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2019年07月10日

「骨折ハイリスク患者では5年のビスホスホネート製剤使用後、さらに3〜5年使用しても良い」

「骨折ハイリスク患者では5年のビスホスホネート製剤使用後、さらに3〜5年使用しても良い」
腰痛.jpg

高骨折リスク患者とは、
既に椎体骨折、大腿骨近位部骨折の既往があったり、
プレドニン(副腎皮質ホルモン)7.5mg/日以上内服していたりするような患者です。
つまりビス剤は計8〜10年使用しても良いだろうというのです。

骨粗鬆症まとめです。

DXA法で腰椎と大腿骨頚部の骨密度を測定、OH(ビタミンD)トータル血中濃度を測定、
既存の骨折歴を聞いて、診断し、治療法を選択しています。

圧迫骨折で、ご本人あるいは家族で皮下注射が可能ならば、
フォルテオ(副甲状腺ホルモン)を使用しています。
副甲状腺ホルモンは”骨を破壊しろ”と破骨細胞に命令します。
骨が壊されると、ヒトの骨を作るスイッチが入ります。
これを毎日皮下注射してやると
骨を作り続けるので、本当に骨が強くなります。

ビスホスホネート製剤は、破骨細胞を抑制するので、壊れるスピードが遅くなり、
相対的に骨が強くなります。

転倒して、尻もちをつくと圧迫骨折、
横倒しに倒れると、大腿頚部骨折、
75歳前後からは骨折が残念ながら、ついてきます。

転倒の危険性を増やしている1つとして、
日本で安易に処方されているベンゾジアゼピン(精神安定剤とか入眠剤と言って処方されるもの)や、
日本でよくある polypharmacy (多数薬剤投与)が挙げられます。

最近、高齢者の交通事故が問題になっていますが、
認知症だけが問題なのではなく、
医師が安易に処方している眠剤や polypharmacy (多数薬剤投与)が
原因の可能性があります。
眠剤でなくとも 4 種、5 種類以上の polypharmacy (多数薬剤投与)は それだけで転倒の原因になります

以前「フラフラする」という主訴のおばあさんが外来に来られました。
他院で 6 種類ほどの、あまりコア薬でない薬を処方されていたので
全て切ってみたら途端に主訴は全くなくなりケロリと改善してしまいました。

またある総合病院の各科に受診されている患者さんの薬を調べたら
なんと1日27種類の薬を処方されていました。
『多数無責任体制』になっているのです。

米国では州により外来でのベンゾジアゼピン系の処方が禁じられています。
多彩な副作用があるからです。
どうしても眠剤を出すなら嗜癖性のない
デジレル(トラゾドン、抗うつ薬)かロゼレム(ラメルテオン、メラトニン受容体作動薬)
を処方するのです。

2019年07月02日

高血圧治療ガイドライン改訂、降圧目標の変更は?

(高血圧の基準がより厳しくなりました。
120/80未満、119/79mmHg以下が正常です。
日本人の約1/4が脳心血管の病気:
脳卒中、心筋梗塞で亡くなっています。

血圧が正常であれば、血管の病気にかからず、
健康に長生きできる可能性が高くなります。

外科をやめて、脳卒中の患者を多く診療しています。
大きな障害が残る病気を目の当たりにして身震いしていますー絶対に罹りたくない!)


高血圧治療ガイドライン改訂、降圧目標の変更は?

提供元:ケアネット 公開日:2019/04/23

本邦における高血圧有病者は約4,300万人と推計される。自動血圧計.jpg

このうち、治療によって良好なコントロールが得られているのは30%以下。
残りの70%は治療中・未治療含め血圧140/90mmg以上のコントロール不良の状態となっている。

2014年以来5年ぶりの改訂となる
「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」
では、一般成人の降圧目標値が引き下げられ、
より早期からの非薬物治療を主体とした介入を推奨する内容となっている。

4月25日の発表を前に、日本高血圧学会主催の記者発表が4月19日に行われ、
平和 伸仁氏(横浜市立大学附属市民総合医療センター)が改訂点やその作成経過について解説した。

家庭血圧 vs.診察室血圧、厳格治療 vs.通常治療などCQ方式で推奨度を明記

JSH2019では、
初めてClinical Question(CQ)方式、
Systematic Review(SR)方式が採用され、
エビデンスに基づく17のCQが作成された。

また、エビデンスが十分ではないが、
医療者が実臨床で疑問を持つ課題として9のQ(クエスチョン)を設定。
コンセンサスレベルでの推奨が解説されている。

作成されたCQは、
「成人の本態性高血圧患者において、
家庭血圧を指標とした降圧治療は、
診察室血圧を指標とした治療に比べ、推奨できるか?(CQ1)」、

「降圧治療において、
厳格治療は通常治療と比較して心血管イベントおよび死亡を改善するか?(CQ3)」、

「高血圧患者における減塩目標6g/日未満は推奨されるか?(CQ4)」など。

推奨の強さが3段階、エビデンスの強さが4段階でそれぞれ評価されている。

Qについては、2021年以降製造・輸出入が禁止される水銀血圧計に代わって何を推奨するか(Q1)、
家庭血圧はいつ/何回/何日間の測定を推奨するか(Q2)
などの項目が設けられた。

基準値は変更なし、ただし120/80mmHg以上は定期的な再評価と早期介入を推奨

高血圧の基準値は、2014年版(JSH2014)と同じく140/90mmHg以上。
一方で、正常域血圧の名称と拡張期血圧の範囲が、一部変更された:

・至適血圧:120/80mmHg未満→正常血圧:120/80mmHg未満
・正常血圧:120〜129/80〜84mmHg→正常高値血圧:120〜129/80mmHg未満
・正常高値血圧:130〜139/85〜89mmHg→高値血圧:130〜139/80〜89mmHg

背景には、120〜139/80〜89mmHgでは生涯のうちに高血圧へ移行する確率が高く、
120/80mmHg未満と比較して脳心血管リスクが高いというデータがある。

そのため、基準値以下である高値血圧あるいは正常高値血圧の段階から、
早期介入が推奨されている。

JSH2014では、I度高血圧以上のみ年齢や合併症の有無によって
層別化されていた脳心血管病リスクが、
高値血圧についても低〜高リスクに分類された(表3-2)。
また、高血圧管理計画は、高値血圧や正常高値血圧についても
フローチャートの形で整理され、初診時の血圧レベルに応じた再評価時期、
治療法選択の考え方が示されている(図3-1)。

なぜ、降圧目標は10mmHgずつ引き下げられたのか
 
合併症のない75歳未満の成人および脳血管障害患者、冠動脈疾患患者については
130/80mmHg未満、
75歳以上の高齢者については
140/90mmHg未満に、それぞれ降圧目標値が10mmHgずつ引き下げられた。

この背景には、
日本人対象のJATOS、VALISH、HOMED-BPなどを含む
介入試験のメタ解析結果(CQ3)と、
EPOCH-JAPANや久山町研究などのコホート研究結果があるという。

厳格治療群と通常治療群を比較したRCTのメタ解析では、
厳格治療群で複合心血管イベントおよび脳卒中イベントリスクが有意に低く、
『130/80mmHgを目標』とする厳格治療のメリットが示された。

またEPOCH-JAPANでは、
120/80mmHg未満と比較して
血圧レベルが上昇するにつれ脳心血管死亡リスクが高まることが示されている。

高齢者では、
130 mmHg未満への降圧による腎障害などに注意を要するため、
140/90mmHg未満とされたが、
「忍容性があれば個別に判断して130/80mmHg未満を目指す」とされている。

従来よりも厳格な薬物治療が求められる患者とは?

とはいえ、
「この目標値は、すべての患者における降圧薬による降圧目標ということではない」
と平和氏は重ねて強調。

初診時あるいは降圧薬治療中で130/80mmHg台、
低・中等リスクの患者では、生活習慣修正の開始・強化が推奨されている。

脳心血管病や糖尿病などの合併症のある高リスク患者でのみ、
「降圧薬治療の開始/強化を含めて、最終的に130/80mmHg未満を目指す」とされた。

JSH2014と比較して、
生活習慣修正の上で薬物による降圧強化が新たに推奨された病態としては、下記が挙げられている:

◇130〜139/80〜89mmHgで、以下のいずれか
・75歳未満の高リスク患者※
・脳血管障害患者(血管狭窄なし)
・冠動脈疾患患者

※高リスク患者の判定:
 ・脳心血管病既往
 ・非弁膜症性心房細動
 ・糖尿病
 ・蛋白尿陽性のCKD
 ・65歳以上/男性/脂質異常症/喫煙の4項目のうち、3項目以上がある
 ・上記4項目のうちいずれかがあり、血圧160/100mmHg以上
 ・血圧180/110mmHg以上

◇75歳以上で、収縮期血圧140〜149mmHg

■参考
日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」

■関連記事
降圧目標<130/80mmHgに厳格化の見通し−新高血圧ガイドライン草案
(ケアネット 遊佐 なつみ)

2019年07月01日

左手(とリズムコントロール)は添えるだけ(解説:香坂 俊 氏)

(心房細動の治療で脚光を浴びているアブレーション治療だが、
再発率が75%、
対症療法であって、根治術ではないことが症例の集積によってわかってきた)


左手(とリズムコントロール)は添えるだけ(解説:香坂 俊 氏)−1036

提供元:臨床研究適正評価教育機構 公開日:2019/05/07

香坂 俊( こうさか しゅん ) 氏

慶應義塾大学 循環器内科 専任講師

J-CLEAR評議員

オリジナルニュース

症候性心房細動、即時的な洞調律復帰は必要か/NEJM(2019/04/03掲載)

心房細動(AF)治療は
カテーテルによる肺静脈焼灼術(いわゆるアブレーション)の登場により、ハート.jpg

多くのブレイクスルーが起きているかのように見えるが、
実をいうと「リズムコントロールで無理をしない」という軸はブレていない。

このことはつい最近結果が発表され巷で話題となっている
CABANA試験からも裏打ちされている
(10ヵ国126施設が参加した非盲検無作為化試験:
「症候性AFへのアブレーションの効果、CABANA試験で明らかに/JAMA」)。

今回発表されたRACE-7試験の結果も
この「リズムコントロールで無理をしない」
というコンセプトを急性期に拡張したものである
(新規発症AFに対して除細動による
リズムコントロールを行うべきかランダム化によって検討:
4週間後の洞調律維持率や心血管イベント発症率に有意な差を認めなかった)。

このRACE試験の系譜でもそうなのであるが、
今までAFでリズムコントロールが
レートコントロールに予後改善という側面で勝ったことはない。

現段階でリズムコントロール戦略は症状に応じて
「添えるだけ」という捉え方でよいのではないかと自分は考えている。

 現状のおおまかなAF治療方針
 1.血行動態が不安定なときは電気的除細動を考慮
 2.それ以外はレートコントロール(lenientでよい)
 3.長期的にはCHADS2-VAScに従って抗凝固薬を導入
 4.AFの症状が日常生活に影響を及ぼすようであればリズムコントロール
 5.その際は抗不整脈薬がダメなときに初めてアブレーション考慮

2019年06月30日

筋トレも上手にやれば、降圧効果が上がる

(筋肉量を増やすことは、
ブドウ糖をより多く蓄えることができるようになり、
インスリンの効き具合を高めることになります
ー糖尿病発症から遠ざかることができます!

騎馬立ち、足を45°外に開いてゆっくり腰をおろし、
ゆっくり立ち上がる、10回1セットで
まず1日2回から始めましょう)


筋トレも上手にやれば、降圧効果が上がる

■診察室での会話筋トレ.jpg


医師 血圧のために、運動はどんなことをされていますか?
患者 週に3回は歩くように心がけています。
   けど、天気の悪い日は歩けなくて…筋トレは血圧が上がりそうだし…。
医師 そんなことはありせんよ。
   上手にやれば、筋トレもいい運動になりますよ。
患者 そうなんですか!(興味津々)
医師 ポイントは呼吸を止めずに、筋トレをすることです。
患者 なるほど。
医師 1、2、3…と声を出しながら、
   息を止めずにゆっくり丁寧にすると、上手に筋トレができます。
患者 早速、やってみます(嬉しそうな顔)。

●ポイント
筋トレも上手にやれば、降圧効果が上がることを具体的に説明します

文献
1) Cornelissen VA,et al.Hypertension.2011;58:950-958.
2) Battagin AM,et al.Arq Bras Cardiol.2010;95:405-411.
3) Moraes MR,et al.J Hum Hypertens.2012;26:533-539.

講師紹介
坂根 直樹  ( さかね なおき ) 氏
京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長

2019年06月23日

女性の尿失禁には薬物療法よりも行動療法が有効?

(骨盤底筋群を鍛える
ーお尻の穴を1日5秒『しめて』
10秒『ゆるめる』
10回から始めましょう。
3カ月以上継続しましょう、
体重を2−3kg減らすだけでも違います)


女性の尿失禁には薬物療法よりも行動療法が有効?
提供元:HealthDay News 公開日:2019/04/29

尿漏れに悩む女性にとって、
薬物療法よりも行動療法の方が症状改善に有効なことが、
米ニューメキシコ大学女性泌尿器科のPeter Jeppson氏らが実施した研究から明らかになった。
研究の詳細は「Annals of Internal Medicine」3月18日オンライン版に発表された。

米国立衛生研究所(NIH)によると、
女性のほぼ半数は、生涯に一度は尿漏れを経験する。尿漏れ女性.jpg


尿失禁は男性でも見られるが、
発症頻度は女性の方が高く、
特に妊娠中や出産後、閉経後に発症することが多いという。

今回、Jeppson氏らは、妊娠していない女性を対象に
薬物療法と行動療法などの非薬物療法の有効性を検討した
ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューを実施。

基準を満たした84件のRCTを対象にメタ解析を行った。

その結果、全般的な尿失禁の軽減効果は、
行動療法が薬物療法を上回ることが分かった。

また、『行動療法』を受けた女性では、
未治療の女性と比べて『5倍以上』の症状改善率を示すことも明らかになった。

一方、『薬物療法』を受けた女性でも症状は改善したが、
行動療法ほどの効果は認められず、未治療の女性と比べても改善率は『2倍』だった。

Jeppson氏は「尿失禁が見られる女性には治療を促すべきだ。

治療法の選択肢はたくさんあるが、
そのほぼ全てについて言えるのは、
何もしないよりは治療した方が良いということだ」と話す。

専門家の一人で、米ミシガン・メディシンの
ウェスト・ショア・ウロロジー(泌尿器専門施設)に所属する
Brian Stork氏によれば、

利尿作用があるカフェインやアルコールなどの摂取を控えるといった食習慣の是正や、
骨盤底筋を鍛えるトレーニングが尿失禁症状の改善に有効な場合がある。

また、患者によっては減量により
膀胱にかかる圧力が軽減され、尿失禁が改善することもあるという。

一方、米マウントサイナイ・ウエスト病院女性泌尿器科のAnne Hardart氏は
「尿意を感じたらすぐにトイレに行かず、
膀胱に尿を貯める膀胱訓練も排尿コントロールに役立つ」
と話す。

なお、尿失禁には主に、
咳をする、重い物を持ち上げるなどで腹圧がかかったときに生じる
「腹圧性尿失禁」と、

突然の制御できない尿意により生じる
「切迫性尿失禁」の2つのタイプがある。

同氏によると、
生活習慣の是正はいずれのタイプの尿失禁にも有効だが、
『骨盤底筋を鍛えるトレーニングは、特に腹圧性尿失禁に有効』だという。

ただ、Hardart氏は
「一般に医師はリスクを伴わない行動療法で治療を開始するが、
患者本人が主体的に関わる必要があり、決して簡単な方法ではない」と指摘している。

一方、Stork氏は、軽度の認知症や脳卒中の後遺症などがある女性では、
訓練法を覚えて継続することが難しく、薬物療法が必要になる場合もあるとしている。

なお、尿失禁の治療には、
過活動膀胱の治療薬であるオキシブチニン、トルテロジン、
darifenacin(ダリフェナシン、日本国内未承認)などが使用される。

今回の研究からは、これらの薬物療法は、
未治療の場合と比べれば尿失禁の改善に役立つが、
切迫性尿失禁の軽減には行動療法の方が有効であることが示された。

また、行動変容や薬物療法が効かない場合には、
膀胱をコントロールする神経に電気刺激を与えるニューロモデュレーションという治療法も、
未治療の場合に比べて症状改善効果が約4倍に上ったという。

 これらを踏まえ、Hardart氏は
「尿失禁の治療には幅広い選択肢があり、
その多くは非侵襲的なものだ。女性は尿失禁に苦しみ続ける必要はない」と述べている。
[2019年3月18日/HealthDayNews]

原著論文はこちら
Balk EM, et al. Ann Intern Med. 2019 Mar 19. [Epub ahead of print]

2019年06月22日

低食物摂取アルツハイマー病患者に対するリバスチグミンパッチの有効性

(アルツハイマー型認知症の患者さんの末期に食べなくなる人がいます。
リバスチグミンパッチが有効だという検討結果 
その後この人たちは楽しく暮らせる日々を取り戻せたのかが気になります)


低食物摂取アルツハイマー病患者に対するリバスチグミンパッチの有効性
提供元:ケアネット 公開日:2019/04/26

多くのアルツハイマー病(AD)患者
(欧米ではアルツハイマー型認知症とは言わないで、アルツハイマー病といいます)は、
食物摂取不良や食欲不振を経験し、認知障害の進行を加速させる。アルツハイマー病おじさん人形.jpg


これまでのいくつかの報告によると、
リバスチグミンがAD患者の食欲を改善させることが示唆されている。

香川大学の角 徳文氏らは、
AD患者における低食物摂取を改善させるための
リバスチグミンパッチの有効性について検討を行った。
Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年3月12日号の報告。

対象は、「AD患者の食物摂取に対するリバスチグミンの効果に関する研究
(Attitude Towards Food Consumption in Alzheimer's Disease Patients Revive with Rivastigmine Effects study)」にて募集した、
食欲不振または不十分な食物摂取のいずれかを経験したAD患者。

対象患者に、リバスチグミンパッチを16週間使用した。
患者の食物摂取量、体重、MMSEスコア、すべての有害事象を調査した。

主な結果は以下のとおり。

・AD患者38例(年齢:86.2±5.4歳)を調査した。
・ベースライン時の平均MMSEスコアは、10.1±7.0であった。
・リバスチグミンパッチ使用1週目で、
食物摂取量(54.9±98.0g、p<0.01)および
食物摂取率(9.3±17.6%、p<0.01)の増加が認められ、
試験期間を通じて維持された。
・多重線形回帰分析では、独立変数が食物摂取量または食物摂取率と有意な関連を示さなかった。
・MMSEスコアのより高い群では、食物摂取量に変化傾向が示されたが、
統計学的に有意ではなかった(p=0.07)。

著者らは「リバスチグミンパッチは、
AD患者の食物摂取不良や食欲不振を改善させる可能性があることが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら
Tsuno N, et al. Geriatr Gerontol Int. 2019 Mar 12. [Epub ahead of print]

2019年06月19日

心血管疾患一次予防はLDL<100mg/dL、二次予防は<70mg/dLに!

脂質異常症について、よくまとめられています。
実臨床の指針として参考になります!
健診などで、要注意、経過観察、要治療となった方は一読ください。


心血管疾患一次予防はLDL<100mg/dL、二次予防は<70mg/dLに!

西伊豆健育会病院病院長 仲田 和正
2019年04月19日 06:05

小生今まで、トップジャーナル(N Engl J Med、Lancet、JAMA)で脂質異常症の総説が
掲載されるのをずっと待っていました。

待ち続けて、はや幾星霜。
N Engl J Med(2007; 357: 1009-1017)に
中性脂肪血症(Hypertriglyceridemia)の総説が掲載されたことはあるのですが
高コレステロール血症だけは不思議なことに今まで掲載されたことがないのです。検診結果.jpg

今回JAMA(2019年2月4日オンライン版)30715135に
米国心臓協会(AHA; American Heart Association)、ACC(American College of Cardiology) の
高コレステロール血症のガイドラインが掲載されました。
総説ではありませんが、これ以上待ってもいつ出るか分かりません。
ガイドラインってちっとも面白くないのですが、「まっいいか」とまとめました。

長女が2歳の時、家内が所用で東京へ出かけました。
玄関でしばらく泣いていたのですが、そのうち小生のところへやってきて
「まっ、いいか」と言われました。まあ、小生は second best というところなのでしょう。

JAMA「高コレステロール血症治療ガイドライン」最大のポイントは次の8点です。

@今後10年のASCVDリスク、冠動脈石灰化スコアを計算しよう
ATGは1,000mg/dL以上で膵炎起こすのでfibrateなどで下げよ
BTG 1,000mg/dL未満は早期冠動脈疾患・遺伝高脂血症家族歴なければ
生活スタイル改善のみ
CLDL採血はTG>400mg/dL超えていなければ食後で可
D脂質異常症は生活改善、地中海食推奨、毎日8,000歩歩こう!
EASCVDの一次予防はLDL5割減らし目標LDL<100mg/dL、
二次予防は<70mg/dL!
FASCVDでは強力スタチン(クレストール、リピトール)使用
GスタチンでLDL下がらねば
ゼチーアかPCSK9阻害薬(レパーサ、プラルエント注)追加せよ


1. 今後10年のASCVDリスク、冠動脈石灰化スコアを計算しよう

小生のオーベンが若いとき占い師に「あなたは36歳で死ぬ」と言われました。
「何をいい加減なことを」と一笑に付したのですが、
心の底で「自分は36歳までしか生きられない」とずっと引っかかっていたのです。 

このわだかまりがやっと消えたのは37歳になったときだったと言うのです。
やはり占いと言うのは将来に希望を与えるものでなくてはいけません。

民主党内閣のとき、野田首相が「このままでは日本は持ちません」と言いましたが、
リーダーがこんなことを言うのは最悪です。
チャーチルのように、リーダーは常に希望を見せなければなりません。

この脂質異常症ガイドラインによると、
今後10年のASCVD(atherosclerotic cardiovascular disease)イベント(脳卒中、心筋梗塞)が
予測できるサイトがあります
https://clincalc.com/cardiology/ascvd/pooledcohort.aspx)。
計測値としてTch、HDL、収縮期血圧が必要です。

小生のLDLは131mg/dL、HDL 64mg/dL、収縮期血圧118mmHgで、
今後10年の自分のASCVDイベント予測は、なんと10.2%、
生活改善でリスク因子を減らせば8.8%でした。
LDLを30%以上も下げよと言うのです(ガーン!)。

10年のASCVDリスクが7.5%以上はスタチン開始を推奨なのです。
小生、血圧は110mmHg代だしwalkingもしていて physically fit(健康)と思い込んでいたので、
これにはショックでした。皆様もぜひ計算してみて下さい。

前記サイトで今後10年のASCVDリスクとその対策は以下の通りです。

【ASCVDリスクと対策】
・5%未満:低リスク
・5〜7.4%:ボーダーライン
・7.5〜19.9%:中等度、LDLを30%以上下げるべき。
中等度スタチン(クレストール10mg/日〕使用で
ハザード比(HR)0.76〔95%CI、0.64〜0.91、絶対リスク減少率(ARR)1.1%、5年間で〕
・20%以上:高度、LDLを50%以上下げるべき

このような冠動脈疾患や脳卒中発症リスクの計算サイトは国内にもあります。
小生の10年内脳卒中発症リスクは、大阪府のサイト
http://www.osaka-ganjun.jp/health/si-estimate/)だと1.4%、
日本動脈硬化学会での冠動脈疾患発症リスクは2.6%でした
http://www.j-athero.org/general/ge_tool.html)。
米国の小生のASCVDリスクと較べて随分低値です。

動脈硬化によるイベント発症は民族的差が大きいのかなあと思いました
小生、何事も前向きに考える性格なので、日本のサイトを信じることにしました。
こうしてリスクは先送りにされていくのです。

Hominēs id quod volunt crēdunt.
人は信じたいと思うことを信じるものだ(カエサル)。

未来予測で思い出すのがギリシャ悲劇、オイディプス(エディプス)王です。
「父を殺し母と交わる」という
恐るべきデルフォイのアポロンの神託を避けようとすればするほど
かえって神託は確実に遂げられていくのです。

アポロンの神慮が全て遂げられたことをオイディプスが愕然として知ったとき、
母は自殺しオイディプスはわが両眼を手でくりぬくのです。
かくてオイディプスは呪われた子供たちと放浪の旅に出るのです。

学生のとき、ペロポネソス半島のコリント、ミケーネ、スパルタ、オリンピアを回り
フェリーで海峡を渡ってバスでデルフォイを訪ねました。
デルフォイはパルナッソス山の中腹にあります。
西側の眼下の谷はオリーブ畑に覆い尽くされ絶景でした。

ASCVDリスクが境界から中等度リスクの患者で
スタチン開始を迷った場合は心臓の単純CTを撮り
「冠動脈石灰化スコア(CAC score)」を計算することがあります。
これは冠動脈の石灰化のCT濃度(HU; Hounsfield unit)に
全スライスの石灰化面積をかけた総量を見るものです。

例えば、1スライスで石灰化が4mm2で濃度2HUなら4×2=8、
これを50〜60スライス総和したCAC scoreを出すのです。
この単位をAgatston unitと言います。

CAC scoreが0 Agatston unitなら今後10年のASCVDリスクは5%未満です。
ただし糖尿病、喫煙歴、ASCVD家族歴がないときです。
1〜99 Agatston unitsならASCVDリスクは55歳以上で7.5%以上あります。

100 Agatston units以上はスタチン開始です。

2. 高TGは1,000mg/dL以上で膵炎を起こすのでフィブラート系薬などで下げよ

 N Engl J Med(2007; 357: 1009-1017)の高中性脂肪(TG)血症総説によると、
TG1,000〜2,000mg/dLと高過ぎるときは膵炎を起こすので
薬(フィブラート系薬、ニコチン酸系薬、ω‐3脂肪酸エチル)で下げます。
しかし1,000mg/dL未満の場合は、治療すべきかどうかはっきりしないのです。

最近のUp to Date(2019.3)を調べてみてもこの辺りは変わっておらず、
ライフスタイルを改善してもTGが886r/dL以上の場合は、フィブラート系で下げよとのことです。

 TGを下げる薬剤はフィブラート系薬、ニコチン酸系薬、ω‐3脂肪酸エチルのうち、
Up to dateの推奨はフィブラート系です。一番よく下がるからです。

Fibrateの中では米国ではフェノフィブラート(商品名リピディル、トライコア)や
Gemfibrozil(国内未承認)、
世界ではベザフィブラート(ベザトールSR)が使用されています。

ニコチン酸系薬(ユベラN、ペリシット、コレキサミン)は
あまり効かないので滅多に使わないそうです。
ω‐3脂肪酸エチル(ロトリガ)はTGを45%下げるけどLDLが31%上がったそうです。
というわけで第一選択はやっぱりフィブラート系薬です。

【フィブラート系薬】
・ベザフィブラート(ベザトールSR)
・フェノフィブラート(リピディル、トライコア)

3. TG 1,000mg/dL未満は早期冠動脈疾患・家族性高脂血症の家族歴なければ生活スタイル改善のみ

TG1,000mg/mL未満で薬剤治療すべきは次の2つのときです。
下記の疾患がなければライフスタイル改善だけでよいのです。
Up to dateではライフスタイルを改善しても
TG 886mg/dL以上のとき、「フィブラート系薬開始」です。

【TG 1,000mg/dL未満で薬剤治療すべきとき】
a. 家族歴で早期冠動脈疾患(男55歳前、女65歳前)のあるとき
b. 下記3つの遺伝性高脂血症の家族歴のあるとき

 @ Familial combined hyperlipidemia
 A Familial hypoalphalipoproteinemia
 B 2型糖尿病の residual dyslipidemia

 小生は、TG 1,000mg/dL未満で前記の早期冠動脈疾患、高脂血症の家族歴がなければ放置しております。

4. LDL採血はTG>400mg/dL超えていなければ食後で可

なお脂質異常症の採血は空腹時に行う必要はなく食後で構いません。
LDL採血はTG>400mg/dLを超えていなければ食後でよいのです。

5. 脂質異常症は生活改善、地中海食推奨、毎日8,000歩歩こう!

脂質異常症でライフスタイル改善は全ての年齢で推奨です。
しかし具体的改善方法にはこのガイドラインでは触れられていません。
現在、欧米で高血圧、糖尿病に推奨の食生活は地中海食(Mediterranean diet)です。
要点は次の3つです。

【地中海食要点3つ】
@ 摂取すべきは全粒穀物(玄米)、全粒粉(白いパンでなく茶色のパン)、
果物、野菜、ナッツ、豆、オリーブ油、鶏肉、魚、食塩制限6g以下
A 避けるべきは赤い肉(豚、牛)、最悪は加工肉(ソーセージ、ベーコン、ハム)、砂糖入り飲料
B 適量のアルコール(男性22g、女性24gまで)取れ、
白ワインより赤ワインを(アルコール20gはビール500mL、日本酒180mL、ワイン180mL、ウイスキー60mL相当)

前記を見ると、地中海食って食塩制限さえすれば和食でも同じだよなと思いました。
わが家ではご飯は玄米食で、バターは長いこと食卓で見ていません。
以前小生がいた病院の医長は子だくさんで、6人の子供さんがいらっしゃり
家に先生の居場所がなくて「私は食卓医です」とのことでした。

わが家ではバターは使いませんが
オリーブ油は、通販でいろいろ買い求めて楽しんでおります。
最高級のオリーブ油をextra virgin oil、普通のオリーブ油はvirgin oilと言います。
色々試してみると随分味が違うものだなと思います。
高級品はやはりおいしいのです。

肉は豚肉や牛肉を避け
極力、鶏肉、魚を推奨です。

最悪は加工肉(ソーセージ、ベーコン、ハム)です。
加工肉を食べるくらいなら豚肉、牛肉の方がまだましなのです。
たぶん加工肉だと消化が良過ぎるからなのでしょう。

適量のアルコールの推奨は嬉しいです。
以前、知り合いの医師が肝硬変の患者さんのアルコール摂取量を聞いて
「俺の酒量の方がよっぽど多い」とぼやいていました。

そう言えば宮沢賢治の「雨ニモマケズ」では、
「一日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べ」とありますが
ASCVDには程遠い食事でしょう。

花巻の賢治の実家近くに賢治がよく通ったという「やぶ屋」という蕎麦屋が今でもあります。
賢治はここを「Bush(藪)」と呼んで
弟の清六や生徒たちとここへ来たとのことです。

決まって「三矢サイダーと天ぷらそば」を注文したそうで、
小生もこれを頼みましたが変な取り合わせでした(味が全然合わない!)。

そう言えば岩手出身の同級生の祖父が賢治と盛岡農林高等学校で同級生でした。
「賢治は目立たない奴」だったとのことでした。

賢治は1896年(明治29)年生まれで、
名古屋の双子の「きんさん・ぎんさん」が1892(明治25)年生まれでしたので、
きんさん・ぎんさんよりも年下ということになります。
それにしても宮沢賢治1人で岩手県の観光はどんなに助かっているかしれません。

賢治がつくった花巻農学校精神歌4番は次の通りです。

「日ハ君臨シ カガヤキノ
太陽系ハ マヒルナリ
ケハシキタビノ ナカニシテ
ワレラヒカリノ ミチヲフム」

「太陽系ハ マヒルナリ」なんてその壮大さにシビレます。こんな校歌だったら嬉しい。

昨年(2018年)、日本整形外科学会で鈴木大地スポーツ庁長官の記念講演がありました。
それによると、日本人の1日の平均歩数は6,800〜6,900歩だそうです。
鈴木長官は「Fun+Walk プロジェクト」と言って、
これに+1,000歩して毎日8,000歩歩くことを国民の全国的運動としたいと言うのです。

出勤時、1駅か2駅手前で降りて歩くのです。
「毎日8,000歩歩けばほとんどの生活習慣病を予防できる」からです。

これはわれわれや患者さんの具体的目標としてとても良いなと思いました。
長官は13階の長官室までの350段を毎日歩いているそうです。
皆様、毎日8,000歩歩きましょう。
今はスマホで簡単に歩数をチェックできます。

当、西伊豆健育会病院の事務職員が、家のルームランナーで走っているというので、
「こんな素晴らしい大自然の中で暮らしているのになんでルームランナーなんか?」
と聞いたところ、
「だって夜は道に街灯がなくて真っ暗だし、
鹿やイノシシが出て怖くてとても走れない」とのことでした。
そうか、僻地でこそルームランナーは必需品なのかと目からうろこでした。

当、西伊豆健育会病院では昨年の年末、
イノシシの牙のメッタ突きで爺さんが入院しました。

西伊豆では毎年秋になると周囲の山で鹿の鳴く声も聞こえます。
「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき」
と言うような風流な声ではなく「キエーッ!」のようなギョッとする声です。

6. ASCVDの一次予防はLDL5割減らし目標LDL<100mg/dL、二次予防は<70mg/dL!

TGは1,000mg/dL以下の場合、下げることの良しあしははっきりしません。
一方、今回のJAMAの高コレステロール血症ガイドラインによると、
LDLだけはしっかり下げるべきだと言うのです。

薬物でLDLを下げることで
ASCVDすなわち心筋梗塞、脳卒中、心血管死亡のイベントが減る
ことはRCTで既に確実なのです。

驚くのはLDL目標値のその凄まじさです。
ASCVDの一次予防にはLDLを5割も減らして目標LDL<100mg/dLに、
更に二次予防(心筋梗塞や脳卒中患者の再発予防)にはなんとLDL<70 mg/dLにせよ
というのです(マジすか!)。

小生、今まで最初からLDLを100mg/dL以下にしようなんて考えたことがありませんでした。
繰り返します。ASCVDの一次予防はLDL<100mg/dL、2次予防はLDL<70mg/dL!

LDLの層別化目標値は下記の通りです。
ASCVDとは心筋梗塞、脳卒中です。
層別化されて、ごちゃごちゃ面倒なので、次の2点にまとめておきます。

@ ASCVDはLDL5割減らし一次予防はLDL<100mg/dL、二次予防は<70mg/dL
A LDL≧70mg/dLでASCVD一次予防は、ハイリスク患者が5割、中等リスク・糖尿病患者は3割減らせ

なおハイリスク患者とは次のような患者です。

・急性冠動脈症候群
・家族性高脂血症
・糖尿病
・慢性腎不全
・動脈硬化性の心血管疾患を繰り返す患者
・多発血管疾患

LDLの層別化(stratified)目標値は以下の通りです。

【ASCVD 一次予防】
・LDL≧190mg/dL20〜75歳患者は強力スタチンでLDLを50%以上減らし目標LDL<100mg/dLとする
・糖尿病でLDL≧70mg/dLの40〜75歳患者は中等度スタチンでLDLを30%以上減らす
・ハイリスクでLDL≧70mg/dLの40〜75歳患者は強力スタチンでLDLを50%以上減らす
・中等リスクでLDL≧70mg/dLの40〜75歳患者は中等度スタチンでLDLを30%以上減らす

【ASCVD二次予防】
・ハイリスクの18歳以上ASCVD患者は強力スタチンでLDLを50%以上減らし目標LDL<70mg/dLとする
・その他の18歳以上ASCVD患者はLDLを50%以上減らす

7. ASCVDでは強力スタチン( クレストール、リピトール)使用

ではLDLを下げるのにどんな薬剤を使うのかと言うと、
Up to Dateでは次のような薬剤が挙げられています。
米国の薬用量の多さに驚きます。

ロスバスタチン(クレストール)とアトルバスタチン(リピトール)は用量により、
強力と中等を使い分けています。

Up to Dateでは心血管疾患患者には中等スタチンでなく
最初から強力スタチンを推奨です。
下記の薬剤、用量を推奨です。
しかし、クレストールやリピトールをこんなに大量使用する勇気は小生にはありません。

【強力スタチン】
・ロスバスタチン(クレストール)20〜40mg、国内2.5、5mg錠で2.5〜5mg/日分1
・アトルバスタチン(リピトール)40〜80mg、国内5、10mg錠で1日1回10〜40mg

【中等スタチン】
・ロスバスタチン(クレストール)5〜10mg、国内2.5、5mg錠で2.5〜5mg/日分1
・アトルバスタチン(リピトール)10〜20mg、国内5、10mg錠で10〜40mg/日分1
・プラバスタチン(メバロチン)40mg、国内5、10mg錠で10〜20mg/日を分1か分2
・シンバスタチン(リポバス)40mg、国内5、10、20mg錠で5〜20mg/日分1
・ピタバスタチン (リバロ)4mg、国内1、2、4mg錠で1〜4mg/日分1

小生、外来でスタチンの名称を「くるめ RAP」と覚えております。
薬剤の強度は「く(クレストール)>る(リピトール)>め(メバロチン)」でそれぞれRAPの順でRosuvastatin、Atrovastatin、Pravastatinです。

今まで、プラバスタチン (メバロチン)から使いはじめて恐る恐る、
アトルバスタチン(リピトール)、ロスバスタチン(クレストール)へとグレードアップしていました。
しかしUp to DateではASCVDでは最初から強力スタチンのクレストールからどんと行けと言うのです。

8.スタチンでLDL下がらねば、ゼチーアかPCSK9(レパーサ、プラルエント注)追加せよ

この1、2年で言われ出したのは、
スタチン(肝でのコレステロール合成阻害)による治療でLDLが十分下がらぬ場合、
エゼチミブ(ゼチーア、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬)や
PCSK9阻害薬(proprotein convertase subtilisin/kexin type9 : 注射薬レパーサ、プラルエント)を
追加してさらにLDLを低下させるべきだと言うのです。
こんなPCSK9阻害薬のレパーサ、プラルエントなんて注射薬は小生、その存在さえ知りませんでした。
しかしそれにしても高価です。

【レパーサ、プラルエント注の国内用量】
・レパーサ(エボロクマブ):140mg、2万4,136円/シリンジ、2週に1回140mg、または4週に1回420mg皮下注、効果不十分なら2週に1回420mg
・プラルエント(アリロクマブ):75mg、2万2,948円/シリンジ、150mg4万4,481円/シリンジ、2週に1回75mg皮下注、効果不十分なら2週に1回150mg

スタチン高用量にエゼチミブ併用でLDLの中央値は54mg/dLに、アリロクマブ併用で48mg/dL、エボロクマブ併用で30mg/dLに低下しました。

これらでASCVDイベントはそれぞれHR0.90(95%CI 0.84〜0.96)0.85(同 0.78〜0.93)、0.80(同 0.73〜0.88)となりARRは1.5〜1.8%でした。

少し気になったのは、臨床試験で一次予防にスタチンでイベントを予防できましたが
エゼチミブではできなかったと言うのです。

仲田 和正(なかた かずまさ)
西伊豆健育会病院病院長。
1978年に自治医科大学卒業、静岡県立中央病院(現静岡県立総合病院)全科ローテート研修、
1980年に浜松医科大学麻酔科研修(4〜9月)、静岡県国民健康保険佐久間病院外科・整形外科。
1984年に自治医科大学整形外科、大学院、
1988年に静岡県島田市民病院整形外科、1991年に静岡県西伊豆病院整形外科。

2019年06月18日

高齢者の運動療法の進め方、工夫のポイント

(どういう状態になっても身体を動かすことはいいことだ!)

第8回 高齢者の運動療法の進め方、工夫のポイント【高齢者糖尿病診療のコツ】 

公開日:2019/04/16

患者さんごとに「個別の治療」、「個別の管理目標」が求められる高齢者の糖尿病診療。

判断に迷う場面も多いのではないでしょうか。

事前アンケートで寄せられた、
高齢者特有の問題に対する診療上の迷いや疑問に、
東京都健康長寿医療センター 糖尿病・代謝・内分泌内科の先生方が回答します。ロコモ片足立ち.jpg


Q4 転倒・骨折リスク低減に、推奨できる運動はありますか?

転倒・骨折リスクの低減には、バランス運動が効果的です。

例えば片足立ちは、体幹を支える大腿四頭筋の筋力維持に有効です。

転倒防止に机や椅子につかまって行っても構わないので、
片足立ちを左右30秒ずつ、1日3回程度から開始して、
徐々に時間を延ばしていきます

これらの運動は道具も不要で膝などへの負担も少ないため、取り組みやすく、おススメです。

最近では、慢性腎臓病においても運動は腎機能を悪化させず、一部は改善するという報告があります。

また、定期的な運動を行っている血液透析患者の生命予後は、
運動を行っていない患者に勝るという報告もあります7)。

合併症があり、思うように運動できない場合でも、
「家の中の掃除や簡単な料理など、家事を行ってみる」ところから始めて、
「少しでも外出してみる」方向へ進み、徐々に自信がついてから、
「これなら続けられる」と感じて自己効力感を高めていくことができれば、
運動の効果が期待できると思います。

また、1つの運動に飽きてしまったら、いくらでも別の運動に変えていって構いません。

高齢糖尿病患者に対する運動療法の目的は、
健康寿命を延ばすことです。

個人差が大きいため、個々に合った運動療法が見つかるまで色々な方法を提案し、その中から患者さん自身が選び、継続していけるようになることが望ましいでしょう。

参考文献
1) Singh NA, et al. J Am Med Dir Assoc.2012; 13: 24-30.
2) Lee J, et al. Diabetes Therapy.2017; 8: 459-473.
3) Liao C-D, et al. Nutrients.2018.Dec 4[Epub ahead of print]
4) Yardley JE, et al. Diabetes Care.2012; 35: 669-675.
5) Okamoto T, et al. J Appl Physiol.2007; 103: 1655-1661.
6) Levine JA, et al. Science.2005; 307: 584-586.
7) Greenwood SA, et al. J Kidney Dis.2015; 65: 425-434.

2019年06月15日

『延命治療のお話』

『延命治療のお話』
スキンヘッド脳外科医 Dr. 中島の 新・徒然草(268)
公開日:2019/04/18 企画・制作 ケアネット

ニ百六十八の段 延命治療のお話
外来診療をしていると、たまに延命治療の話になることがあります。

主として高齢女性の場合です。

「体が不自由になってまで生きたくない」

「頭がボケてまで生きたくない」

「だから、延命治療はやめて欲しい」

だいたいこんな感じ。

こういう話が出たら、ちょうどいいタイミングなのでご本人の意思を確認します。

こういったイメージでしょうか。

「皆さん、そうおっしゃいますよ」

「線を引くとしたら、自分で食べて自分でトイレに行けるかどうか、その辺ですかね」

ここは個人個人で違うので、本人の意思確認が必要です。

四肢麻痺の寝たきり状態になっても生きたいという人もいるのは事実。

さらに必要な確認があります。

DNR(Do Not Resuscitate:蘇生処置拒否)とか、そんな大げさな話ではありません。

何をもって延命治療と称するのか、です。

痛いこと、苦しいこと。

それがキーワードだと私は思います。

「回復して自立できる見込みが高ければ、つらい治療でも耐える」

「寝たきりの可能性が高ければ痛い治療は勘弁して欲しい」

「奇跡的に回復するかもしれないので、苦しくない治療は続けて欲しい」

その辺が最も多いようです。よく、

「挿管はどうしましょう、心臓マッサージはどうしましょう、昇圧剤はどうしましょう」

と尋ねる先生がいますが、そもそも挿管の何たるか、心臓マッサージの何たるかから説明しなくてはなりません。

忙しい外来でできたモンじゃないし、何か違和感があります。

どの程度まで回復したら意味があると思うのか
痛いこと、苦しいこと、も我慢するのか
その辺だけ確認しておきます。


確認するだけでなく、カルテにも書きます。

後は、自分が意思表示できなくなったら誰に意思決定を頼むか?

それも大切です。

とはいえ、いざ重大な局面になると何も決められない人が多いのが現実。

だから、本人の意思を確認してカルテに書いておきます。

そうそう、1つ大切な事を忘れていました。

「いよいよの時は苦しみだけはとって欲しい」

これを言う人もすごく多いですね。

最も大切なことかもしれません。

ということで最後に1句

『幕引きも 準備が大切 心せよ』

中島 伸 ( なかじま しん ) 氏
独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 脳神経外科、総合診療科

[略歴]
昭和34年神戸市生まれ。昭和59年大阪大学医学部卒業。麻酔科、脳神経外科、放射線科、救急などで研修する。平成6年〜9年の間、米国ボストンのハーバード大学およびブリガム・アンド・ウイミンズ病院に留学した。

2019年06月14日

開業医は長生きできない? 死亡時年齢は70.8歳

医師になった時、医師の平均寿命は日本人平均より5歳短いと聞きました。
開業医は10歳短いみたいです。勤務医でも似たり寄ったりでしょうから、10歳短い!


岐阜県保険医協会が寿命に関する調査結果を公表
開業医は長生きできない? 死亡時年齢は70.8歳

60歳代の死亡が最多、背景に「過酷な労働」の指摘
2019/3/22 三和 護=編集委員

岐阜県保険医協会が実施した調査で、
開業医の死亡時平均年齢が70.8歳と短く、
特に60歳代の死亡割合が34%と多いことが明らかになった。

同協会会長の浅井徳光氏は「長生きできない背景には、
勤務医時代からの過酷な労働がある」と指摘、
「開業医の働き方改革も急務」と訴えている。

同協会副会長の永田正和氏によると、
今回の調査は「開業医は厳しい労働環境にあり、早死にする人も多いのではないか。
協会会員の死亡時年齢を調べてはどうか」という会員からの提案がきっかけだった。

これを受け、2008〜2017年の10年間に、
岐阜県保険医協会を死亡退会した85人について、
死亡時年齢を調査した。
内訳は、医科会員が60人、歯科会員が25人、男性が76人、女性が9人だった。

集計の結果、死亡時平均年齢は70.8歳だった。
「この結果には本当に驚いた。
あくまでも参考値だが、
厚生労働省の統計にある死亡時平均年齢(2015年)は、
男性が77.7歳、女性が84.3歳であり、明らかな差があった」(浅井氏)。

また、年齢別死亡数を見ると、年齢死亡数の分布.jpg
医科歯科別年齢死亡数.jpg

60歳代が29人(34.1%)と最も多く、
70歳代が19人(22.4%)、
80歳代が17人(20.0%)と続いた(図1左)。

厚労省の年齢別死亡数(図1右)では、80歳代にピークがあり、
90歳代、70歳代、60歳というパターンだった。

「開業医の場合は、ピークが若い年代にシフトしており、明らかに異なっていた」(永田氏)。

年齢別死亡数を医科と歯科別に集計した結果が図2だ。
歯科では死亡例が60歳代に集中しており、
医科の場合も60歳代に急増し、70歳代、80歳代とほぼ同じ水準となっている。

浅井氏と永田氏は、
短命の背景には「勤務医時代から積み重なった過重労働がある」との見方を示す。

その上で浅井氏は「働き盛りともいえる60歳代の死亡割合が多いのは、
地域医療の継続という意味でも問題がある」とし、
「医師の働き方改革を進めるには、
開業医が厳しい労働環境にあることを直視した議論が必要だ」と訴えている。
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田中松平
元消化器外科医で,頭からつま先まで診れる総合診療科医です. 医学博士 元日本外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器内視鏡学会専門医, 日本医師会認定産業医, 日本病理学会認定剖検医,
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