐら付いて来ると同時に、第二の仮定までもがどん底からぐら付いて来るではないか。すなわちステーション・ホテルで岩形氏を秘密に訪問した女の姿までは、殆んど寸分の狂いもない位的中したようであるが、その女がたしかに男を殺すつもりであったという事実上の証拠と認むべき第一回の珈琲事件の真相がこんな風に正反対に引っくり返って来るとなれば、第二回の注射事件に関する私の論証も、すっかりあやふやになって来る。第二回目にホテルに来て、扉の外から様子を窺ったのも、たしかに紳士を殺すつもりで来たとは断言出来ない事になる。

殊にこの二人は夫婦関係の者で、女は何事かを諫めるために、夫に聖書を突付けて泣いたりするような、心掛けのいい女とすれば、二度目にホテルへ来たのも、何かしらそんな目的で、もう一度諫めに来たものか……それとも何かの理由で夫の危急を知って救いに来たものとも考えられる可能性が出来て来る。但し、ボーイに与えた二十円は、余りに多額に過ぎるようであるが、これも想像を逞しくすれば、よく調べずに渡したものとも考えられるであろう。
 しかも……万に一つこのような想像が全部事実として、女が絶対に犯人でないとすれば、彼の紳士は誰が殺したか。誰が珈琲に毒を入れたか。岩形氏が鍵をかけておいた扉を誰が開いたか。
 そもそも何の目的で殺したか。
miq錦糸町店ホットペッパービューティー
Posted by salchan at 22:33 | この記事のURL
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