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2018年10月06日
「眉間のしわ」は心臓病のサイン? 「しわの深さを示すスコアが高いほど心血管疾患で死亡するリスクは上昇することが分かった」
「眉間のしわ」は心臓病のサイン?
「しわの深さを示すスコアが高いほど心血管疾患で死亡するリスクは上昇することが分かった」
提供元:HealthDay News 公開日:2018/09/17
眉間のしわは心臓の状態が悪い徴候である可能性を示したフランスの研究結果が、欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25〜29日、ミュンヘン)で発表された。
年齢の割に眉間のしわが深い人は心臓病が原因で死亡するリスクが高く、
さまざまなリスク因子で調整後でも、
眉間にしわのない人と比べて最も深いしわがある人では心臓病で死亡するリスクが
10倍近く高いことが分かったという。
この研究は、トゥールーズ大学病院センター(フランス)労働衛生学准教授のYolande Esquirol氏らが実施したもの。
同氏らは今回、心臓の健康状態のマーカー候補として額のしわについて検討した。
額のしわに着目した理由は「極めて単純で、相手の顔を見るだけで危険を察知できるから」だとしている。
Esquirol氏らは、就労している約3,200人の健康な成人を対象に額のしわを評価し、その後20年間にわたって追跡した。
研究開始時の年齢は32歳、42歳、52歳、62歳のいずれかであった。
それぞれのしわの程度は“しわスコア”で0点(しわは全くない)〜3点(深いしわがたくさんある)に分類した。
年齢や性、血圧、心拍数、糖尿病の有無などのさまざまな因子で調整して解析した結果、
しわスコアが2点および3点だった人では、0点だった人と比べて心血管疾患で死亡するリスクは9.6倍だった。
また、しわスコアが1点以上だった人では、しわがなかった人と比べて心臓の問題が原因で死亡する確率が5倍以上であることも分かった。
以上の結果から、Esquirol氏は「しわの深さを示すスコアが高いほど心血管疾患で死亡するリスクは上昇することが分かった」と結論づけている。
こうした結果が得られた原因は不明だが、同氏は、動脈硬化に起因しているのではとの見方を示す。
「しわの形成と動脈硬化にはいずれもコラーゲンの変化や酸化ストレスが関与している。また、額の血管は極めて細いため、プラークの蓄積による影響を受けやすい可能性がある。
このことから、しわが血管年齢の上昇や血管の硬化の初期徴候として現れると考えられる」と同氏は説明している。
ただし、この研究は額のしわが心血管リスクを高める原因であることを証明したものではない。
また、心臓病の専門家からはEsquirol氏らの研究に懐疑的な声も聞かれている。
その一人で米アイカーン医科大学循環器学教授のRoxana Mehran氏は「より多くのエビデンスが集積されるまでは、重視すべき研究結果であるようには思えない」と話し、日常的に不安やストレス、怒りなどで眉をひそめる表情をすることが多い人は、心臓により大きな負担がかかっている可能性があることを指摘している。
また、米ケンタッキー大学公衆衛生学部のDonna Arnett氏は「今回の解析で用いられたモデルでは加齢や喫煙による影響が完全に考慮されていなかった可能性がある」と話している。
それでも、Esquirol氏は研究結果を検証する必要性を認めた上で、「費用はかからずリスクを伴うわけでもないため、医師は心血管疾患の危険信号として患者の額のしわをチェックしてもよいのではないか」と話している。
なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。
[2018年8月27日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.
「しわの深さを示すスコアが高いほど心血管疾患で死亡するリスクは上昇することが分かった」
提供元:HealthDay News 公開日:2018/09/17
眉間のしわは心臓の状態が悪い徴候である可能性を示したフランスの研究結果が、欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25〜29日、ミュンヘン)で発表された。
年齢の割に眉間のしわが深い人は心臓病が原因で死亡するリスクが高く、
さまざまなリスク因子で調整後でも、
眉間にしわのない人と比べて最も深いしわがある人では心臓病で死亡するリスクが
10倍近く高いことが分かったという。
この研究は、トゥールーズ大学病院センター(フランス)労働衛生学准教授のYolande Esquirol氏らが実施したもの。
同氏らは今回、心臓の健康状態のマーカー候補として額のしわについて検討した。
額のしわに着目した理由は「極めて単純で、相手の顔を見るだけで危険を察知できるから」だとしている。
Esquirol氏らは、就労している約3,200人の健康な成人を対象に額のしわを評価し、その後20年間にわたって追跡した。
研究開始時の年齢は32歳、42歳、52歳、62歳のいずれかであった。
それぞれのしわの程度は“しわスコア”で0点(しわは全くない)〜3点(深いしわがたくさんある)に分類した。
年齢や性、血圧、心拍数、糖尿病の有無などのさまざまな因子で調整して解析した結果、
しわスコアが2点および3点だった人では、0点だった人と比べて心血管疾患で死亡するリスクは9.6倍だった。
また、しわスコアが1点以上だった人では、しわがなかった人と比べて心臓の問題が原因で死亡する確率が5倍以上であることも分かった。
以上の結果から、Esquirol氏は「しわの深さを示すスコアが高いほど心血管疾患で死亡するリスクは上昇することが分かった」と結論づけている。
こうした結果が得られた原因は不明だが、同氏は、動脈硬化に起因しているのではとの見方を示す。
「しわの形成と動脈硬化にはいずれもコラーゲンの変化や酸化ストレスが関与している。また、額の血管は極めて細いため、プラークの蓄積による影響を受けやすい可能性がある。
このことから、しわが血管年齢の上昇や血管の硬化の初期徴候として現れると考えられる」と同氏は説明している。
ただし、この研究は額のしわが心血管リスクを高める原因であることを証明したものではない。
また、心臓病の専門家からはEsquirol氏らの研究に懐疑的な声も聞かれている。
その一人で米アイカーン医科大学循環器学教授のRoxana Mehran氏は「より多くのエビデンスが集積されるまでは、重視すべき研究結果であるようには思えない」と話し、日常的に不安やストレス、怒りなどで眉をひそめる表情をすることが多い人は、心臓により大きな負担がかかっている可能性があることを指摘している。
また、米ケンタッキー大学公衆衛生学部のDonna Arnett氏は「今回の解析で用いられたモデルでは加齢や喫煙による影響が完全に考慮されていなかった可能性がある」と話している。
それでも、Esquirol氏は研究結果を検証する必要性を認めた上で、「費用はかからずリスクを伴うわけでもないため、医師は心血管疾患の危険信号として患者の額のしわをチェックしてもよいのではないか」と話している。
なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。
[2018年8月27日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.
2018年10月05日
がんで死ぬ県,死なない県 なぜ格差が生まれるのか
がんで死ぬ県,死なない県 なぜ格差が生まれるのか 松田智大著から
がんを防ぐ五つのポイント
1)禁煙
2)飲酒はほどほどに
3)痩せすぎず,太りすぎず
4)進んで運動
5)3食バランスよく食べ,偏りをなくす
がんを防ぐ五つのポイント
1)禁煙
2)飲酒はほどほどに
3)痩せすぎず,太りすぎず
4)進んで運動
5)3食バランスよく食べ,偏りをなくす
2018年10月04日
医師が教える】電車・飛行機などでスッキリ眠るコツ
医師が教える】電車・飛行機などでスッキリ眠るコツ
電車や飛行機での移動中は、睡眠不足解消に絶好のタイミングです。スマートフォンでゲームをするより、しっかり眠って疲労回復に努めましょう。ここでは、移動中に眠るときに気をつけたいポイントを6つ解説します。
執筆者:医師 / 睡眠ガイド 坪田 聡
日本を睡眠先進国にするため、正しい快眠習慣の普及に努める専門医
1. 短時間なら20分まで、長時間なら1時半の倍数で
移動,仮眠
移動中に上手に仮眠をとるには?
移動中に仮眠をとると、眠気を減らして頭をスッキリさせる効果があります。
短時間の仮眠なら、午後3時までの10〜20分にしておきましょう。
長時間の仮眠ができるなら、1時間半かその倍数(3時間・4時間半)で起きるとスッキリ目覚めます。
ただし、遅い時刻の長すぎる仮眠は、寝起きが悪かったり夜の睡眠に悪影響が出たりします。
会社帰りの電車での仮眠は「10分以内」にとどめましょう。
2. 心身ともにリラックスする
気持ちよく眠るためには、リラックスする必要があります。
ネクタイやベルトなど、身体を締め付けるものはなるべく緩めましょう。
好きな音楽を小さな音で聞くのも良いでしょう。
お気に入りのアロマがあれば、ティッシュペーパーに1滴たらして香りをかぎます。
リクライニングできる座席なら、少し後ろに倒しましょう。
3. しっかり頭と首を支える
眠る姿勢について、座席にもたれかかるか、テーブルに突っ伏すと身体が安定します。
座席に持たれたかかるときは、頭や首を安定させるために仮眠用の枕などを使いましょう。
起きたときの首の痛みを予防できます。
テーブルに突っ伏すときは、よだれ対策にハンカチなどを口の下に敷いておきます。
4. 気になる光と音を遮断する
移動,睡眠
頭と首を支え、光や音を遮断する
明るすぎたりうるさすぎたりするところでは、うまく眠れません。
周りの光や音が気になるなら、アイマスクや耳栓を使いましょう。
耳栓をしても周りの音が気になるときは、イヤホンでお気に入りの音楽を聞くと、騒音が気にならなくなります。
5. 自己覚醒法で目覚める
自分が目覚めたい時刻に自然に目覚めることを「自己覚醒法」といいます。
自己覚醒法で目覚めると、アラームで起こされた時より気持ちよく目覚めます。
やり方は、眠る前に「何時に起きよう」とか、「何分後に目覚めよう」と強く念じるだけ。
半数から3分の1の人は、練習するうちにうまく起きられるようになります。
6. 水分をとってエコノミー症候群を予防する
移動,仮眠
しっかり水分をとる
狭い座席で体を動かさずに長時間座っていると、脚の血管に血の塊(血栓)ができて脚がむくむことがあります。
「エコノミー症候群」と言われる状態です。
その血栓が肺に飛んで「急性肺血栓塞栓症」を起こすと、命にかかわります。
特に飛行機の中で長時間眠るときは、十分な水分をとり、足首を動かして、脚の血流を良くしておきましょう。
電車や飛行機での移動中は、睡眠不足解消に絶好のタイミングです。スマートフォンでゲームをするより、しっかり眠って疲労回復に努めましょう。ここでは、移動中に眠るときに気をつけたいポイントを6つ解説します。
執筆者:医師 / 睡眠ガイド 坪田 聡
日本を睡眠先進国にするため、正しい快眠習慣の普及に努める専門医
1. 短時間なら20分まで、長時間なら1時半の倍数で
移動,仮眠
移動中に上手に仮眠をとるには?
移動中に仮眠をとると、眠気を減らして頭をスッキリさせる効果があります。
短時間の仮眠なら、午後3時までの10〜20分にしておきましょう。
長時間の仮眠ができるなら、1時間半かその倍数(3時間・4時間半)で起きるとスッキリ目覚めます。
ただし、遅い時刻の長すぎる仮眠は、寝起きが悪かったり夜の睡眠に悪影響が出たりします。
会社帰りの電車での仮眠は「10分以内」にとどめましょう。
2. 心身ともにリラックスする
気持ちよく眠るためには、リラックスする必要があります。
ネクタイやベルトなど、身体を締め付けるものはなるべく緩めましょう。
好きな音楽を小さな音で聞くのも良いでしょう。
お気に入りのアロマがあれば、ティッシュペーパーに1滴たらして香りをかぎます。
リクライニングできる座席なら、少し後ろに倒しましょう。
3. しっかり頭と首を支える
眠る姿勢について、座席にもたれかかるか、テーブルに突っ伏すと身体が安定します。
座席に持たれたかかるときは、頭や首を安定させるために仮眠用の枕などを使いましょう。
起きたときの首の痛みを予防できます。
テーブルに突っ伏すときは、よだれ対策にハンカチなどを口の下に敷いておきます。
4. 気になる光と音を遮断する
移動,睡眠
頭と首を支え、光や音を遮断する
明るすぎたりうるさすぎたりするところでは、うまく眠れません。
周りの光や音が気になるなら、アイマスクや耳栓を使いましょう。
耳栓をしても周りの音が気になるときは、イヤホンでお気に入りの音楽を聞くと、騒音が気にならなくなります。
5. 自己覚醒法で目覚める
自分が目覚めたい時刻に自然に目覚めることを「自己覚醒法」といいます。
自己覚醒法で目覚めると、アラームで起こされた時より気持ちよく目覚めます。
やり方は、眠る前に「何時に起きよう」とか、「何分後に目覚めよう」と強く念じるだけ。
半数から3分の1の人は、練習するうちにうまく起きられるようになります。
6. 水分をとってエコノミー症候群を予防する
移動,仮眠
しっかり水分をとる
狭い座席で体を動かさずに長時間座っていると、脚の血管に血の塊(血栓)ができて脚がむくむことがあります。
「エコノミー症候群」と言われる状態です。
その血栓が肺に飛んで「急性肺血栓塞栓症」を起こすと、命にかかわります。
特に飛行機の中で長時間眠るときは、十分な水分をとり、足首を動かして、脚の血流を良くしておきましょう。
2018年10月03日
インスリン高値が先?がん発生が先?がん1cmになるまで通常3000日 インスリンが血糖に関係なくがんリスクに関連か
インスリン高値が先?がん発生が先?がん1cmになるまで通常3000日
インスリンが血糖に関係なくがんリスクに関連か
わが国の大規模前向きコホート研究(JPHC研究)より、
数種類のがんにおいて、インスリン高値が高血糖とは関係なく、糖尿病関連のがん発症に関連する可能性が示唆された。
著者らは「血漿インスリン値の検査は、糖尿病を発症していない人においても、がんリスクを評価するうえで妥当なオプションである」としている。
International Journal of Cancer誌オンライン版2018年9月5日号に掲載。
本研究では、がんリスクにおけるインスリンと血糖のそれぞれの影響を明らかにするために、インスリンの代用マーカーである血漿Cペプチド、および安定した血糖マーカーである糖化アルブミン(GA)と、がん全体および部位別のがんリスクとの関連が検討された。
ベースラインでアンケートに回答し血液サンプルを提供した3万3,736人のうち、約4,000人にがんが発症した。明らかに糖尿病である被験者を除外し、3,036人のがん症例と3,667人のサブコホートで分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・男女全体として、GAで調整後、
Cペプチド値の最も高い群は、最も低い群と比べて
がん全体(ハザード比[HR]:1.21、95%信頼区間[CI]:1.02〜1.42)、
結腸がん(1.73、1.20〜2.47)、
肝臓がん(3.23、1.76〜5.91)、
腎・腎盂・尿管がん(2.47、1.07〜5.69)
のリスク増加と有意に関連していた。
・Cペプチドに関連した上記のがんのうち結腸がんと肝臓がんでは、Cペプチド値とは関係なく、GAの増加に関連したがんリスク増加も示した。
GAの最も低い群に対する、最も高い群での結腸がんと肝臓がんのHRは、それぞれ1.43(95%CI:1.02〜2.00)および2.02(95%CI:1.15〜3.55)であった。
・性別による差異は、Cペプチドと結腸がんの関連(相互作用のp=0.04)のみ明らかであった。
(ケアネット 金沢 浩子)
原著論文はこちら
Hidaka A, et al. Int J Cancer. 2018 Sep 5. [Epub ahead of print]
インスリンが血糖に関係なくがんリスクに関連か
わが国の大規模前向きコホート研究(JPHC研究)より、
数種類のがんにおいて、インスリン高値が高血糖とは関係なく、糖尿病関連のがん発症に関連する可能性が示唆された。
著者らは「血漿インスリン値の検査は、糖尿病を発症していない人においても、がんリスクを評価するうえで妥当なオプションである」としている。
International Journal of Cancer誌オンライン版2018年9月5日号に掲載。
本研究では、がんリスクにおけるインスリンと血糖のそれぞれの影響を明らかにするために、インスリンの代用マーカーである血漿Cペプチド、および安定した血糖マーカーである糖化アルブミン(GA)と、がん全体および部位別のがんリスクとの関連が検討された。
ベースラインでアンケートに回答し血液サンプルを提供した3万3,736人のうち、約4,000人にがんが発症した。明らかに糖尿病である被験者を除外し、3,036人のがん症例と3,667人のサブコホートで分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・男女全体として、GAで調整後、
Cペプチド値の最も高い群は、最も低い群と比べて
がん全体(ハザード比[HR]:1.21、95%信頼区間[CI]:1.02〜1.42)、
結腸がん(1.73、1.20〜2.47)、
肝臓がん(3.23、1.76〜5.91)、
腎・腎盂・尿管がん(2.47、1.07〜5.69)
のリスク増加と有意に関連していた。
・Cペプチドに関連した上記のがんのうち結腸がんと肝臓がんでは、Cペプチド値とは関係なく、GAの増加に関連したがんリスク増加も示した。
GAの最も低い群に対する、最も高い群での結腸がんと肝臓がんのHRは、それぞれ1.43(95%CI:1.02〜2.00)および2.02(95%CI:1.15〜3.55)であった。
・性別による差異は、Cペプチドと結腸がんの関連(相互作用のp=0.04)のみ明らかであった。
(ケアネット 金沢 浩子)
原著論文はこちら
Hidaka A, et al. Int J Cancer. 2018 Sep 5. [Epub ahead of print]
2018年10月02日
目覚め方改革プロジェクト 「目覚め方および体内リズムを整えることの重要性の啓発」 睡眠改革で睡眠上手な日本へ
目覚め方改革プロジェクト
「目覚め方および体内リズムを整えることの重要性の啓発」
睡眠改革で睡眠上手な日本へ
提供元:ケアネット 公開日:2018/09/11
先進国で一番睡眠時間が短い日本
平均睡眠時間の国際比較によると、日本人の平均睡眠時間は7.4時間とOECD諸国の中でも一番短い。
また、日本人の5人に1人は「日中、眠気を感じた」「睡眠時間が足りなかった」「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」など睡眠の問題を抱えている(厚生労働省 平成25年国民健康・栄養調査)。
「良質な睡眠とは『リズム、量、質』が充足された睡眠である。
睡眠のリズムには、すっきりした目覚めが深く関係している。
睡眠関連で約15兆円の経済損失
睡眠には、
疲労回復、
エネルギー保存、
身体の成長、
免疫機能増加など
の役割があるが、
睡眠不足や不眠になると
倦怠感や頭重感、
交通・産業事故の誘因、
仕事・学業の能率や生産性の低下などを来し、
さらには生活習慣病やうつ病の誘因・増悪、
認知症発症の誘因を起こすとされている。
米国の研究では、わが国の経済損失は約15兆円といわれ、GDPに占める割合ではワースト1位となっているという。
とくに仕事などのパフォーマンスに注目すると、慢性的な睡眠負債では眠気を自覚しにくく、徐々にパフォーマンスを低下させるとし、
たとえば17時間覚醒では、血中アルコール濃度0.05%のパフォーマンスに相当し、
24時間覚醒では血中アルコール濃度0.10%に相当するという1)(血中アルコール濃度0.05〜0.10%はビール1〜2本、日本酒1〜2合に相当)。
「睡眠の最大の役割は、心と体のメンテナンスにある。
充実した1日を過ごすためにも、睡眠の役割を正しく認識することが重要」
夜のブルーライトは体内リズムに影響
体内時計は、
さまざまな生理現象を調節する機能を持ち、
体内リズムを作り出している。
そのため睡眠においても、
「メラトニン分泌→睡眠→深部体温低下→コルチゾール分泌→覚醒」の順番を保つリズムが重要であるという。
また、体内リズムと光の関係につき、
朝の強い光はリズムを進行させ、
夜の光はリズムを遅らせるとともに、
夜の青い光(ブルーライト)は体内時計に強く作用することから、
夜のスマホやゲームは体内リズムに影響を与えると警告する。
「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)」
ソーシャルジェットラグとは、
蓄積した平日の睡眠負債を返済するために、
休日に寝だめなどを行った結果、
体内リズムが乱れ、
起床困難、入眠困難、蓄積疲労などが起こる現象である。
そして、ソーシャルジェットラグは、心身の健康に影響を与えることから、これを避けるためにも、
「起床時間を休日でも変えない」
「6〜8時間の睡眠時間の確保」
「朝日を浴びて、体内時計をリセットする」など
体内リズムを整えることが重要
「昼間、生き生きと過ごすために、
朝、すっきりと目覚めることが大事」
■文献
1)Dawson D, et al.nature.1997;388:235-237.
「目覚め方および体内リズムを整えることの重要性の啓発」
睡眠改革で睡眠上手な日本へ
提供元:ケアネット 公開日:2018/09/11
先進国で一番睡眠時間が短い日本
平均睡眠時間の国際比較によると、日本人の平均睡眠時間は7.4時間とOECD諸国の中でも一番短い。
また、日本人の5人に1人は「日中、眠気を感じた」「睡眠時間が足りなかった」「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」など睡眠の問題を抱えている(厚生労働省 平成25年国民健康・栄養調査)。
「良質な睡眠とは『リズム、量、質』が充足された睡眠である。
睡眠のリズムには、すっきりした目覚めが深く関係している。
睡眠関連で約15兆円の経済損失
睡眠には、
疲労回復、
エネルギー保存、
身体の成長、
免疫機能増加など
の役割があるが、
睡眠不足や不眠になると
倦怠感や頭重感、
交通・産業事故の誘因、
仕事・学業の能率や生産性の低下などを来し、
さらには生活習慣病やうつ病の誘因・増悪、
認知症発症の誘因を起こすとされている。
米国の研究では、わが国の経済損失は約15兆円といわれ、GDPに占める割合ではワースト1位となっているという。
とくに仕事などのパフォーマンスに注目すると、慢性的な睡眠負債では眠気を自覚しにくく、徐々にパフォーマンスを低下させるとし、
たとえば17時間覚醒では、血中アルコール濃度0.05%のパフォーマンスに相当し、
24時間覚醒では血中アルコール濃度0.10%に相当するという1)(血中アルコール濃度0.05〜0.10%はビール1〜2本、日本酒1〜2合に相当)。
「睡眠の最大の役割は、心と体のメンテナンスにある。
充実した1日を過ごすためにも、睡眠の役割を正しく認識することが重要」
夜のブルーライトは体内リズムに影響
体内時計は、
さまざまな生理現象を調節する機能を持ち、
体内リズムを作り出している。
そのため睡眠においても、
「メラトニン分泌→睡眠→深部体温低下→コルチゾール分泌→覚醒」の順番を保つリズムが重要であるという。
また、体内リズムと光の関係につき、
朝の強い光はリズムを進行させ、
夜の光はリズムを遅らせるとともに、
夜の青い光(ブルーライト)は体内時計に強く作用することから、
夜のスマホやゲームは体内リズムに影響を与えると警告する。
「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)」
ソーシャルジェットラグとは、
蓄積した平日の睡眠負債を返済するために、
休日に寝だめなどを行った結果、
体内リズムが乱れ、
起床困難、入眠困難、蓄積疲労などが起こる現象である。
そして、ソーシャルジェットラグは、心身の健康に影響を与えることから、これを避けるためにも、
「起床時間を休日でも変えない」
「6〜8時間の睡眠時間の確保」
「朝日を浴びて、体内時計をリセットする」など
体内リズムを整えることが重要
「昼間、生き生きと過ごすために、
朝、すっきりと目覚めることが大事」
■文献
1)Dawson D, et al.nature.1997;388:235-237.
2018年10月01日
コレステロール高値、体型よりも食事が影響
コレステロール高値、体型よりも食事が影響
厚労省、全国規模による循環器疾患基礎調査対象者の長期追跡研究で
化学工業日報2018年9月13日 (木)配信
厚生労働省の「NIPPON DATA」研究班(代表者・滋賀医科大学の三浦克之アジア疫学研究センター長)は、日本人のコレステロール高値と体型差の関係が薄れてきているという研究結果をまとめた。
1980年時点に測定したコレステロール高値の人は肥満の影響が高かったが、2010年時点では痩せ型、適正体重にもコレステロール高値になりやすい人が増えていることが分かった。
研究班は、脂肪分の多い食事の摂取が増えていることが背景にあると指摘する。コレステロール高値の予防には肥満予防対策よりも、食事対策をすべきとしている。
NIPPON DATA研究は国による全国規模による循環器疾患基礎調査対象者の長期追跡研究(コホート研究)。
研究班は、国民健康・栄養調査の参加者を対象に、コレステロール高値のなりやすさと体重や体型とのかかわりについて調査した。
全国300地区から50歳以上を無作為抽出し、80年に5014人、90年に4673人、00年に5059人、10年に2105人を解析した。
肥満型(肥満度指数BMIが25キログラム/1平方メートル以上)、
痩せ型(同18・5キログラム/同未満)、適正体重(18・5キログラム/同以上〜25キログラム/同未満)
とし、
またコレステロール高値は血清総コレステロール値が220ミリグラム/デシリットル以上(悪玉といわれるLDLコレステロールが140ミリグラム/同以上)とした。
調査した30年間で肥満型は男性で16・3%から34・1%へと増加、女性では26・2%から27%と横ばいだった。
痩せ型は男性で9%から3・2%、女性で8・4%から6・6%へと減少傾向がみられた。
適正体重の人に対し、
肥満型や痩せ型の人が何倍コレステロール高値になりやすいかを
年齢、
喫煙状況、
飲酒状況、
運動習慣の有無、
総エネルギー摂取量、
脂肪酸の摂取量、
脂質異常症治療の有無を調整した
コレステロール高値オッズ比を算出。
その結果、
男性は80年時点に肥満型で2・4倍だったが、10年時点では0・9倍まで低下。
痩せ型は0・3倍から0・4倍に上昇。
女性は80年時点の肥満型1・4倍が、10年時点に1・1倍に低下。
痩せ型が0・4倍から1倍に増加していることが分かった。
研究班は、体型にかかわらず脂肪分とくに飽和脂肪酸の多い食事を摂る人が増えたため、
肥満型や痩せ型との関連性の弱まった可能性があるとしている。
脂質異常症の予防には、適正体重や痩せ型の人に飽和脂肪酸や食事性コレステロールの過剰摂取の防止による対策を行う必要があるとしている。
成果は、研究グループの浜松医科大学の柴田陽介助教の執筆による論文が日本疫学会の学会誌「Journal of Epidemiology(ジャーナル・オブ・エピデミオロジー)」に掲載された。
厚労省、全国規模による循環器疾患基礎調査対象者の長期追跡研究で
化学工業日報2018年9月13日 (木)配信
厚生労働省の「NIPPON DATA」研究班(代表者・滋賀医科大学の三浦克之アジア疫学研究センター長)は、日本人のコレステロール高値と体型差の関係が薄れてきているという研究結果をまとめた。
1980年時点に測定したコレステロール高値の人は肥満の影響が高かったが、2010年時点では痩せ型、適正体重にもコレステロール高値になりやすい人が増えていることが分かった。
研究班は、脂肪分の多い食事の摂取が増えていることが背景にあると指摘する。コレステロール高値の予防には肥満予防対策よりも、食事対策をすべきとしている。
NIPPON DATA研究は国による全国規模による循環器疾患基礎調査対象者の長期追跡研究(コホート研究)。
研究班は、国民健康・栄養調査の参加者を対象に、コレステロール高値のなりやすさと体重や体型とのかかわりについて調査した。
全国300地区から50歳以上を無作為抽出し、80年に5014人、90年に4673人、00年に5059人、10年に2105人を解析した。
肥満型(肥満度指数BMIが25キログラム/1平方メートル以上)、
痩せ型(同18・5キログラム/同未満)、適正体重(18・5キログラム/同以上〜25キログラム/同未満)
とし、
またコレステロール高値は血清総コレステロール値が220ミリグラム/デシリットル以上(悪玉といわれるLDLコレステロールが140ミリグラム/同以上)とした。
調査した30年間で肥満型は男性で16・3%から34・1%へと増加、女性では26・2%から27%と横ばいだった。
痩せ型は男性で9%から3・2%、女性で8・4%から6・6%へと減少傾向がみられた。
適正体重の人に対し、
肥満型や痩せ型の人が何倍コレステロール高値になりやすいかを
年齢、
喫煙状況、
飲酒状況、
運動習慣の有無、
総エネルギー摂取量、
脂肪酸の摂取量、
脂質異常症治療の有無を調整した
コレステロール高値オッズ比を算出。
その結果、
男性は80年時点に肥満型で2・4倍だったが、10年時点では0・9倍まで低下。
痩せ型は0・3倍から0・4倍に上昇。
女性は80年時点の肥満型1・4倍が、10年時点に1・1倍に低下。
痩せ型が0・4倍から1倍に増加していることが分かった。
研究班は、体型にかかわらず脂肪分とくに飽和脂肪酸の多い食事を摂る人が増えたため、
肥満型や痩せ型との関連性の弱まった可能性があるとしている。
脂質異常症の予防には、適正体重や痩せ型の人に飽和脂肪酸や食事性コレステロールの過剰摂取の防止による対策を行う必要があるとしている。
成果は、研究グループの浜松医科大学の柴田陽介助教の執筆による論文が日本疫学会の学会誌「Journal of Epidemiology(ジャーナル・オブ・エピデミオロジー)」に掲載された。
2018年09月30日
日本の近い将来! 米で性感染症の拡大と淋菌の薬剤耐性化進む CDC調査
日本の近い将来!
米で性感染症の拡大と淋菌の薬剤耐性化進む CDC調査
国際医学短信2018年9月10日 (月)配信 産婦人科疾患腎・泌尿器疾患感染症投薬に関わる問題
米国では2017年に淋病や梅毒、クラミジア感染症と
診断された症例は230万人近くと前年を大きく上回り、
4年連続で性感染症(STD)の拡大が続いていることが米疾病対策センター(CDC)の調べで分かった。
また、淋菌の抗菌薬耐性化が急速に進んでいることも懸念されたことから、
CDCのSTD予防部門長を務めるGail Bolan氏は
「淋病の新たな治療選択肢の開発が緊急に求められる」と指摘している。
調査結果の詳細はSTD予防会議(2018 STD Prevention Conference、8月27〜30日、米ワシントンD.C.)で発表された。
CDCの報告書によると、
淋病の診断数は2013年の33万3,004人から2017年には55万5,608人へと67%増加した。
男性ではほぼ倍増し、女性も3年連続で増加している。
また、梅毒の診断数は同期間に1万7,375人から3万664人へと76%増加し、
感染者の7割は男性の同性愛者あるいは両性愛者であった。
最も頻度が高いクラミジア感染症は、
2017年には170万人以上が診断されており(2016年には160万人)、
45%は15〜24歳の若い女性であった。
さらに、アジスロマイシン耐性の淋菌の割合は2013年には1%だったのに対し、
2017年には4%以上にまで増加し、淋菌の抗菌薬耐性化が急速に進んでいることも明らかになった。
STDはいずれも抗菌薬で治療できるが、未治療のまま放置している患者も多い。
STDを治療せずに放置すると妊娠能力に影響し、
子宮外妊娠や死産の原因にもなるほか、骨盤や腹部の慢性疼痛を引き起こし、
HIV感染リスクも増大するため適切な治療が必要となる。
STD拡大の要因には、
特に若年層での検診や性教育が不十分であることが考えられると、
専門家らは指摘している。
また、連邦政府は近年、STD対策の財政支援を縮小してきたが、
こうした支援縮小後にSTDの急増が認められていることも分かった。
「州や地域の保健局は、事実上15年前の半分の予算でSTD対策を講じている」と
NCSD(National Coalition of STD Directors)の理事を務めるDavid Harvey氏は述べている。
淋菌は長きにわたって各種抗菌薬に耐性を獲得しており、
米国では現在、セフトリアキソンが淋菌に高い有効性を示す唯一の抗菌薬とされている。
2015年以降、
淋病治療にはセフトリアキソンの静脈注射単回投与とアジスロマイシン経口投与の併用が推奨されているが、
この併用療法もいずれは効かなくなる可能性があると専門家らは危惧している。
CDCは医師に対し、患者とSTDについて率直に話し合う機会を持ち、
早期発見、早期治療を実現することでSTDの拡大阻止に努めるよう強く呼び掛けている。
HealthDay News 2018年8月28日
Copyright2018 HealthDay. All rights reserved.
米で性感染症の拡大と淋菌の薬剤耐性化進む CDC調査
国際医学短信2018年9月10日 (月)配信 産婦人科疾患腎・泌尿器疾患感染症投薬に関わる問題
米国では2017年に淋病や梅毒、クラミジア感染症と
診断された症例は230万人近くと前年を大きく上回り、
4年連続で性感染症(STD)の拡大が続いていることが米疾病対策センター(CDC)の調べで分かった。
また、淋菌の抗菌薬耐性化が急速に進んでいることも懸念されたことから、
CDCのSTD予防部門長を務めるGail Bolan氏は
「淋病の新たな治療選択肢の開発が緊急に求められる」と指摘している。
調査結果の詳細はSTD予防会議(2018 STD Prevention Conference、8月27〜30日、米ワシントンD.C.)で発表された。
CDCの報告書によると、
淋病の診断数は2013年の33万3,004人から2017年には55万5,608人へと67%増加した。
男性ではほぼ倍増し、女性も3年連続で増加している。
また、梅毒の診断数は同期間に1万7,375人から3万664人へと76%増加し、
感染者の7割は男性の同性愛者あるいは両性愛者であった。
最も頻度が高いクラミジア感染症は、
2017年には170万人以上が診断されており(2016年には160万人)、
45%は15〜24歳の若い女性であった。
さらに、アジスロマイシン耐性の淋菌の割合は2013年には1%だったのに対し、
2017年には4%以上にまで増加し、淋菌の抗菌薬耐性化が急速に進んでいることも明らかになった。
STDはいずれも抗菌薬で治療できるが、未治療のまま放置している患者も多い。
STDを治療せずに放置すると妊娠能力に影響し、
子宮外妊娠や死産の原因にもなるほか、骨盤や腹部の慢性疼痛を引き起こし、
HIV感染リスクも増大するため適切な治療が必要となる。
STD拡大の要因には、
特に若年層での検診や性教育が不十分であることが考えられると、
専門家らは指摘している。
また、連邦政府は近年、STD対策の財政支援を縮小してきたが、
こうした支援縮小後にSTDの急増が認められていることも分かった。
「州や地域の保健局は、事実上15年前の半分の予算でSTD対策を講じている」と
NCSD(National Coalition of STD Directors)の理事を務めるDavid Harvey氏は述べている。
淋菌は長きにわたって各種抗菌薬に耐性を獲得しており、
米国では現在、セフトリアキソンが淋菌に高い有効性を示す唯一の抗菌薬とされている。
2015年以降、
淋病治療にはセフトリアキソンの静脈注射単回投与とアジスロマイシン経口投与の併用が推奨されているが、
この併用療法もいずれは効かなくなる可能性があると専門家らは危惧している。
CDCは医師に対し、患者とSTDについて率直に話し合う機会を持ち、
早期発見、早期治療を実現することでSTDの拡大阻止に努めるよう強く呼び掛けている。
HealthDay News 2018年8月28日
Copyright2018 HealthDay. All rights reserved.
2018年09月29日
急性心筋梗塞患者への酸素療法は無効〜長期追跡結果を発表 ルーチンの酸素療法が不要に!
急性心筋梗塞患者への酸素療法は無効〜長期追跡結果を発表
ルーチンの酸素療法が不要に!
2018年09月11日 06:00
心臓発作を起こした患者に対する酸素療法は100年以上前から行われているが、
血中酸素濃度が正常な患者での十分な効果は証明されていない。
スウェーデン・Karolinska InstitutetのRobin Hofmann氏らは以前、
低酸素状態でない心筋梗塞(MI)が疑われる患者を対象に、
酸素療法と空気吸入を比較するDETO2X-AMI※1試験を実施し、
酸素療法は1年時点の生存率を改善しないことを報告している※2。
今回、同氏らは同試験の長期結果を欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25〜29日、ミュンヘン)で報告し、
「MIが疑われる患者への酸素療法に心不全予防効果はなく、
長期死亡リスクも改善されない」と述べた。
なお、詳細はCirculation(2018年8月26日オンライン版)に同時掲載された。
(関連記事:「急性心筋梗塞に酸素投与の効果なし」)
ルーチンの酸素療法が不要に
2000年以降、世界中の研究者が心臓発作(急性MI)患者に対する酸素療法は無効なだけでなく、
有害ですらあるのではないかと疑い始めていた。
DETO2X-AMI試験の意義について、Hofmann氏は「心臓発作患者の治療法に関する知識には、
これまで大きなギャップがあった。
今回の研究により、その中心部分を埋めることができた。
1年前、われわれは心臓発作後の酸素療法は1年時点の死亡リスクを低減させないことを確認した」と説明。
さらに「今回は、1年前に得られた知見をより長期的に裏付け、酸素療法は心臓発作患者に最も懸念される合併症である心不全の発現頻度を低下させないことを示すことができた。
今回の結果を受け、今後はルーチンの酸素療法をやめることができ、医療従事者はより有効な処置と病院への迅速な搬送に集中することができる」としている。
6,000例以上を2年以上追跡して確認
DETO2X-AMI試験はスウェーデンの35の病院で実施された登録ベースのランダム化比較試験で、急性MIの疑いがあり、酸素飽和度が90%以上の患者6,629例を酸素群(3.311例)と空気群(3,318例)にランダムに割り付けた。
酸素群では6L/分の酸素補給が6〜12時間実施された。
組み入れから1年時点までに、全死亡と心不全入院の複合事象が発現した患者の割合は酸素群で8.0%、空気群で7.9%であった〔ハザード比(HR)0.99、95%CI 0.84〜1.18、P=0.92〕。
長期追跡調査期間(中央値2.1年、範囲1.0〜3.7年)でも、
複合事象の発現割合は酸素群11.2%、空気群10.8%と差がなく(HR 1.02、95%CI 0.88〜1.17、P=0.84)、
心血管死亡の発現割合も酸素群5.2%、空気群4.8%と差がなかった(同1.07、0.87〜1.33、P=0.52)。
これらの結果はサブグループ解析でも一致していた。
このことから、MIが疑われるものの低酸素状態でない患者に対する中用量の酸素補給は有害ではないが、効果もないと結論付けられた。
前回の1年時点のデータに基づく結果は死亡率が想定より低く、検出力に問題があった。
これは、低酸素血症患者を除外したことや同意取得が必須であったため、脆弱な患者の組み入れが難しかったことが主な原因として考えられるという。
今回、Hofmann氏は「重要な副次評価項目として複合事象を導入したことで、検出力の問題を克服でき、より確実な結果が得られた」と指摘した上で、「今回の研究結果が世界のMI治療ガイドラインに反映されることを期待している」と展望した。
※1 DETermination of the role of OXygen in suspected Acute Myocardial Infarction
※2 N Engl J Med(2017; 377: 1240-1249)
(ESC 2018取材班)
ルーチンの酸素療法が不要に!
2018年09月11日 06:00
心臓発作を起こした患者に対する酸素療法は100年以上前から行われているが、
血中酸素濃度が正常な患者での十分な効果は証明されていない。
スウェーデン・Karolinska InstitutetのRobin Hofmann氏らは以前、
低酸素状態でない心筋梗塞(MI)が疑われる患者を対象に、
酸素療法と空気吸入を比較するDETO2X-AMI※1試験を実施し、
酸素療法は1年時点の生存率を改善しないことを報告している※2。
今回、同氏らは同試験の長期結果を欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25〜29日、ミュンヘン)で報告し、
「MIが疑われる患者への酸素療法に心不全予防効果はなく、
長期死亡リスクも改善されない」と述べた。
なお、詳細はCirculation(2018年8月26日オンライン版)に同時掲載された。
(関連記事:「急性心筋梗塞に酸素投与の効果なし」)
ルーチンの酸素療法が不要に
2000年以降、世界中の研究者が心臓発作(急性MI)患者に対する酸素療法は無効なだけでなく、
有害ですらあるのではないかと疑い始めていた。
DETO2X-AMI試験の意義について、Hofmann氏は「心臓発作患者の治療法に関する知識には、
これまで大きなギャップがあった。
今回の研究により、その中心部分を埋めることができた。
1年前、われわれは心臓発作後の酸素療法は1年時点の死亡リスクを低減させないことを確認した」と説明。
さらに「今回は、1年前に得られた知見をより長期的に裏付け、酸素療法は心臓発作患者に最も懸念される合併症である心不全の発現頻度を低下させないことを示すことができた。
今回の結果を受け、今後はルーチンの酸素療法をやめることができ、医療従事者はより有効な処置と病院への迅速な搬送に集中することができる」としている。
6,000例以上を2年以上追跡して確認
DETO2X-AMI試験はスウェーデンの35の病院で実施された登録ベースのランダム化比較試験で、急性MIの疑いがあり、酸素飽和度が90%以上の患者6,629例を酸素群(3.311例)と空気群(3,318例)にランダムに割り付けた。
酸素群では6L/分の酸素補給が6〜12時間実施された。
組み入れから1年時点までに、全死亡と心不全入院の複合事象が発現した患者の割合は酸素群で8.0%、空気群で7.9%であった〔ハザード比(HR)0.99、95%CI 0.84〜1.18、P=0.92〕。
長期追跡調査期間(中央値2.1年、範囲1.0〜3.7年)でも、
複合事象の発現割合は酸素群11.2%、空気群10.8%と差がなく(HR 1.02、95%CI 0.88〜1.17、P=0.84)、
心血管死亡の発現割合も酸素群5.2%、空気群4.8%と差がなかった(同1.07、0.87〜1.33、P=0.52)。
これらの結果はサブグループ解析でも一致していた。
このことから、MIが疑われるものの低酸素状態でない患者に対する中用量の酸素補給は有害ではないが、効果もないと結論付けられた。
前回の1年時点のデータに基づく結果は死亡率が想定より低く、検出力に問題があった。
これは、低酸素血症患者を除外したことや同意取得が必須であったため、脆弱な患者の組み入れが難しかったことが主な原因として考えられるという。
今回、Hofmann氏は「重要な副次評価項目として複合事象を導入したことで、検出力の問題を克服でき、より確実な結果が得られた」と指摘した上で、「今回の研究結果が世界のMI治療ガイドラインに反映されることを期待している」と展望した。
※1 DETermination of the role of OXygen in suspected Acute Myocardial Infarction
※2 N Engl J Med(2017; 377: 1240-1249)
(ESC 2018取材班)
2018年09月28日
適度な炭水化物の摂取が長生きの秘訣? 炭水化物は減らしすぎても増やしすぎても、健康にはよくないようだ
適度な炭水化物の摂取が長生きの秘訣?
炭水化物は減らしすぎても増やしすぎても、健康にはよくないようだ。
提供元:HealthDay News 公開日:2018/09/11
Background写真Valeria_aksakova - Freepik.comによるデザイン
「The Lancet Public Health」8月16日オンライン版に掲載された新しい研究で、炭水化物を適度に食べることが長生きにつながる可能性のあることが示された。
この研究は、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のScott Solomon氏らが実施したもの。
1987〜1989年に米国で開始されたアテローム性動脈硬化症に関するコホート研究であるARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究に参加した、
45〜65歳の米国成人1万5,428人を対象に中央値で25年間追跡し、食物摂取頻度調査票により評価した炭水化物の摂取状況と死亡率との関連を調べた。
その結果、炭水化物からのエネルギー摂取比率と死亡率との間にはU字型の関連がみられ、総摂取エネルギーに占める炭水化物の割合が50〜55%だった場合に最も死亡リスクが低いことが分かった。
また、炭水化物の摂取比率は寿命にも関係しており、炭水化物を適度(摂取比率が50〜55%)に摂取する人の50歳時点の余命は33年で、炭水化物の摂取比率を30%未満に制限する人よりも4年長く、摂取比率が65%を超える人よりも1年長かった。
Solomon氏らはさらに、ARIC研究と7件の前向き研究のデータを合わせて、日本を含む各国から43万2,179人のデータを用いてメタ解析を実施した。
その結果、ARIC研究の参加者の解析結果と同様に、炭水化物を適度に摂取するのに比べて、炭水化物の摂取比率が40%未満もしくは70%以上の場合には死亡リスクが有意に上昇し、寿命が短縮することが明らかになった。
また、炭水化物の摂取を制限する場合には、牛や羊、豚の肉やチーズなどの動物性のたんぱく質と脂肪の摂取量を増やすと早期死亡リスクは高まるが、野菜や豆類、ナッツなど植物性のたんぱく質と脂肪の摂取量を増やすと早期死亡リスクは低下することも示された。
Solomon氏は「種々の糖質制限食による健康への影響を、長期的に比べるランダム化比較試験はこれまで実施されていないが、この研究結果から、炭水化物に置き換えて、動物性ではなく植物性のたんぱく質や脂肪の比率を増やすと心血管疾患などの重大な疾患の予防に有用な可能性が示された」と話している。
ただし、今回の研究は観察研究であり、因果関係を明らかにしたものではない。
参加者の食生活についても自己申告に基づくもので、その調査も研究開始時と6年後の2回しか実施されていなかった。
そのため、Solomon氏は「25年の追跡期間中に参加者の食習慣は変化したかもしれず、これが結果に影響した可能性もある」と指摘している。
研究を率いた同病院の心臓専門医であるSara Seidelmann氏は「炭水化物をたんぱく質や脂質に置き換える糖質制限食は、健康の維持や減量に有効とされ、一般に人気が高まっている。
欧米では、炭水化物を動物性の食品に置き換える方法が流行しているが、こうした食べ方は早期死亡リスクを高める可能性があり、すぐにやめるべきだ」と強調する。
また、「炭水化物を制限する場合には、炭水化物を植物性の脂肪やたんぱく質に置き換えれば健康に長生きできるかもしれない」と助言している。
[2018年8月17日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.
原著論文はこちら
Seidelmann SB, et al. Lancet Public Health. 2018 Aug 16. [Epub ahead of print]
炭水化物は減らしすぎても増やしすぎても、健康にはよくないようだ。
提供元:HealthDay News 公開日:2018/09/11
Background写真Valeria_aksakova - Freepik.comによるデザイン
「The Lancet Public Health」8月16日オンライン版に掲載された新しい研究で、炭水化物を適度に食べることが長生きにつながる可能性のあることが示された。
この研究は、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のScott Solomon氏らが実施したもの。
1987〜1989年に米国で開始されたアテローム性動脈硬化症に関するコホート研究であるARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究に参加した、
45〜65歳の米国成人1万5,428人を対象に中央値で25年間追跡し、食物摂取頻度調査票により評価した炭水化物の摂取状況と死亡率との関連を調べた。
その結果、炭水化物からのエネルギー摂取比率と死亡率との間にはU字型の関連がみられ、総摂取エネルギーに占める炭水化物の割合が50〜55%だった場合に最も死亡リスクが低いことが分かった。
また、炭水化物の摂取比率は寿命にも関係しており、炭水化物を適度(摂取比率が50〜55%)に摂取する人の50歳時点の余命は33年で、炭水化物の摂取比率を30%未満に制限する人よりも4年長く、摂取比率が65%を超える人よりも1年長かった。
Solomon氏らはさらに、ARIC研究と7件の前向き研究のデータを合わせて、日本を含む各国から43万2,179人のデータを用いてメタ解析を実施した。
その結果、ARIC研究の参加者の解析結果と同様に、炭水化物を適度に摂取するのに比べて、炭水化物の摂取比率が40%未満もしくは70%以上の場合には死亡リスクが有意に上昇し、寿命が短縮することが明らかになった。
また、炭水化物の摂取を制限する場合には、牛や羊、豚の肉やチーズなどの動物性のたんぱく質と脂肪の摂取量を増やすと早期死亡リスクは高まるが、野菜や豆類、ナッツなど植物性のたんぱく質と脂肪の摂取量を増やすと早期死亡リスクは低下することも示された。
Solomon氏は「種々の糖質制限食による健康への影響を、長期的に比べるランダム化比較試験はこれまで実施されていないが、この研究結果から、炭水化物に置き換えて、動物性ではなく植物性のたんぱく質や脂肪の比率を増やすと心血管疾患などの重大な疾患の予防に有用な可能性が示された」と話している。
ただし、今回の研究は観察研究であり、因果関係を明らかにしたものではない。
参加者の食生活についても自己申告に基づくもので、その調査も研究開始時と6年後の2回しか実施されていなかった。
そのため、Solomon氏は「25年の追跡期間中に参加者の食習慣は変化したかもしれず、これが結果に影響した可能性もある」と指摘している。
研究を率いた同病院の心臓専門医であるSara Seidelmann氏は「炭水化物をたんぱく質や脂質に置き換える糖質制限食は、健康の維持や減量に有効とされ、一般に人気が高まっている。
欧米では、炭水化物を動物性の食品に置き換える方法が流行しているが、こうした食べ方は早期死亡リスクを高める可能性があり、すぐにやめるべきだ」と強調する。
また、「炭水化物を制限する場合には、炭水化物を植物性の脂肪やたんぱく質に置き換えれば健康に長生きできるかもしれない」と助言している。
[2018年8月17日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.
原著論文はこちら
Seidelmann SB, et al. Lancet Public Health. 2018 Aug 16. [Epub ahead of print]
2018年09月27日
プロトンポンプ阻害薬(PPI)で認知症リスクの増加みられず〜大規模症例対照研究
プロトンポンプ阻害薬(PPI)で認知症リスクの増加みられず〜大規模症例対照研究
提供元:ケアネット 公開日:2018/09/03
プロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期使用とアルツハイマー病(AD)のリスク増加との関連がいくつかの観察研究で報告されているが、使用期間の影響や他の認知症でも当てはまるかどうか検討されていない。
スイス・バーゼル大学のPatrick Imfeld氏らは、大規模な症例対照研究により、PPI(またはネガティブコントロールとしてのH2受容体拮抗薬[H2RA])の長期使用と、ADまたは血管性認知症(VaD)の発症リスクとの関連を検討した。
その結果、PPIやH2RAに関連するADやVaDのリスク増加はみられなかった。
Drug Safety誌オンライン版2018年8月27日号に掲載。
本研究は、英国を拠点とするClinical Practice Research Datalink(CPRD)での症例対照分析。
1998〜2015年に、新規にADまたはVaDと診断された65歳以上の4万1,029症例を同定し、
対照群の非認知症者に、年齢・性別・暦時間・一般診療・病歴の年数で1対1にマッチさせた。
それまでのPPIまたはH2RA使用に関連するADまたはVaD発症の調整オッズ比(aOR)および95%信頼区間(CI)を、条件付きロジスティック回帰分析を用いて薬剤使用期間ごとに算出した。
主な結果は以下のとおり。
・長期PPI使用(100処方以上)は非使用と比べ、
AD発症リスク(aOR:0.88、95%CI:0.80〜0.97)、
VaD発症リスク(aOR:1.18、95%CI:1.04〜1.33)の増加と関連していなかった。
・H2RAの長期使用(20処方以上)についても、
AD発症リスク(aOR:0.94、95%CI:0.87〜1.02)、
VaD発症リスク(aOR:0.99、95%CI:0.89〜1.10)の増加と関連していなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)
原著論文はこちら
Imfeld P, et al. Drug Saf. 2018 Aug 27. [Epub ahead of print]
提供元:ケアネット 公開日:2018/09/03
プロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期使用とアルツハイマー病(AD)のリスク増加との関連がいくつかの観察研究で報告されているが、使用期間の影響や他の認知症でも当てはまるかどうか検討されていない。
スイス・バーゼル大学のPatrick Imfeld氏らは、大規模な症例対照研究により、PPI(またはネガティブコントロールとしてのH2受容体拮抗薬[H2RA])の長期使用と、ADまたは血管性認知症(VaD)の発症リスクとの関連を検討した。
その結果、PPIやH2RAに関連するADやVaDのリスク増加はみられなかった。
Drug Safety誌オンライン版2018年8月27日号に掲載。
本研究は、英国を拠点とするClinical Practice Research Datalink(CPRD)での症例対照分析。
1998〜2015年に、新規にADまたはVaDと診断された65歳以上の4万1,029症例を同定し、
対照群の非認知症者に、年齢・性別・暦時間・一般診療・病歴の年数で1対1にマッチさせた。
それまでのPPIまたはH2RA使用に関連するADまたはVaD発症の調整オッズ比(aOR)および95%信頼区間(CI)を、条件付きロジスティック回帰分析を用いて薬剤使用期間ごとに算出した。
主な結果は以下のとおり。
・長期PPI使用(100処方以上)は非使用と比べ、
AD発症リスク(aOR:0.88、95%CI:0.80〜0.97)、
VaD発症リスク(aOR:1.18、95%CI:1.04〜1.33)の増加と関連していなかった。
・H2RAの長期使用(20処方以上)についても、
AD発症リスク(aOR:0.94、95%CI:0.87〜1.02)、
VaD発症リスク(aOR:0.99、95%CI:0.89〜1.10)の増加と関連していなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)
原著論文はこちら
Imfeld P, et al. Drug Saf. 2018 Aug 27. [Epub ahead of print]