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2019年06月19日

心血管疾患一次予防はLDL<100mg/dL、二次予防は<70mg/dLに!

脂質異常症について、よくまとめられています。
実臨床の指針として参考になります!
健診などで、要注意、経過観察、要治療となった方は一読ください。


心血管疾患一次予防はLDL<100mg/dL、二次予防は<70mg/dLに!

西伊豆健育会病院病院長 仲田 和正
2019年04月19日 06:05

小生今まで、トップジャーナル(N Engl J Med、Lancet、JAMA)で脂質異常症の総説が
掲載されるのをずっと待っていました。

待ち続けて、はや幾星霜。
N Engl J Med(2007; 357: 1009-1017)に
中性脂肪血症(Hypertriglyceridemia)の総説が掲載されたことはあるのですが
高コレステロール血症だけは不思議なことに今まで掲載されたことがないのです。検診結果.jpg

今回JAMA(2019年2月4日オンライン版)30715135に
米国心臓協会(AHA; American Heart Association)、ACC(American College of Cardiology) の
高コレステロール血症のガイドラインが掲載されました。
総説ではありませんが、これ以上待ってもいつ出るか分かりません。
ガイドラインってちっとも面白くないのですが、「まっいいか」とまとめました。

長女が2歳の時、家内が所用で東京へ出かけました。
玄関でしばらく泣いていたのですが、そのうち小生のところへやってきて
「まっ、いいか」と言われました。まあ、小生は second best というところなのでしょう。

JAMA「高コレステロール血症治療ガイドライン」最大のポイントは次の8点です。

@今後10年のASCVDリスク、冠動脈石灰化スコアを計算しよう
ATGは1,000mg/dL以上で膵炎起こすのでfibrateなどで下げよ
BTG 1,000mg/dL未満は早期冠動脈疾患・遺伝高脂血症家族歴なければ
生活スタイル改善のみ
CLDL採血はTG>400mg/dL超えていなければ食後で可
D脂質異常症は生活改善、地中海食推奨、毎日8,000歩歩こう!
EASCVDの一次予防はLDL5割減らし目標LDL<100mg/dL、
二次予防は<70mg/dL!
FASCVDでは強力スタチン(クレストール、リピトール)使用
GスタチンでLDL下がらねば
ゼチーアかPCSK9阻害薬(レパーサ、プラルエント注)追加せよ


1. 今後10年のASCVDリスク、冠動脈石灰化スコアを計算しよう

小生のオーベンが若いとき占い師に「あなたは36歳で死ぬ」と言われました。
「何をいい加減なことを」と一笑に付したのですが、
心の底で「自分は36歳までしか生きられない」とずっと引っかかっていたのです。 

このわだかまりがやっと消えたのは37歳になったときだったと言うのです。
やはり占いと言うのは将来に希望を与えるものでなくてはいけません。

民主党内閣のとき、野田首相が「このままでは日本は持ちません」と言いましたが、
リーダーがこんなことを言うのは最悪です。
チャーチルのように、リーダーは常に希望を見せなければなりません。

この脂質異常症ガイドラインによると、
今後10年のASCVD(atherosclerotic cardiovascular disease)イベント(脳卒中、心筋梗塞)が
予測できるサイトがあります
https://clincalc.com/cardiology/ascvd/pooledcohort.aspx)。
計測値としてTch、HDL、収縮期血圧が必要です。

小生のLDLは131mg/dL、HDL 64mg/dL、収縮期血圧118mmHgで、
今後10年の自分のASCVDイベント予測は、なんと10.2%、
生活改善でリスク因子を減らせば8.8%でした。
LDLを30%以上も下げよと言うのです(ガーン!)。

10年のASCVDリスクが7.5%以上はスタチン開始を推奨なのです。
小生、血圧は110mmHg代だしwalkingもしていて physically fit(健康)と思い込んでいたので、
これにはショックでした。皆様もぜひ計算してみて下さい。

前記サイトで今後10年のASCVDリスクとその対策は以下の通りです。

【ASCVDリスクと対策】
・5%未満:低リスク
・5〜7.4%:ボーダーライン
・7.5〜19.9%:中等度、LDLを30%以上下げるべき。
中等度スタチン(クレストール10mg/日〕使用で
ハザード比(HR)0.76〔95%CI、0.64〜0.91、絶対リスク減少率(ARR)1.1%、5年間で〕
・20%以上:高度、LDLを50%以上下げるべき

このような冠動脈疾患や脳卒中発症リスクの計算サイトは国内にもあります。
小生の10年内脳卒中発症リスクは、大阪府のサイト
http://www.osaka-ganjun.jp/health/si-estimate/)だと1.4%、
日本動脈硬化学会での冠動脈疾患発症リスクは2.6%でした
http://www.j-athero.org/general/ge_tool.html)。
米国の小生のASCVDリスクと較べて随分低値です。

動脈硬化によるイベント発症は民族的差が大きいのかなあと思いました
小生、何事も前向きに考える性格なので、日本のサイトを信じることにしました。
こうしてリスクは先送りにされていくのです。

Hominēs id quod volunt crēdunt.
人は信じたいと思うことを信じるものだ(カエサル)。

未来予測で思い出すのがギリシャ悲劇、オイディプス(エディプス)王です。
「父を殺し母と交わる」という
恐るべきデルフォイのアポロンの神託を避けようとすればするほど
かえって神託は確実に遂げられていくのです。

アポロンの神慮が全て遂げられたことをオイディプスが愕然として知ったとき、
母は自殺しオイディプスはわが両眼を手でくりぬくのです。
かくてオイディプスは呪われた子供たちと放浪の旅に出るのです。

学生のとき、ペロポネソス半島のコリント、ミケーネ、スパルタ、オリンピアを回り
フェリーで海峡を渡ってバスでデルフォイを訪ねました。
デルフォイはパルナッソス山の中腹にあります。
西側の眼下の谷はオリーブ畑に覆い尽くされ絶景でした。

ASCVDリスクが境界から中等度リスクの患者で
スタチン開始を迷った場合は心臓の単純CTを撮り
「冠動脈石灰化スコア(CAC score)」を計算することがあります。
これは冠動脈の石灰化のCT濃度(HU; Hounsfield unit)に
全スライスの石灰化面積をかけた総量を見るものです。

例えば、1スライスで石灰化が4mm2で濃度2HUなら4×2=8、
これを50〜60スライス総和したCAC scoreを出すのです。
この単位をAgatston unitと言います。

CAC scoreが0 Agatston unitなら今後10年のASCVDリスクは5%未満です。
ただし糖尿病、喫煙歴、ASCVD家族歴がないときです。
1〜99 Agatston unitsならASCVDリスクは55歳以上で7.5%以上あります。

100 Agatston units以上はスタチン開始です。

2. 高TGは1,000mg/dL以上で膵炎を起こすのでフィブラート系薬などで下げよ

 N Engl J Med(2007; 357: 1009-1017)の高中性脂肪(TG)血症総説によると、
TG1,000〜2,000mg/dLと高過ぎるときは膵炎を起こすので
薬(フィブラート系薬、ニコチン酸系薬、ω‐3脂肪酸エチル)で下げます。
しかし1,000mg/dL未満の場合は、治療すべきかどうかはっきりしないのです。

最近のUp to Date(2019.3)を調べてみてもこの辺りは変わっておらず、
ライフスタイルを改善してもTGが886r/dL以上の場合は、フィブラート系で下げよとのことです。

 TGを下げる薬剤はフィブラート系薬、ニコチン酸系薬、ω‐3脂肪酸エチルのうち、
Up to dateの推奨はフィブラート系です。一番よく下がるからです。

Fibrateの中では米国ではフェノフィブラート(商品名リピディル、トライコア)や
Gemfibrozil(国内未承認)、
世界ではベザフィブラート(ベザトールSR)が使用されています。

ニコチン酸系薬(ユベラN、ペリシット、コレキサミン)は
あまり効かないので滅多に使わないそうです。
ω‐3脂肪酸エチル(ロトリガ)はTGを45%下げるけどLDLが31%上がったそうです。
というわけで第一選択はやっぱりフィブラート系薬です。

【フィブラート系薬】
・ベザフィブラート(ベザトールSR)
・フェノフィブラート(リピディル、トライコア)

3. TG 1,000mg/dL未満は早期冠動脈疾患・家族性高脂血症の家族歴なければ生活スタイル改善のみ

TG1,000mg/mL未満で薬剤治療すべきは次の2つのときです。
下記の疾患がなければライフスタイル改善だけでよいのです。
Up to dateではライフスタイルを改善しても
TG 886mg/dL以上のとき、「フィブラート系薬開始」です。

【TG 1,000mg/dL未満で薬剤治療すべきとき】
a. 家族歴で早期冠動脈疾患(男55歳前、女65歳前)のあるとき
b. 下記3つの遺伝性高脂血症の家族歴のあるとき

 @ Familial combined hyperlipidemia
 A Familial hypoalphalipoproteinemia
 B 2型糖尿病の residual dyslipidemia

 小生は、TG 1,000mg/dL未満で前記の早期冠動脈疾患、高脂血症の家族歴がなければ放置しております。

4. LDL採血はTG>400mg/dL超えていなければ食後で可

なお脂質異常症の採血は空腹時に行う必要はなく食後で構いません。
LDL採血はTG>400mg/dLを超えていなければ食後でよいのです。

5. 脂質異常症は生活改善、地中海食推奨、毎日8,000歩歩こう!

脂質異常症でライフスタイル改善は全ての年齢で推奨です。
しかし具体的改善方法にはこのガイドラインでは触れられていません。
現在、欧米で高血圧、糖尿病に推奨の食生活は地中海食(Mediterranean diet)です。
要点は次の3つです。

【地中海食要点3つ】
@ 摂取すべきは全粒穀物(玄米)、全粒粉(白いパンでなく茶色のパン)、
果物、野菜、ナッツ、豆、オリーブ油、鶏肉、魚、食塩制限6g以下
A 避けるべきは赤い肉(豚、牛)、最悪は加工肉(ソーセージ、ベーコン、ハム)、砂糖入り飲料
B 適量のアルコール(男性22g、女性24gまで)取れ、
白ワインより赤ワインを(アルコール20gはビール500mL、日本酒180mL、ワイン180mL、ウイスキー60mL相当)

前記を見ると、地中海食って食塩制限さえすれば和食でも同じだよなと思いました。
わが家ではご飯は玄米食で、バターは長いこと食卓で見ていません。
以前小生がいた病院の医長は子だくさんで、6人の子供さんがいらっしゃり
家に先生の居場所がなくて「私は食卓医です」とのことでした。

わが家ではバターは使いませんが
オリーブ油は、通販でいろいろ買い求めて楽しんでおります。
最高級のオリーブ油をextra virgin oil、普通のオリーブ油はvirgin oilと言います。
色々試してみると随分味が違うものだなと思います。
高級品はやはりおいしいのです。

肉は豚肉や牛肉を避け
極力、鶏肉、魚を推奨です。

最悪は加工肉(ソーセージ、ベーコン、ハム)です。
加工肉を食べるくらいなら豚肉、牛肉の方がまだましなのです。
たぶん加工肉だと消化が良過ぎるからなのでしょう。

適量のアルコールの推奨は嬉しいです。
以前、知り合いの医師が肝硬変の患者さんのアルコール摂取量を聞いて
「俺の酒量の方がよっぽど多い」とぼやいていました。

そう言えば宮沢賢治の「雨ニモマケズ」では、
「一日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べ」とありますが
ASCVDには程遠い食事でしょう。

花巻の賢治の実家近くに賢治がよく通ったという「やぶ屋」という蕎麦屋が今でもあります。
賢治はここを「Bush(藪)」と呼んで
弟の清六や生徒たちとここへ来たとのことです。

決まって「三矢サイダーと天ぷらそば」を注文したそうで、
小生もこれを頼みましたが変な取り合わせでした(味が全然合わない!)。

そう言えば岩手出身の同級生の祖父が賢治と盛岡農林高等学校で同級生でした。
「賢治は目立たない奴」だったとのことでした。

賢治は1896年(明治29)年生まれで、
名古屋の双子の「きんさん・ぎんさん」が1892(明治25)年生まれでしたので、
きんさん・ぎんさんよりも年下ということになります。
それにしても宮沢賢治1人で岩手県の観光はどんなに助かっているかしれません。

賢治がつくった花巻農学校精神歌4番は次の通りです。

「日ハ君臨シ カガヤキノ
太陽系ハ マヒルナリ
ケハシキタビノ ナカニシテ
ワレラヒカリノ ミチヲフム」

「太陽系ハ マヒルナリ」なんてその壮大さにシビレます。こんな校歌だったら嬉しい。

昨年(2018年)、日本整形外科学会で鈴木大地スポーツ庁長官の記念講演がありました。
それによると、日本人の1日の平均歩数は6,800〜6,900歩だそうです。
鈴木長官は「Fun+Walk プロジェクト」と言って、
これに+1,000歩して毎日8,000歩歩くことを国民の全国的運動としたいと言うのです。

出勤時、1駅か2駅手前で降りて歩くのです。
「毎日8,000歩歩けばほとんどの生活習慣病を予防できる」からです。

これはわれわれや患者さんの具体的目標としてとても良いなと思いました。
長官は13階の長官室までの350段を毎日歩いているそうです。
皆様、毎日8,000歩歩きましょう。
今はスマホで簡単に歩数をチェックできます。

当、西伊豆健育会病院の事務職員が、家のルームランナーで走っているというので、
「こんな素晴らしい大自然の中で暮らしているのになんでルームランナーなんか?」
と聞いたところ、
「だって夜は道に街灯がなくて真っ暗だし、
鹿やイノシシが出て怖くてとても走れない」とのことでした。
そうか、僻地でこそルームランナーは必需品なのかと目からうろこでした。

当、西伊豆健育会病院では昨年の年末、
イノシシの牙のメッタ突きで爺さんが入院しました。

西伊豆では毎年秋になると周囲の山で鹿の鳴く声も聞こえます。
「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき」
と言うような風流な声ではなく「キエーッ!」のようなギョッとする声です。

6. ASCVDの一次予防はLDL5割減らし目標LDL<100mg/dL、二次予防は<70mg/dL!

TGは1,000mg/dL以下の場合、下げることの良しあしははっきりしません。
一方、今回のJAMAの高コレステロール血症ガイドラインによると、
LDLだけはしっかり下げるべきだと言うのです。

薬物でLDLを下げることで
ASCVDすなわち心筋梗塞、脳卒中、心血管死亡のイベントが減る
ことはRCTで既に確実なのです。

驚くのはLDL目標値のその凄まじさです。
ASCVDの一次予防にはLDLを5割も減らして目標LDL<100mg/dLに、
更に二次予防(心筋梗塞や脳卒中患者の再発予防)にはなんとLDL<70 mg/dLにせよ
というのです(マジすか!)。

小生、今まで最初からLDLを100mg/dL以下にしようなんて考えたことがありませんでした。
繰り返します。ASCVDの一次予防はLDL<100mg/dL、2次予防はLDL<70mg/dL!

LDLの層別化目標値は下記の通りです。
ASCVDとは心筋梗塞、脳卒中です。
層別化されて、ごちゃごちゃ面倒なので、次の2点にまとめておきます。

@ ASCVDはLDL5割減らし一次予防はLDL<100mg/dL、二次予防は<70mg/dL
A LDL≧70mg/dLでASCVD一次予防は、ハイリスク患者が5割、中等リスク・糖尿病患者は3割減らせ

なおハイリスク患者とは次のような患者です。

・急性冠動脈症候群
・家族性高脂血症
・糖尿病
・慢性腎不全
・動脈硬化性の心血管疾患を繰り返す患者
・多発血管疾患

LDLの層別化(stratified)目標値は以下の通りです。

【ASCVD 一次予防】
・LDL≧190mg/dL20〜75歳患者は強力スタチンでLDLを50%以上減らし目標LDL<100mg/dLとする
・糖尿病でLDL≧70mg/dLの40〜75歳患者は中等度スタチンでLDLを30%以上減らす
・ハイリスクでLDL≧70mg/dLの40〜75歳患者は強力スタチンでLDLを50%以上減らす
・中等リスクでLDL≧70mg/dLの40〜75歳患者は中等度スタチンでLDLを30%以上減らす

【ASCVD二次予防】
・ハイリスクの18歳以上ASCVD患者は強力スタチンでLDLを50%以上減らし目標LDL<70mg/dLとする
・その他の18歳以上ASCVD患者はLDLを50%以上減らす

7. ASCVDでは強力スタチン( クレストール、リピトール)使用

ではLDLを下げるのにどんな薬剤を使うのかと言うと、
Up to Dateでは次のような薬剤が挙げられています。
米国の薬用量の多さに驚きます。

ロスバスタチン(クレストール)とアトルバスタチン(リピトール)は用量により、
強力と中等を使い分けています。

Up to Dateでは心血管疾患患者には中等スタチンでなく
最初から強力スタチンを推奨です。
下記の薬剤、用量を推奨です。
しかし、クレストールやリピトールをこんなに大量使用する勇気は小生にはありません。

【強力スタチン】
・ロスバスタチン(クレストール)20〜40mg、国内2.5、5mg錠で2.5〜5mg/日分1
・アトルバスタチン(リピトール)40〜80mg、国内5、10mg錠で1日1回10〜40mg

【中等スタチン】
・ロスバスタチン(クレストール)5〜10mg、国内2.5、5mg錠で2.5〜5mg/日分1
・アトルバスタチン(リピトール)10〜20mg、国内5、10mg錠で10〜40mg/日分1
・プラバスタチン(メバロチン)40mg、国内5、10mg錠で10〜20mg/日を分1か分2
・シンバスタチン(リポバス)40mg、国内5、10、20mg錠で5〜20mg/日分1
・ピタバスタチン (リバロ)4mg、国内1、2、4mg錠で1〜4mg/日分1

小生、外来でスタチンの名称を「くるめ RAP」と覚えております。
薬剤の強度は「く(クレストール)>る(リピトール)>め(メバロチン)」でそれぞれRAPの順でRosuvastatin、Atrovastatin、Pravastatinです。

今まで、プラバスタチン (メバロチン)から使いはじめて恐る恐る、
アトルバスタチン(リピトール)、ロスバスタチン(クレストール)へとグレードアップしていました。
しかしUp to DateではASCVDでは最初から強力スタチンのクレストールからどんと行けと言うのです。

8.スタチンでLDL下がらねば、ゼチーアかPCSK9(レパーサ、プラルエント注)追加せよ

この1、2年で言われ出したのは、
スタチン(肝でのコレステロール合成阻害)による治療でLDLが十分下がらぬ場合、
エゼチミブ(ゼチーア、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬)や
PCSK9阻害薬(proprotein convertase subtilisin/kexin type9 : 注射薬レパーサ、プラルエント)を
追加してさらにLDLを低下させるべきだと言うのです。
こんなPCSK9阻害薬のレパーサ、プラルエントなんて注射薬は小生、その存在さえ知りませんでした。
しかしそれにしても高価です。

【レパーサ、プラルエント注の国内用量】
・レパーサ(エボロクマブ):140mg、2万4,136円/シリンジ、2週に1回140mg、または4週に1回420mg皮下注、効果不十分なら2週に1回420mg
・プラルエント(アリロクマブ):75mg、2万2,948円/シリンジ、150mg4万4,481円/シリンジ、2週に1回75mg皮下注、効果不十分なら2週に1回150mg

スタチン高用量にエゼチミブ併用でLDLの中央値は54mg/dLに、アリロクマブ併用で48mg/dL、エボロクマブ併用で30mg/dLに低下しました。

これらでASCVDイベントはそれぞれHR0.90(95%CI 0.84〜0.96)0.85(同 0.78〜0.93)、0.80(同 0.73〜0.88)となりARRは1.5〜1.8%でした。

少し気になったのは、臨床試験で一次予防にスタチンでイベントを予防できましたが
エゼチミブではできなかったと言うのです。

仲田 和正(なかた かずまさ)
西伊豆健育会病院病院長。
1978年に自治医科大学卒業、静岡県立中央病院(現静岡県立総合病院)全科ローテート研修、
1980年に浜松医科大学麻酔科研修(4〜9月)、静岡県国民健康保険佐久間病院外科・整形外科。
1984年に自治医科大学整形外科、大学院、
1988年に静岡県島田市民病院整形外科、1991年に静岡県西伊豆病院整形外科。
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元消化器外科医で,頭からつま先まで診れる総合診療科医です. 医学博士 元日本外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器内視鏡学会専門医, 日本医師会認定産業医, 日本病理学会認定剖検医,
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